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ミステリの祭典

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あびびびさんの登録情報
平均点:6.33点 書評数:669件

プロフィール| 書評

No.349 8点 孤島パズル
有栖川有栖
(2013/12/30 15:36登録)
デビュー2作目という事だが、推理小説のおもしろさ満載。今読んでも、最後までわくわく感が止まらない作品だと思った。最近は外国作品を読むことが多いが、人物描写と話のたとえが分かりやすいのが楽だった。

双頭の悪魔→スイス時計の謎→女王国の城と読んできたが、この作品を一番最初に読めば良かった。次は何を読もうかーと意欲が湧いてきた。


No.348 7点 カリブ海の秘密
アガサ・クリスティー
(2013/12/28 11:42登録)
ある人物を見て驚愕の表情、それが死に至る原因となるのはクリスティーの常套手段?だが、当然のごとくその相手が誰だか分からない。

西インド諸島のリゾートホテルで起こる事件はどこか開放的で大胆だが、立場も行動も犯人らしくない人間が犯人なのはいつもの通り。それでいて読む人を飽きさせず、ついつい朝まで読ませてしまうストリー進行はさすがの手腕だと思う。


No.347 7点 高い窓
レイモンド・チャンドラー
(2013/12/25 02:45登録)
「あなたは私の事をあまり好きではないでしょう」と、依頼人である傲慢な夫人。「好きだっていう人がいますか」と、探偵のフイリップ・マーロウ。それでも彼はプロに徹し、危険で複雑な難事件の渦中に入り込む。

ハードボイルドは、つくづく洒落た会話が命だなと改めて思った。


No.346 5点 動く指
アガサ・クリスティー
(2013/12/18 14:48登録)
嫌がらせの手紙がなんでもない事件を混乱させている。それこそ犯人の狙いだったが、分かってしまえばごく普通の動機、事件だった。それを物語の4分の3くらいに登場したミス・マーブルが指摘するのだが、囮捜査で事件解決に導くため謎解きの醍醐味はない。

それでも駄作とは言えないと思う。クリスティーのレベルからはやや見劣るものの、読後感は悪くなかった。


No.345 7点 あなたに不利な証拠として
ローリー・リン・ドラモンド
(2013/12/12 18:36登録)
テレビドラマや警察小説などの情報から、つくづく警官にはなりたくない、と思っていたが、それもアメリカの女性警官は最たるもので、毎日が地獄ではないかと想像する。

作者は元・女性警官であり、本の内容は実にリアルな衝撃で、凄惨極まりない。思った通り過酷な勤務で、ありとあらゆる事件に遭遇する。最後の、「私がいた場所」では、主人公と同様に色々な考えを巡らせた。この作品が最後で良かった。


No.344 3点 蒼ざめた王たち
ロバート・B・パーカー
(2013/12/03 14:04登録)
探偵・スペンサーシリーズの14作目。久しぶりにスペンサーシリーズを読んだ。あれだけ読んでいたのに、まだシリーズ作品があったんだと、本を手にしたら一気読みだった。

ある新聞社の記者が取材中に殺された。その街は、以前織物工場を経営していた人物が、賃金の安い母国のコロンビアから人を集め、いつの間にか一万三千人の街の人口のうち、五千人がコロンビア人という街になった。しかも、その工場は他の街に撤去し今はない。街は廃れ、コロンビアから麻薬ルートが敷かれたのは当然のごとく?だった。

青果市場を営む「麻薬王」は警察を買収し、街の独裁者になった。新聞社の社主から事件解明を依頼された探偵・スペンサーがその真っ只中へ敢然と乗り込む。いわば定番中の定番ストーリーだが、恋人のスーザン、相棒のホークが持ち味を発揮し、ある意味「水戸黄門」のように終末を迎える。


No.343 7点 15のわけあり小説
ジェフリー・アーチャー
(2013/11/28 23:34登録)
15編のうち、10編が実話と言う。それは※マークで分けられいてるが、これがなければ全部が創作と思っただろう。

