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ミステリの祭典

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あびびびさんの登録情報
平均点:6.33点 書評数:669件

プロフィール| 書評

No.229 7点 ドルの向こう側
ロス・マクドナルド
(2011/09/08 14:47登録)
リュウ・アーチャーは依頼人のわがままにも決して投げ出さず、しかも出てくる事実は壊れ物ばかり…。

しかし、ハードボイルドの分野で、一番犯人が意外で、どんでん返しがある作家だなと思う。ほとんど外れはない、安心して読める?


No.228 6点 湖畔に消えた婚約者
エド・マクベイン
(2011/09/07 16:34登録)
マクベイン初期の作とある。婚前旅行にとなりの州に出かけた若き刑事とその婚約者。途中、パトロール警官に疑惑のスピード違反で署に引っ張られるなどのアクシデントがあり、目指す湖畔のモーテルには夜半に到着。

そこでシャワーを浴びている間に婚約者が消え、モーテルの経営者に事情を話すと、「最初からあなたはひとりだった」という。そこから無力に等しき捜査が始まるが…。

結末はたいしたことがなかったが、途中はグイグイ引っ張られる。あっという間に読み切ってしまった。


No.227 6点 はなれわざ
クリスチアナ・ブランド
(2011/09/06 13:45登録)
田舎から都会に出た時は周囲のすべてが謎に見えたが、都会暮らしになれると自然に見えてくるものがある。

このメイントリックはそんな感じで、ミステリ愛好者には途中でからくりが分かるのではないかと思う。終盤は、いつそれが明かされるのか、残りのページを確かめたり、退屈この上ない。

ただ、物語の流れ、状況は自分の好みだった。


No.226 5点 モルグ街の殺人
エドガー・アラン・ポー
(2011/09/04 15:17登録)
死体が暖炉から煙突の奥に詰め込まれ、頭皮からはがれた髪の毛の束が散らばっていた…という所から犯人は想像できた。

しかし、これが世界最初のミステリ小説とされるなら、なかなか凝った演出ではないか。「黒猫」はおぞましいだけの小説だったが、こちらは十分に楽しめた。


No.225 4点 毒を食らわば
ドロシー・L・セイヤーズ
(2011/08/31 12:58登録)
メイントリックの手段は途中で気づき、「まさか?もうひとひねりあるはず」と読み続けていくと、確かにその手段を用いる背景は予想できなかったものの、考えた通りだった。

おそらく、70%以上の読者が気づくのではないだろうか?英国ではクリスティと人気を二分とあるが、意外さ、どんでん返しとも切れ味がなかった。

さらに引用の多さに辟易した。しかしこれは英国のミステリであり、それは仕方ないが…。でももう一冊なにか読んでみて、この作家との相性を見たい。


No.224 3点 黒猫
エドガー・アラン・ポー
(2011/08/28 17:28登録)
可愛がっていた黒猫の片目をえぐりとり、それでもなお物足りず木に吊るして殺した。これは酒におぼれたせいだと主人公は思う。

しかし、その後街を彷徨っていたらよく似た黒猫がいて、それを飼うようになったが、また憎らしくなった。そしてまた殺そうとしたら妻に邪魔され、その妻を殺して壁の中に埋めた…。

なんとも凄まじい狂気の世界。これが名作なのか?凡人には分からない。


No.223 7点 夢果つる街
トレヴェニアン
(2011/08/25 10:41登録)
清潔な街という言うイメージがあるカナダのモントリオール。その中の「メイン」という場所は多国籍の無法地帯。そこを取り締まる伝説的なラポワント警部補が主役。

そこでイタリアから不法入国した男が殺される。この男はあるゆる層の女性と関わっており、調査を続けていくうち、複雑怪奇な事件の真相が明らかになる。それはもっとも悲しい結末だった。

ある意味、地味な物語だが、いつまでも心に残りそうな一冊。


No.222 7点 僧正殺人事件
S・S・ヴァン・ダイン
(2011/08/18 17:32登録)
さすがミステリ史に残る名作だと思う。作者の知識容量もすごいものがある。

ただ、犯人はほぼ絞られる。最後のどんでん返しも想定内であり、たいした驚きもなかった。それでもミステリの香りただよう展開、文章の流れに+点をつけたい。


No.221 7点 教会で死んだ男
アガサ・クリスティー
(2011/08/15 17:05登録)
全体的にバラエティに富んでおり、楽しく読めた。どれも長編までは膨らまないが、ニヤリとさせられる佳作ぞろい。

中でも「スズメ蜂の巣」は、なにげない生活の中から殺人事件の前兆を読み取り、それを阻止すべく行動に移るポアロの自信に満ちた行動。自慢のひげがぴくぴく動いている様が思い出された。


No.220 8点 ウォッチャーズ
ディーン・クーンツ
(2011/08/12 13:25登録)
ミステリ色はやや薄めで結末も範疇の中だったが、最後まで手に汗。力作だ。

