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ミステリの祭典

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あびびびさんの登録情報
平均点:6.33点 書評数:669件

プロフィール| 書評

No.609 7点 暗い鏡の中に
ヘレン・マクロイ
(2017/12/14 23:21登録)
序盤、中盤と読みごたえは十分だった。自分は通勤と、寝る前の数十分を読書タイムにしているが、いつも本を手に取るのにワクワクした。

確かに結末は予測できないものであり、驚きもなかったが、サスペンスの妙を十分に楽しめた。香り高い佳作と思う。

同じ感覚のカーの「火刑法廷」よりはこちらの方が好みである。


No.608 9点 わが心臓の痛み
マイクル・コナリー
(2017/12/11 01:20登録)
久しぶりにワクワクしながら読んだ。ハリー・ボッシュもいいけど、テリー・マッケイレブも最高。表紙がクリント・イーストウッドだったから、その姿を思い浮かべながら読んだのが効果的だったかも知れない。

アメリカ、イギリス、フランスで賞を取ったのも頷ける。


No.607 7点 涙流れるままに
島田荘司
(2017/11/15 01:09登録)
今まで3冊しか読んでいないが、この作者との相性はあまり良くない。自分が醒めた人間だからかもしれないが、序盤の通子の生い立ちの部分の件の長さには辟易した。言いたいことはすぐに分かったが、あまりに饒舌である。それで、50ページくらいは飛ばし読みした。

それから途中、色々な部分でもかなりページを飛ばした。自分は本を読む資格ないなと思いながら、後半に入った。吉敷刑事は好きである。しかし、他の部分の描写がくどすぎる…。

それでも、上司との殴り合い、冤罪解決かどうかの部分には力が入った。そして、最後には涙を貯める自分がいた。う~ん、これは力作だ。ぜひ、他の作品も読まなければ…。


No.606 5点 メグレのバカンス
ジョルジュ・シムノン
(2017/11/09 13:22登録)
旅行好きな自分にとって、ヨーロッパ人のように何週間も避暑地や観光地でバカンスを楽しみ、休養する習慣は羨ましい限りだが、メグレ警視の場合は奥さんが突然盲腸で入院し、それとは別に殺人事件に遭遇するというパターン。

犯人はあの人しかいない…といパターンだが、それでも意外性を求めて読み続ける(笑)自分としては、質の良い土曜サスペンスを見た感じかなあ。


No.605 6点 赤毛の男の妻
ビル・S・バリンジャー
(2017/11/09 10:45登録)
裕福な男と結婚している女性の前に、以前結婚していた脱走犯が現れた。時代のひずみで離ればなれになったが、ずっと忘れられない、相思相愛、運命の男と女だった。

当然現在の夫は別れを拒否するが、やむなく脱走犯がピストルで殺してしまう。それから始まる逃走劇…。「いずれ逮捕される!」と、二人は覚悟して逃げるのだが、その悲哀、絶望がこちらに伝わってくる。


No.604 8点 サム・ホーソーンの事件簿Ⅰ
エドワード・D・ホック
(2017/10/13 12:15登録)
久しぶりに楽しめた短編集だった。長編にすればもっと謎が深まりそうな題材もあったが、サム・ホーソーンが軽いフットワークで推理する。中には、現実的に無理なのでは?というのもあったが、これはこれで楽しめた。

しかし、これだけトリックを使って、後の作品は大丈夫なのか?と思ってしまう。


No.603 3点 ノア・P・シングルトンの告白
エリザベス・L・シルヴァー
(2017/10/10 01:17登録)
親がいなくても、人それぞれの成長がある。この主人公の場合は、正常であるような、屈折したような、その不明瞭な感覚が物語になっている。でも、最後はそれがパチッと解き明かされると思いきや、ほとんど何も変わっていない。

読み始めは凄く期待したが、なんか、疲れただけの本だった。アメリカでは色々賞をもらったらしいが、日本人的感覚ではないかも知れない。


No.602 6点 沈んだ船員
パトリシア・モイーズ
(2017/10/08 00:51登録)
最初に読んだ「死人はスキーをしない」と同じで、犯行現場、その他、犯人の行動範囲を鑑みると、ほぼその人物に行きあたる。そのあたりが物足らないというか、クリスティ信奉者である自分には刺激が足りない。

ただ、スキーにしても航海術にしても、その内容、解説、分析はその道のプロではないかと思わせるほど濃厚で、サービス満点だ。

でも、スキーとこの作品、同じ刑事(ヘンリ・ティペツト)なのに、全く印象がちがう。こちらの方が若そうな気がする?


