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ミステリの祭典

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メグレのバカンス
メグレ警視 別題「メグレの休暇」

作家 ジョルジュ・シムノン
出版日1955年11月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 5点 あびびび
(2017/11/09 13:22登録)
旅行好きな自分にとって、ヨーロッパ人のように何週間も避暑地や観光地でバカンスを楽しみ、休養する習慣は羨ましい限りだが、メグレ警視の場合は奥さんが突然盲腸で入院し、それとは別に殺人事件に遭遇するというパターン。

犯人はあの人しかいない…といパターンだが、それでも意外性を求めて読み続ける(笑)自分としては、質の良い土曜サスペンスを見た感じかなあ。

No.2 8点 クリスティ再読
(2015/08/29 22:34登録)
ベストテン選びとかは、メグレ物には極めて縁遠いものなのだが、評者はメグレ物の中で一番好きなのがこの作品だ。

タイトル通りバカンスに出かけたメグレ夫妻。メグレ夫人の旅先での急な入院をきっかけに、半ば巻き込まれるようにメグレが旅先での事件に介入して...という話だが、まあ犯人らしい人物はただ一人で、フーダニット的な色はまったくないが、事件の背景が明らかになるのが最終盤で、そこで話が一気につながっていく快感が○。

また、メグレは自分の推理を語らないので、結果的に(未来の)「被害者を探せ!」になっている箇所があるが、この作品の最大のポイントは、犯人が自分から連続殺人を「降りて」しまうところなのである(そのためメグレが見つけた推定被害者は最大のウラ事情をメグレに話す)。

シムノンの一番イイところというのは、たとえ連続殺人の犯人であっても、鉄の如き非情の神経を持った殺人鬼ではなくて、当たり前の人間の繊細な神経をもち、恐れ惑いながら必死に抗う普通の人間だ、というところなんだよね。どちらか言えば一番非情な犯人の職業として選ばれがちな「医者」で、しかもそれらしいキャラであるにも関わらず、この犯人は殺人が殺人を呼び止められなくなることを理解し、途中で不毛な連続殺人を自ら止める。だからどちらか言えば「小説的でない」結末を迎えるのだが、それでもしっかりと「小説を読んだ」満足感があるのが、シムノン独特の円熟の味だ。類型的ではないオリジナルな良さのある作品。すばらしい。

No.1 7点
(2010/05/05 15:18登録)
8月、港町にバカンスにやってきたメグレ夫妻でしたが、メグレ夫人は虫垂炎で入院という破目に。
修道院がやっているクリニックに夫人を見舞うシーンから本作は始まります。シスターたちが行きかうその独特な雰囲気に、聖歌隊の少年だった頃を思い出すメグレ。あまりミステリらしくない書き出しですが、事件が起こってメグレが独自の捜査を始めると、このシリーズ中でもかなりサスペンスのある話になってきます。
容疑者はほとんど最初から1人に絞られているのですが、動機がわからず事件の全体像がなかなか見えてきません。その上、さらに殺人が起こり、しかも事件はまだ続きそうだという展開は、アイリッシュ等に比べるとのんびりしているようでいて、妙に緊迫感があります。

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