makomakoさんの登録情報 | |
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平均点:6.18点 | 書評数:873件 |
No.293 | 6点 | 復讐の女神 アガサ・クリスティー |
(2012/10/08 07:32登録) 最初の出だしはナカナカですが、皆さんが述べているように話のテンポが遅くやや退屈なところがあるのは否めない。さすがのクリスティーも年をとるとなかなか切れ味の良い話を作り出すのは難しいのかとも思ってしまう。 だいたいミスマープルシリーズはあまり奇抜なトリックなどは少なく全体として退屈になりそうな話を、意外な犯人と巧みな筆で興味深く読ませるものと思っているが、本作品は若干テンポが悪い。 さらにこの話だと、旅を依頼した死せる大富豪はほとんど真相をつかんでいた?さらに被害者となった女性は真相に気づいていたのにどうして黙っていたのだろうかなどと、若干矛盾を感じるところもあるのでちょっと評価が低い。 皆さんより多少評価がよいのは多分自分が年をとり、何となくマープルさんに共感できるようになってきたせいかもしれない。 |
No.292 | 6点 | カリブ海の秘密 アガサ・クリスティー |
(2012/10/02 20:35登録) 翻訳物があまり好きではない。翻訳文が苦手な上に登場人物がとんでもないやつであることが多く(最近では日本の小説でもしばしば見かけるが)ぜんぜん共感できない。さらに名前が覚えられない(これは単にわたしの脳の老化かもしれないが)、男か女かも時々不明となる。こんな読者ではまず外国物は楽しめないことが多いのだが、クリスティーはかなり好きです。 シリーズではポアロの方が好みでですがミスマープルもなかなか面白い。 本書はマープルもそして作者も大分年寄りとなって話が丸くなっていると思いますが、さすがはクリスティーで犯人は以外できちんと論理的でもある。 大きな山場がないがそれなりに読みやすく退屈はしない。 |
No.291 | 6点 | 珈琲店タレーランの事件簿 岡崎琢磨 |
(2012/09/26 18:00登録) 書店の入り口に山積みされていたのでなんとなくビブリア古書堂の事件手帖(これは好きなシリーズです)に似た感じに思えて購入した。 内容はビブリアと似ているところもあるが、違いもはっきりしており(登場人物の個性が相当異なる)二番煎じ的な物ではないとしましょう。 謎は小粒でもちろん殺人事件のような凄惨なものは全くない。謎ときはまずまずかな。連作風であるが、全体として一つの話となっており、結末はまあハッピーエンドなのでしょう。 ストーリの途中にやや不明のところがあるが、全体として平明で読んでいやな感じはない。 あまり評価があがらなかったのは主人公の男性があまりに腰抜け(こういった男は嫌いだ。)なところ。 主人公の女性もまあ魅力的といえるが、大分暗くちょっと鬱陶しい感じが否めない。 この手の話は主人公がいかに魅力的かが大きな要素となると思います。 まあ悪くはないがすごく感心もしないといったところでした。 |
No.290 | 6点 | プリズン・トリック 遠藤武文 |
(2012/09/22 13:07登録) 初めの交通刑務所の話はちょっと驚きました。どうやって取材したか不明ですが、刑務所ではこんなこととなっていたとはぜんぜん知りませんでした。あまり異議が出たという話がないので多分事実なんでしょう。 問題は話が進んで途中ぐらいから視点がつぎつぎにずれて、名前を覚えるのが苦手なわたしには誰が何をやっているかわからなくなってしまった。これってちょっとひどいと思います。 途中で止めようかと思ったが、ラストのトリックが素晴らしいとの論評があるのでとにかく最後まで読んだ。 うーんなるほど。ぜんぜん見通せなかった。 あまり読後感がよろしくない終わり方だけどまあ納得。 最後に一つだけ。 遠藤さん首に静脈注射ってしたことありますか?血管は太いのでさせそうだけど相手が動くと案外難しいのですよ。注射をうったことがない人に極度の緊張下でそううまく打てますかどうか。 |
