臣さんの登録情報 | |
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平均点:5.90点 | 書評数:660件 |
No.160 | 5点 | 第三の終章 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2010/09/07 13:14登録) 積読していた「コロンボ」のノベライズ版を読んでみました。あっという間でした。 映像を観てから原作を読むというスタイルはときどきやりますが、ノベライズ版を読むのは今回が初めて。テレビで観たのがずいぶん前だろうからはっきりしたことは覚えていませんでしたが、なんとなく映像が浮かんできました。ノベライズだから細部まで同じなのでしょうね。でも、ミステリーとしては並かそれ以下の出来だと思います。もちろん、さらっと読めることだけは高評価できますが。 一般にノベライズは、時間の隔たりがあってもストーリーに差がない分、読書中に映像が浮かんできやすく、復習方法としては悪くないようです。細かいところをチェックするには最適です。 |
No.159 | 7点 | 背徳のメス 黒岩重吾 |
(2010/09/07 10:48登録) 昭和35年の直木賞受賞作品。 昭和30年代前半の大阪・阿倍野の貧民地区にある病院を舞台にした虚無、退廃的な人間ドラマが描かれている。「白い巨塔」が病院の表がわの医師たちを描いているなら、本書は病院の薄汚れた裏がわの世界を描いている。 主人公の植秀人は、病院内のほとんどの看護婦と関係を持つ、女たらしでワルでニヒルな産婦人科医師だが、仕事にだけはわずかながらの正義感をもって臨んでいる。他の登場人物があまりにも癖のある人物ばかりなので、そんな主人公にも徐々に感情移入してゆける。著者の人物設定の上手さによるものだろう。 提起される謎は殺人未遂事件で、それを探るのが狙われた植本人だから、ミステリとしてはかなり地味な印象を受ける。著者は、推理的手法を駆使して人間の葛藤を描いてはいるが推理小説ではないことを解説で述べているぐらいだ。でも、小粒ながらも人間関係を頭に描き推理しながらの読書は、謎解き読書としても十分に楽しめた。ただ、たしかに本書は、異様な雰囲気と人物の描写を楽しむために重点が置かれているような気がする。 観ていないが映画化もされている。地味ながらも当時としては豪華なキャスティングである。 |
No.158 | 6点 | 日本ミステリ解読術 評論・エッセイ |
(2010/09/01 09:50登録) 著者の得意分野である乱歩のエピソードや、かの有名な「類別トリック集成」のことが第Ⅰ章で紹介されているのはわかるとして、第Ⅱ章に横溝ではなく笹沢左保をもってきているのに驚きました。著者によれば、笹沢は初期作品のタイトルから想像しても乱歩の影響を相当受けたのではということだそうです。いわれてみればそうかもしれませんが、内容的には乱歩をあまり読んでいないのでよくわかりません。 第Ⅲ、Ⅳ章では、総勢30名ほどの作家について作家ごとに1作品を取り上げて分析するスタイルをとっていますが、分析の仕方にそれぞれ工夫があるので変化があってそれぞれ楽しめます。たとえば、土屋隆夫の場合、犯人が分かるページ数が最初からどの程度かをグラフにして比較したり、佐野洋の場合、短篇から長編に改変した(佐野氏作品以外の)作品の一覧で表したり等々の分析があるのが面白かったですね。それに、同一作家についてメインの1作品だけではなく、それにともなって種々の作品をさりげなく紹介している点で、評論としてよりもガイド本としての収穫が多かったように思います。評論要素がすくないせいかネタばらしもほとんどなかったです。 紹介された作家は、上記以外に半村、泡坂、西村京太郎、島田荘司、連城、天藤、小泉、阿刀田etc。第Ⅴ章では岡嶋二人、エピローグが折原一です。 第Ⅲ章が「解説20面相」(20名の紹介)となっているのが笑えました。 |
