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ミステリの祭典

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このミステリーがすごい!2007年版

作家 雑誌、年間ベスト、定期刊行物
出版日2006年12月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 7点 Tetchy
(2010/06/23 21:17登録)
パッと見て表紙の雰囲気や全体の紙質の変化にまず驚いた。ちょっと見、本屋で並んでも『このミス』だとは気付かないかもしれない。しかし、内容は全く以って例年通り。
一年のミステリを総括する本書、敢えて新しい趣向を凝らさず、マンネリ化を以って安定感を与えようとしているのか。とはいえ、このマンネリが一ファンとしては年に一度の祭りが今年も来たなぁと思わせるのだけれど。

さて今回のランキングは前に読んだ『本格ミステリ・ベスト10』とは結構違った印象を受け、非常に興味深かった。あちらで評価の高い有栖川は下位に属し、2作がランキングした三津田信三なんかは蚊帳の外である。共通して評価が高かったのは道尾秀介か。
こうして並べると昨年は『本格ミステリ~』がミステリど真ん中のランキングであり、『このミス』が広い範囲でのランキングだという両者の特色が色濃く出た年だった。

あとやはり『このミス』では警察小説が強いという感じが。佐々木譲久々のヒット作『制服捜査』の2位を筆頭に、9作めにして4位という高位にランクインした『狼花 新宿鮫Ⅸ』、東野圭吾の『赤い指』や香納諒一の2作などがランクインしている。また常連の宮部みゆきも健在だ。

一方海外に眼を通すと、昨年巷間で話題になった『あなたに不利な証拠として』が堅実に1位を獲得。ディーヴァー、コナリー、クックの常連作家も健在で、さらに昔からの作家ハイアセンも登場と往年の『このミス』を見ているかのようだ。近年の物故作家の隠れた名品の刊行もランクインしていることから海外ランキングはとても21世紀の2006年のミステリシーンを伝えるものとは思えないほどヴァラエティに富んでいる。

やはりミステリは面白いと再認識できた事が素直に楽しかった。以前感じた、作家の使い捨て感がようやく払拭されつつあるのもよかった。やはり素直に面白い物は面白いと評価しているのが一番いい。
しかし一方で『本格ミステリ~』の方で感じた新しい作家の力の躍進も馬鹿に出来ない。個人的には今年のように各ランキングで全く違う結果が出て、それぞれのフィールドで評価が違うのが一番読者として面白いし、また興味も尽きない。

No.1 3点 江守森江
(2010/06/12 15:48登録)
毎度のごとく年刊雑誌なので採点は一律の3点。
海外翻訳ランキングも相変わらず興味なし。
流行を知る貴重な資料な反面、ランキングをネット発表で済ませても良い時代に突入した。
競馬の正統派馬券戦略から浮かんだ発想だが、各出版社や作家協会が協力した統一評価機関を設立し、しがらみのない評価委員によるオールタイム・レーティングを作成発表し、新作は随時発表すれば読者には大変参考になると思うのだが・・・・・。
この年は1位作品のマニアックさから派閥による組織票が噂された。
作家ランクの1位が道尾で2位が米澤になり作品の1位と合わせて以前とは別時代に突入した感じもする。
ミステリーランド作品や米澤穂信などYA向けやラノベ・ミステリーの台頭も著しくなった。
私的には、前年度あたりから読んでいる作家や作品が多くなり眺める楽しみが増してきてはいる。

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