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ミステリの祭典

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ヒポクラテスの誓い
『ヒポクラテスの誓い』シリーズ

作家 中山七里
出版日2015年05月
平均点6.75点
書評数8人

No.8 6点 mozart
(2023/10/28 15:09登録)
法医学教室が舞台でもグロい描写はそれほどでもなく医療用語も簡単な説明とともに適度に使われていて読み辛いことはなかったです。

教授が学問的好奇心(真実の探求)を人間の感情より優先するキャラで、何故か隠微された真相を嗅ぎつける超人的な能力があって時には法的手続を無視するような傍若無人の振る舞いも決して誤りは犯さない(結果オーライ?)、というのがちょっと鼻についていたのですが、最後になって実は極めて人間的な感情がその裏に隠されていたことが分かってほっとしました。
最後の主人公を受け入れるところはベタ過ぎましたが。

No.7 7点 ねここねこ男爵
(2018/02/16 16:08登録)
連作短篇集。なかなか面白い。

いやいや法医学教室に所属することになった新人女性医師。そこには超凄腕の法医学者がおり、圧倒的な司法解剖の手腕で捜査陣が見落としていた真実を探り当てていく…という、海外ドラマっぽい設定。
実際、海外ドラマで使われるスーパーコンピューター超技術を、口が悪く近寄りがたいが腕は超一流の法医学者に置き換えただけで斬新さはない。さらに最終話以外は割と展開が似たりよったり。
なので本来であれば凡作まっしぐらなのだろうが、この作者のさすがの筆力で水準以上の作品になっている。飽きるギリギリ一歩手前できちんと締めくくるのはすごい。
登場人物も展開もテンプレ通りというか、マンガ的ドラマ的な分かりやすさで、斬新さは欠片もない分安定と信頼の面白さ。おすすめ。

No.6 6点 蟷螂の斧
(2017/07/01 14:25登録)
内容紹介では短篇とは記載されておらず、途中まで読んで短編と知る(苦笑)。一篇毎はそれほどのオチもなく、凍死は○○であった、交通事故は○○であったと続く。それだけかい!?・・・。しかし、ラストは連作短編ということで、うまく纏まっていました。主人公の真琴と古手川刑事との絡みがあるのですが、さてどうなるのか?。続編の「ヒポクラテスの憂鬱」(未読)でもコンビを組んでいるようです。著者のインタヴューでは「古手川は女性に対して完全に不信感を抱いているタイプ」としているので、先が楽しみです。

No.5 6点 まさむね
(2017/04/08 21:25登録)
 連作短編として綺麗にまとまっていますし、読ませる筆力もあります。さすがに巧いなぁ、と認めつつも、何となく化学調味料を使った味付けと言うか、どこかで食べたような味付けと言うか、そんな印象も受けました。勿論、巧いからこそ受ける印象なのであって、小説自体は楽しく読ませてもらったのですが。(E-BANKERさんの書評に同意です。)ちなみに、私も海堂尊氏のバチスタシリーズを想い起しましたねぇ。Aiも出てくるし。

No.4 7点 白い風
(2016/12/30 23:56登録)
続編「憂鬱」と読む順番が逆になったので、改めて真琴がこの法医学教室に来た理由などが分かりスッキリ!
また、キャシーなど他のメンバーのキャラがより鮮明になって尚スッキリ(笑)
これも一つ一つが短編と成立しているが全体でもっと大きな事件を含んでいて楽しめました。
ただ、犯人は兎も角、メインの事件そのものの影が分かり難い・・・。
書いてある情報だけでは事件の真相にたどり着くのは難しいと思うんだけど、小説的には大いに楽しめました。

No.3 6点 E-BANKER
(2016/07/16 22:55登録)
2015年発表の連作短篇集。
~浦和医大法医学教室に「試用期間」として入った研修医の栂野真琴。彼女を出迎えたのは偏屈物の法医学の権威、光崎教授と死体好きの外国人准教授キャシーだった。迫真の法医学ミステリー~