No.157 | 6点 | 誰がために鐘は鳴る アーネスト・ヘミングウェイ |
(2010/08/31 12:47登録) スペイン内戦を描いた、友情あり、恋愛ありの冒険小説です。 このタイトルは、冒頭に引用されているイギリスの詩人ジョン・ダンの詩の一節からとったものです。主人公のジョーダンの行動がそうであるように、アメリカ人は犠牲を払ってもパックス・アメリカーナを実践しているんだということをタイトルに込めて表現したかったのだと思っています(真相は知りませんが)。ストーリーにも「アメリカが一番」といった感じがそれとなく出ていて、著者の他の作品とちがって、ちょっとカッコつけすぎなのではという気がします(考えすぎか?)。 同名映画はアメリカ映画の代表格といっていいでしょう。でも小説のほうは、『武器よさらば』にくらべれば、好みの問題もありますが全体として劣っていると思います。まず、プロットがイマイチで脈絡なくだらだらしすぎています。ヘミングウェイが、映画で主役を演じた友人ゲーリー・クーパーのために書いたともいわれるぐらいですから、小説のほうがオマケなのかもしれません。それに、長いわりに冒険、恋愛、友情のどの要素も物足りず、壮大なわりには不完全なエンターテイメント作品という印象しかありません。せめて冒険小説として満足できればよかったのですが。。。 それとも、文芸作品ですから、行間までしっかりと読んで、楽しむよりは味わうようにしなければいけないのでしょうか。 点数はノーベル賞作家への敬意を表して、ちょっとオマケしておきます。 |
No.156 | 4点 | 蒼ざめた馬 アガサ・クリスティー |
(2010/08/31 12:33登録) 「蒼ざめた馬」(聖書に出てくる言葉です。)という名の館に住む魔法使い(?)たちが重要な役割として登場し、クリスティーにはめずらしくオカルティックな雰囲気を持ったミステリー作品となっています。オカルト風味をけっこう好むほうなので、期待しながら読み始めましたが、魔女、呪術など楽しげなワードが飛び出してくるわりには不気味さもサスペンスもなく、展開に起伏もなく、会話がだらだらと続くなど淡々としすぎているように感じられました。本格ミステリーとしても合格レベルには達せず、どちらかといえば期待はずれな作品でした。 |
No.155 | 5点 | 緋い記憶 高橋克彦 |
(2010/08/26 12:00登録) トマス・H・クックの「緋色の記憶」と勘違いしそうなタイトルだけど、話はぜんぜんちがっていて、記憶をテーマとした、すこしせつないホラー系短編集だ。 こういう分野を低く評価しているわけではないけど、当時はこんな内容でも直木賞が獲れるんだなあと感じた。賞を獲るにふさわしく巧く作りこんであり、へぇ~って感じで読みながら、これは秀作と思ったものだが後には何も残らなかった。テーマを絞った同一作家による短編集は2,3篇読めばもうおなかいっぱいという感じにもなるから、その点でもきびしい評価となってしまう。とはいえ楽しめたほうかな。 |
No.154 | 5点 | ディオゲネスは午前三時に笑う 小峰元 |
(2010/08/26 10:02登録) 「アルキメデスは手を汚さない」「ピタゴラス豆畑に死す」「ソクラテス最期の弁明」などのピカレスク青春推理モノは、今なら中年オヤジの懐古趣味でしかないが、これらにくらべれば本書はすこしは一般受けしそうだ。ミステリとしての完成度が高いかどうかは今となれば不明だが、虚無・悲劇系の青春ミステリであるうえに、異常な青春風俗が描かれていたそれまでの作品とはちがって、常人でも共感できるような雰囲気づくりがされていたことも一般受けする要因なのだろう。 でも私は、関西風味の、あの救いようがないほど変な風俗描写が小峰青春推理の持ち味だと思っているので、本書ではそんな描写が少なめだったことがちょっと残念でもあった。ひとことで言えば、歪んで解釈された関西風俗かな。たとえが変だが、CMでいえば、赤○英○さんの引○社のCMか、黒○年○さんのオ○ミ住○のCMみたいな(ローカルですみません)、関西の恥部のような感じだ。でもそんなCMでも見慣れると中毒になってしまうのも事実だ(笑)。小峰元が描く青春風俗はそんな変な関西風の味付けがされ、しかも当時でもだれもが反発するような異様な描写だった。 |
