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ミステリの祭典

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江守森江さんの登録情報
平均点:5.00点 書評数:1256件

プロフィール| 書評

No.856 7点 検察側の証人
アガサ・クリスティー
(2010/06/12 18:54登録)
作者のノンジャンル短編集に収録された短編小説と戯曲脚本の両方を読み比べてみた(実践に時間を要さない&大概の図書館にあるのでオススメ!)
戯曲本の解説によると映画版「情婦」は戯曲脚本に忠実な結末らしい。
小説では情婦が真相告白する結末で終わるのに対し、戯曲では更に反転して劇的な結末を迎える。
シンプルかつ驚きで終わる小説版に比べ、戯曲は後味が悪いとの評価もあり、どちらが良いかは好みによる。
私的には、愛憎を利用した操りによる二転三転は劇的なので戯曲脚本を支持する。
戯曲脚本では配役案から作者が仕込んでいるのにニヤリとした。
※ここからネタバレで弱点を指摘します。
実際の事件裁判ではなくミステリーの枠内での裁判な為に無罪を勝ち取り終了ではなく、真犯人を示して終了が前提になり、犯人たり得る登場人物が一人しか存在しない故に、ミステリー摺れした読者には展開が察せてしまう。
又、一事不再理ネタが法廷ミステリで多数用いられた事でも弱さが生じた(こちらは作者に落ち度はない)
よって、満点(8点)から1点減点した。
それでも「アクロイド殺し」と同点で、どちらも一読の価値はある。
※追記(12月11日)
先日放送された海外ドラマ「ボストン・リーガル」ファイナル・シーズンの1エピソードで本作のプロットがまんま転用(要はパクリ)されていて唖然とした。
日本も含め世界的にドラマ業界はパクリに寛容過ぎる気がする(そんなパクリドラマが大好きな私は何なんだ?!)


No.855 5点 球体の蛇
道尾秀介
(2010/06/12 18:13登録)
ミステリ分野に軸足を置く読者が、作者に求めて支持してきた、読者の思い込みを利した鮮やかな反転を齎す作品ではなく、一般文芸で直木賞狙いに方向転換した分岐点的な作品。
次の展開(捻り)を細かく晒しながら転がるストーリーなのでドンデン返しは小さくなるが、作者は敢えてしているのだろう。
主人公が真相に納得する形で幕を閉じるが、読者の側では火事の真相3パターン×智子の生死2パターンの計6通りから勝手に真相を想像するリドルストーリーだと考えれば水準レベルなミステリーだとは思える。
その一方で、作品の主題がトラウマ克服青春記で、そちらに気を取られたままリドルである事を意識せず読了するので、ミステリー色は非常に薄く感じる。
どこといって悪くないが、作者に求める物と違う為に不満は大きい。


No.854 6点 ガリレオの苦悩
東野圭吾
(2010/06/12 17:46登録)
ガリレオ・シリーズ第三短編集。
ドラマから生まれたキャラ内海に女性的感性から気付かせる事で草薙との住み分けもできている。
「落下る」「操縦る」は合わせてスペシャル・ドラマ化され〈物理トリックは映像で観たい〉を体現してくれた。
また「操縦る」での湯川の存在を利用したホワイダニットは秀逸。
その一方で「密室る」はやっっけ仕事感が漂う。
「指標す」は今までとは違い読者も推理出来る作品でタイトル通りな気付きのミステリとして良作。
「攪乱す」は対決パターンで犯人を誘き出す展開が、映像化を意識した楽しい作品。
作者の懐の深さとハウダニット的にはネタ切れ気味でシリーズが限界に近い事の両方を感じる。
ドラマと違い優秀な内海の登場でシリーズ的には格段に面白くなった。


No.853 5点 予知夢
東野圭吾
(2010/06/12 17:29登録)
ガリレオ・シリーズ第二短編集。
相変わらず読者の推理を拒絶しドラマを観る方が良い作品「絞殺る」「予知る」もあるが「夢想る」は気付きのミステリになった反面で探偵が湯川である必然性がなくなった。
「騒霊ぐ」は、かなり以前に同じオチの二時間ドラマを観た覚えがある。
「霊視る」はありふれたアリバイ物で気付きのみ科学的なのでバランス面は良い。
少しシリーズ作風に幅をもたせた事が「容疑者Xの献身」で昇華する!
次を読む為の予習として読む本だろう。


