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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.17点 書評数:895件

プロフィール| 書評

No.455 7点 高座の上の密室
愛川晶
(2015/07/19 11:25登録)
 前作はミステリーとしてはちょっと弱かったのですが、本作ではだいぶんミステリーっぽくなっています。古典落語などほとんど知らない私にとって、なかなか興味深い落語のさわりなどもさりげなく触れてあるのも、話のスパイスとして効いていました。
 面白かったです。
 多分次作も出てくるのでしょう。ちょっと楽しみです。


No.454 7点 動く指
アガサ・クリスティー
(2015/07/19 10:34登録)
 スマープルものではあるが、彼女が出てくるのは本当に最後に近くなって「これってミスマープルシリースのはずだよなあ?」と心配になったころでした。
 それまでは田舎でのめったに起きないような出来事のお話が続きます。やや平凡な感じはしますが、読み進むのに苦痛なことはなくすらすらと読めました。
 クリスティーの作品にはこんな人本当にいるのと思わせるような変な人物はあまり登場しないので、安心して読めるのもよいのでしょう。かなりしつこくうっとうしい人物は出てくるけどまあ許せる範囲です。
 乙女チックな感じ出てくるので若い女性が読むともっと面白いかもしれません。
 最後はめでたしめでたしに近いので読後感は良いです。


No.453 6点 神楽坂謎ばなし
愛川晶
(2015/07/07 21:39登録)
 作者独特の落語ミステリー。落語なんかミステリーになるのかと思って読んでいたのだが、結局はあまりミステリーっぽくないお話でした。昔落語ブームがあってその際にちょっとだけ落語に興味を抱いたこともあったが、最近は全くのごぶさた。でも粋の世界に生きる人たちのお話にはそれなりに興味が持てました。
 次作ではもっとミステリーっぽくなるらしいので期待しましょう。


No.452 5点 魅入られた瞳
五十嵐貴久
(2015/07/05 20:37登録)
 前作がいまいちだったがamazonの書評がよかったので買ってみました。
 全体として軽いのりで読みやすいのだが、まあ大したことはないですね。暇つぶしぐらいならよさそうです。
 この次が出ても今のところ読むつもりが起きないといった感じでした。
 


No.451 5点 雨の匂い
樋口有介
(2015/07/03 19:07登録)
 これは純粋な推理小説ではないが、読んでいくと最終的には相当に怖い話でした。樋口氏の洒落た会話(解説によるとこういうのをワイズラックというのだそうです)に満ちているのですが、これはちょっとやりすぎの感がありました。
 氏の小説では、段落の初めに花鳥風月の描写が巧みに入れ込んであるのですが、この作品ではちょっと過剰に感じました。ここまでやると読むのが多少面倒になってしまうのです。
 登場人物に温かみが少なく、冷たい話を巧みな表現で語るといったところなのでしょうが、私の好みからはやや外れていました。


No.450 7点 だれがコマドリを殺したのか?
イーデン・フィルポッツ
(2015/06/27 19:23登録)
 物語の半分以上たっても事件は発生せず、恋愛小説風なのでどうなることかと思っていましたが、最後まで読めばまごう事なき推理小説でした。
 登場人物は外国の推理小説にありがちな(最近は日本の推理小説でもしばしばだが)変な人ばかり出てくるといったことはない。むしろ我慢強く他人をおもんばかる人物のお話なので、読んでいて嫌な感じはしない。ただしその話が長く、人物が必ずしも魅力的に描かれているわけではないので、凡長な感じとなるのは否めないと思います。こんな人物ばかりで推理小説となるのか心配となるぐらいに思っていると、途中からは推理小説へ変身して、トリックも立派にあり見事に騙されてしまいました。


No.449 5点 南青山骨董通り探偵社
五十嵐貴久
(2015/06/23 18:49登録)
 さらりと読めてまあ楽しめるのだが、そこまでといった感じです。お話はなんだかむちゃくちゃ風ではあるが、まあこれぐらいならありかな。
 嫌みなく読みやすいのですが、あんまり多くを求めてはいけない雰囲気ですので、暇つぶしにはちょうど良いかも。
 シリーズものとなるようなので、次もまあ読んでみよう。


