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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.18点 書評数:862件

プロフィール| 書評

No.422 7点 ビブリア古書堂の事件手帖6
三上延
(2015/01/02 17:18登録)
 このシリーズは色々な古書の謎と栞子さんの家族の謎が絡みあって読んでいくものの興味を上手に引きつけています。6冊目ともなるとかなりマンネリ化しそうなのですが、メインストーリーの家族の謎がさらに深まって興味津々となってきました。
 もう1-2冊で終了とのことですが、どんな結果となるかとても楽しみです。本格推理小説と違ってある面どんな流れにでもできそうに思われますが、期待して待っていましょう。


No.421 6点 高原のフーダニット
有栖川有栖
(2014/12/31 10:19登録)
 3つの中編小説(ミステリ夢十夜は短編の集まりかも)、いずれも個性が違ってそれなりに楽しめました。
 作者の中編、短編は一発芸のようなトリックで成り立つことが多いので、トリックを考えるのも大変なのでしょう。ミステリ夢十夜は考え出したトリックがどうしても小説とするのには無理があるものをまとめたみたいで、結構面白かった。
 作者には幻想ものでないまともな?長編を望みたいのですが。できれば学生アリスで。


No.420 6点 風の日にララバイ
樋口有介
(2014/12/26 21:36登録)
 この作品は柚木草平シリーズに先立って発表されたものということですが、なるほど柚木シリーズによく似た色合いがあります。ただしこちらに主人公は変な発明はしているようだが、ほとんどプータローなのになぜか金持ち。柚木と同様良い女が寄ってきて気の利いた会話をして、なぜかよくもてる。勿論ミステリーなので謎も殺人も起きるのだが、それよりも登場人物たちの軽妙な会話にどうしても目が行ってしまいます。
 作者は主人公の佐原旬介をシリーズ化しようとも考えたらしいけどやはり柚木草平のほうがよいなあ。だいたい金持ちで怠け者でしかも女にもてるより金がなくてピーピーいっている主人公のほうが共感が持てますよ。


No.419 8点 ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密
ポール・アダム
(2014/12/20 16:48登録)
 前作がとても興味深かったので次作を読みたくて、すぐに購入しました。
 作者はイギリス人らしいが、前作同様イタリアでのお話なので、探偵も警察もイタリア人。この主人公はとてもいい。ことに探偵のジャンニは大好き。外国の推理小説でこんな感じのよい探偵は初めてです。
 推理小説としてはあっと驚くような内容は少ないが、きっちりとしあげてあります。さらにそのスパイスとして、パガニーニのお話や彼の愛器グァルネリ・デル・ジェスのイル・カノーネの話や、イタリア警察のめちゃくちゃな話など興味は尽きない。私のようなクラシック音楽愛好者にとってはたまらない魅力があります。
 ああイル・カノーネってどんな音がするのだろう!
 


No.418 6点 ○○○○○○○○殺人事件
早坂吝
(2014/12/20 16:26登録)
 タイトルあての読者への挑戦状が最初に提示され、ちょっとびっくり。答えは最後まで読むとわかるが、こんなタイトルはまず当たらないでしょう。ただ当たってもどうってことはないね。
 作者はミステリーファンらしくいろんな手口をある面では公開しつつ話を進めていく。この辺りはまずまず面白い。ただミステリーマニアなら途中でまずトリック(らしきもの)は分かってしまうでしょう。下品という評もありましたが、私はさほどに思いませんでした。

以下ネタバレ気味
 ただあの--を変身させるトリックは無理でしょうね。自分でやれますが、そのあとの腫れやなにやで絶対わかっちゃうな。


No.417 5点 丸太町ルヴォワール
円居挽
(2014/12/14 14:58登録)
 皆さんの評価が高いのに逆らって申し訳ないですが、私はこの作品は好きではありません。京大の学生さんが書いたのだから、私は頭がいいぞといった感じが丸見えに出るのはある程度仕方ないとして、言葉だけでのだましやどんでん返しだけのためのどんでん返しはどうもいただけませんでした。
 こんなことならはっきり言ってどんな結論にでも変わりうるでしょ。推理に重きをおくようなふりをしておいて、作者がここでやめとくといったところが正解なんて納得しがたいですね。
 ただ作者の力も感じましたので他の作品も読んでみるつもりです。


No.416 4点 ミンコット荘に死す
レオ・ブルース
(2014/12/06 17:41登録)
 2013年度本格ミステリ外部門で2位ということで読んでみたのですが、これは私には合いませんでした。残酷な描写やエログロではないのですが、とにかく登場人物がみんな感じが悪い。探偵もおせっかいはやかないなどといいながら、自分の興味だけで大いに他人のことに口を挟みうっとうしいやつでした。
 ミステリーとしては伏線も張ってあり意外な犯人(ミステリーを読みなれた方ならあまり以外ではないかも)もありで、まずまずなのですが、生意気な生徒、頭が悪いのにうるさい女、支離滅裂なことをやたらしゃべるのに肝心なことは語れない男などなど。
 とにかくイギリス人はこんなに自分のことしか考えない利己主義者ばかりなんだろうかと疑いたくなるような人物ばかりで不快でした。


