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ミステリの祭典

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天久鷹央の推理カルテ
天久鷹央の推理カルテシリーズ

作家 知念実希人
出版日2014年09月
平均点5.20点
書評数5人

No.5 6点 mozart
(2024/03/23 17:35登録)
可愛らしい容姿で天才的な頭脳と専門分野での追随を許さぬ博識に加え驚異的な推理能力を持つ若い女性医師が変人(奇人)探偵役でワトソン役(?)の相棒男性へのツンデレ的な掛け合いとかこの手のキャラ造形としてはパターン化していますが謎解きとしてはそれなりに楽しめました。勿論医学知識ゼロの読者としては推理する手立てがないので所謂本格ミステリーとして楽しむことは難しいと思いましたが。

(ややネタバレ)
「毒」の正体については生活習慣病治療中の身としては割と有名なことなので想像の範囲内でしたが○○症候群はさすがに分かりませんでした。

No.4 6点 まさむね
(2023/07/22 18:57登録)
 人気シリーズの第一弾。シリーズ全体で売れているのは分かりつつも、何となく手を出しづらかったワタクシでしたが、やっぱり読んでみないことにはね…と一念発起(そんな大げさなものでもないか)。
 河童出現の謎を解く1話目の時点では、正直「むむぅ…」といった評価だったのですが、次第に盛り返してくれました。最終話では、病気の謎に病院内の権力闘争も絡むという医療ミステリ定番の流れから、痛快に締めてくれました。確かに、シリーズ化されて売れそうな要素があります。

No.3 2点 makomako
(2015/03/06 20:53登録)
 ああだめだ。こんなばかばかしい話に付き合いきれない。
 キャラが立っているとの評価があるが、こんな乱暴な言葉使いでしかも引きこもりでなんてありえないでしょう。しかも主人公の小鳥遊がいかにもなさけない。
 つまらなかったね。

No.2 5点 E-BANKER
(2015/01/11 21:10登録)
医療法人天医会総合病院。その副院長にして統括診断部長である天久鷹央を探偵役とした連作短編集。
「統括診断部」とは、他の診療科では持て余した患者を主に診断する・・・というどこかで聞いたような設定(海○氏の愚痴外来?)なのだが・・・

①「泡」=医療ミステリーの筈が、何とテーマは「カッパ」! 不気味な池に出没するというカッパが実在した(?)という謎に挑む医師・天久と助手の小鳥遊(“たかなし”と読む)。こういうリアリティの薄い現象に科学的解決を付けるというのが、こういうミステリーの肝となるのは明らか。
②「人魂の原料」=カッパの次は「人魂」の謎。夜中の病棟に現れる人魂は本当に霊の仕業なのか・・・?というストーリーなのだが、一旦解決がついたと思ってからの二段構えのトリック。そこにひと工夫あり。
③「不可視の胎児」=これは結構ヘビーな内容。①②は非科学を科学で解き明かすというスタイルだったが、本編は純粋に医療ミステリーとなっている。謎の解明がメインではあるのだが、それ以上に「出産」という事象を通して天久のキャラをより人間的に魅せているのが良い。連作短編としてはこういうキャラ付けは必要だろう。
④「オーダーメイドの毒薬」=①の話中で登場した母親に医療ミスで訴えられた天久。ミスでないと主張するのだが、なかなか証拠が見つからない・・・というピンチを描く最終譚。「毒薬」とは言ってもこういう毒薬もあるのねぇ・・・。大病院での主権争いというのも医療ミステリーの“あるある”のひとつ。

以上4編。
作者の知念氏は東京慈恵会医科大学卒の現役医師。2011年に島田荘司氏が審査員を務めるミステリー大賞を受賞しデビューというプロフィール。
最近本作みたいな「理系寄り」のミステリーって増えたなぁー
医療ミステリー自体は大好きだし、この手の連作形式も好み。
・・・なのだが、やっぱり若書きというか、読み物として何とも言えない「浅さ」が気になる。
(もともと若手読者を意識したレーベルだし、キャラ重視というところもあるのだろうけど・・・)

もう少し作家としての「磨き」が必要なのだろうな。(生意気な書き方だが・・・)
(書き方やプロットからして続編が出るんだろう・・・)

No.1 7点 メルカトル
(2014/11/08 22:23登録)
天医会総合病院の副院長にして、統括診断部部長、天久鷹央が天才的な頭脳を駆使して病院内の事件を解決する、メディカル・ミステリの連作短編集。鷹央は女性である、念のため。
タイトルに「推理カルテ」とあるように、医学、医療と院内で起こる様々な事件が有機的に繋がりを持っており、単に現場が病院であるというだけではないところが異色である。作者は現役の医者であり、持てる医学的知識を駆使して見事に事件を解決に導いている。それと同時に、まるでベテランの推理作家と見紛うばかりの文章力を見せつけており、読者を引き付けて離さない魅力を遺憾なく発揮しているのはさすが島田荘司氏に見いだされた実力者と言わざるを得ない。
探偵役の鷹央は細かいディテールまで描き込まれており、実に個性的な人物像を確立していると言える。例えば
・いつも薄緑色の手術着の上にぶかぶかの白衣を羽織っている
・小柄で幼く見えるため、実年齢は27歳だが高校生と間違えられる
・猫のような丸い目をしており、たまにその目を細めるくせがある
・事務長の姉がおり、彼女を恐れている
・運動神経が弱いため、何もない廊下でよく転ぶ
・目上、初対面、患者に対しても敬語は一切使わない(お前呼ばわりする)
等々、枚挙にいとまがない。
そして、この作品の読後感の爽やかさはどうだろう。とにかく後味が素晴らしく良い。一度読んでみていただきたいものである。
当然、シリーズ化されるものと期待しているが、こうした隠れた良作は、もっと多くの人に読まれるべきだと声を大にして言いたい。

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