home

ミステリの祭典

login
makomakoさんの登録情報
平均点:6.18点 書評数:873件

プロフィール| 書評

No.73 8点 ゲッベルスの贈り物
藤岡真
(2009/07/16 07:57登録)
 作者が仕掛けた小技はほとんどひっかかり(私はたいていの仕掛けにはきちんと引っかかるおめでたい読者であります)最後に見事に背負い投げを食わされた。
 さえない中年男がやたら強かったり、冷静な殺人屋が急に素人のような失敗をしたり、実にうそっぽい展開。それをおもしろく最後まで読ませてくれた。なかなかのものだと思う。


No.72 6点 毒草師 白蛇の洗礼
高田崇史
(2009/07/10 14:58登録)
毒草師の第2弾。カンナよりは歴史推理ががっちりしているが、事件の推理に問題がある。推理小説の面白みのひとつは困難な事件をいろいろ探索していってもどうしても解決できず、そこで名探偵が登場してさっそうと解決に持ち込むところにあると思う。この間に作者が仕掛けたトリックや伏線がたくみに仕込んである。私などはたいていはだまされて探偵さんのご意見を拝聴して唖然とする。この小説では名探偵が快刀乱麻を断つといっても、ほとんど事件のことを知らない赤の他人がみんながわからないことをあっという間に解決してしまう。解決までの回り道など全くしないし伏線等もほとんどない。これでは複雑怪奇にみえた事件の最後に一部始終を見ていた目撃者が出てきて解決しましたといっているのとあまり変わりないではないか。もっと面白くなりそうなシリーズなのでもう少しがんばってもらいたいのだが。


No.71 5点 カンナ 吉野の暗闘
高田崇史
(2009/07/10 14:35登録)
カンナシリーズはQEDの安易版なのであろうか。今回は役小角の話が中心となっているが、歴史推理も殺人事件のほうもかなり手抜きの感じ。読みやすくはあるが、中身はだいぶ薄い。これで大丈夫なんだろうかとファンとしてはちょっと心配になる。でも新しのが出るとやっぱり買ってしまうだろうな。


No.70 6点 男爵最後の事件
太田忠司
(2009/07/10 14:28登録)
霞田シリーズの最終作という事でずいぶん期待して読んだ。このシリーズはいずれもストーリーや背景にこだわりのものが出てきてこれがまた楽しいのであるが、この作品にはそういったものはない。トリックもことになく淡々としたものだ。おなじみの人物がおなじみのように活躍して、多少のエンディング様のストーリーがあって、といったところか。ごひいきの作家の好みのシリーズの最後としては大分物足りない感じ。ちょっと残念。


No.69 5点 雪虫
堂場瞬一
(2009/07/10 14:20登録)
主人公がいちいち他人の言葉にひっかかるいやなやつなのでよっぽど途中でやめようかと思ったが、読んでいくとストーリーはなかなかのもの。好みではない警察小説であるが、途中からはすんなりと読めた。
 でも最後はいただけない。こんな結論ではやりきれないではないか。
 これで次々とシリーズが発表できたものだと思うが。きっとこういったのが好みの人も大勢いるのだろう。


No.68 6点 あくむ
井上夢人
(2009/07/10 14:10登録)
井上夢人の小説らしくとてもよく書かれていると思うのだが、内容があまり好みではない。読後感がすっきりしない。


No.67 5点 カンナ 天草の神兵
高田崇史
(2009/06/21 07:43登録)
今回のカンナシリーズはQEDより執筆が早いが、その分内容も薄い感じ。QEDのようにやっていてはいずれ行き詰るだろうが今回の天草の神兵では歴史推理もいまいちだが、肝心の事件のほうがさっぱりだった。採点5点はひいきの作者であるからでそうでなければもう少し点数は下がる。ただ読みやすいことは読みやすく時間つぶしぐらいなら良いでしょう。


No.66 7点 the TEAM
井上夢人
(2009/04/29 22:05登録)
面白かった。さらりと読めてさすが井上夢人の作品と思うのだが、同じ連作物の「風が吹いたら桶屋がもうかる」と比べると登場人物も物語の興味もちょっとおちるかな。


No.65 8点 朱色の研究
有栖川有栖
(2009/03/31 20:30登録)
なんともロマンチックな作品。2重に絡んだトリックはぎりぎりの線で成り立っていて犯人もある意味ではすごく純粋であり、結果はそこはかとなく悲しい。火村先生の中では好きな作品。


No.64 7点 隠された帝
井沢元彦
(2009/03/29 13:28登録)
私は歴史が好きなので天智天皇と天武天皇という日本古代史の代表人物に対する歴史推理はとても興味深かった。兄弟の間柄や暗殺に対する学校で習ったことからすればちょっとびっくりするような推論もなかなかのものだった。ただもう一方の現代における事件のほうがいまいちかなということでこの点数です。歴史推理が好きなら読んで損はないと思う。


No.63 7点 スウェーデン館の謎
有栖川有栖
(2009/03/29 12:26登録)
美しい雰囲気の中で美しい人が登場して、となかなかムードが良い。トリックは小粒だがまあそこそこでしょう。国名シリーズのなかでは好きなほうの作品です。