No.415 6点 火曜クラブ
アガサ・クリスティー
(2014/11/23 14:41登録)
 アガサクリスティーのポアロと並んで重要なキャラクターとなるミスマープルの短編集。多彩な登場人物と推理比べをするというなかなか興味深い内容でした。そしてしゃべっていると田舎の話題と混同してしまうような田舎のおばあちゃんたるミスマープルが抜群の推理量を発揮して勝利を収める。
 個人的にはポアロの出てくる長編が好みなのですが、これはこれでちょこちょこ読むには面白かった。
 もちろん今となっては成立しにくいものやちょっと無理な推理もあるにはあるが、読みやすくて楽しかった。


No.414 7点 ゼロ時間へ
アガサ・クリスティー
(2014/11/12 22:23登録)
 本作品は好みが分かれるようですが、私は好きです。推理小説の物語の進み方自体を考慮した作品なんてあまり読んだことがなく、なかなか良いと思います。
 それにしても犯人は分かっているようで何度か背負い投げを食らわされ最後は---。だいたい再婚した相手と元の嫁を一緒に逢わせて楽しいわけないだろうとは思うのだが、やっぱりね。
 クリスティーの小説は登場人物があまり多くなく、外人の名前を覚えるのが苦手な私にとってとても読みやすく楽しく読みました。


No.413 6点 永遠のディーバ
垣根涼介
(2014/11/01 21:46登録)
 前作でもうこれはやめたほうがよいなどと印象を述べましたが、久しぶりに新作が出たらやっぱり買ってしまった。
 最初の「勝ち逃げの女王」はこのシリーズの登場人物や構成を大分忘れていたので思い出すのに役立った程度の作品でした。
 あーあ、やっぱりこのシリーズはネタ切れ風だなあと思っていたのですが、2作目の「ノー・イクスキューズ」でちょっともちなおしてこのシリーズに入り込むことができました。そして3作の「永遠のディーバ」は素晴らしく、感動しました。一途な人間がもう一度一途にやってみる姿勢とそれを助けるのが同じ青春を競った仲間という、ある意味くさい設定も私にはよかったです。
 4作目の「リヴ・フォー・トゥデイ」もまあおもしろい。
 全体として1作目のインパクトには及ばないが、2作、3作よりはかなり良かった。


No.412 6点 マスカレード・イブ
東野圭吾
(2014/10/25 08:03登録)
マスカレードホテルでは連作風のエピソードを詰め込み過ぎて肝心のメインストーリーが薄められてしまったのの反省?からか、今回は連作でしかも分量も数なく、サクサク読めます。
 それぞれの話も語り上手で、それなりに興味をひき一気に読んでしまいました。
 だからとても感動したとかすごいといったことはありませんが、読んで不快というものでもなく一般的に言えばまあ良かったということでしょう。
 しかし私としては作者はもっと才能ある方と思いますので、こういった薄い作品を多量に書くのはそろそろやめて、じっくりと重厚な作品を書いてほしいのですが。


No.411 6点 マスカレード・ホテル
東野圭吾
(2014/10/21 19:47登録)
 さすが東野氏は語りがうまい。一つ一つのエピソードがなかなか興味を引くのです。でも味が薄い。どうなることかと思えるようなシチュエーションを設定してくれるので、読むには退屈しないのですが、最終的にはえらくうまくいってめでたしめでたし。まあそれでも良いのですが、話を長引かせるために巧みに小話を追加したようで。
 売れっ子作家は色々と大変なのでしょうが、もう少し腰を据えて作品の質を高めてほしい。長編小説なのだが、連作集のような感じです。そのためメインの話がずい分薄められてしまい、心に響かない。
 それなりに面白くかけているのは才能でしょうが、作者が持っている冷たさが透けて見えてしまいます。初期の作品のような一途さを求めるのはもう無理なのでしょうか。
 


No.410 6点 モップの精と二匹のアルマジロ
近藤史恵
(2014/10/19 10:54登録)
 初めは平凡そうな展開なのですが、途中からかなり変わったお話となりどういう結論となるのか想像ができませんでした。
 なるほど女性ならではの目の付け方に関心するとともに、男にとっては肝心なところが抜けているようにも感じました。男女間の感覚の相違なのでしょうね。
 嫌味な小説ではないので読後感は悪くない。でももう一つ物足りない感じはありますね。