No.289 | 5点 | グラスホッパー 伊坂幸太郎 |
(2012/09/08 17:50登録) はじめはやたら現実感のない殺人が出てきたりして、とても嫌な感じでした。こんな本もう読むのをやめてしまおうかと思ってもいたが、まあ手元に他に読むものもなかったのでしかたなく読んだ(重傷の活字中毒の兆候ですな)。 途中からはまずまず納得できる内容となってきたので読むこと事態は苦痛ではなくなったのだが、だから面白く読んだというほどではなかった。名前を覚えるのが苦手なわたしにとって蝉だの鯨だの覚えやすい登場人物なのがまあよかったといえばよかった。 要するにわたしの肌に合わない小説でした。 |
No.288 | 7点 | 黒猫館の殺人 綾辻行人 |
(2012/09/08 17:39登録) これが出た20年程前に読み、当時は館シリーズとしてはもうひとつの感があった。今回再読してみたが、トリックなどたいていは忘れてしまうわたしでもさすがにこのトリックは覚えており、ついでに犯人も不思議に覚えていたのになかなかおもしろかった。 たくさんの伏線が張ってあり、まあフェアといえばフェアでもありといった作者の苦心の跡がしのばれて楽しめた。 まあ本格物の中毒症状がひどくなったということかもしれませんが。 |
No.287 | 7点 | 赤いべべ着せよ… 今邑彩 |
(2012/09/01 13:11登録) 本格もとしてきちんとまとまっており、犯人もまあ以外だしそう悪いところはないのだが、いまひとつインパクトにかける気がする。トリックというほどのものは出てこないし、何となく小粒な印象です。 もちろん作者独特のホラー趣味はあるが、それほど前に出てこないので、わたしとしては読みやすかった。 本格物が好きなら読んで楽しめると思います。 |
No.286 | 6点 | 時鐘館の殺人 今邑彩 |
(2012/08/26 09:11登録) 作者の本格物の作品はわたしの好むところなのだが、ホラーのほうへ傾いたものは苦手。 本作品は一作目の生ける屍の殺人はホラーに傾いている。 短編集って一作目から読むと思うのだけど、(そうでない方もいるのかな)最初の作品でつまづくとあとはどうも気が進まなくなる。 最後の時鐘館の殺人なんかは結構よかったのだが、たどり着くまでの作品はもう一つのように感じてしまった。 順番が変わったら評価がもう少しあがったかも(そんな評価って当てにならないですね)。 |
No.285 | 3点 | 少年たちのおだやかな日々 多島斗志之 |
(2012/08/26 08:59登録) 多島氏は好きな作家。作品があまり多くないので未読作品が少なくなっていくのは寂しく思っていたところへたまたまこの本が見つかった。表紙がなんだか気に入らないけどとにかく購入。 読んでがっかり。これって本当に多島氏の作品なの? 意表をつくストーリーと丁寧な文章はよいのだが、内容がぜんぜん好きでないのだ。妙に気持ちが悪かったり、残酷だったりして。後味も悪い。 好みの作家でも時に合わない作品があるのだが、これはまさにわたしにはとってハズレでした。 |
No.284 | 4点 | 連続殺人鬼 カエル男 中山七里 |
(2012/08/12 10:28登録) この作者が同時に「さよならドビュッシー」を書いていたことにまず驚きました。「さよなら」の爽やかさだけではどうしても物足りずに毒をこの作品につぎ込んだのでしょうか。 残酷シーンやグロいシーンはどうも苦手で、こういったもので楽しむことはできそうにありません。 まあそれなりによくできた作品とは思いますが。 |
No.283 | 6点 | 誰か Somebody 宮部みゆき |
