ノア・P・シングルトンの告白 |
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作家 | エリザベス・L・シルヴァー |
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出版日 | 2015年02月 |
平均点 | 5.33点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 7点 | 斎藤警部 | |
(2018/05/25 23:08登録) こりゃスッキリしないですよ。 モヤモヤし過ぎであるが故に、これ言ってもひょっとして事実上ネタバレにならんのかも知れんけど、或る弁護士が或る事をズルズル延ばし続けた理由は或る事(物語の核心)の或る種共犯関係を確認したくないような、したいような、告白したいような、そんなスッキリしない気持ちに支配されていたから、なのでしょうか? またもう一人の弁護士の役割は、前述の共犯関係の暴露に近づきかけた挙句、用心のため排除されてしまった脅威的存在ってこと? 主人公の父は、その経緯すら気づかなかった哀れさの象徴か?? 〝あの瞬間、わたしはたくさんのことを悔やんだ〝。。 死刑の日取りが半年後に迫った独房の主人公(ノア・P、35歳女性)は、牢獄生活ですっかり錆びれた頭脳で(昔は優等生だった。。)、なお色彩豊かにおかしな比喩でいっぱいのモノローグを紡ぎ続ける。彼女の助命に奔走するのが、彼女が殺害した女性(同じ大学に通っていた)の実の母親という不可解。。。。 「父親になりたいのなら、とっくになってたはずでしょう。」 出だし数頁から叙述足取りの揺らぎは本当に惑わせる。 叙述遊興でも、きっと叙述欺瞞でもない(かどうか。。。)叙述の揺さ振りによる真相プロービング、 それも初期も初期から飛ばし過ぎやでえ。。。 目次の無い事が暫時、気になって仕方が無いんだぜ。 やっぱり、 こいつ(主人公)が、結局執(や)られるのか否か、或いは別の成り行きで死ぬのか、もしくは。。 ああー、もう言わねえよいちいち。 え、何故そこで、被害者の名が。。 “パットスミス”なる造語(いや、アダ名)には笑ったが、そのパットスミスの踏み行かねばならなかった、運命の茨道よ。。 原題は’THE EXECUTION OF NOA P. SINGLETON(ノア P. シングルトンの処刑)’。ただ英語の’EXECUTION’は際どい所で必ずしも’処刑’を意味するとは限らない。 ノアが何らかを’執行’しただけかも知れない。そのあたりの微妙さを活かした邦題’~~の告白’はGOOD JOB。 のあぴーの収監番号”10271978”は、 奇しくも藤原道長没年とサザンオールスターズ音盤デビュー年を並べてくっつけた数字の並びです。これには心底驚きますが、本作のエンディングにはあまり大きな驚きを持てない人が多いかもしれません。または別の意味でびっくり、と来るかも。 ま、人それぞれさ。 住んでる国の違いもあるかも知れないサ。 現代米国ミステリ。 |
No.2 | 3点 | あびびび | |
(2017/10/10 01:17登録) 親がいなくても、人それぞれの成長がある。この主人公の場合は、正常であるような、屈折したような、その不明瞭な感覚が物語になっている。でも、最後はそれがパチッと解き明かされると思いきや、ほとんど何も変わっていない。 読み始めは凄く期待したが、なんか、疲れただけの本だった。アメリカでは色々賞をもらったらしいが、日本人的感覚ではないかも知れない。 |
No.1 | 6点 | 小原庄助 | |
(2017/06/19 16:46登録) 自身の生い立ちから裁判までを語る、ノアのシニカルな口調が忘れがたい。 過去の回想と獄中の現在を行き来しながら、予想を覆す展開が連続する。 ノアのユニークな人物像と、驚きに満ちた結末が記憶に残る作品。 |