①「生者と死者」=何だかE.クイーンの某長編を思い出させるタイトル。連作の初っ端ということで、キャラクターの紹介やら本作の流れが示される。一見すると泥酔の末凍死したとしか思えない死体なのだが・・・光崎は真実を看破する。
②「加害者と被害者」=いつでも安全運転を行っていた男が起こした衝突事故。一見すると単なる交通事故にしか思えない事件なのだが、あるひとつの事実が光崎を解剖へと駆り立てる・・・
③「監察医と法医学者」=競艇のレース中に突如起こった激突事故。被害者は頭部を損傷しており、明らかな事故だと思われたが・・・。でも、もしそうなら日常生活のなかで家族は気づくはずではないかと思うんだけど・・・
④「母と娘」=病に犯されている真琴の親友と看病疲れが酷い母親・・・。快方に向かっていると思われた矢先、突如訪れた親友の死。法医学者としての姿勢を試されることになった真琴。こういう病気(?)があることは知らなかったな!
⑤「背約と誓約」=連作のシメとなる本編。真琴が以前担当だったひとりの少女が突然死に至る(また?)。一見すると腹膜炎としか思えなかったのだが、ある事実より真琴が疑問を持つ。そして判明する黒く重い事実と光崎の想い。

以上5編。
これは・・・すぐにでもドラマ化されそうだなと思ってたら、すでにWOWWOWで進行中とのこと。(やっぱり!!)
最近はやりだもんなぁー、この手のドラマ!(土曜ワイド劇場とかテレビ朝日が多そう)
まぁ旨いもんですよ。作者も。
短篇、更には連作短編の要諦をよく理解して書かれていると思う。

でもそれこそが弱点かな。
既視感ありありだし、計算し尽くした感もちょっと鼻につく感じだ。
この「旨さ」はやっぱり素材の旨さというよりは、調味料や添加物の旨さのような気がする。
(よく分からん表現ですが・・・)
ただ、旨いのは間違いないですから・・・お間違えなく。
(死因究明というと、どうしても海堂氏のバチスタシリーズを思い出してしまう。本作では只管解剖に拘っているが、同シリーズではAiの導入が声高に叫ばれていた。ふたりの主張は矛盾はしていないようだけど・・・)

No.2 7点 メルカトル
(2016/07/07 22:25登録)
法医学教室での人間模様と、一見事件性がないように見える遺体を司法解剖し、そこから見えてくる真実を緻密なタッチで描いた連作短編集。佳作である。
主役は単位不足のため法医学教室に送り込まれた真琴、傲慢で我が道を行く解剖の天才光崎教授、外国人なのに日本語が堪能なキャシー准教授の三人。そこにおなじみの古手川刑事が絡んでくる。
どの短編もレベルが高く、単純に思える事件が司法解剖を行うことにより意外な事実が浮かび上がってくるところは共通している。専門用語が散見されるが、医学に詳しくない一般の読者にも比較的理解しやすいように書かれており、しかもその結末は様々な意味でのカタルシスを生み出すのだ。さらに、解剖に反対する遺族をいかに説得するかも、読みどころであり、サスペンスフルな展開となっている。
中には涙を誘うシーンなどもあり、物語は意外に起伏に富んだものが多く、読者を惹きつけて離さない魅力に溢れている。この辺りはさすがに中山氏の本領を発揮していると思われる。

No.1 9点 HORNET
(2015/10/12 08:32登録)
 法医学教室を舞台とした連作短編。
単位不足のため、法医学教室に入ることになった医大研修医の真琴。真琴を出迎えたのは法医学の権威・光崎藤次郎教授と「死体好き」な外国人准教授キャシー。傲岸不遜な光崎だが、解剖の腕と死因を突き止めることにかけては超一流。光崎は、懇意の古手川刑事に「管轄内で既往症のある遺体が出たら教えろ」という。警察が単純な事故で処理しようとする、何の事件性もない遺体を強引に司法解剖に回す光崎に、周りからの反発は強い。だが、解剖のたびに老法医学者は隠れた真実を導き出す。
 天才法医学者によって、事件の真相が明らかになっていくという設定は、横山秀夫の「臨場」を思い出させる(こちらは検視官だったが)。一匹狼的な雰囲気で他を寄せ付けないが、有無を言わせぬ実力で他を黙らせてしまう光崎のキャラクターが痛快。警察や検視官の誤った診断、そこにある不遜や怠慢を一刀両断する、勧善懲悪のような要素が読んでいて小気味よい。被害者、加害者が絡むヒューマニズム的要素も各話に感じられ、さすが中山七里、読ませる筆力である。

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