No.852 3点 本格ミステリ・ベスト10 2006
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/06/12 17:08登録)
毎度のごとく年刊雑誌なので採点は一律の3点。
ここまで一部のマニア向けに徹してきたのだから大衆に媚びる必要はない!(それで採算が合わなくなったなら素直に廃刊すればよいと思う)
裾野拡大やらの目的は「このミス」等に任せればよい!
海外作品の扱い割合も出版事情に適合している。
国内上位2作が「このミス」に同じだが異論はない。
私的には東川篤哉の6位・11位ランクインと倉知淳「ほうかご探偵隊」のネットランク8位は嬉しい。
マニアック故に、映像分野で「相棒」の高評価やミスchで再放送(観れて良かった)したドラマ版「エラリー・クイーン」の紹介は嬉しい。
マニアな本格ミステリ分野でも、YA向け「神様ゲーム」、明らかにラノベな米澤穂信・古典部シリーズ、田代裕彦などが台頭してきたと感じる。
※この年度の私的なベストだが「このサイト」で7点同点で甲乙つけ難い作品が並ぶので迷う。
本格ではないが広範なミステリーなら今野敏「隠蔽捜査」が1位かな?


No.851 3点 本格ミステリ・ベスト10 2005
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/06/12 16:24登録)
毎度のごとく年刊雑誌なので採点は一律の3点。
この雑誌はミステリの裾野を広げる目的より(狭義な)本格ミステリマニア達が仲間内に向けて一緒に楽しむ(まさに同人)ために出版されている(「このミス」に比べ高価格に維持されているのが方向性と売上を如実に示している)
当時、近場の書店には置かれてすらいなかった。
広義で裾野を広げる「このミス」があるのだから、コンセプトに賛同出来ないならわざわざ「この雑誌」を手にしなければ良いだけの事だろう。
又(海外翻訳ランキングに興味がないから冷静に判断できる)海外翻訳の扱いの小ささも狭義な本格ミステリの翻訳作品数や売上を国内作品と比較すれば妥当な割合になっていると思う。
探偵小説研究会の一員・市川尚吾=乾くるみが作家ランクの1位になるチャンス(2作品ランクイン)を逃した(仲間内に投票して貰えば良かったのに!)
マニアックな映像分野から「TRICK」「相棒」「乱歩R」と観た作品に加え、天藤真原作・幻の連ドラ「手紙〜殺しへの招待〜」のDVD化まで紹介されているし、ラノベでも田代裕彦、コミックでも素晴らしいミステリだと思っている「弁護士のくず」が紹介されていて嬉しくなった。
※お遊びでこの年度の私的ベスト3を発表
1位、乾くるみ「イニシエーション・ラブ」
2位、横山秀夫「臨場」
3位、伯方雪日「誰もわたしを倒せない」


No.850 3点 このミステリーがすごい!2007年版
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/06/12 15:48登録)
毎度のごとく年刊雑誌なので採点は一律の3点。
海外翻訳ランキングも相変わらず興味なし。
流行を知る貴重な資料な反面、ランキングをネット発表で済ませても良い時代に突入した。
競馬の正統派馬券戦略から浮かんだ発想だが、各出版社や作家協会が協力した統一評価機関を設立し、しがらみのない評価委員によるオールタイム・レーティングを作成発表し、新作は随時発表すれば読者には大変参考になると思うのだが・・・・・。
この年は1位作品のマニアックさから派閥による組織票が噂された。
作家ランクの1位が道尾で2位が米澤になり作品の1位と合わせて以前とは別時代に突入した感じもする。
ミステリーランド作品や米澤穂信などYA向けやラノベ・ミステリーの台頭も著しくなった。
私的には、前年度あたりから読んでいる作家や作品が多くなり眺める楽しみが増してきてはいる。


