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ミステリの祭典

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本格ミステリ・ベスト10 2005
探偵小説研究会編・著

作家 雑誌、年間ベスト、定期刊行物
出版日2004年12月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 3点 江守森江
(2010/06/12 16:24登録)
毎度のごとく年刊雑誌なので採点は一律の3点。
この雑誌はミステリの裾野を広げる目的より(狭義な)本格ミステリマニア達が仲間内に向けて一緒に楽しむ(まさに同人)ために出版されている(「このミス」に比べ高価格に維持されているのが方向性と売上を如実に示している)
当時、近場の書店には置かれてすらいなかった。
広義で裾野を広げる「このミス」があるのだから、コンセプトに賛同出来ないならわざわざ「この雑誌」を手にしなければ良いだけの事だろう。
又(海外翻訳ランキングに興味がないから冷静に判断できる)海外翻訳の扱いの小ささも狭義な本格ミステリの翻訳作品数や売上を国内作品と比較すれば妥当な割合になっていると思う。
探偵小説研究会の一員・市川尚吾=乾くるみが作家ランクの1位になるチャンス(2作品ランクイン)を逃した(仲間内に投票して貰えば良かったのに!)
マニアックな映像分野から「TRICK」「相棒」「乱歩R」と観た作品に加え、天藤真原作・幻の連ドラ「手紙〜殺しへの招待〜」のDVD化まで紹介されているし、ラノベでも田代裕彦、コミックでも素晴らしいミステリだと思っている「弁護士のくず」が紹介されていて嬉しくなった。
※お遊びでこの年度の私的ベスト3を発表
1位、乾くるみ「イニシエーション・ラブ」
2位、横山秀夫「臨場」
3位、伯方雪日「誰もわたしを倒せない」

No.1 6点 Tetchy
(2010/06/09 21:44登録)
『このミス』が常に変化しているのに対し、このムックは毎年同じ企画・コラムが掲載され、変わり映えがしない。尤も、変化した企画・コラムが『このミス』で大当たりしているのかといえば、そうとも云い切れないのだが、このマンネリズムには正直物足りなさを感じる。

国内本格の内容の充実振りに対して海外本格のまるで添え物のような扱いも気になる。アンケートの分母となる絶対数自体が少ないのだ。ミステリを論じる以上、国内も海外も同等に扱うべきである。

コラムもミステリを軸に漫画・ゲーム・映画・コミケとあまりにマニア中心の内容はうすら寒ささえ覚えてしまう。中身が白黒の単色での構成もこの時代では結構厳しいものがある。
これではオタク本に過ぎないではないか。座談会も、おいおいこんなことをこんな言葉で本当に話してんのかよ!?と突っ込みたくなるほど高度だし、全体的にマニアのための知的娯楽でしか表現されていないのが非常に気になった。

このままでは本格はある一部の人にしか受け入れらない限定された世界での展開しか繰り広げられない。もっと多方面の読者を引き込み、初めて本格ミステリを読む方々が手に取りやすい装丁・内容・文章にしてほしいものだ。最後の編集後記の内容もオタクコメントの羅列だし。何か情けなくなってくるなぁ。

しかし上ではこのような批判をしていても、結構のめり込んで読む自分がいるのも情けないのかもしれない。

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