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ミステリの祭典

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日本ミステリ解読術
新保博久

作家 評論・エッセイ
出版日1996年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2010/09/01 09:50登録)
著者の得意分野である乱歩のエピソードや、かの有名な「類別トリック集成」のことが第Ⅰ章で紹介されているのはわかるとして、第Ⅱ章に横溝ではなく笹沢左保をもってきているのに驚きました。著者によれば、笹沢は初期作品のタイトルから想像しても乱歩の影響を相当受けたのではということだそうです。いわれてみればそうかもしれませんが、内容的には乱歩をあまり読んでいないのでよくわかりません。
第Ⅲ、Ⅳ章では、総勢30名ほどの作家について作家ごとに1作品を取り上げて分析するスタイルをとっていますが、分析の仕方にそれぞれ工夫があるので変化があってそれぞれ楽しめます。たとえば、土屋隆夫の場合、犯人が分かるページ数が最初からどの程度かをグラフにして比較したり、佐野洋の場合、短篇から長編に改変した(佐野氏作品以外の)作品の一覧で表したり等々の分析があるのが面白かったですね。それに、同一作家についてメインの1作品だけではなく、それにともなって種々の作品をさりげなく紹介している点で、評論としてよりもガイド本としての収穫が多かったように思います。評論要素がすくないせいかネタばらしもほとんどなかったです。
紹介された作家は、上記以外に半村、泡坂、西村京太郎、島田荘司、連城、天藤、小泉、阿刀田etc。第Ⅴ章では岡嶋二人、エピローグが折原一です。
第Ⅲ章が「解説20面相」(20名の紹介)となっているのが笑えました。

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