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ミステリの祭典

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掟上今日子の備忘録
忘却探偵シリーズ

作家 西尾維新
出版日2014年10月
平均点6.56点
書評数9人

No.9 5点 mozart
(2023/10/18 12:46登録)
このシリーズを読んだのは今作が最初です。というかまだ今作しか読んでいません。掟上今日子探偵のアノ設定はそれなりにユニークで事件の解決だけでなく行動パターンにも制約を与えていてなかなか興味深く読めました。ただ彼女の探偵「能力」がどうかというと…。緻密なロジックで凡人を唸らせるとか奇抜な着眼と慧眼ぶりが際立つとか言ったわけでもなかったような。主人公(語り手)との絡みもこの設定で期待できそうもないし。
と思っていたら最後で脳ではなく身体に残っているとかでちょっと反則気味かも。彼女のキャラは気に入っていたのでエンディングの一言はどんなもんでしょう。続編を読めばそのあたりも納得できるんでしょうかね。

No.8 8点 バード
(2022/10/17 07:03登録)
掟上今日子さんというキャラクターを気に入るかどうかにつきる本である。私的にドストライク。ミステリアスでお茶目でかわいく、ビジュアルも気に入りました。
結果として、これまで西尾作品で暫定一位だった物語シリーズを抑え、一番好きなシリーズとなった。続編を新品で購入し、そちらも早急に読んだ。(個人的にそのような買い方は珍しく、相当気に入った証拠である。)

話の面白さは二話>三話>四話+五話 一話、の順番。特に第二話はホワイダニットとして非常に新鮮で、純粋なミステリとしても目を見張るものがある。

No.7 5点 ボナンザ
(2020/03/20 00:53登録)
ミステリっぽいものを書いてきたようでいて、西尾がここまで純粋なミステリを書いたのは初めてでは?
もちろん今日子さんのキャラと厄介君の描写によるところが大きいが。

No.6 6点 白い風
(2016/04/06 23:58登録)
ドラマを見たので原作を手に取りました。
全編ほぼドラマ通りでしたね。
ただドラマではいた今日子さんの同僚たちは居なかったけど、この方がスッキリして読み易かった。
正直、ミステリーとしてはビミョウ。
でも、忘却探偵と云うキャラは斬新!(笑)
続編も5冊出ているみたいだね。
チャンスがあったら続編も読んでみようかな?

No.5 7点 文生
(2015/10/26 16:10登録)
本格ミステリとしては若干甘いところもあるがまずは無難な出来。
小説としてはテンポがよく、キャラも立っているので楽しく読める。
ラストシーンがきれいに決まったのが好印象。

No.4 5点 yoshi
(2015/09/01 15:52登録)
忘却探偵というキャラクター造形はすばらしいし、語り手の隠館くんも好印象。
だけどやっぱりミステリーとしては小粒だなあ。
最後の二編にまたがる死んだ作家の遺稿をめぐる問題、
ノンジャンルものの中で、脇役が生き続けていたという事実にははっとしたが、
そこから作家は自殺ではないという結論に至るには、論理の飛躍がありすぎる。(作者もそこは意識しているようですが)
そもそも100冊どころか死んだ作家の作品を一冊も読めない読者は、
自力で解答に辿り着くことは不可能で、本格ミステリーとしては評価できない。
ただし読者が自分で事件について考えず、
ただ頁を追うだけのライトミステリーとしてならば、充分に面白い。

No.3 7点 メルカトル
(2014/10/31 22:34登録)
遂に西尾維新が本格ミステリの世界に帰ってきた。この時をどれだけ待っていたことか。続編も刊行予定のようだし、私としては出来ればこのまま本格の道を邁進していただきたいと願う次第である。
さて本作だが、名探偵ジャパンさんがおっしゃっているように、余計な情報をできる限り排除して、さらには登場人物も最低限に抑えることにより、読者をストーリーの中へ無理なく入り込めるように細やかな配慮がなされている。なので、非常にスッキリとスマートな仕上がり具合となっていると思う。この辺りはこれまでの西尾氏と一線を画するところだろうし、新境地と言えなくもない。
探偵の今日子さんは、前向性健忘の一種で、一度寝てしまうと前日の記憶がなくなってしまう。だから彼女は病気に罹って以降の記憶が全くないのである。よって探偵という職業を選ばざるを得なかったし、事件をその日のうちに解決してしまう「最速の探偵」なのである。
おそらく治る見込みのない病気を抱えて、さぞ辛い思いをしているだろうと推測されるが、悲壮感は全く感じさせない。作者はそうした湿った作品を望んではいなかったのだろう。しかし・・・
「私は掟上今日子。25歳。置手紙探偵事務所所長。白髪。眼鏡。記憶が一日ごとにリセットされる」これにはじんわりと涙腺が緩んでしまった私であった。
とにかく、西尾氏のファンは勿論だが、いつものクセのある文体に敬遠気味の読者のみなさんにも、この作品は一読の価値があると言いたい。

No.2 7点 名探偵ジャパン
(2014/10/30 17:04登録)
これだけの著作を誇るにも関わらず、私は西尾維新は本作が初遭遇であった。アニメ化された作品も見たことはない。
しかるに本作を呼んで、その人気もむべなるかなと納得した。
まず読みやすい。キャラクターも立っている。不要な登場人物、ガジェットなど一切そぎ落として、読者を事件とキャラクターに注視させる手腕は凄い。
作者もこの年齢でこれだけの著作を上梓している。私は未読だが、他作も本作程度かそれ以上の内容を擁しているというのであれば、これぞ天才と評してもいいのかもしれない。
本作はミステリとしては「日常の謎」以上「本格ミステリ」未満
という内容。捜査一課でなく、知能犯や窃盗犯担当の二課、三課の出番というような事件で占められる。そのさじ加減も計算尽くなのだろう。
作中「三十歳では本格推理小説を書くには若い」という台詞が出てくる。これが作者の心情であるというなら、この作者の本領発揮はまさにこれからということだ。

No.1 9点 虫暮部
(2014/10/17 20:11登録)
意外なほど読後感が悪くない。いや、でも読後感の悪さを期待していたのだから、読後感が悪くないというのは良くないことなのか。ラノベの文章でくるんでトラウマティックな話をこれでもかと盛り込むいつもの作風を期待していたら、小ネタを上手く生かしたソフトなミステリだった。カセットテープに関する豆知識なんて初めて知った。例によって巧みな文体でまんまと読まされてしまう。グッジョブ!

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