No.153 | 5点 | ネアンデルタール ジョン・ダーントン |
(2010/08/16 13:25登録) ジュラシック・パークのネアンデルタール版という感じですが、それよりももっと現実にあってもよさそうな(?)話です。といえばどういう話か想像がつきますよね。こういう発想っていかにもありそうな気がしますが、過去にはなかったのでしょうか。 着眼点は良く、読んでいてワクワクもしました。が、もう一押しといったところででしたね。もっと薀蓄があったほうが面白かったのではと思います。こういう作品は映画化したらいいのにと思いますが、映画の話がなかったことから察すれば、原作はあまり売れなかったのでしょう。 ネアンデルタール人といえば、脳は現生人類よりも大きめ、言葉をうまく操れず、背はやや低く、彫が深いサル顔を連想します。専門家によれば、いま街中で見かけても、ちょっと変わったタイプだなと感じるぐらいだそうです。そういえば国内でそういうあだ名の有名人がいましたね。 |
No.152 | 5点 | ロイストン事件 D・M・ディヴァイン |
(2010/08/16 11:43登録) 終盤の猿芝居といい、ラストの気障なセリフといい、安っぽさ満載ですが、複雑な人間関係がわかりやすく描かれ難解なストーリーにも入り込みやすくなっているし、またそんな中に伏線をさりげなく目を引かない程度に張っているし、そういうところがさすがディヴァインといった感じです。仕掛けに派手さはないものの、本格ミステリーとしては十分に合格点に達しています。 なんとなく視覚的に捉えやすく結末が読みやすい作品なので、一言で評すれば、出来の良い、国内2時間ドラマ風B級ミステリーといった感じでしょうか。 みなさんご指摘のタイトルの「ロイストン事件」ですが、いちおうミスディレクションなんじゃないでしょうか? |
No.151 | 6点 | モンマルトルのメグレ ジョルジュ・シムノン |
(2010/08/08 15:15登録) メグレ警視シリーズというのは国内物で例えれば、一話完結連続ドラマである○○捕物帳あるいは鬼平犯科帳といったところでしょうか。ということが3作目にしてなんとなくわかってきました。事件としては庶民的というか、町民レベル、さらには底辺の人たちの間で起こったものばかりです。だからストーリーは謎解き中心というわけにはいきませんが、そのかわりメグレを中心とする生き生きとした会話や、人間関係の描写を楽しむことができます。 本書の場合はさらに、メグレの部下であるラポワント刑事がストーリーの中心に据えられ、刑事たちはもちろん他の登場人物たちも激しく動き回るダイナミックな展開となっています。メグレ一人が活躍する「静のドラマ」というよりも、「動のドラマ」を感じた作品でした。 |
No.150 | 5点 | メグレと口の固い証人たち ジョルジュ・シムノン |
(2010/08/05 12:49登録) 今回メグレが捜査するのは、伝統的なビスケット会社の創業者の家で起こった殺人事件。被害者は当主だが、なぜか家族の人たちはみな口が重い。 前に読んだ「メグレと老婦人の謎」にくらべればミステリーの匂いがぷんぷん漂っているし、ちょっとした「○○家」物ともいえるのですが、事件は1件きりで、密室もなければ、トリックもなし。むしろ、一族の因縁めいたどろどろしたところが話の中心で、国内で喜ばれそうな、ドラマ化されそうな内容です。老舗ビスケット会社を日本のカステラ屋に置き換えると、内田康夫の「長崎殺人事件」になってしまいそうです(筋は似ていないが、老舗ののれんが絡んでいるところが似ている)。とにかく内田作品と同様にサクッと読め、日本人が好みそうな雰囲気を持った小品でした。 |
