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ミステリの祭典

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mozartさんの登録情報
平均点:6.02点 書評数:208件

プロフィール| 書評

No.188 7点 ヴァンプドッグは叫ばない
市川憂人
(2023/11/01 16:32登録)
マリア・ソールズベリー&九条漣の「○○は~ない」シリーズの中でも読みやすさ、伏線の回収、(数度にわたる)どんでん返し等のレベルは出色だと思います。途中インサイド、アウトサイド、インタールードに分かれたストーリーがどのように収束していくのかワクワクしながらページを繰る手が止まらず一気読みしました。
ただ登場人物間の関係等への理解とかを考えると(多少こみ入った感があるので)一連の過去作には目を通しておいた方がより楽しめると思います。マリアが途中のダメダメ状態から最後になって急に「名探偵」ぶりを発揮して(?)真犯人を糾弾するというパターンにも慣れるし。特に今作以降(?)のことを考えると例の人物の絡みでは「ボーンヤード~」は先に読んでおいた方が良いかも知れません。


No.187 6点 ヒポクラテスの誓い
中山七里
(2023/10/28 15:09登録)
法医学教室が舞台でもグロい描写はそれほどでもなく医療用語も簡単な説明とともに適度に使われていて読み辛いことはなかったです。

教授が学問的好奇心(真実の探求)を人間の感情より優先するキャラで、何故か隠微された真相を嗅ぎつける超人的な能力があって時には法的手続を無視するような傍若無人の振る舞いも決して誤りは犯さない(結果オーライ?)、というのがちょっと鼻についていたのですが、最後になって実は極めて人間的な感情がその裏に隠されていたことが分かってほっとしました。
最後の主人公を受け入れるところはベタ過ぎましたが。


No.186 6点 超・殺人事件―推理作家の苦悩
東野圭吾
(2023/10/25 08:19登録)
ミステリーとしてではなくブラックジョーク(?)として楽しめました。特に最後の「超読書機械殺人事件」の「ショヒョックス」。昨今の生成AIの動向を見るにつけ「妄想」とは言えなくなっているような。流石に有名どころの文学賞の選定に(今のところ)利用されていることはないと思いますが、あるいは某書評サイトあたりには…。


No.185 5点 犯人のいない殺人の夜
東野圭吾
(2023/10/24 14:34登録)
表題作を含む短編集(文庫)を読みました。
かつては(平成20年頃までは)乱歩賞受賞作は欠かさずにリアルタイムで読んでいたので本作者の受賞作「放課後」(昭和60年受賞)も随分昔に読んだことになります。この短編集も特に「小さな故意の物語」などはその頃の(はっきり言って「暗い」)雰囲気を思い出しました。
最近の読者のツボを押さえた作品群とは明らかにベクトルの違った感性で書かれていてちょっと読み辛かったです。


No.184 5点 クビキリサイクル
西尾維新
(2023/10/20 12:48登録)
メフィスト賞受賞作とのこと。さすがに(キャラクターを含め)マニアックな設定と凝ったストーリー展開でしかもちゃんと「本格」であると。ただ自分にはちょっと合わなかったようで読み進めるのに若干苦労しました。

どうでも良いことですがHDDのサイズがたかだか「100TB」で驚くようなスペックとして記述されていますが20年前だと確かにそうだったのでしょう。今なら10TBのHDDが数万円で購入できるのでせいぜい数十万円程度のスペックでしかないけど。


No.183 5点 掟上今日子の備忘録
西尾維新
(2023/10/18 12:46登録)
このシリーズを読んだのは今作が最初です。というかまだ今作しか読んでいません。掟上今日子探偵のアノ設定はそれなりにユニークで事件の解決だけでなく行動パターンにも制約を与えていてなかなか興味深く読めました。ただ彼女の探偵「能力」がどうかというと…。緻密なロジックで凡人を唸らせるとか奇抜な着眼と慧眼ぶりが際立つとか言ったわけでもなかったような。主人公(語り手)との絡みもこの設定で期待できそうもないし。
と思っていたら最後で脳ではなく身体に残っているとかでちょっと反則気味かも。彼女のキャラは気に入っていたのでエンディングの一言はどんなもんでしょう。続編を読めばそのあたりも納得できるんでしょうかね。


No.182 5点 揺籠のアディポクル
市川憂人
(2023/10/16 11:33登録)
主人公目線で進む本編(特に事件が起こってからの展開)はなかなか緊張感があって読み応えがありました。映画的とも言える情景の描写の中で主人公の感情もしっかり吐露されていて感情移入しやすくなっていました。

(ややネタバレぎみ)
ただ、事件の直前で主人公が見た「夢」の中で「顔を恐怖に染めながら、必死に叫ぶコノハ」とあるのはいくら後ろめたい気持ちがあったとしてもちょっとあざとい(ミスリードを誘う)表現かな、と。実際は「タケルへ.txt」の通りだったんだろうから。


No.181 5点 あなたのための誘拐
知念実希人
(2023/10/14 15:15登録)
一気読みしました。サスペンス感は比類がなく展開に目が離せなくなってしまいました。ただ読後感は…余り良くはなかったですね。結末からするとやむを得ないことでしょうが。
フーダニットに繋がる犯行動機について後出し感が強いんだけど(伏線が張ってあったことは認めますが)。それにしてもちょっと…。


