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ミステリの祭典

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わが身世にふる、じじわかし
ミミズクとオリーブシリーズ

作家 芦原すなお
出版日2007年01月
平均点6.88点
書評数8人

No.8 7点
(2013/10/25 09:52登録)
ミミズクとオリーブ・シリーズ3作目。
収録作品のほとんどが殺人事件を扱っている。主人公の友人の刑事・河田は、事件の推理は一切せず人任せにして、主人公の家で飲み食いするだけだが、主人公の奥方が河田の情報をもとに事件の謎を解く。
ということで、本作品群はミステリー度は弱いが、れっきとした本格ミステリー(厳密に言えばアームチェア系・ユーモア本格ミステリー)なのだ。

各編は、作者(主人公)の身の回りのことや季節に絡んだエッセイ風の話から始まり、ついで奥方や河田が登場し、料理や食材の談義へ入り、食事が進み落ち着いたころ河田が事件について語り始める、といった流れである。
そんな流れに、かならず乗せられ、あっという間に読み終わってしまう。やはり導入部分が効いているのかなあ。本格ミステリーというよりは、芦原氏が考案した新たな短編ミステリー分野、エッセイ・ミステリーとでも言うべきだろうか。とにかく文章も雰囲気もいい感じだ。
6作品の中では「いないいないばあ」がいちばん良かった。登場する料理は、ソースが決めてのお好み焼きだった。

ただ、読書中あるいは読後すぐには素晴らしいと思っても、時間が経てばなにもなかったかのように忘れ去るような作品群でもある。まあ短編集一般に言えることですが。

No.7 6点 E-BANKER
(2013/01/31 21:55登録)
「ミミズクとオリーブ」、「嫁洗い池」に続くシリーズ第3弾。
今回も悪友・河田警部を含めたお馴染みの3人が、美味しそうな数々の料理とともに事件を解決に導く・・・

①「ト・アペイロン」=悪友・河田警部がNYへの研修出張から帰国。因みに表題は古代ギリシャ語で『無限なもの、不定なもの』という意味を表す言葉。
②「NYアップル」=河田警部がNY在任中に発生し、名探偵の奥さんが解決した事件の顛末を披露する。しかし、NYの事件を安楽椅子型探偵するとは・・・やるねぇ奥さん!
③「わが身世にふる、じじわかし」=地元・八王子界隈で起こった2人の老人の失踪事件。片方の老人が残した手紙は何と「暗号」だった。まぁ暗号自体はよくある「手」の奴なのだが・・・。
④「いないいないばあ」=主人公が幼年期に遭遇したある不思議な事件が、河田警部の持ち込んだ現在の事件解決のきっかけとなる。本編で登場するお好み焼きのソースの話・・・すごくよく分かる(気がする)。
⑤「薄明の王子」=今回の事件の舞台はあるプロレス団体。団体のエースが、他団体へ移籍前の最後の試合で、負けるはずのない「噛ませ犬」役のレスラーのバックドロップを浴び死んでしまう・・・。これって、三沢の件がきっかけなのか?主人公のプロレスへの想いはすごくよく分かる。
⑥「さみだれ」=複雑な人間関係を持つ家族の間で起こった殺人事件。河田から話を聞くだけで、大凡の真相を察してしまう奥さんって・・・。今回は早稲田界隈の街歩きのシーンがなかなか楽しい。

以上6編。
相変わらず何ともいい雰囲気の作品。
事件自体は結構猟奇的だったりするのだが、気取らず且つ美味そうな料理や、互いに貶しながらもなくてはならない存在の主人公と河田の会話などを楽しんでると、自然にゆったりした気分になる・・・そんな作品集。

ただ、ミステリーとしては前作や前々作の方に軍配が上がるとは思う。
(ミステリーとしては②かな。それ以外では⑤も好きだが・・・)

No.6 7点 HORNET
(2012/12/01 17:42登録)
 相変わらず主人公と警官河田の道を外れていくやり取りと、それをとりなす奥さんの姿が面白い。読んでいて一人でも笑いが漏れてしまう。
 1作目からだんだんと事件が殺人など本格的なものになっていき、物語の雰囲気にそぐわない感もあるが、逆にミステリとしての面白さが増している。
 一つ目の、「ト・アペイロン」、ほんわかした雰囲気が生かされた暗号解読ものの表題作「わが身世にふる、じじわかし
」がよかった。

No.5 5点 蟷螂の斧
(2012/08/17 09:36登録)
短編集は奇妙な味(阿刀田高氏やロアルド・ダール氏)が好みで、探偵ものの短編は高評価であってもほとんど敬遠してきました。探偵ものミステリーは長編に限るというこだわりがあるのかもしれません。本作は、ほんわかとした気分にさせてはくれますが、やはり物足りないというのが実感でした。

No.4 6点 まさむね
(2012/06/09 10:58登録)
 シリーズ第3弾ですね。たいへんに読み心地が良いです。主人公,奥さん,同級生刑事の軽妙な会話と食事シーンが,何とも言えない雰囲気を醸し出しています。癒されます。
 ミステリ度は決して高くないですが,ゆったりとした読書は楽しめましたね。

No.3 8点 makomako
(2009/11/27 22:00登録)
 ミミズクとオリーブシリーズも3作目となるとすんなり物語りに入り込めて独特の楽しさを味わうことが出来た。暗号トリックなどあってミステリー度は一番高そうだが、例によって名探偵の妻によってあまりに簡単に解決されてしまうので推理の楽しみはあまりない。このお話は河田と僕と妻のユーモラスな会話とおいしそうな香川の郷土料理、そしてアイデアに苦しみ締め切りに追われながらもゆったりした生活といった雰囲気を味わうものなんだろう。とても気に入っている。次が出たらぜひ読みたい。

No.2 8点 なの
(2009/06/25 12:46登録)
とにかく面白い!
ミステリ性が薄い?食べ物薀蓄が長い?
そんなヤツは余所行け余所!

でも3巻でいきなり文庫オンリーは勘弁して下さい
ミミズクと嫁洗い、ハードカバーで買ったのに・・・

No.1 8点 E
(2009/06/23 23:01登録)
畜生、やっぱり面白いじゃねーか!!
シリーズ通してミステリー度は低いのですが、笑いは堪えられないです!
題名ともあった「じじわかし」言葉の意味も判りました。
自分としては「じじおち」も魅力的☆(笑)
今後も出るのだろうか?絶対読みたい!

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