No.149 | 6点 | 真珠郎 横溝正史 |
(2010/07/30 21:55登録) 既読の横溝作品の中では、金田一が出ていないせいもあって、おどろおどろしさと悲しさを多く感じ、逆に笑えるところがほとんどなかった作品だった。こういう作品ばかりだと、おそらくなんどもブームにはならなかっただろうが、当時はこういうのも悪くないなと思ったものだ。 同じ由利麟太郎モノでも、最近読んだ「夜光虫」よりも作風としては明らかに自分に向いている。 |
No.148 | 8点 | 悪魔の手毬唄 横溝正史 |
(2010/07/30 21:51登録) 私にとって、童謡の見立て殺人の初体験本です。ミステリー読者として初心者のころに、手毬唄に興奮しながら読んだ記憶があります。「犬神家」の次ぐらいに読んだので、まだまだ横溝のストーリー・テラーぶりには驚かされましたね。 当時は(今も)横溝作品の中で本書が最高峰だと思っていましたが、「犬神家」よりも記憶が薄れているぐらいなので、今回の評点は、とりあえずこの程度にとどめておきます。再読してから9点か10点を付けるかもしれません。 横溝の他の主流作品(金田一モノや映像化作品)は無条件にオール8点にしてもいいぐらいですが、記憶が全くない作品の書評は書きようがないですね。 |
No.147 | 6点 | 真夜中は別の顔 シドニー・シェルダン |
(2010/07/30 21:44登録) 読んだのは20年ぐらい前です。ハードカバー上下2巻でしたが、あっという間に読めてしまった記憶があります。女性ふたりを主人公とした一風変わったドラマ性のあるストーリーに熱中できたことにはちがいありませんが、詳細な筋や読後感の記憶は消えてしまっています。当時、本書を読む前から積読状態にあった「ゲームの達人」を、そのぶ厚さに圧倒されて、結局読まなかったことから判断すれば、私にとって本書は並みの出来だったのでしょう。 |
No.146 | 6点 | 百万ドルをとり返せ! ジェフリー・アーチャー |
(2010/07/30 21:40登録) 巨額の金を取り返す計画と実行。その展開がユーモアたっぷりに描かれている。そして本当の面白さは後半にあり、しゃれたオチも用意されている。敵役のメトカーフも人間味があふれていて良かった。 話の骨子とは関係ありませんが、テニスならローズウォール、コナーズ、映画ならコンゲーム物の「スティング」など、当時の流行りの人物や事象を実名で登場させているのも、ファンにとっては楽しみです。 お遊び感覚のかるい小説ですが、それをヒットさせる作者はやっぱりすごい。エンターテイメント作家としての素質がピカイチなんでしょう。この作家、本当に波瀾万丈の人生ですね。牢屋から出た後は人生経験をさらに積んで、もっと面白い小説を書いていることでしょう。最近の作品は読んでないのでわかりませんが。 |
No.145 | 6点 | 裏窓 ウィリアム・アイリッシュ |
(2010/07/22 09:54登録) ヒッチコック映画のベストといえば、一般的には「サイコ」と「裏窓」(ちなみに私は「疑惑の影」と「白い恐怖」も好き)。それぐらい映画「裏窓」は名作だが、原作を読んで、原作のサスペンス・ミステリとしての骨格を忠実に再現したからこそ、あの名作が生まれたんだと実感する。ヒッチコックは、原作にはないグレース・ケリー(が演じた主人公の恋人)を登場させて、映像をさらに美しく表現したところに最大の功績がある。この眩しすぎるほどのグレース・ケリーに惹かれたファンは、男女を問わず多くいたはず。ただ、男にとってはクール&ノーブルすぎるようにも思うのだが(笑)。 余談はさておき、他の所収作品の中では、映像を頭に浮かべながら読める「死体をかつぐ若者」も好かった。この作品は、ヒッチコック・サスペンス劇場に採用されそうな、スリルはあるが視覚的にちょっと笑えるような作品。 密室モノの「ただならぬ部屋」も展開が良かった。主人公のストライカーの執念と根性には脱帽する。作中、「まだらの紐」のネタばらしがあるのでご注意を。 その他、「踊り子探偵」「殺しの翌朝」「いつかきた道」「じっと見ている目」「帽子」「だれかが電話をかけている」を含めて全9編が収録されている。 |
