こうさんの登録情報 | |
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平均点:6.29点 | 書評数:649件 |
No.449 | 5点 | 本格・結婚殺人事件 辻真先 |
(2010/03/29 00:58登録) ポテト、スーパーのシリーズが好きな方の期待を裏切らない作品だと思います。作者らしい構成、落ちの効いたいつもの作者らしいメタ作品に仕上がっています。 だじゃれの様なダイイングメッセージのくだりやしょうもない短編(意図的でしょうが)などミステリとしての出来はともかく作風は好きです。 |
No.448 | 9点 | 紫の傷 連城三紀彦 |
(2010/03/29 00:46登録) 「顔のない肖像画」 のkanamoriさんの書評に出ていたので興味を持ち読んでみました。 正直この本のタイトルすら知らなかったのですが正に連城節炸裂の短編集で大満足でした。 赤川作品の幽霊列車のパロディ(?)のゴーストトレインはこんな作品も書くんだなあ、という思いはありますが個人的にはそれほど面白くありませんでしたが表題作と「落書きの家」は特に楽しめました。 「眼の中の現場」については「夜よ鼠たちのために」や「暗色コメディ」 の様に医療(医師や患者など)を扱っていますが守秘義務に抵触するようなことが一般人に漏れたり真相の一部が実際の医師、医療現場にそぐわないと思われる所が不満ですがこれも真相の反転は見事です。 初期の長編や「夜よ鼠たちのために」の系統が好きな方にはお薦めできる良短編集でした。 |
No.447 | 6点 | あわせ鏡に飛び込んで 井上夢人 |
(2010/03/20 23:31登録) 「ノックをまちながら」や「さよならの転送」などが比較的岡島作品に近い感じがして好きです。井上作品らしい「あなたをはなさない」はインパクトは一番あると思いますが個人的には好きではありません。 井上作品よりも岡島作品の方が好きなのですが出来はともかく岡島時代の今では書かれないタッチの作品も読めて満足です。 |
No.446 | 5点 | 四捨五入殺人事件 井上ひさし |
(2010/03/20 23:22登録) 出版当時NHKの連続テレビドラマでやっていたのを見た記憶があります。小学生の頃で先にテレビで見たこともあり当時は〇〇落ちを見て何だこれはと思った覚えがありますが今思えば〇〇落ち初体験の作品ということでは感慨深いです。もう4~5年経ってから読んだり見たりしたかったなあと思います。後年原作を読むと大事な「農業」の部分とかがテレビではカットされていたことがわかりましたが概ね忠実だったことに感心しました。 |
No.445 | 5点 | 龍神の雨 道尾秀介 |
(2010/03/20 23:10登録) 派手なしかけがなく比較的真相が予想しやすい作品だと思います。真相、ストーリーがとにかく暗く重たいお話ではありますが他の作品と同様この作品も読みやすいと思います。 少しネタバレですが一方の兄弟に対しては救いのないお話でありある意味残酷な真相だなあと思います。楽しめたのですがあまり再読したくなる作品ではありませんでした。 |
No.444 | 6点 | 8の殺人 我孫子武丸 |
(2010/03/20 23:00登録) この作品だけでいえば「遊び心」が全面に出すぎている気がしますがデビュー作ですしまあいいのかな、と思います。 スプラスティックな作品については個人的には海外のは読んでもくすりともできませんがこのシリーズはミステリの出来と関係なく好きです。 なにはともあれ「殺戮」の作者が世に出たわけですから島田氏の功績は大きいと思うのですが江守森江さんも触れておられましたが私も島田氏の解説(?)はいただけないと当時思いました。「本格ミステリー館 」でも綾辻氏と全然噛み合ってませんでしたし正直島田氏の考え方、思想は「合わないな」と90年代読んでいて思ったのを思い出します。 |
No.443 | 2点 | クリスマスの4人 井上夢人 |
(2010/03/19 22:43登録) おそらく初めから合理的解決をしよう、つじつまを合わせようと考えていないのでしょう。この作品や「メドゥサ、鏡をごらん」は作者の狙い通りなのかもしれませんが個人的には楽しめません。 |
No.442 | 6点 | ファンレター 折原一 |
(2010/03/19 22:30登録) 元々パロディとして書かれていますので肩に力をいれずに読める作品だと思います。 本人はガイド本でボブランドールの「ファンレター」を挙げていましたがそこから手紙形式、狂人といった設定のアイデアを思いついたのかもしれません。 |