この作者とはあまり馴染みがなかったが、これからいろいろ読んでみたい。


No.219 7点 第二の銃声
アントニイ・バークリー
(2011/08/08 16:44登録)
最初からニヤリとさせられる構成。だれにでも殺人のチャンスがあるという点では「毒チョコ」の要素もたっぷり。

最後の最後でミステリ好きを納得?させる訳だが、しかし文章が瑞々しく、洗練されている。外れのない作家だと思う。


No.218 5点 酔いどれに悪人なし
ケン・ブルーウン
(2011/08/07 16:46登録)
アイルランドの作家。英語教師として日本に滞在したこともあるらしい。

そのアイルランドは、「探偵」という職業は人の粗探しをするということで、世間体が悪いらしい。しかも主人公は元警官で、酔いどれだ。それでも時々仕事が来る。

依頼は、「娘は自殺とされたが、そんなはずはない。その背景を調査して欲しい」というもの。アイルランドという国の背景、さらにこの探偵がアル酎ということでなかなか調査は進まないが、一種独特の文体に、適度なユーモアもあって、かなり楽しめた。


No.217 9点 二人の妻をもつ男
パトリック・クェンティン
(2011/07/26 02:04登録)
これは出だしから最高のミステリだと思った。「幻の女」のような香りがした。いわば身内の話で、登場人物の少なさに不信感を抱いたが、その視野の中で、最高の展開が繰り広げられた。

昔の妻と、今の妻。最初は昔の妻が魅力的で巨大な存在感に目がくらんだが、なんという逆転劇。最後の20ページくらいはあきれてものが言えなかった。

他の登場人物も個性的で、目がくらむ。


No.216 7点 葬儀を終えて
アガサ・クリスティー
(2011/07/24 15:38登録)
犯人が大胆すぎ、その割にはやや動機が弱い気はするが、クリスティらしい流れ。最初やけに登場人物が多いなと思ったが、後半は絞られた感じになり、逆に少ないと思った。

まあ、いろいろな評価はあるだろうが、本当に外れのない作家だと思う。


No.215 7点 ホッグ連続殺人
ウィリアム・L・デアンドリア
(2011/07/22 17:34登録)
犯人については薄々そうではないかと思っていたが、ミステリとしてはなかなか読ませる。常にミステリ50位内に入っている名作だと感じた。

途中、?な所もあるが、HOGについての最後の1行は思わずニヤリとさせられた。


No.214 3点 埋葬
リンダ・フェアスタイン
(2011/07/20 23:41登録)
この作家は主人公そのもの、実際に地方検察庁に勤務していた辣腕法律家だったらしい。会話のやり取りがスムーズなのは、そのせいだと思った。

エドガー・アラン・ポーの作品を巡って物語が展開されているが、事件そのものは淡々と進行しており、犯人が明かされても「まあそんなものか…」という程度で、どんでん返しはなかった。


No.213 7点 ポアロのクリスマス
アガサ・クリスティー
(2011/07/08 18:32登録)
ポアロの口ひげが得意げにぴくぴくしていそうなラスト。いかにもミステリの王道であり、犯人のトリックもそれにふさわしい。

大傑作ではないにしても、こんな流れを嫌う人はあまりいないのではないか。


No.212 6点 兇弾
逢坂剛
(2011/07/05 18:55登録)
恐怖の悪徳刑事・禿鷹シリーズ外伝らしいが、それなりに雰囲気は伝わってきた。要は警察機構の資金源を巡る内部告発…。

現職刑事と、元暴力団?が手を組んでそれを暴くと言う途方もない物語だが、一番存在感があったのは極道を罠にかけ、使いまわした挙句、射殺した刑事主任の岩動寿満子。確かに、開き直り、一戦を超えると女性の方が残酷かも知れない。


No.211 5点 時の娘
ジョセフィン・テイ
(2011/07/02 17:23登録)
英国人ならだれでも知っている?王の継承者である幼い兄弟ふたりを殺したとして悪役ナンバーワンの伯父・リチャード三世。その事件を、入院中のグラント刑事が暇にまかせて推理する?訳だが、英国の歴史を知らなくてもまあまあ理解できる。

しかし、こういう小説は読み方の相性を問う。「イスタンブールの群狼」もそうだったが、自分の頭脳では歴史ものは合わないようだ。一冊読むのに、一週間もかかってしまった。


No.210 6点 わらの女
カトリーヌ・アルレー
(2011/06/22 15:44登録)
出だしは名作と言われるだけあってゾクゾクする流れだった。しかし、終盤は予想通りというか、それ以上ではなかった。確かに完璧な犯行であり、抜け穴はなさそうに見える。

しかし、あの結末では物足りない気がした。もう少し、ずる賢く、冷淡な悪女でなくてはならない。もうひとつどんでん返しが欲しかった。

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