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ミステリの祭典

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こうさんの登録情報
平均点:6.29点 書評数:649件

プロフィール| 書評

No.389 7点 海を見ないで陸を見よう
梶龍雄
(2009/10/27 00:10登録)
 昨年発売された本格ミステリフラッシュバックというガイド本のお薦めで読んでみました。
 本作品は透明な季節の続編にあたり昭和20年代を舞台にした青春ミステリといった趣きでした。正直犯人を含めた登場人物の心理は理解し難いところもありますし殺人トリックもどうということはないのですが確かに伏線が多数張られている作品で作品の構成は楽しめました。
 これから梶龍雄作品を読み進めていきたくなりました。


No.388 7点 宵待草夜情
連城三紀彦
(2009/10/19 02:11登録)
 明治~昭和中期(主に大正)の男女の色恋を軸に、いずれも女性側に焦点が当てて描かれたいかにも連城三紀彦らしい作品集です。
 計5作品ありますが個人的には「野辺の露」の真相が一番気に入っています。トリッキーではありませんが初めに提示された真相を反転させるテクニックはこの作品集でも見事です。また文章も美しく「戻り川心中」が好きな方にはお薦めできる作品集です。 


No.387 6点 新参者
東野圭吾
(2009/10/18 04:38登録)
 久々の加賀刑事シリーズは日本橋を舞台とした連作短編集でした。一応メインとなる殺人事件もありますが聴きこみに回る加賀刑事と日本橋の住民の交流がメインの作品でした。
 本格色はうすいですがこういうしみじみした作品も悪くないと思わせてくれる作品です。加賀刑事のキャラクターもこの作品にも上手く合っていると思います。
 ただ殺人事件としては物足りないので今後の加賀シリーズに期待しています。


No.386 2点 最後のディナー
島田荘司
(2009/10/18 04:26登録)
 これを読んでいた頃はまだリアルタイムで購入していましたがシリーズキャラクターに愛着がない読者には全く面白みを感じない作品だと思います。「大根奇聞」だけでは到底元がとれないと思った作品でした。


No.385 5点 T型フォード殺人事件
広瀬正
(2009/10/18 04:13登録)
 何よりストーリーに引き込まれなかったのにつきます。〇〇トリックが使われた作品での中では非常に古い作品ですがおそらくそれを全面に出そうと意識した作品ではないのでしょう。また本筋のトリックも面白みにかけます。〇〇トリックは当時としては斬新だったと思うのですが見せ方がうまくなくもったいないと思います。 


No.384 7点 ラットマン
道尾秀介
(2009/10/18 04:05登録)
 ラットマンというタイトルの意味も含め十分楽しめました。一気に読ませる力がありひきこまれましたが終盤の展開自体は上手いなあとは思いますが既読感のあるミスリードでありあまり衝撃を受けませんでした。
 個人的には既読作品の中ではカラスの親指に一票入れたいです。


No.383 8点 戻り川心中
連城三紀彦
(2009/10/18 03:57登録)
 個人的には美しさを排除したよりトリッキーな「夜よ鼠たちのために」の路線の方が好きですが花葬シリーズの美しさは皆さんが挙げている通りだと思いますし戻り川心中は最も連城ミステリを上手く説明できる作品だと思います。
 ただミステリ作品が戻り川心中くらいしか店頭に並んでないのが残念です。個人的にはこれをとっかかりに他作品に進んでほしい作家です。  


No.382 5点 46番目の密室
有栖川有栖
(2009/10/18 03:36登録)
 今にして思えば作風は地味ですが火村英生初登場の作品として無難かなと思います。「ペルシャ猫」や「ダリの繭」、「海のある奈良に死す」に比べればこういった作品世界を展開してゆく、というコンセプトに合った作品だったと思います。ただこの作品もそうですが丁寧とはいえ有栖川氏の密室は正直地味で面白みに欠けると思います。
 そろそろ江神シリーズの双頭の悪魔に匹敵する火村シリーズの傑作をできれば密室とダイイングメッセージ抜きで読みたいです。


No.381 6点 片眼の猿
道尾秀介
(2009/10/14 03:27登録)
 お話としては明るく、キャラクター造形もよく面白いので読んで損はないと思います。
 いわゆる終盤のサプライズも含めての真相は前例もありあまり驚きもなく正直既読感のあるものでしたがキャラクターとストーリーが楽しめればいいのかなあと個人的に思います。


No.380 7点 シャドウ
道尾秀介
(2009/10/14 03:18登録)
 真相はかなり重くまた鳳介、亜紀の二人の小学生が深くかかわっているのですが小学生に耐えられる話とは思えません。ただこの2人のおかげでラストは救いがあり思ったほど暗くならないのでその点は良かったです。ただ精神疾患を扱っていること自体が個人的にはあまり好きではありません。
 真相の転がし方はリチャードニーリィーや折原作品の様ですが見せ方は上手いなと思います。


No.379 8点 カラスの親指
道尾秀介
(2009/10/14 03:06登録)
 この作品は収穫でした。推奨の帯だけでは中年詐欺師2人の生活に一人の少女が同居、更にその姉、姉の彼氏の計5人での共同生活が始まる、という本当に触りしか書かれていないのが逆に良かったです。
 メインストーリー、キャラクター造形も楽しめますし、真相も良かったです。真相については既に書かれている方もいますがいくらも前例がありますが見せ方が上手いので全く問題ないと思います。ストーリー全体としてみれば本当に上手くいくかは微妙ですがこういうストーリーを読ませてもらえば個人的には満足でした。ただ全作品を読んだわけではないですが道尾秀介氏の作品ということで察しがつく読者もかなりいそうです。


