川は静かに流れ |
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作家 | ジョン・ハート |
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出版日 | 2009年02月 |
平均点 | 7.50点 |
書評数 | 6人 |
No.6 | 7点 | ◇・・ | |
(2020/11/07 20:27登録) 主人公を含め、登場する者すべてに弱みがある。過ちを犯し、嘘をつき、わがままな行動をとり、傷つく。だが、それを許し、受け入れ、癒すことが出来るのも人間である。 抒情詩のように美しい文体と、アメリカの南部の男らしいハードボイルドさがマッチして、特別な雰囲気を醸し出している。ミステリとしてだけでなく、純文学としても楽しめる。 |
No.5 | 7点 | 八二一 | |
(2019/10/16 21:09登録) 一度入った亀裂は、他人同士よりも身内の場合の方が深いもの。本作は、主人公の心の中の時が静かに流れてほしいと祈りたくなる家族小説である。 人間関係のジレンマを抱えた主人公の成長が感動的。お涙頂戴にとどまらない計算されたプロットは素晴らしい。 |
No.4 | 7点 | 蟷螂の斧 | |
(2015/05/22 17:06登録) 2008年度アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞(エドガー賞)受賞作品。謝辞には、「わたしが書くものはスリラーもしくはミステリの範疇に入るのだろうが、同時に家族をめぐる物語でもある。・・・」とあります。サスペンス作品ですが、複雑な人間模様(葛藤)が描かれており深みを感じる作品ですね。ミステリー的な観点からすれば、ミスリードはあるものの犯人は推測しやすいかもしれません。処女作の「キングの死」に続く作品ですが、「あくの強さ」はやや薄くなったかなという印象です。 |
No.3 | 8点 | あびびび | |
(2013/10/06 11:38登録) 最初は題名通り、穏やかな流れだったが、後半は急流になり、最後は海にそそぐ大河のごとく…。 殺人犯の汚名を着せられたままニューヨークに移り住んだ主人公が友人の要請により故郷に帰る。しかし、実は「僕が家に帰りたかった」、父親を含む、継母以下、家族との葛藤が主題だが、登場人物のひとり、ひとりが実に個性的で、最後まで気が抜けなかった。 東野さやかさんの翻訳はどの作品も読みやすい。 |
No.2 | 9点 | itokin | |
(2013/05/27 15:49登録) 殺人の汚名をぬぐいきれない主人公の必死の抵抗、真実の追及を家族と近隣者に求めなくてはならない苦悩と、行動が大きな流れの中に巻き込まれていく様を的確な構成と迫力で描写するさまは、読み易い翻訳もあって最後まで飽きさせない。エドガー賞受賞作品だがさすがだなアと思う。デビュー作「キングの死」も読んでみたい。 |
No.1 | 7点 | kanamori | |
(2011/01/15 14:59登録) 殺人犯の濡れ衣を着せられ、故郷と家族を捨てた主人公の「僕」アダム。旧友の求めに応じて5年ぶりに帰郷した川辺の町を舞台に再び殺人事件に巻き込まれるというストーリー。 いわゆる”帰郷もの”のミステリですが、文章は洗練されているものの、タイトルから受ける叙情性はあまり感じられなかった。作者自身が冒頭に書いているように、ミステリであると同時に家族を巡る物語ですが、この隠された血縁関係が(全くテイストが違うものの)横溝風なのはちょっとどうかと思う。 辛口の感想になったが、世評にたがわず他の作品も読んでみたく思わせる良作には違いない。 |