(2012/07/29 10:02登録) 悪くはないが、ちょっと盛り上がりに欠ける面もある。それでもすらすら読めてしまうのは作者の力量なのでしょう。 謎や探偵さんの個性に関してはまあ普通。登場人物はみんなそれほど悪くない思っていると、さすがに女性の作家らしく男には書けないような女性の嫌なところを最後に見せてくれる。 女は意地悪で嫌なところがあるなどと男性が書いたらセクハラだと騒がれるが、女性が書く分にはそういった心配もないせいのでしょう。 逆に女性の作家さんらしく男性に対する描き方は甘いね。 異性はすべてが分かったら幻滅。永遠に分からないから好きにもなれるのでしょうね。 |
No.282 | 3点 | 田舎の刑事の趣味とお仕事 滝田務雄 |
(2012/07/22 16:57登録) これは好みではありません。作者は人が死なない推理小説を書こうと思ったとのことで、そういった姿勢は悪くないのですがなんといっても文章が悪いし、登場人物があまり感じ良くない。 こういった話では一見仲の悪い同士でもどこか心がつながっていないとしっくりしない。 わたしには暇つぶしにもなりませんでした。 |
No.281 | 6点 | 赤い指 東野圭吾 |
(2012/07/21 07:52登録) 読んでいて楽しい小説ではないですね。特に前半は嫌になってしまう。まあそれだけ作者が上手に小説を書いているのですが。 だいたい殺人事件を現実的でシリアスの書けば書くほど嫌な感じがするのはある面で当然で、それを好んで読むかどうかは読者の選択ということとなるのでしょう。 東野氏の小説は時々こういった嫌な感じが表へ出てくるものがあり、そういった作品群は個人的には好みではありません。どこか冷たい感じがするのです。 登場の少年は商売柄ときどき似たようなヤツ(あえてヤツと呼ぶ)と遭遇します。自分がうまくいかないとみんなが困ると思っているのです。加賀と同じような感じを抱いてはいます。 いろいろあるけど本当は素直でいいやつなんですよ、といったところがないので読んでいるとつらいだけになってしまいます。そんなふうなところが少しあったらぐっと点数は上がったのに。 甘いかな。 |
No.280 | 4点 | ふたりの距離の概算 米澤穂信 |
(2012/07/20 06:26登録) 米澤氏の作品でも古典部シリーズは好きなものなのだが、これはいただけなかった。「インシテミル」のように生理的に受け付けない感じがするのではないのだが、はっきりいってあまり興味のない話でした。 まずマラソン大会で走りながら推理するというところから気に入らない。わたしはずっと運動部に所属していたが、何を隠そうマラソンが大嫌い。走りながら考えることはいつも後どれだけ走ればオシマイだからがんばろうだけでしたので、こんな設定は考えられない。 謎となっていることも小粒なことは古典部なのだから当然だが、大して興味がないし文章もさえない。 暇つぶしに読むのもちょっと苦痛ぐらいでした。 |
No.279 | 8点 | ビブリア古書堂の事件手帖3 三上延 |
(2012/07/20 06:14登録) このシリーズは奇抜なトリックや殺人などは皆無なのだが、愛すべき登場人物と暖かい雰囲気が満ちていて読んでいて楽しい。 栞子さんは精神科医や心理からみればアスペルガーだというかもしれないが(本格ミステリーの登場人物はしばしば精神的に異常な人間が活躍するのであるが)、大変好きな探偵さんです。 たまたま海外旅行する飛行機の中で読んだのだが、時間が余って何度も読み返すこととなったが、やっぱり楽しく読むことができた。ストーリーやトリックを読んでいるのではなく雰囲気を楽しんでいたからなのでしょう。 シリーズ物はだんだん飽きてくることが多いのだが、このシリーズはだんだんすきになってきたようです。次が楽しみ。 |
No.278 | 7点 | ブラディ・ローズ 今邑彩 |
