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ミステリの祭典

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ボーンヤードは語らない
マリア・ソールズベリー&九条漣

作家 市川憂人
出版日2021年06月
平均点6.17点
書評数6人

No.6 6点 mozart
(2023/09/21 11:36登録)
マリアと漣の過去譚がメインなので彼らの際立ったキャラクターがどのようにして形成されていったのか明らかにされるのかと思って読み進めましたが結局昔からあのキャラだった、と。
個人的には前作のような長編よりもこれくらいのボリュームの方がすっきりして読みやすく感じました。本格色もそれなりにあったし。

No.5 7点 人並由真
(2022/02/05 20:45登録)
(ネタバレなし)
 短めの中編といえる短編が4本。それぞれ手強いかなと予期していたが、いずれもスムーズにかつ適度な歯応えで楽しめた。

 とはいっても各篇の芯となる大ネタは、ほとんどどっかで見たような読んだようなのばっかりで。
 この辺は70年代以降の都筑の諸作や、そのツヅキがホメたホックの秀作みたいな、モダーンディテクティブ調の作風であった(要はアイデアよりも、その謎の出し方と推理の過程の見せ方で勝負している感じ)。
 ただし2話の(中略)トリックだけは、妙に突出して、こっちを見てくれ(この作品はココを記憶してくれ)と、自己主張しているような気配があったが。

 ベスト編は僅差で第4話かなあ。

No.4 7点 HORNET
(2021/08/22 11:41登録)
 シリーズ初の短編集だが、全てフーダニットの本格ミステリで、短編であってもきちんと作りこんで質を落とさない作家さんだなぁと思った。
 どれも上質の短編だが、漣とマリアの出会いを描いた「スケープシープは笑わない」が、ミステリとしても印象に残った。
 「・・・は・・・ない」というタイトルの縛りがちょっと苦しくなってるかな?とも思うけど(「赤鉛筆は要らない」なんか特に)。

No.3 6点 じきる
(2021/08/16 15:41登録)
マリアと漣の過去の事件を描き、登場人物のキャラクターをより掘り下げた短編集。謎解きは小粒だけどロジックは中々。
長編の、シリアスな事件パートとコミカルな刑事パートの構成が生み出すテンポの良さがないのは仕方ないが、それがこのシリーズの魅力の一つだったのは再確認できました。

No.2 6点 まさむね
(2021/08/09 10:48登録)
 このシリーズ初の、というか作者初の短編集。今のマリア&漣、それぞれの原点となった事件や、「ジェリーフィッシュは凍らない」の前日譚などが描かれています。
 人種差別などの社会的なテーマも含んでいて、そういった側面での重みはあるのですが、ミステリーの部分はやや軽量か。登場人物の心情面を複雑にすればOKというものではないかな。それと、各短編のパターンが似すぎているかなぁ。
 辛口っぽくなってしまいましたが、勿論筋立てはしっかりしているし、決して楽しめなかったわけではございませんので、誤解なきよう。

No.1 5点 虫暮部
(2021/07/29 10:22登録)
 事件関係者(犯人に限らない)の心情が妙に入り組んでいて、しかしそれが解きほぐされてもさほどスッキリ納得出来るわけではなく、謎を複雑化させる為に心理的裏付けをでっちあげている感じ。良くない意味で都筑道夫みたい。表題作は比較的シンプルで良かった。
 あと、私はこのシリーズをキャラクター小説として楽しんではいないなぁと気付いた。各人にクローズアップした短編集だけど、そのへんはどうでもいいや。

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