特に気に入ったのは「女王陛下からの祝電※」と、「ブラインドデート」。思わずニヤリとさせられる珠玉の話だった。この作者の短編で必ず入るのが「メンバーズ・オンリー」のような一代記。いつも力作で、全体的な厚みを増している。


No.342 5点 ふりむけば霧
笹沢左保
(2013/11/26 15:41登録)
ストーリーも真相も、火曜サスペンスを見ているような感覚に陥った。しかし、面白くないわけではなく、順次読ませるネタがあり、読後感も悪くなかった。

〈ネタばれ〉ただ、指摘されているように、殺したはずの相手がもうろうとして分からなかった、というのはどうも現実味がない。


No.341 6点 レイクサイド・ストーリー
サラ・パレツキー
(2013/11/19 23:47登録)
女探偵・ヴィク。いとこの有名アイスホッケー選手が怪我で引退し、財産は十分にあったものの、北米五大湖の海運業界に第二の人生を求めたが、岸壁から落ちてスクリューに巻き込まれる事故で死んだ。

アスリートのいとこが、そんな簡単に足を踏み外すはずはない…とヴィクは調査を開始する。犯人は想定内でほとんど内容も読めたが、五大湖の壮大さ、それに作者のち密な情景描写には驚かされた。


No.340 7点 スタイルズ荘の怪事件
アガサ・クリスティー
(2013/11/13 01:59登録)
デビュー作がポアロとヘィスティング大尉の事件だとは知らなかった。ミステリチャンネルで先に見ていたが、ヘィスティングの回想による物語の流れはユーモラスであり、またポアロのイメージも 8割方出来上がっているように思えた。

事件はまさに王道、お金持ちの継母が殺され、それを巡る関係者の思惑と挙動。その家の長男に休暇を誘われたヘィスティングが、たまたま町で再会したポアロに事件解決を依頼するのだが、デビュー作のせいか、ポアロの切れ味はやや鈍い。しかし、さすがミステリの女王のデビュー作!と感心した。


No.339 8点 ポケットにライ麦を
アガサ・クリスティー
(2013/11/11 12:08登録)
この作品もクリスティーの王道と言うか、彼女のファンなら本当に楽しめる。少々犯人の設定に無理があるのでは…という声を聞くが、ミス・マープルの最後の推理はポアロのごとき明快で鮮やかなものだった。

私的にはマープルものではナンバーワンかも!


No.338 5点 料理長が多すぎる
レックス・スタウト
(2013/11/11 11:55登録)
巨漢、グルメ探偵のネロ・ウルフが、15人の世界的名シェフの催しごとの主賓として招待される。その中のひとりがソースの味ききテストとして、他のシェフを一人、一人部屋の中に入れ、①から⑨までのソースに欠けている味を見抜いてもらうゲームの最中にナイフで刺され、殺されてしまう。

最初は題名通り料理長が多すぎ、しかもファーストネームで呼んだりするので、誰が誰やら分からず頭の中を整理するのになんども登場人物の欄を見たりしたが、それが分かってくると事件の全貌もつかめてきて、結構楽しめた。

ある程度伏線はあったが、しかしこの犯人にたどり着くには少々難しいのでは…と思った。


No.337 7点 Zの悲劇
エラリイ・クイーン
(2013/11/04 17:10登録)
X、Y、そして最後の悲劇と読んでいて、長い間このZだけが未読だった。どちらかといえば4冊の中で一番地味というイメージだったが、そんなことはなく、本格推理小説として十分に楽しめた。

ドルリ―・レーンの苦悩が長ければ長いほどエンディングが楽しめるが、今回の犯人は想定内であり、意外な人物ではなかった。ただ、消去法による犯人探しは緊張感があり、手に汗を握る感じだった。