No.448 7点 レーン最後の事件
エラリイ・クイーン
(2015/06/22 20:43登録)
 レーン4部作の最終章。確かに4つの作品はそれぞれ独立して読んでもよいが、やはり初めから読み通していくのがよいのでしょう。
 ただ作品としてはZからあとはちょっと落ちるような気もします。
 本作品では興味深い謎が提示されはしますが、なかなか殺人事件は起きてこない。
だいぶん読み進むにつれようやく事件発生。なるほどレーン最後の事件でしたね。
 しばらくの間レーンのお話に満たされて推理小説の読者としては満足でした。


No.447 6点 Zの悲劇
エラリイ・クイーン
(2015/06/21 08:21登録)
 XとYは読んでいたのですが、Zと最後の事件は未読でしたのでちょっとワクワクしながら読みました。
 期待ほどではなかったというのが正直な感想です。
 若い女性の一人称で語られる物語は興味深いところですし、レーンの推理も相変わらず精緻ではあるのですが、XやYと比べるとだいぶん落ちる感じでした。
 なにがといってまず颯爽とした老人だったドルリーレーンが10年たってよたよたのじじいになっている、というシチュエーションが面白くない。どうしてこんな風にしたのでしょうかね。
 若い女性の語りも悪くはないが、全然可愛げがなくずうずうしい。日本人でよかったというところか。
 物語も途中までレーンの活躍がパッとせず、最後の推理に至っても3人に絞ったといっているが、そこまでわかればこんな無茶の方法を取らずとも十分解決したでしょう。

以下ネタバレ気味です。
レーンの推理は推理ゲームとしては面白いが現実性に乏しく、最後には救おうとした人間に実にひどい仕打ちをあたえたうえ、事実上命を奪ってしまった。こんな行き当たりばったりの事件で、このような方法で解決というのは、どうも納得がいかない気もします。ほかの犯人だってあり得そうな感じが否めません。


No.446 6点 刑事さん、さようなら
樋口有介
(2015/06/13 18:36登録)
 軽妙な語り口で描かれていますが、内容は警察の不正に対する相当な抗議を含んだお話となっていました。
 二つの話が全くかみ合いそうもないと思っていたら、きちんとそのあたりはかたはつく。題名も最後になってなるほどということとなる。ミステリーとして問題ないのだが氏の小説としては読んでいてもう一つであったことは否めませんでした。


No.445 8点 Yの悲劇
エラリイ・クイーン
(2015/06/08 20:52登録)
 Yの悲劇を読むのは40年ぶり。ストーリーやトリックなどすっかり忘れてしまうが常の私でも、このお話の犯人だけははっきり覚えていました。それもテレビドラマ(当時テレビドラマで放映されたのです)での犯人が明らかにされるシーンとBGMが頭と耳に浮かんできてしまい、犯人捜しや意外な犯人で驚くことができない分ちょっと残念でした。
 昔読んだときはあまり気にならなかったのですが、今回読み返すと何とも悲惨な話で救いようがないなあ。悪ガキも本当に気に障る。
 初めて読んだときは明らかにxの悲劇より上だと思ったのですが、今回はそれほどとは思えませんでした。やっぱり犯人がわかっていたことが大きいのかもしれません。


No.444 7点 フランス白粉の秘密
エラリイ・クイーン
(2015/05/29 21:30登録)
 推理の塊のような小説。事件が起こってそれに対するシチュエーションが述べられ、色々な手がかりも出てきて最後にはさあ犯人はお分かりですか?とくる。
 このサイトの方の中には簡単に犯人がわかってしまった方もおられるようですが、私にはさっぱりわかりませんでした。
 相変わらずの精緻な推理には感心するのですが、これほど細やかな推理をするなら現実としての無理も目立ってしまう。

