home

ミステリの祭典

login
夏の口紅

作家 樋口有介
出版日1991年10月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 4点 ボナンザ
(2024/01/10 14:08登録)
後書きで米澤が書いているようにいかにも樋口な文章が楽しめる代表作。

No.2 6点
(2017/01/30 11:10登録)
もっと純文学的なものを想像していましたが、ほどほどの青春ミステリーでした。

主人公の礼司は長い間付き合いのなかった父親の突然の死で、姉と親戚の季里子の存在を知る。姉探しが始まる。姉探しの中で、季里子のことがわかり始め、父親像や身の回りのことが見えてくる。恋人・香織の存在も大きい。そして後半には意外な事実を知ることとなる。まるで連城の反転を見るようで、これがミステリーたるところ。すごいと思ったが、純文学かミステリーか、どっちかにしろという気分にもなった。

主人公の若いわりに老成したところには相変わらず魅かれます。というよりも自然体なところに共感を覚えます。樋口氏の小説の主人公は、中高生でも、大学生でも、成人でもみなこんな感じで、ちょうどいい塩梅のハードボイルド風味の主人公像に仕上がっています。女性にももて、ちょっと出来すぎの感はありますが。
著者自身の投影か、あるいは理想像だったのかなぁ。

地の文を挟まない長々しくも、さっぱりとした会話文の連続も自然です。最近よく読む、会話の一部を地の文に入れる五十嵐貴久作品とはまるで反対の表現方法で、どちらも気に入っています。

No.1 8点 makomako
(2012/12/06 21:30登録)
 この作品は純粋なミステリーではない。一応謎は呈示され解決もするのであるが、本格もののような謎解きを楽しむものではない。氏独特の雰囲気と青春の空気を味わうといった趣の内容。
 解説によると樋口氏が一番書きたいものをというリクエストに答えた作品とのことである。なるほどと納得できるできばえ。
 読後感もよく素敵な小説です。

3レコード表示中です 書評