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ミステリの祭典

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十一番目の戒律

作家 ジェフリー・アーチャー
出版日1999年01月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 6点
(2016/01/08 13:12登録)
2015年の締め書評にするつもりだったが、2016年の初書評になってしまった。それはそれでめでたいが・・・

主人公のコナーはCIAの天才的暗殺者。そのコナーは、冒頭で大仕事を終えたのち、ロシアの大統領候補の命を狙う役目を担うことになる。
冷戦終結後のアメリカとロシアの関係をこんな風に描くとは、さすがアーチャーだ。謀略戦の様相なのになぜか明るいのもアーチャーらしい。

コナーは終始出ずっぱりではなく、場面転換が多く、多くの視点で描かれながら物語は展開する。前半は特に出番が少なく、コナー視点でのスリルはあまりない。
周辺人物の視点描写によって主人公の人物像を浮き彫りにしているところは面白い。家族と過ごすよき夫、よき父親という側面が描いてあるのも特徴的である。これこそがミステリーとしてのポイントなのかなと予想した。
周辺の人物により踊らされながら運命が定まっていく流れも面白い。
後半(第3部)では一転、狙撃物らしい緊迫感のある描写が続く。これがこの種の小説の本来の姿だろう。
そして、凄まじさのあとにやってくるラストは・・・。

登場人物としては、女性CIA長官も凄いがロシア新大統領がさらに強烈。
でも心に残るのは、裏方に徹したジャクソンかな。

No.2 8点 E-BANKER
(2015/01/11 21:11登録)
1998年発表の長編。
CIAの天才的暗殺者を主人公に据えたサスペンス・スリラー(っていうジャンル分けでいいのか?)

~CIAの天才的暗殺者コナーは、南米での任務を終えたあと、大統領から直々の電話を受けて再び不可能な任務に挑むことになった。ロシアに入国し、次期大統領候補の命を狙うのだ。しかし彼の周囲には周到に仕組まれた幾重もの罠が待ち受けていた・・・。天才的暗殺者はCIAの第十一戒(「汝、正体を現すことなかれ」)を守れるのか。CIAとロシアマフィアの実体が描かれていると大評判のサスペンス長編~

作者の力量の確かさを感じさせる一冊。
目眩くスピーデイーな展開は最後まで読み手を飽きさせることはなかった。
本作のメインはロシアの新大統領(コイツがまた強烈なキャラクターなのだが・・・)の謀殺を巡る攻防なのだが、何しろ依頼者はかのCIAなのだ。
いかに天才的暗殺者であろうと一筋縄ではいかない。
ということで、敵方に捕らえられてしまうコナー。
手酷い拷問を受け、万事休すかと思わせた瞬間、アッと驚くどんでん返しが待ち受けている。

第三部では攻守逆転。ついに暗殺者の面目躍如かと思いきや・・・
(アメフト競技場のシーンはなかなかの名場面!)
ポリティカル・スリラーというとすぐにF.フォーサイスの名作「ジャッカルの日」が思い浮かぶが、主人公をひたすら殺人マシーンのように描いていた「ジャッカル・・・」に比べ、本作はコナーを家族思いの男という側面からも描いているのが良い。
ラストにそれが活きてくるのだ。(この辺が作者の旨さ!)

①サーガ物、②ポリティカルスリラー、③短編集、の順に作品を発表している作者。
いずれのジャンルも読み応え十分という評価に揺ぎはない。
(アメリカ大統領のキャラがねぇ・・・もう少し何とかならなかったのか?)

No.1 7点 あびびび
(2013/10/18 16:17登録)
「大統領は任期があり、なんども変わるけど、私はずっとCIAの長官よ」と、大統領に匹敵するかのような力をつけた女性長官。コロンビア大統領の暗殺を命令し、次はロシアの大統領まで…。

これを大統領命令と信じて疑わなかったCIAの狙撃手(主人公)はロシアンマフィアと手を組むことになったが…。

アメリカ大統領、女性長官、狙撃手、ロシア大統領、ロシアンマフィアの攻防が実にリアルでおもしろかった。

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