No.409 5点 147ヘルツの警鐘
川瀬七緒
(2014/10/11 07:50登録)
本シリーズの2弾、3弾は登録されているのになぜか第1弾となった本書がないので、登録しました。
 ただし、うーんこれはねえ。出だしがあまりにもグロい。ここまで書かなくてもよいのに。推理小説では時々法医学者が探偵となっている小説を見かけるけど、法医学ってこの小説のような感じのことは実はあるようです。
 昔学生時代に法医学の講義を受けましたが、豊富な写真や時に実物などを見せられげんなりしたことを思い出します。
 さらに昆虫や蛇などを網でとるシーンはいやですね。虫も蛇も嫌いなんです。
 よっぽどここで読むのをやめようと思ったのですが、解説に、初めを我慢すればあとはすらすら読めるとあったので続けて読むこととしました。
 その後は確かにまあ面白かった。だから初めのところをもう少しおさえて書いてもらえばもっと評価は上がったと思います。
 でもこういったグロテスクなのが好きといわれる方もいるでしょうからこれでよいのかも。


No.408 8点 ヴァイオリン職人の探求と推理
ポール・アダム
(2014/10/06 07:46登録)
 あまり聞いたことのない作家で翻訳題名も中身そのものの。なんだか垢抜けない題名としたものだが原作そのものの小説名だったら読まなかったかも。
 確かに推理小説ですががちがちの本格物ではなく、感じのよいヴァイオリン職人のジャンニがヴァイオリンの専門知識と人脈とそして適度にイマジネーションを働かせて解決へいたるお話です
 グァルネリやストラディバリなどヴァイオリンの名器の値段や売買はこんなふうにされているのだと大いに驚きました。真贋も偽物を作った本人が鑑定していればどうしようもない。なんということでしょう。
 クラシック音楽に興味がなくても十分に楽しめると思いますが、興味のある人間にとっては演奏者やヴァイオリンの名前が出るとその演奏が耳に頭に響きより心地よいのです。
 海外ミステリーにありがちな異常性格の探偵ではなく、心あたたかで超一流の職人という素晴らしい名探偵の出現に乾杯!


No.407 5点 天使はモップを持って
近藤史恵
(2014/09/23 08:20登録)
 話が軽いのですらすら読めるが、特別に面白かったり感動したりというものではないようです。
 ビル掃除はほとんどおばさんがやっているものと思っていたので、こんな設定はびっくりするとともに何となく違和感があります(私が古いのかもしれませんが)。
 でもこのお話を読むうえでは許せてしまう範囲でしたが、主人公の大介の優柔不断さと、女性目線からのストーリー展開がどうもなじめませんでした。


No.406 4点 人形の部屋
門井慶喜
(2014/09/21 08:31登録)
 専業主夫と中学生の娘が中心のお話で、心温まる家庭推理小説ということのようだが、どうも私には合わなかった。別に嫌いというわけではないのですが(そういった類の話ではない)、登場人物に心が動かないのです。
 連作集なので一つの作品はそれほど長くはないのですが、薀蓄が長くてくどい。最後の「お子様ランチで晩酌を」にいたっては大体話が結論づいてからくどくどと凡長な会話が続きいやになってしまう。

以下ネタバレが多少あります。

タイトルの「人形の部屋」はなかなかの推理なのだが、証明がむちゃくちゃでしょう。このお父さんの性格でこんな思い切ったことはきっとしないでしょ。だいたいもし間違っていたらどうするの?すごく違和感がありました。知り合いのレントゲン技師か医者に頼んでレントゲン撮影でもしてからなら話は分かるんだけど。


No.405 6点 検事の本懐
柚月裕子
(2014/09/13 20:09登録)
 法曹物はどちらかというとあまり好きではないのだが、この連作集は面白く読みました。どの話もかなり興味深い。
 ことに第4話の拳を握るでは特捜班に派遣された佐方が尋問する相手にあらかじめ上から作った書類にハンコを押すように強制することを押し付けられるシチュエーションにはびっくしました。
 検察の特捜班は花形と思いますが、この小説のように取り調べる人の都合など全く無視で自分の作ったシナリオに合わせることのみを考えているとしたら、誤認逮捕なんていくらでも出るのでしょう。本書の最後に元検事から監修をいただいたとあるから、本当にこんな組織なのでしょうか。かなり考えさせられるお話でした。


No.404 6点 エデン
近藤史恵
(2014/09/13 19:58登録)
 サクリファイスの続編。サクリファイスを読んでから読まないとだいぶん興味が薄れると思います。ミステリーとしての要素は少ないのが、稀有な自転車ロードレースのお話とすれば相当によかった。謎解きといわずに読んでいればあと2点ぐらいあげてもよいと感じています。


No.403 7点 サクリファイス
近藤史恵
(2014/08/27 07:30登録)
 はじめ自転車ロードレースのお話ということでどうかなと思ったのですが、全く問題なく十分に楽しめました。
 本サイトの書評では高評価とそうでないものの差が大きいようですが、私には十分によかったと感じています。
 本格推理としてみれば確かに肝となる性格がほとんど描かれていないことが問題といえるかもしれませんが、あの人、実はこんなこと考えていたんだなんてことは現実にもありうることだと思います。私にはあまり違和感なく受け取れました。

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