No.601 6点 そして医師も死す
D・M・ディヴァイン
(2017/09/30 13:13登録)
主人公の医師が事件をかき回して、複雑にしている感じがあるが、「動機」に気づいたとき…。事件の謎やトリックなどはありふれたもので、全体的にこじんまりしているが、それでも面白く読めた。

最後に主人公が婚約者に告げた「本心」が、一番強烈で、心に残っている。


No.600 8点 サイモンは誰か?
パトリシア・モイーズ
(2017/09/24 12:18登録)
サイモンは誰か?これは時代を考えると、まず到達しない謎だと思う。しかし、殺人犯、および首謀者は途中でだいたいの想像がつく。

期待した以上の面白さがあり、なかなかの快作だと思った。


No.599 7点 殺したい女
笹沢左保
(2017/09/21 15:31登録)
図書館で、ふと手に取った本。あまり期待しないで読んだら、夜更かしをすることになり、一夜で読了。

主人公の若い女が、家に出入りする父親の友人である画廊の女に殺意を持つ。完全犯罪を成し遂げるには一人では無理と悟り、たまたま訪ねてきた男に五千万円で共犯を打診するが…。

最後は流れるような展開。なぜその女に異常なまでの殺意を持ったのか?かなりご都合主義でテレビのサスペンス劇場の範疇は超えられないと思うが、この作家の中では一番好みだった。


No.598 5点 象牙色の嘲笑
ロス・マクドナルド
(2017/09/21 15:21登録)
ロスマクの型通りの流れと言うか、いったん疑問を持ったら止まらない探偵リュウ・アーチャーの捜査を熱く追う物語。

自分的にはほぼ予想通りの結果であり、特に優れたところは分からなかった。やっぱり、「さむけ」に尽きるのかも知れない。


No.597 7点 十三番目の陪審員
芦辺拓
(2017/09/07 23:12登録)
読み進めるうちに、「あ、これはテレビで見た!」と気づき、その分興味半減だったが、最後は、「うん、読んで良かった。原作の方が数段素晴らしい」と思った。

陪審員制度、上の人は、そんなに反対していたのかと思うと、この国の政治が垣間見えてくる。


No.596 7点 死刑判決
スコット・トゥロー
(2017/09/07 23:02登録)
重厚なリーガルサスペンス。もちろん、弁護する仮・犯人が本当の犯人でない
と思って読み進める。そうでないと、物語が成立しないところにこの種のサスペンスのマイナス点があると思う。しかし、ずっときわどく展開して?

文庫本上下に渡る弁護士と検察側の攻防、その両方が抱える男女の問題と家庭の悩み。ある意味、予想通り、期待通りの作品である。


No.595 7点 生存者、一名
歌野晶午
(2017/09/03 01:03登録)
どんでん返し?そんなストリーだっけ?最後にちょっとひねっていたが、やられた感は全くなし。

それより、鹿児島県の沖合、火山活動が活発な硫黄島あたりの孤島と言う設定が気に入った。


No.594 5点 氷の闇を越えて
スティーヴ・ハミルトン
(2017/08/25 15:01登録)
作者のデビュー作。アメリカ探偵作家クラブ賞、最優秀新人賞を受賞した。

主人公が警官だった時に、ローズという精神異常者に相棒を拳銃で殺され、自身も撃たれたが、その弾丸は奇跡的に心臓の横で止まり、摘出できないまま生活している。

探偵として生きていくために知り合いの大金持ちから依頼を受けた事件は、どうやらそのローズが絡んでいるらしい。しかし、彼は絶対脱走ではない堅牢な収容施設に入れられているはず?

推理小説を読みなれているものなら、おのずと犯人(計画者)が浮かび上がってくるが、5点(まぁ楽しめた)が適評かも。


No.593 7点 ひまわりの祝祭
藤原伊織
(2017/08/25 14:46登録)
甘党のひきこもりっぽいお兄さんが、突然切れ切れのハードボイルドの主役になる…そういう設定は嫌いではないが、あまりにスーパーマンすぎないか?これはおそらく、ふがいない人生を余儀なくしている私の、主人公に対するやっかみだろう(苦笑)

最愛の妻の自殺と、妻によく似た女性の犠牲的行動が、どこかもの悲しい。


No.592 5点 死人はスキーをしない
パトリシア・モイーズ
(2017/08/15 23:41登録)
最初の殺人が起きたとき、「状況から、それができるのは〇〇しかいないのでは?」と感じたのだが、まさかそれはないだろうと?

しかし、紆余曲折のあと、やっぱりそうだった、しかも、昔の事件が重要な意味を示しているのでは…というのも大当たり。つまり、作者はそれを隠すために、いろいろ粉飾したのか?と思ったのも間違いなかった。

ミステリを読んで、すべて思い通りだったというのは、意外とつまらないものですね?


No.591 5点 OUT
桐野夏生
(2017/08/10 01:23登録)
最初はワクワクしたが、色々な人間の色々な人生がくどくなってきた。これは「完走」できるかなと危惧した。

しかし、斜め読み、飛ばし読みで一気に終わった。作者には申し訳ないけど、自分にはこういう先の見える破滅型と言うか、負を背負う物語は向いていない。フィクションなんだから、ある程度スカッとしたい。

(と言いながら、実録犯罪物語も結構好きだけど)


No.590 8点 白昼の死角
高木彬光
(2017/08/08 03:47登録)
主人公は天才ではあるが、相当な自信家で、悪人である。これが、福永検事から見た物語なら、憎くて憎くて仕方がない詐欺師だろう。

凡人なら、ある程度稼いだら諸刃の剣のような生活とはおさらばするだろうが、手形をパクッた瞬間の愉悦は麻薬のように深く脳を刻み、またその瞬間を求めてしまう。

第一、凡人なら最初からその発想はないか(笑)

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