以下ネタバレ気味

 心臓へ弾が当たったので大量出血したはずなのに、被害者が見つかった場所での出血が少ないから違う場所で殺害されたなんてことがしばらくわからないなんて変でしょ。服にはいっぱい血がついているはずでしょうから、一目でわかるはず。
殺害場所での大量出血の処理はどうしたのかなあ。机は血だらけだろうにその処置はブックエンドの処置だけで済むのかなあ。出血した死体を運んだらどこかに血痕が落ちそうだなあ。いくら女性といっても結構な距離を誰にも見つからずに運ぶのも相当大変だなあ。
 そんな不満はありますが、本格物として立派な小説と思います。


No.443 9点 Xの悲劇
エラリイ・クイーン
(2015/05/20 22:37登録)
40年以上前にこの小説を読みました。Yの悲劇が一番すごいぞといわれてまずYから読んだのでXはやや落ちるような気がしたのだけを覚えていました。
 今回再読してみるとなんともおもしろい。物語などはすっかり忘れていたので実に新鮮に楽しめました。
 推理小説に対する志向が随分変わったものだと我ながら感じています。
 こういった精緻な推理と緻密な構成を楽しむのは推理小説を読む醍醐味だと今は思えます。
 1点減点は赤毛の被害者に関するレーンの推理がやや物足りないのと、犯人がわかっていながらみすみす殺人を許してしまったところぐらい。
 この小説が国名シリーズほど売れなかったのはなぜでしょうかねえ。


No.442 6点 シャム双子の秘密
エラリイ・クイーン
(2015/05/20 22:25登録)
 このところエラリークイーンにはまって何冊か読み進めていますが、これはちょっと落ちるかな。
 今となっては孤立した山荘での不可解な殺人事件というのもちょっとありふれています(発表当時はそうでもなかったかもしれないが)。登場人物が少ないので読むのは楽ですが、やっぱり犯人は当てられなかった。なるほどそうくるか。
 評価がちょっと低いのは、クイーン警視が容疑者に過ぎない人物を射って重傷を負わせても対して反省していなかいうえに自分のミスで殺人をさせてしまうなど全くさえない。エラリーも事件解決の時までほとんどでくのぼうのよう。
 周囲から山火事が来るのがわかっているのなるまず逃げる算段をし、ダメなら周囲の木や草を刈り取るか穴を掘るぐらいもっと前に気づくべきでしょう。
 ほかの作品が素晴らしいのでちょっと評価が厳しいかもしれません。


No.441 6点 三つの棺
ジョン・ディクスン・カー
(2015/05/10 09:02登録)
 あまりにも有名な推理小説ですが実は私は読んでいませんでした。カーの小説は多少は読んだのですが、翻訳が悪く?とても読みにくい印象があり、ちょっと遠ざかったいました。私には外国の推理小説はしばしば登場人物に共感が持てない、とんでもないとしか思えない人の集まりの小説の感もあって(とんでもないからとんでもない話ができるのですがね)、手が伸びなかったのです。
 最近かなり読みやすい翻訳が発行されて、すごいお話がいっぱいあったことに気づき、遅ればせながらちょこちょこ読むこととしました。
 昔私の感性にひっかかった変な人物の集団も、日本の作品でもしばしば見かけるようになり、免疫ができたようです。
 それにしてもこのお話はトリックのみで出来上がっている、「トリックのための小説」といった感が強い。とんでもない状態で人が死んでいる。殺人事件として絶対こんなことは無理でしょうと思わせる。すごいねえ。
 ただ小説の中でも述べているが、すごい大魔術の種をあかすと多くの人はなーんだつまらないといった反応をするから、魔術師は種をあかさないといわせているが、推理小説で種をあかさないなんてありえないので、トリックだけでできている本作などはなかなか大変です。
 私はトリックの内容は分かったようなわからないようなぐらいなのですが、こんな不可能な話を作りだし、合理的?解決をして見せたのはやはし歴史に残るすごさなのでしょう。