No.336 7点 ニューヨーク・ブルース
ウィリアム・アイリッシュ
(2013/11/01 11:31登録)
アイリッシュは「幻の女」を読んだだけだったが、さすがに一篇だけではその作家のすべては分からない。

短編集を堪能してこそ全体像が見えて来る。なるほど、あの「幻の女」だけが名文だったわけではなく、いつもそんな書き方をする作家なんだと理解した。

表題作は好みではなく、「死の接吻」と、「送って行くよ、キャスリーン」が自分には楽しめた。


No.335 6点 牧師館の殺人
アガサ・クリスティー
(2013/10/26 02:31登録)
何作もクリスティーを読んでいる方は途中で犯人が分かると思います。ある意味、王道の作品。(最初はまさかアクロイドでは!と、疑いました・笑)

でも、『これぞ、クリスティー』という流れであり、自分的には肩もこらず楽しめた作品。ジェーン・マープル初登場!


No.334 7点 十一番目の戒律
ジェフリー・アーチャー
(2013/10/18 16:17登録)
「大統領は任期があり、なんども変わるけど、私はずっとCIAの長官よ」と、大統領に匹敵するかのような力をつけた女性長官。コロンビア大統領の暗殺を命令し、次はロシアの大統領まで…。

これを大統領命令と信じて疑わなかったCIAの狙撃手(主人公)はロシアンマフィアと手を組むことになったが…。

アメリカ大統領、女性長官、狙撃手、ロシア大統領、ロシアンマフィアの攻防が実にリアルでおもしろかった。


No.333 2点 ボストン・シャドウ
ウィリアム・ランデイ
(2013/10/13 01:45登録)
作者は生粋のボストンっ子であるらしい。デビュー作の「ボストン、沈黙の街」は、英国作家推理協会最優秀新人賞に輝いた。ボストンと言えばロバート・B・パーカーの探偵・スペンサーシリーズだが、まったく作風が違う。

混乱の1950年代の物語で、三兄弟が主人公。長男が刑事、次男が検察官、そして三男は腕利きの泥棒である。これにイタリアン・マフィアが絡んで、新生・ボストンの内情を浮き彫りにする。

連続絞殺魔も絡んで読みごたえはあるが、スピード感がなく、退屈なページも多かった。


No.332 8点 川は静かに流れ
ジョン・ハート
(2013/10/06 11:38登録)
最初は題名通り、穏やかな流れだったが、後半は急流になり、最後は海にそそぐ大河のごとく…。

殺人犯の汚名を着せられたままニューヨークに移り住んだ主人公が友人の要請により故郷に帰る。しかし、実は「僕が家に帰りたかった」、父親を含む、継母以下、家族との葛藤が主題だが、登場人物のひとり、ひとりが実に個性的で、最後まで気が抜けなかった。

東野さやかさんの翻訳はどの作品も読みやすい。


No.331 7点 復讐
ノーマン・ガーボウ
(2013/10/04 21:27登録)
銀行の副頭取をしていた父はナチスの収容所を生き延びたユダヤ人だった。彼に濡れ衣を着せ、自殺に追い込んだ6名は今や全米の重要な地位を独占していた。

その6名に綿密に練り上げられた報復の刃が振り下ろされた。世界経済を震撼させたその事件の謎をエコノミストの主人公が追っていく。辿り着いたのは、副頭取の無実を信じて生き延びた兄妹だった…。

本当の敵は誰なのか?最後に驚愕の真実が明かされる。


No.330 3点 パディントン発4時50分
アガサ・クリスティー
(2013/09/26 15:59登録)
クリスティーは大好きで、どの作品も思い入れがある。しかし、これは駄作だった。

舞台設定は最高だし、財産をめぐる家庭環境も十分整っており、さてどんでん返しは…と期待したが、犯人が意外すぎた。意外というより、何人も殺す動機はなく、結果的にはただの狂人にしか見えない。

ミス・マーブルもいつもの切れ味はなかった。

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