No.62 8点 秘密
東野圭吾
(2009/03/22 09:33登録)
ありえないようで何となくありえるようなお話を上手に読ませてもらった感じ。東野圭吾は時に冷たく説きに暖かいが、この小説は暖かい面が出ていて好感が持てた。


No.61 9点 女王国の城
有栖川有栖
(2009/03/20 18:00登録)
学生アリスシリーズは大好きなのでこの本が出るまで本当に長く待たされた。ほとんどあきらめかかっていたときに出版されたので大変な期待のもとに読んだ。余り待たされると期待はずれとなることが多いのだが、この作品は期待にこたえ長さといい内容の濃さといいすばらしいと思う。久しぶりに長編本格推理小説を読んだなという感じ。読者への挑戦は双頭の悪魔では3回もあったが、本作品ではえらく控えめなのが一回あるのみだが、私にはぜんぜん犯人が分からなかった。本格推理小説としてよく出来ていると思うが、月光ゲームや孤島パズルでの学生らしいみずみずしさが少なくなっているのが残念。


No.60 9点 双頭の悪魔
有栖川有栖
(2009/03/11 19:57登録)
学生アリスシリーズは大好きな推理小説。月光ゲーム、孤島パズル、と進んでこの作品は断然完成度が高い。本格物としても非常に優れていると思います。細部にいたるまで緻密に構成され隙がない。初めて読んだときは推理小説化としての有栖川の進歩と実力を思い知らされ感嘆したものです。再読してもやっぱりすばらしい。ただ本格物として完成してくると若き青臭さが減少してくる。青春小説として物足りなくなってしまうのだ。孤島パズルにあるみずみずしさが少なくなったのは残念である。こんなことを感じるのは年かなあ。
 さすがの有栖川もこれほどの作品を書くと次はなかなかかけない様で学生アリスは女王国の城まで10年以上待たされることとなったのはファンとしてはずいぶんつらかった。


No.59 8点 孤島パズル
有栖川有栖
(2009/03/04 20:38登録)
月光ゲームより文章もお話もさらに良くなっていると思う。宝探し、不可能と思える密室、アリバイが全員ない殺人どれも実に面白い。人物も良く描けているし新たなヒロインのマリアも素敵だ。なのに月光ゲームと同じ点数をつけたのは密室の謎が結局すっきりしないのと(これでは密室の謎を解いたことにならないと思うのだが)魚楽荘の事件はかなりのアスリートでなければ無理そうに思うがその伏線が張っていないのが気になるからです。最初に読んだときは満点あげても良いぐらいだったのだがいろんな小説を読んでいてだんだん気難しくなったのかもしれない。学生アリスが好きで本格推理小説が好きな私にとってとても大切な作品です。


No.58 8点 月光ゲーム
有栖川有栖
(2009/03/02 21:05登録)
アリスの記念すべき最初の長編。人物が多すぎる。一人ひとりがあまり描けていない。ダイイングメッセジもはきりいって無理がある。あきらかに青臭い。でもこの作品は大好きです。何度読んでも好きなものは好き。学生アリスはどれもロマンチックで本格派で私の好みにぴったりなのです。孤島パズル、双頭の悪魔とさらに文章も内容も良くなっていくところが実にすばらしい。探偵の江神さんは数ある名探偵のうちでも最も好きな探偵さんです。火村先生も良いのだが、私は江神さんのほうが好きです。学生アリスもっと書いてくれないかなあ。


No.57 7点 本廟寺焼亡
井沢元彦
(2009/02/22 12:54登録)
猿丸のすぐ後に出た作品で、当時作者に注目していたので出版後すぐ読んだ。この頃は自分の家が浄土真宗にもかかわらず宗教のしくみなど全く無知であったためかもうひとつぴんとこなかった。今回再読してみたが、これはずいぶん含蓄を含んだお話であることが大分理解できた。多少でも仏教関係に興味があればなかなか面白く読めるが、そうでない人にはちょっと意味不明のところがあるかもしれない。私としては猿丸よりは落ちるが六歌仙よりは上といった評価です。


No.56 8点 はじまりの島
柳広司
(2009/02/22 12:44登録)
この作者の作品としてはじめて読んだものだが、読み始めると表現や文体が翻訳文のようだという印象、でも翻訳文よりはるかに読みやすい。ダーウィンが探偵となってヴィーグル号で訪れたガラパゴス諸島でおきた事件を解決していくストーリーは興味津々。すごいトリックがあるわけではないが(ガラパゴスならではのトリックはある)、十分に楽しめる。


No.55 7点 六歌仙暗殺考
井沢元彦
(2009/02/13 19:55登録)
六歌仙の歌仙絵が作品のキーとなって進行していく物語はかなり面白い。こういった話にありがちな薀蓄やおどろおどろしい場面はあまりない。かといって派手なトリックなども無いのだが物語のテンポはよくそれなりに楽しめる。ただ物語の最後が不完全燃焼の知りきれトンボみたいになってしまっているのがちょっと興ざめ。


No.54 4点 ジェシカが駆け抜けた七年間について
歌野晶午
(2009/02/09 22:35登録)
「葉桜」で見事にだまされ、その次に書いた作品ということで期待して読んでみたが残念ながらいまいち。トリックももうひとつわかったような分からないような。不愉快な作品ではないが、面白くも無いといったところか。

873中の書評を表示しています 801 - 820