No.849 3点 このミステリーがすごい!2006年版
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/06/12 15:14登録)
毎度のごとく年刊雑誌なので採点は一律の3点。
そして、海外翻訳ランクも興味なし。
この年度は、どのランクでも東野圭吾「容疑者X〜」の独走で、石持「扉は閉ざされたまま」が離れた二番手な感じで変わりばえしない。
時間を経た評価なら5位「神様ゲーム」・20位「隠蔽捜査」辺りは順位が上がるだろう。
私的に東野圭吾・横山秀夫・米澤穂信3人のインタビューは楽しめた。
常々思うのだが(作品のデキに関係なく)旧作の発掘復刊作品は、相撲番付同様な「張出」扱いにしてほしい!
この年度の「このミス」独自な見所は、自前の新人賞「このミス大賞」の大賞作品(一番の出世作)と特別奨励賞作品(一番のクズミス)の落差だろう。
もう一つは、前年から別雑誌を発行して排除を図ったラノベ・ミステリーだが、皮肉にも米澤・桜庭とラノベに軸足のある作家がランクインしている。


No.848 6点 鮎川哲也の論理
事典・ガイド
(2010/06/12 14:19登録)
副題:本格推理ひとすじの鬼
鮎川哲也の評伝及び作品解説を、古典ミステリ史からアンソロジー編集まで絡めながら纏めた本。
「全行これ伏線」「作中で大胆に大法螺を吹く稚気」は鮎川哲也を評するに相応しい。
今ではノスタルジーを擽るだけな代物だが時刻表添付ミステリは、当時としては画期的発明であったと思う。
私的には「私だけが知っている」や鮎川原作でコロンボ〜古畑の系譜にある幻の推理ドラマ「チェックメイト78」(放送当時観ていた)について触れていたのが感慨深い。
作品解説的内容部分でネタバレも多々あるので、鮎川の代表的作品を先に読んでいる事が前提だが、読んでいれば裏話等々楽しめる。


No.847 7点 てやんでェ
梶山季之
(2010/06/09 22:48登録)
「赤いダイヤ」の続編にあたる主人公・木塚慶太の半生記・後半で、時系列的には「赤いダイヤ」で登場した悪女を主人公に描かれた兄弟編「青いサファイア」の後になる。
今回は、詐欺紛いのインチキ貿易などを絡めながら、女を誑し込むコミカルなエロ描写をふんだんに盛り込んだ痛快ピカレスク・ロマン。
グレース・ケリー(モナコ王妃)など実在の人物を彷彿させる登場人物をエロに絡めたりするサービス精神旺盛な所からも、作者が当時作家分野で長者番付1位だった事が伺える。
エロ真っ盛りな高校時代に梶山季之にハマった事で人生が思わぬ方向に転んでしまった気がする。


No.846 8点 赤いダイヤ
梶山季之
(2010/06/09 22:17登録)
赤い魔物とも赤いダイヤとも言われた小豆相場の世界を舞台にした相場小説で(以前なら経済小説分野の作品扱いだが)現在ならミステリーの範疇に含まれる賭博・陰謀小説でもある。
相場に対峙するヒリヒリした臨場感や権謀術数が一番の読み所だが、主人公の木塚慶太を含むキャラも立っている(主人公の半生記・前半でもある)
作者の、もう一つの持ち味であるコミカルなエロ描写は控え目な所も代表作と呼ぶに相応しいだろう。
相場小説分野では清水一行「相場師」と並んで最高峰と評されている。


No.845 6点 かんぷらちんき
梶山季之
(2010/06/09 21:59登録)
夜な夜な飲み歩いた取材に基づき、知られざる性癖の世界を紹介しながら、知恵で夜の世界を生き抜く男の半生を描いたピカレスク・ロマン。
主人公が、お金を見ながらでないと興奮しない性癖を利用しながら、次々と女を金儲けに利用する手口と発想は、今でも応用可能だろう。
強姦同然で母娘丼(おやこどんぶり)しながら誑し込む手口や夜の世界で成功する女の見抜き方(気付きのミステリに通じる)など作者の取材力と発想力に感嘆する。
エロ描写も非常にコミカルなので楽しくサラッと読める。