(2012/07/08 12:12登録) 少々ネタバレ気味です。 この作品を読んでいるとわたしのような年代のものには、やはりレベッカを想像してしまう。理想の女性と誰もが慕っていたレベッカを主人がI hated!といったのを聞いた衝撃は忘れられないのだ。 登場人物が少なくレベッカを想像すればある程度からくりは見えてきたと思って油断していると?ちょっと違う方向の結論が出てきたりして。 わたしのような単純な読者にはやっぱり完全な真相はそう簡単には見抜けないのだ。 途中深層心理描写などがめまぐるしくつづき、やや読みにくいところもあるが、全体としてはきちんとしたお話となっているのはさすがであると感心しました。 |
No.277 | 5点 | ベイ・ドリーム 樋口有介 |
(2012/07/08 11:54登録) 作者の小説は独特のユーモアと巧みな文章表現が楽しめるのだが、内容が政治的なものや環境問題を取り上げるようなものにはあまり向かないのかもしれない(わたしが好きでない?)。 この作品も環境問題をテーマとしているのだが、読んでいてどうもあまり楽しくないのだ。「楽園」が作者のひそかな代表作と本人の言葉にあったが、わたしにとっては「楽園」の次ぐらいにダメでした。 悪くはないのだけどね。良くもないのだなあ。 |
No.276 | 8点 | おやすみラフマニノフ 中山七里 |
(2012/06/30 18:00登録) この作品を読んでいると自然に音楽が頭の中に流れてくる。ことに城戸が水害で避難した学校でバイオリンを演奏するところは感動的でした。曲はおなじみのチャイコフスキーのバイオリン協奏曲。わたしがクラシックファンになった中学時代にもっとも好きで何度も何度も聴いた曲。どんな音だろう。完璧なハイフェッツ?、芳醇な美音のフランチェスカッティー?、ふくよかなオイストラッフ?。私には繊細で強さを秘めたミルシテインのバイオリンの音がふさわしいように思えたのですが、読みおえたあと巻末を見るとなんと参考CDはミルシテインのものではないか!。 さっそくミルシテインのCDを引っ張り出して聞きながらこの部分を再読して一人で悦に入っていた。 従って当然のことですがこの採点は甘いと思います。 |
No.275 | 5点 | サマー・アポカリプス 笠井潔 |
(2012/06/24 08:50登録) とても読みにくい小説でした。重厚で複雑なないような上に、登場人物はカケル以外は外国人ばかり。全く興味のない宗教的薀蓄を航も長々とやられては読むほうが苦痛になる。もうすこしさらっと書けないものか。二転三転とする犯行の結論はある意味で非常によく考えられたように見えるが、その間に長々と哲学的(に見せかけた?)お話を読まされては興味半減となる。 カケルの態度もはらだたしいばかりかほとんど共犯ではないか。まあ大体の探偵は似たような行動をとるのだが、初めから真相が分かっていたのに自分にとってはたいした問題ではないといって次の殺人を見逃すのはいくらなんでもひどすぎるでしょう。もうちょっと違う設定はなかったものかねえ。 まあ内容は充実しており話もよく考えられているので、これをもっとコンパクトに分かりやすくしたら素晴らしい傑作が出来上がったの思うのですが。 わたしの感想としては、評論家はあくまでも評論家であり、その人に実践させるとうまくいかず弁明だけが上手といったところでしょうか。 |
No.274 | 5点 | 紅楼夢の殺人 芦辺拓 |
(2012/06/17 10:06登録) 中国のお話なので名前に普段使わない漢字が多いのは仕方がないが、複雑な家系に似た様な名前が連なり読みにくかった。 原作を読んでいる方は多分これでよかったのだろうが、登場人物が平坦に書かれているため、ことにきれいなお嬢様各人のインパクトが少なく、なんかお人形さんがたくさん出てきた印象を受ける。 お話の結論も意外と言えば意外なのだが、どうも共感がもてない。 皆さんの評価が高いようですが、そして作者の新しい分野への切込みには敬服しているが、この作品はわたしにはあまりあわなかった。 |