No.441 | 7点 | 沈黙の教室 折原一 |
(2010/03/19 22:23登録) 所謂折原作品の第二の特徴になったインタビュー形式を取り入れた作品の中では良くできた作品かもしれません。 ただ個人的には推理作家協会賞はこれより倒錯のロンドや倒錯の死角の方が折原作品らしくふさわしいのになあと当時思いました。 |
No.440 | 7点 | 倒錯のロンド 折原一 |
(2010/03/19 22:13登録) 折原作品らしい狂人のお話ですし楽しい内容ではないですが発売順に読んでいたので個人的には楽しめました。 読んでいて「しつこい作品」だなあと思いますがここまで徹底すれば大したものと当時は思いました。ただ加筆したあとがきは別にいらないなあと思いました。 再読して楽しめるかはわかりませんが。 |
No.439 | 4点 | 黒衣の女 折原一 |
(2010/03/19 22:06登録) ストーリー、展開はいつも通りですが個人的には犯人が連続殺人をする必然性が欲しいです。この作品の様な犯人ならなんでもありですから。 いわゆる時間のずらしはミステリを読みなれている方なら予測範囲でしょう。 最後の下りはどちらでも構わないと読んでいて思いました。 |
No.438 | 1点 | 鬼頭家の惨劇 折原一 |
(2010/03/19 22:02登録) これまでで最低の出来と思った作品です。舞台設定は悪くないと思いますがホラー(としていいかもよくわかりませんが)ではなくミステリと表記しているにもかかわらず展開、結末はミステリとはとても思えない出来栄えだと思います。 暗闇の教室 あたりからタイムカプセルまでは我慢しながら読んでいましたが低調で現在は全く読んでいませんしこの作品が最もつまらなかったです。 |
No.437 | 6点 | 球体の蛇 道尾秀介 |
(2010/03/18 01:08登録) 読みやすく一気に読了できましたがこれまで読んだ道尾作品と違いミステリ要素がほとんどない作品でした。青春小説様でその割には主人公はかなり身勝手で青臭い感じで魅力が感じられず感情移入しづらいです。「ナオ」の父親も同様です。本を読んで真っ先に感じるのは同じ境遇にあった3人で一番若い「ナオ」に対する男2人の配慮はあまりにも欠けており結末はともかくストーリー中の「ナオ」の扱われ方はかわいそうだなあということでした。 これまでの作品同様のひねりを期待する方なら拍子抜けするかもしれません。今回のはひねりといえるかどうか。 発表ペースが速いのは喜ばしいですが本作品と同様の方向にはあまりいってほしくないです。 |
No.436 | 8点 | 顔のない肖像画 連城三紀彦 |
(2010/03/18 00:58登録) 本の裏の文面を見ても全くミステリを強調されていませんがまぎれもない連城ミステリ短編集だと思いました。 真相が一気に反転するというより予想通りの落ち、展開に落ち着くものも多いですが個人的には大いに楽しめました。表題作と「ぼくをみつけて」が気に入っています。 一番ミステリらしいのは「ぼくをみつけて」で「どこまでも殺されて」のような謎の電話をモチーフとしたストーリーです。 |
No.435 | 5点 | ソロモンの犬 道尾秀介 |
(2010/03/15 01:12登録) 道尾作品も何作か読み進める中で勝手な思い込みと期待をもってしまい十分水準作だと思いますが期待したのとは違ったというのが正直な所です。 個人的には「アクリル板」のストーリーはそのあとのミスリードのために無理やりつけた感じがしていらないなあとも思いますがやはりあそこでひねらないと道尾作品ではないのかなあとも思います。真相自体は他作品と違い予想しやすいですが相変わらず読みやすいですし楽しめました。 |
No.434 | 5点 | どんどん橋、落ちた 綾辻行人 |
(2010/03/15 00:54登録) 10年くらい前の初読時は「こんなのわかるわけねーよ」と思うだけでしたが中西智明氏の作品や有栖川氏との対談集の「ミステリ・ジョッキー2」に収録されている「ナイト捜し」などを読むと最近は「京大ミステリ研らしい」所に少し感心します。しかしこれらが世に出たことで今ではこういう作品も「誰にも解けない」作品にはならなくなってきたのだろうなあと思います。 個人的にはこの作品集の様な作品で解けなくてもやられた、という爽快感が薄いのでこんな本ばかりだったら嫌ですが一冊くらいならいいのかな、とも思います。 ただ「意外な犯人」のトリックはもっと以前に類型トリックを読んでいた気がして簡単にわかりましたしこの本の中ではおとなしい印象です。「伊園家」は悪ノリしすぎて不快でした。 |