No.844 2点 このミステリーがすごい!2005年版
雑誌、年間ベスト、定期刊行物
(2010/06/09 15:14登録)
最初に、海外翻訳ランキングは毎度の事ながら興味がない。
本来なら年刊雑誌なので一律の3点だが、私的にはミステリーの範疇外な純然たるSF&ファンタジーをランク対象にしながら、ミステリと断言出来る作品も存在するラノベを別雑誌まで刊行して一斉排除する姿勢は(SF&ファンタジーも同様にして一斉排除するなら信念を汲んで支持するが)納得できないので1点減点して2点とし、最低な駄作ミステリー(ダメミス・クズミス)と同評価な扱いとする。
この年から「このミス」のみ(「本ミス」は近場の書店に置かれなかった)立ち読みながら出版時期に接し始めたが、逆に(ネットもお手軽になり)ランキングをネット発表するだけで一般読者には充分だと感じ始めた(所詮、一般人にはコラム・インタビューも含めて読み物はマニアックで興味は低いだろう)
それでも儲かるなら発刊し続けるのが商売上手な宝島社だとは思う。
法月の1位は(私的な評価と関係なく世評には納得できた昨年の歌野「葉桜〜」と違い)作者久々の長編に対しての渇望から来た過大評価だと思っている(「このミス」の範疇では未読作品が多数で(私的に)年度によるレベル差を論じられないのが残念)
その辺りは「このサイト」での平均点や書評を比べれば歴然としている。
伊坂の高評価は、流行により多数読まれた事の影響で、作品レベル云々ではないと考えれば納得できる。
読まれ(売れ)なければ、後々傑作だと評される作品でも評価すら出来ないのだから!
単行本ではブレイクしなかった乾くるみ「イニシエーション・ラブ」(該当年度作品)が上記の事を如実に示した。
※年度別ランキングは低レベルな年度ほどネームバリュー(固定人気)や売上(流行)に左右されて信頼度が低下する致命的欠陥を抱えている。


No.843 4点 見えない貌
夏樹静子
(2010/06/08 07:43登録)
昨日TBS系で放送された二時間ドラマの原作。
国内ミステリーでもドラマを観てからおさらいするファジーな方法を選択してみた(放送予定に合わせ前もって図書館で借りた→今では時代遅れな作家になったのか予約なしに借りられる)
結構ボリュームがあり、被害者の母親視点から加害者の弁護士視点に切り替わる二部構成。
親子愛をテーマに真相が二転三転する展開は手慣れた感じだが、逆に考えればリーガル・サスペンスとして新鮮さに欠ける。
作者が実際使用する世代ではないからか、携帯や出会い系を取材して書き上げたのだろうが、機能・料金システム・法規制等の変化スピードに対応出来ずに綻びが生じている。
以前は「十年ひと昔」だったが、今では「三年ひと昔」なので、下手に流行や技術を取り入れたミステリーは(読者が皆、書かれた‘ピンポイントな時期’を考慮して読む訳ではない)残念ながら時代に置き去りにされる。


No.842 6点 怪人二十面相
江戸川乱歩
(2010/06/07 18:28登録)
TBS系深夜ドラマを観て、再読したくなり再読したら怪人二十面相=帰ってきたウルトラマン(郷秀樹・俳優は団次郎)だった「少年探偵団」のドラマも再度観たくなりトランク・ルームのダンボールに詰め込んで置いたVHSビデオを引っ張り出して息子と一緒に観てしまった。
息子の世代には「名探偵コナン」だが、私の世代には怪人二十面相・明智小五郎・小林少年のお約束な世界の方が馴染める。
先日、図書館で見た江戸川乱歩ガイドの地図をコピーして、息子の夏休み企画として一緒に東京散策してみたくなった。
親子でミステリーは非常に楽しい(なんて親バカなんだ!)


No.841 6点 怪奇四十面相
江戸川乱歩
(2010/06/07 18:10登録)
深夜TBS系で放送中の三代目・明智小五郎(明智中五郎)を録画視聴したら無性に再読したくなった。
昔は小学校の図書室に大概あり、ルパン・ホームズと並び男子には人気ナンバーワンを争っていた。
飽くまでも主役は怪人二十面相で明智や小林少年ではない?!
今読み返すとミステリーとしては少年向けとしてもお粗末ではあるが、嗜好とノスタルジーで貶すなんて出来ない。
お約束な世界をきっちり守り抜いているので、その事を踏まえて読めば今でも楽しい。
自ら二十の倍付けな四十面相を名乗る「二十面相」のお茶目さに頬が緩む。
定期的に復刊させるポプラ社も良い仕事をしていると褒めておきたい!