No.144 | 6点 | 藪の中 芥川龍之介 |
(2010/07/15 11:37登録) 江守森江さんが興味深い作品を登録されたので、ちょっと(5分で)再読してみました。たしかに本書はミステリーとして十分に体をなしています。 クロサワの「羅生門」の映像やストーリーが記憶に残っているせいか、原作ってこんなにあっさりとしてたんだなあ、と改めて感じました。リドル・ストーリーのせいか、想像力のなさゆえか、初読のときと同様の物足りなさがありました(映画の影響が強すぎるのかも。映画作品は映像が強烈でさすがクロサワと唸らされましたが)。 でも、読後、自分なりに推理でき、他の人たちとも語り合える点はやはり良いですね。 決して得意分野ではありませんが、マイナス要素も少ないので点数はこのぐらいです。仕事の合間に青空文庫でタダ読みできるのもこの作品のメリットですね。 |
No.143 | 5点 | 死火山系 水上勉 |
(2010/07/15 06:29登録) 物語の背景は林業、鉱脈、陸稲研究などで、いたって地味ですが、これも時代を反映したものなのでしょうか。まあ、金鉱や山師からは宝探しも連想され、ちょっと楽しそうな気もします。 でも本書は、ただひたすら暗くて陰気で、遊び心もなく、雰囲気的にみれば、個人的には許容範囲ぎりぎりの作品でした。華といえるのは、主人公の江田と、檜山絵里子との恋愛描写ですが、これもさほど楽しめる代物ではありません。 水上勉といえば社会派ミステリの番頭格ですが、本書は社会派色を出しきれず、本格色はもちろん少なく、中途半端な出来に感じます。復讐とか、過去の事件とかが深く関わって、素人探偵がそれに巻き込まれながら謎を解いてゆく構成ならまだ良かったのですが、悲劇的な背景はごくわずか、主人公の巻き込まれ方もごくわずかで、結局、ワクワクするところもありませんでした。実は最後に、どんでん返しのごとく復讐めいた真相と社会的背景が明かされるのですが、そのときはもう気持ちが萎えてしまっていて、感動もなにもなかったですね。 このように不満はたくさんありますが、謎の提示の仕方や、謎の絡み合う展開は良かったですね。文豪の筆の冴えと、構成の巧みさによるものなのでしょうか。 |
No.142 | 4点 | 神と野獣の日 松本清張 |
(2010/07/07 13:56登録) タイムリミット・SFパニック物です。映画でいえば「ディープ・インパクト」(地球最後の日)みたいなものでしょうか。 個人の視点では描かれておらず社会小説的な描き方をしているので、感情移入することはなく、しかも性悪説に立って描かれているので心から楽しめるということもなく、読後の爽快な満足感なぞ全く得られません。オチは清張らしいとはいえ、想像を超えるものではありませんでした。 こんな内容でも猛烈な勢いで読めてしまうので、もしかして名作ではと勘違いしてしまいそうですが、他の名作にくらべながら冷静に考えると、やはり、清張の想像力に感心できただけの作品だったように思います。 |
No.141 | 4点 | 少女 湊かなえ |
(2010/07/04 00:51登録) 「告白」がよかっただけに、ちょっと残念という印象です。あの鮮烈な感覚は得られませんでした。どうして新人や若手作家は、この種のミステリを書きたがるのでしょうか。工夫はいろいろありますが、そのにおいがプンプンするので疲れてしまいました。おまけに一人称二視点は、白い風さん評を事前に見ていたにもかかわらず、前半しばらく混乱がつづきました。と、悪いことばかり書きましたが、「おっさん」に絡んだ後半はけっこう楽しめましたね。 それから、表紙の件、あるびれおさんに同感です。 |