No.440 7点 ギリシャ棺の秘密
エラリイ・クイーン
(2015/05/06 09:50登録)
 以前クイーンは苦手でしたが、新しい翻訳になって読みやすくもなったが、私自身の推理小説に対する感覚も変化してきたのかとても興味深く読むことができるようになりました。
 それにしてもこの小説はすごいですね。よくもこれだけのことを考え付くものです。最初の推理だけで十分に一冊となるところを、次々と変遷させ読者を混乱させてしまう。私など見事に手玉に取られてあれよあれよといいながらこの長い小説を読んでいました。
 クイーンの読者への挑戦で正しい答えにたどりついた事は一度もないのですが、今回はその中でも特別にダメでした。かすりもしない。
 こんな作品を作ったクイーンもすごいですが、正解できた人も本当にすごい。尊敬します。


No.439 6点 R.P.G.
宮部みゆき
(2015/04/29 21:52登録)
いつも思うのですが、女性作家が書いた女の主人公は男には考えられないような残酷、冷淡さが描かれることがあります。女性の同性に対する容赦のない冷めた視線は男性の作家には書けないところなのでしょうか。
 この小説も女はとても強くて冷たく容赦がない。宮部氏の若いころの作品はもっと弱みがあり可愛げがある女性が出てきたのですが、本作品などは若くてきれいな娘なのにここまでやるかといった強さと冷酷さが読み取られ、ちょっと引いてしまいそうです。
 さすがに読ませ上手なので最後まですらすらと読めてしまいますが、犯人当ての苦手な私でも、これは大分前に分かってしまいました。推理小説の読者というのは厄介なことに犯人を早めに当ててしまうと、それはそれで興味が薄れてしまう。といったところで評価は少し下がり気味です。


No.438 5点 真説ルパン対ホームズ
芦辺拓
(2015/04/29 21:36登録)
 これはよほど昔の外国探偵小説が好きな人でないとなかなか本当の面白さがわからないと思います。私は外国物はあまり読んでいないのでルパンやホームズはそれなりに楽しめましたが、続々出てくる外国名探偵は知らない人も多くちょっとしらけるところもありました。
 金田一耕助vs明智小五郎を読んだ後だったので、あれ?これは読んだことがある。といったものが2編ほどありました。発行年度を見ると金田一のほうが後なのでこの本が水増しではないのですが。


No.437 7点 エジプト十字架の秘密
エラリイ・クイーン
(2015/04/21 22:12登録)
 連続首なしはりつけという猟奇的殺人事件が発生し、犯人の候補と思われる登場人物が意外と少なくなっていくので、私でも犯人が当てられそうな気がしてきたところに作者からの挑戦状がある。大体こんな挑戦で犯人が当てられたことのない私でもこれは何となくわかりそうに思えるのだが・・・。
 こんな結論、全然予想していなかった。完全に作者のからくりにやられました。  すごいねえ。参りました。
 もっと高得点を差し上げたいのだが、この小説は東南ヨーロッパは残忍で、野蛮であるという差別的発想から成り立っているのがひっかかりました。アメリカだって田舎の警官が中央から来た警視に対してひどい口の利き方をしたうえに、わいろをもらって喜んでいるなんて、日本人の私から見たら相当に民族度が低いと思うけど。
 こんなことでよいのですかねえ。
 読みにくくはないのですが、ちょっと無駄に長い感じもしました。
 これがあるのでこの程度の点数と評価しました。
 


No.436 6点 明智小五郎対金田一耕助
芦辺拓
(2015/04/11 08:00登録)
 本の題名が金田一と明智となっていますが、実際に二人が登場するのは最初と最後のお話のみでした。
 私の感覚では金田一耕助が原作よりさらに不潔な感じに思えますが、全体として雰囲気や書体も原作に似せて、凝ったつくりとなっていることは間違いありません。
 続編のほうが、おどろおどろしい雰囲気が強く私としては続編の「ふたたび」のほうが好みかな。
 謎解きもきちんと入っています。こういった作品は好みが分かれるとは思いますが、推理小説の(この場合探偵小説というべきか?)好きな人なら楽しめると思います。
 私のような「僕らは少年探偵団」の唄をリアルタイムで聞いていた世代には懐かしい。テレビでもやっていたのですよ。最初に怪人二十面相の笑い声が入ったりして。
 毎週見ていたなあ。

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