No.840 2点 リアル鬼ごっこ
山田悠介
(2010/06/07 08:16登録)
テレ東で、つい数時間前に映画版の放送を観た。
数週間前に放送予定を知り図書館予約をしたが、その時点で区内蔵書の全てが貸出中だった事が「この本」一番の驚きだった!
ヤング・アダルト世代には、このレベルの作品がかえって面白く感じられるのだろうか?
※ミステリー範疇外の2点ではなく最低レベルな作品での2点。
#作品内容の書評なんかする気も起きないので興味があれば読んでみて下さい。
映画化を考えた人の脳内を覗いてみたくなります。#
クズミス・ダメミスと評判の高い作品群を怖いもの見たさで読んできたが、噂に違わず先に読んだ駄作群に勝るとも劣らない「最強の駄作」を争える逸品かもしれない。
否!売上を考えれば、他の駄作群を引き離しダントツだろう。
こんな作品が出版不況の打破に一役買っている(コンビニで大量に漫画化作品が売られている)皮肉な現実に笑いがこみ上げてきた。
※同系統だがフィクションではないフジテレビ系で時折放送されるゲーム・バラエティー番組「逃走中」の方が格段に楽しい。


No.839 5点 八つ墓村
横溝正史
(2010/06/07 07:12登録)
悲しいかな「八つ墓村」に最初に接したのが渥美清が金田一を演じた映画だった。
そのせいで「金田一」と「寅さん」のイメージが被るダメージを結構長い間引きずってしまった。
小学生の頃、肝試し大会で幽霊役のお兄さんが「祟りじゃ〜っ!」と飛び出してきた程の流行語だった事が懐かしく思い出される。
金田一を傍観者にした原作と違い、映像化作品達は、それなりに金田一が活躍する推理物からホラー仕立てまでバラエティーに富む(古い映画二本は未見)
金田一シリーズ番外編と捉えて読めば楽しめるのかもしれないが(最初の接し方の問題もあり)個人的にはもう一つ乗り切れない作品だった(再読して更にその印象が強くなった)


No.838 4点 白夜行
東野圭吾
(2010/06/05 07:12登録)
綾瀬はるか熱愛発覚スクープを記念して!!
「容疑者Xの献身」で直木賞を受賞するまではドラマ化と相まって作者では一番売れた作品だろう(そこまでの東野マニアではないので売上の詳細は不明)
厚さの割に一気に読了させるリーダビリティの高さはさすが東野圭吾と言ったところだが、ノワール・ミステリーはミステリーの中でも嗜好外にあり、ドラマ化以前に読んでしまいスルーすれば良かったと後悔した。
基本的に東野圭吾好きなら作風の幅広さを絶賛し歓迎するのだろうが、違うので嗜好外な作品は程々にしてほしい気持ちの方が強い。
それでも懲りずに出版と同時に図書館予約に出向く流行物好きな自分に呆れる。


No.837 5点 ミステリーのおきて102条
評論・エッセイ
(2010/06/05 05:23登録)
先日テレ東で阿刀田作品ドラマの再放送を観た。
そして「このミス」を眺めに図書館に行ったら同じ棚にあったので気になり手に取った。
読売新聞・日曜版に掲載されたエッセイをまとめた本なので、どうでもよい話題の時も多い。
しかし、ミステリの本質を突いている点も多々あり「さりげなさの研究」・「ほのめかしの研究」から「どこまで見せるか」でのストリップ・ショウと同様にさじ加減が大切だとか、「刑事コロンボ考」での推理小説は我慢の文学で前半多少退屈になるが倒叙にして絵解きの面白さに特化した構造の勝利だ、等々の頷けるエッセイもある。
歴史ミステリーに触れた「歴史とジョーク」、この本らしい「破られた法則」も楽しく読んだ。
そして巻末の本文掲載書名一覧がエッセイと合わせて素晴らしいガイドになっている。

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