No.433 | 6点 | 綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー2 アンソロジー(国内編集者) |
(2010/03/15 00:39登録) 対談は相変わらず好調です。二人の作品「黒鳥亭殺人事件」、「意外な犯人」は既読でしたが自作解説付きですのでそこが楽しみとなるかどうかだと思います。 「親愛なるエス君へ」は実際のパリの人肉食事件を読者の念頭に置かせた上での超絶技巧の流石の連城三紀彦作品といったところですが個人的には作品の出来と関係なく読み心地の悪さが先に来てしまいます。ある意味連城ミステリの頂点とも思いますが初めてこの本で連城三紀彦作品と遭遇するかもしれない読者にいきなりこの作品はないだろうという思いもあります。 やはり対談とセットで楽しむ本で通常のアンソロジーとは趣きが違うことは再認識されました。 |
No.432 | 6点 | 綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー アンソロジー(国内編集者) |
(2010/03/15 00:20登録) 収録作品の中では乱歩の「赤い部屋」とカーの「新透明人間」が個人的に面白かったです。有名作品なのかもしれませんがこれまで未読でした。クイーンの作品については対談で褒めまくっていましたが個人的には出来の悪いダイイングメッセージものとしか思えなかったです。ドイルの「技師の親指」はおそらく小学生の時以来20年以上ぶりの再読で懐かしかったです。泡坂氏のヨギガンジーの1作目から「ヨギガンジーの予言」が収録されているのも個人的には既読でしたが手に入りやすくなるのはいいことだなあと思いました。 対談部分は二人の意気もぴったりといった感じでまあまあ楽しめます。収録作品だけでなく対談もひっくるめて楽しむ本なのでしょう。 |
No.431 | 6点 | プリズン・トリック 遠藤武文 |
(2010/03/15 00:08登録) 最近の乱歩賞作品の中では本格色が強い意欲作だったのではと思います。選評を読んでも思った以上に好意的なのにはむしろ驚きました。ただ帯の「乱歩賞史上最高のトリック」というのは本当に東野氏は言ったり書いたりしたのでしょうか。流石にここまで誇張しなくともと思います。作品についての意見は他の皆さまと大体同じです。次回作も本格作品の方向で期待したいと思います。 |
No.430 | 1点 | 世界の名探偵50人 事典・ガイド |
(2010/03/14 00:36登録) 有栖川有栖の「本格ミステリの王国」のコメントを書こうとしてこの「タイトル」にぶつかりました。この本の内容は全く覚えていませんがどの本も一緒なので以下は藤原宰太郎作品全般に対する感想です。 尚読んだことのある方は採点してもっと平均点を下げて頂ければ幸いです。(正直臣さんの高得点が意外です) もし古本屋で「藤原宰太郎」を見つけたら絶対に手にとってはいけません。 どの本もネタバレの嵐でよく海外ものを読む方で「以前からトリックだけは知っていて」というコメントが出るのはおそらくほとんどこの男のせいです。 この本かは覚えていませんが小学生のころドイル、クリスティと読みすすめたころにうっかり三冊ほど読んでしまい「〇〇な犯人一覧」というのを見たばっかりに「オリエント急行」や「アクロイド」、「X」、「Y」、「黄色い部屋」「グリーン家」など軒並み犯人が誰かわかってあとで悔しい思いをしました。(「占星術」で先に金田一を読んでしまった方は想像しやすいかと思いますが一冊でのネタバレ量は半端ではないです。) 対象がミステリ初心者向けの推理クイズ形式にもかかわらず作品名や犯人像、トリックなどを予告なく無造作にネタバレする本なので今後海外古典を手にとってみようと少しでも思っている方は絶対に読んではいけません。「ユダの窓」などのカーの密室トリックや「密室の行者」「茶の葉」などトリックに面白みのある作品を台無しにする本です。またクイズの幕間の特集ページで前述のようなネタバレを一気に掲載してしまう非常に悪どい本です。また読んだ時は気づきませんでしたがマイナーなアラングリーンの「くたばれ健康法」やパリ万博の逸話「消えた貴婦人」などあらゆるネタバレがされていました。 今でも読んだことを激しく後悔しています。冗談抜きで殺意を覚えました。 この作者の本で「ミステリ好き」になった読者は果たしてどれくらいいるのでしょうか。 |