No.378 2点 向日葵の咲かない夏
道尾秀介
(2009/10/14 02:54登録)
  この作品は本格の枠組みに入る、入らないという問題もあるのでしょうが、読了後のカタルシスがなく個人的には「読み心地の悪さ」につきました。というより読了するのが苦痛でした。
 道尾秀介の作品を最近まとめて読んだのですが刊行順に読まなくて良かったと思います。これから読んでいたら他作品を読まなかったかもしれないなあと思っています。


No.377 7点 霧に溶ける
笹沢左保
(2009/05/04 01:47登録)
  そもそもコンテストで優勝するために他の候補者を殺すという動機自体ナンセンスな気がしますが社会派全盛時はOKだったのでしょう。
 個人的には犯罪計画の全容そのものは気に入っています。類似作はいくつもありますが50年前に書かれたことを踏まえれば非常に意欲作だと思います。 
 また成功、失敗はともかくトリックが惜しげもなく使われているところは感心しました。ただストーリーとトリックが合っていない気もしますし正直もったいない気がします。


No.376 6点 絶叫城殺人事件
有栖川有栖
(2009/05/04 01:31登録)
 内容は一作一作違うのに同じような雰囲気の作品が集まり特にどの作品が気に入ったということはないのですが作品集全体としては割と気に入っています。国名シリーズの一部のやっつけ仕事みたいなのと比べれば全然良いと思いました。


No.375 6点 マレー鉄道の謎
有栖川有栖
(2009/05/04 01:19登録)
 目張り密室トリックは面白みがなく類似トリックの作品もありますが密室トリックだけの作品ではないと思います。
 個人的には「双頭の悪魔」が一番好きなのですがこの作者の本領はそもそもアクロバティックなものよりも地味ですがロジックを積み上げて犯人を指摘してゆく所にあるのだと思うのでその点この作品は真相は地味ですが〇〇だから犯人は〇〇だとするロジックの積み重ねがあり有栖川作品としては成功作だと思います。
 犯人が安易に殺しすぎな点や二人目の殺人動機などは好きではありませんが全体として評価すべき作品であり本来はもっと高評価でもよい気がしました。
 自分が「ロジック」に対する面白みがもっと理解できればもっとこの作品に感動できたのかもしれません。 


No.374 5点 妃は船を沈める
有栖川有栖
(2009/05/04 00:53登録)
 先に書かれている方の通りでこれは長編とは言えず中編+中編でしょう。
 良くも悪くも妃沙子というメインキャラクターの造形に依存した作品だと思います。
 第一部「猿の左手」は典型的な〇〇トリックのバリエーションで非常にわかりやすい作品でした。第二部「残酷な揺り籠」はロジックで暴いてゆくスタイルで悪くないと思います。
 個人的には妃沙子というキャラクターがイメージできず特に第二部は動機にもかかわってくるのでその点は不満ですがロジックで犯人を暴くスタイル自体は悪くないと思います。


No.373 3点 パラドックス13
東野圭吾
(2009/05/04 00:32登録)
 今作品はSF以外の何物でもありませんでした。この作品の世界にのめりこめる方なら楽しめると思いますが個人的にはだめでした。また「どうして彼らがその世界にいったのか」というより「どうして彼ら以外の人間が世界から消えたのか」という謎があるのですが作品にのめりこめないと正解がわかっても大して感動が得られません。
 個人的には自分がSFに合わないのが再認識された作品でした。


No.372 6点 暗い傾斜
笹沢左保
(2009/02/09 00:08登録)
 女社長が発明家の研究員と共謀して株価操作をした疑いで株主総会は紛糾していた。その直後研究員は失踪し不審死で発見され女社長に疑いがかかり、というストーリーです。
 メイントリックの成功はキャラクター造形に関わっていると思いますが可能性でいえばありかなと思いました。電話のトリックはいくらなんでも通用しないと思いますが。
 犯人の自分勝手すぎるところもありますが出来としては悪くないと思います。物理トリックよりも心理トリックを上手く使った作品として趣向は悪くないと思います。


No.371 7点 ふたたび赤い悪夢
法月綸太郎
(2009/02/08 23:50登録)
 「頼子のために」を引きずった作品という印象が非常に強いです。「雪密室」の後編の趣きですが先に読んでなくてもネタバレはありませんが少なくとも「頼子のために」はネタバレもありますし読んでない読者には作者の思いが伝わらない作品でしょう。
 正直そこまで悩まなくてもいいのになあと思いますしクイーンをそこまで踏襲しなくてもと思います。法月綸太郎探偵のためには必要であろう葛藤の部分は個人的には嫌いですし読者も求めていないと思いますが作者と探偵には必要なプロセスなのでしょう。心の葛藤部分がない方が短くまとまりますし個人的には好きですがそれをひっくるめての作品なのでしょう。
 他作品を読んでないと入り込めない作品というのも個人的には好きではありませんが「殺人事件」の内容の方は割と気に入っています。


No.370 5点 雪密室
法月綸太郎
(2009/02/08 23:35登録)
 個人的には発売順に読んでいったのですが法月綸太郎初登場作品としてよりも「ふたたび赤い悪夢」の前編といった印象が現在は強く感じます。
 メイントリックは正直お粗末ですしプロローグもかなり見え見えですが昔懐かしいお屋敷、怪しい動機の持った類型的な登場人物たちといった作風は割と好きです。
 法月親子の設定も書かれており初登場作としては上々かと思います。

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