ロイストン事件 |
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作家 | D・M・ディヴァイン |
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出版日 | 1995年06月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 6人 |
No.6 | 4点 | レッドキング | |
(2021/09/09 20:11登録) ディヴァイン第三作。第一作の弁護士、第二作の医師ときて今回またも弁護士(元だが)が主人公。「ロイストン事件」て題だが内容は「父の殺人者」で、過去の「不正」裁判事件をめぐり殺された父親弁護士の事件。父親殺しで逮捕されたエリートぼんぼん異母弟(義弟ちゃうぞ)を助けるべく、真犯人捜しに奔走する主人公。犯人摘発ロジック相変わらず冴えてるが、前二作に比べてミステリアスな緊迫感に欠け、アリバイ時間トリックのショボさは第一作を上回る。一人称叙述なのに、今回は「あのネタ」頭をよぎりもしなかった。ところで、お題の「ロイストン事件」の方だが・・あんな奴を糾弾するためなら、あれ位の「不正」ありじゃないの? 熱血主人公や被害者父には悪いが・・・ |
No.5 | 5点 | 蟷螂の斧 | |
(2017/05/27 08:20登録) 題名に異議あり!(笑)。もしミスディレクションの意図があったとしても、あまり感心するものではなかった。内容としてのミスリードはうまいと思いますが、あくまでも題名としてはどうかという意味です。ロイストンという人物像が巧く描かれているだけに残念。まあ、著者らしい細かい伏線と回収は読みごたえはありますし、ラストの勿体ぶった大芝居は楽しめました。 |
No.4 | 6点 | nukkam | |
(2016/09/14 13:57登録) (ネタバレなしです) 1964年発表の第3作で、本書の教養文庫版の巻末解説には謎解き小説としての欠点が紹介されており、なるほどと納得できる指摘ではありますがそれでも十分に読む価値のある本格派推理小説だと思います。複雑な人間関係でありながら読みにくくなく、しかもその中に謎解きの伏線を巧妙に配しています。難癖つけるなら主人公の最後の一行のせりふがカッコつけ過ぎで共感できなかったことか(笑)。 |
No.3 | 5点 | 臣 | |
(2010/08/16 11:43登録) 終盤の猿芝居といい、ラストの気障なセリフといい、安っぽさ満載ですが、複雑な人間関係がわかりやすく描かれ難解なストーリーにも入り込みやすくなっているし、またそんな中に伏線をさりげなく目を引かない程度に張っているし、そういうところがさすがディヴァインといった感じです。仕掛けに派手さはないものの、本格ミステリーとしては十分に合格点に達しています。 なんとなく視覚的に捉えやすく結末が読みやすい作品なので、一言で評すれば、出来の良い、国内2時間ドラマ風B級ミステリーといった感じでしょうか。 みなさんご指摘のタイトルの「ロイストン事件」ですが、いちおうミスディレクションなんじゃないでしょうか? |
No.2 | 4点 | mini | |
(2010/05/29 10:14登録) 昨日28日に創元文庫から、社会思想社の倒産以来絶版だった第1作「兄の殺人者」が復刊された 便乗企画として第3作「ロイストン事件」を 私はディヴァイン作品の中で「五番目のコード」に関してはかなり後になって古本屋で見つけたのだが、「ロイストン」は結構早い時期に「兄の殺人者」の次に読んだ 「兄の殺人者」が素晴らしかっただけに期待したが「ロイストン事件」はイマイチ 「兄の殺人者」にはこの一点が分かればそれまでの流れが全て説明できるようなカタルシスがあったが、「ロイストン事件」は解決編で説明を聞いて初めてあぁそうかとなる たしかに犯人特定のロジックは見事で、ロジックに関しては作者の中でも上位に位置すると思うが、話の展開がゴチャゴチャして整理されて無い印象を受けた 犯人の正体も、なんか一番怪しい奴がそのまま真犯人で、評論家筋の高い評価は感じなかったな それと当サイトでkanamoriさんも御指摘の通り、ロイストンという登場人物の役割が今一つはっきりせず、題名にもそぐわない 「ロイストン事件」という題名自体が作者の仕掛けたミスディレクションなのかと邪推しちゃったよ |
No.1 | 6点 | kanamori | |
(2010/04/12 20:57登録) 第二次発掘ブーム中のディヴァインですが、本作は今は亡きミステリ・ボックスから15年前に出た第3作。 著者の作品の特徴は、 ①シリーズ探偵を置かない巻き込まれ型ミステリなのに本格。 ②密室殺人など派手なトリックがなく、伏線の張り方と回収で読ませるタイプの小説。 ③人物造形が丁寧で、それを逆手に取ったミスディレクションで意外な真相を設定する。 という所ですが、本作も例外ではありません。プロットは単純なのに、真犯人を読者から心理的に隠蔽させる手法が見事です。 なお、作中のロイストン事件は本筋から外れていて、タイトルとしてはそぐわない気がします。 |