home

ミステリの祭典

login
ミステリーのおきて102条
阿刀田高

作家 評論・エッセイ
出版日1998年08月
平均点4.25点
書評数4人

No.4 5点 斎藤警部
(2016/08/19 13:51登録)
その昔、南武線は溝ノ口で古本を買って(新刊だったかも?)近くのラーメン屋でパラパラ見てすぐ売っちゃった、そんな状況が実に似合ってた軽~い一冊。目からウロコは落ちないがズレたメガネくらい直してくれる。かゆい所は掻かずにサラッと撫でてくれるようなライトエッセイ集。 但し、Tetchyさん仰るようにネタバレについては結構ヘヴィなので適宜ムニャムニャと流し読みも必要。第十四回吉川英治賞特別章受賞(←冗談です)

No.3 1点 Tetchy
(2010/11/04 21:42登録)
マルチ作家であるが故の広く浅いエッセイになってしまった。
当方が期待した瀬戸川猛資氏のようなミステリをこよなく愛する人の、また博識ある方からの通常ミステリ評論家達の手で語られる書評とは違った視点からのミステリ論ではなく、実作家のミステリ創作裏話やかの名作に対する感想といった至極一般的な話であった。
これだけならまだましだったのだが、こともあろうにこれら有名なミステリを読者が既に読んでいるものとして物語の粗筋を紹介し、それも旨味ともいえる核の部分まで露顕させていることにとても腹が立った!!
特に『九マイルは遠すぎる』はバラシ過ぎ!!いつか読める時を愉しみにしていた身にしてみれば余計なおせっかい以外何物でもないっ!!

No.2 5点 江守森江
(2010/06/05 05:23登録)
先日テレ東で阿刀田作品ドラマの再放送を観た。
そして「このミス」を眺めに図書館に行ったら同じ棚にあったので気になり手に取った。
読売新聞・日曜版に掲載されたエッセイをまとめた本なので、どうでもよい話題の時も多い。
しかし、ミステリの本質を突いている点も多々あり「さりげなさの研究」・「ほのめかしの研究」から「どこまで見せるか」でのストリップ・ショウと同様にさじ加減が大切だとか、「刑事コロンボ考」での推理小説は我慢の文学で前半多少退屈になるが倒叙にして絵解きの面白さに特化した構造の勝利だ、等々の頷けるエッセイもある。
歴史ミステリーに触れた「歴史とジョーク」、この本らしい「破られた法則」も楽しく読んだ。
そして巻末の本文掲載書名一覧がエッセイと合わせて素晴らしいガイドになっている。

No.1 6点
(2009/10/17 08:57登録)
「小説はみなミステリーだ」。北村薫も阿刀田高と同じことを考えているのだなと思っていたら、よく見ると読みたかった北村の評論ではなく阿刀田高を借りてしまっていた。しかも、中身は評論というより週刊誌連載のエッセーだった。失敗したかなと思いながら、軽く斜め読みし始めたが、これが意外に面白かった。
乱歩、清張、ポー、クイーン、クリスティーなど、古今東西の有名作家と、著名作品が続々登場する。「おきて」や「書き方」というほどではなく、裏話的で、著名作品を絡めながら趣のあるエピソード話をしてくれるのが、ミステリー情報収集家?である私にとってはうれしい。著者は映画通でもあるため「シャレード」や「太陽がいっぱい」などのサスペンス映画の話もあれば、傍点は推理小説では使ってはいけないとかの書き方の工夫話もある。それから、書評済みの山本周五郎の『五瓣の椿』がコーネル・ウールリッチの『黒衣の花嫁』を下敷きにしたものである等々の種々の新たな情報が得られた点も良かった。

4レコード表示中です 書評