No.180 6点 名探偵のはらわた
白井智之
(2023/10/10 11:15登録)
結構前に(「いけにえ」より前に)読みました。本作者はグロが売り(?)らしいので警戒しながら読みましたがやや肩透かし気味でした。ちなみにこれと「いけにえ」の二作しか読んでいないので「グロ上等」の境地には至っておりません。
内容については記憶の彼方に行ってしまった部分もありますが、その「特殊設定」がなかなか面白く本筋のメインパートに絡んでくるものの各話とも本格ミステリーとして機能しており好感を持てたことは記憶しています。読後感も悪くなかったです。


No.179 6点 神薙虚無最後の事件
紺野天龍
(2023/10/08 20:07登録)
冴えないキャラの主人公に何故か親しくしてくる超カワイイ女子、しかも名探偵であると。関係する主要キャラが美人揃い(主人公の「恋路」に加勢する一名を除いて)と。最近こうした設定のミステリーが多いように感じるのは自分の嗜好がそちらに向いているからなのでしょうかね。

(ややネタバレ)
作中作に××××××が使われていてしかもそのキモは○○○○であると。これも何か既視感ありまくりでした…。多重解決の謎解き部分はそれなりに面白かったです。


No.178 5点 アミュレット・ホテル
方丈貴恵
(2023/10/06 11:46登録)
竜泉家の一族シリーズに比べると短編集なので小粒なのは良いとしてもこの「特殊設定」にはちょっと拒否反応が出てしまいました。オーナーの価値観(ホテルの外で実行されるならば殺人も含めてあらゆる犯罪に便宜を図る一方で麻薬は御法度とか)にもいささか疑問符が付くし。
それでもそれぞれの謎解き部分はそれなりに楽しめました。


No.177 7点 その殺人、本格ミステリに仕立てます。
片岡翔
(2023/10/01 14:08登録)
最初は脱力系なのかと思いましたがそんなことはなくしっかりとした本格ミステリーでした。どうでも良いことですが、さすがに「風゛」という字は読み辛くて何度でもそこで目が止まってしまい読み進める上でテンポが悪くなったのが個人的には残念でした。

彼女のキャラには結構好感が持てたのですが(コンビを組んだ形での)続編はさすがに無理でしょうね。


No.176 5点 Iの悲劇
米澤穂信
(2023/09/29 07:36登録)
最後のIの「喜劇」は確かに意外なオチというところなのでしょうが、「深い沼」で主人公に共感できたせいか、読後感は少し悪くなりました。


No.175 4点 透明な螺旋
東野圭吾
(2023/09/24 08:35登録)
(かなり前に)発刊後すぐに読みました。ガリレオシリーズが好きなので期待して読み始めたのですが……。湯川の過去が明かされるわけですがこういうのはちょっと……残念な印象が強かったです。カッコウの卵もそうですが、この作者は「生まれついての能力差」なるものに何か特別な思い入れがあるのかも。


No.174 7点 ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人
東野圭吾
(2023/09/23 18:08登録)
一気読みしました。読みやすいのですが昨今のラノベとは一線を画す軽妙さはさすがです。武史のキャラも変人タイプの名探偵としてはちょっとステレオタイプな感もありますがなかなか魅力的でした。


No.173 6点 クスノキの番人
東野圭吾
(2023/09/23 08:36登録)
ミステリー色はほとんどなかったです。クスノキの「謎」もロジカルに解き明かされるわけではないし。ただ読ませ上手なのは相変わらずなので感動を得たいのであれば間違いない作家のいつもの作品として安心して読めます。いずれ映画化されるのでしょうが玲斗と優美の関係性が「改変」されないと良いけれど。
続編が出るらしいですがそちらも興味があります。


No.172 6点 ボーンヤードは語らない
市川憂人
(2023/09/21 11:36登録)
マリアと漣の過去譚がメインなので彼らの際立ったキャラクターがどのようにして形成されていったのか明らかにされるのかと思って読み進めましたが結局昔からあのキャラだった、と。
個人的には前作のような長編よりもこれくらいのボリュームの方がすっきりして読みやすく感じました。本格色もそれなりにあったし。


No.171 6点 神とさざなみの密室
市川憂人
(2023/09/21 11:31登録)
政治色「溢れる」ストーリーの序盤でやや面食らいましたが意味も状況も不明なまま「密室」に閉じ込められた二人の閉塞感がサスペンスを盛り立てていてなかなか読み応えがありました。
密室ができあがった経緯等についてはそれなりの説明がありましたが犯人の動機を含めた伏線の回収の仕方にはちょっと納得がいかないというか不満が残りました。


No.170 7点 ちぎれた鎖と光の切れ端
荒木あかね
(2023/09/14 19:23登録)
乱歩賞の前作はちょっと合わなかったのですが、今作はかなり雰囲気が違って所謂本格ミステリー度がパワーアップした感があります。第一部終盤の謎解きについても(犯人同様「急に頭が良くなった彼」に戸惑いましたが)ロジックがしっかりしていて感心しました。
第二部は如子のキャラに既視感がありましたがそれほど気になることはなくて(ウザく感じることもなくて)、なかなか好印象を持てました。読後感はちょっと微妙ですが。


No.169 4点 女王はかえらない
降田天
(2023/09/11 17:56登録)
第1部は不快感溢れる内容、第2部が違和感ありまくりで、第3部に至ってはやられたというよりなーんだ、やっぱりそういうことか、という感想でした。
この手のものは自分には合わないのだろうと言うことで。

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