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ミステリの祭典

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ポケットにライ麦を
ミス・マープル

作家 アガサ・クリスティー
出版日1954年12月
平均点5.94点
書評数16人

No.16 5点 虫暮部
(2023/08/03 13:01登録)
 マザー・グース云々と騒いでいるのはミス・マープルだけ。直接の関係者は誰も気付いていない。もっと目立たせないと捜査陣に対するミスリードにならないよ。
 犯人と探偵役だけが共通言語を持ち、判り合っている。この状況をもう少し強調すれば、見立てテーマに対するユーモラスな批評になったかも知れない。ACは “名探偵のジレンマ” とかには縁が無さそうだが、無自覚に(?)踏み込みかけているような作品も幾つか見受けられるしね。

No.15 7点 ALFA
(2023/01/06 09:53登録)
列車での登場シーンから手紙を読むエンディングまで、とにかくミス・マープルがカッコいい。
唯一残念なのは犯人との直接対決がなかったこと。ポアロと違って描きにくいだろうが、ここはやはり一騎討ちで犯人を破滅させてほしかった。

犯罪の真相を把握しながらも自らは動かないある登場人物を描くことで、ストーリーに奥行きが出ている。
過去の因縁話は結構重要なのだが関係する人物の描写が淡白なのは残念。

No.14 3点 レッドキング
(2020/04/02 23:58登録)
「まざあぐうす見立て」にはお腹いっぱい。これ、探偵が犯人を名指した後日に、その証拠たる写真と手紙が発見されて終るより、名指しせずに犯人の条件を絞っておいて、ラストの一行で、「写真に写っていたのは・・◯◯だった」とかの方が効果的でない?
「最後は精神病院に逃げ込んで死刑を逃れるつもりでしょう」「かまいません、死刑にしてしまいなさい!」・・・いいなあ、ミス・マープル。

No.13 6点 tider-tiger
(2019/10/20 12:40登録)
1953年イギリス作品。ミステリとしては標準を楽にクリアしていると思うのですが、どうにも物足りなさが付きまといます。大隊としていまいち統合されていなくて、個々の小隊が好き勝手に暴れて戦果を上げているような印象。面白さを盛り上げる演出がいまいちうまくいっていないような気がするのです。
例えば、見立て。使い方は面白いのになぜかインパクトに欠けます。なので、その見立てから取ったタイトルも響きはよいのに、いまいちずれているような気がしてしまいます。
逆に犯人の計画の中にそれはいくらなんでも危険だろうと感じるところ(おそらく空さんが指摘されているところだと思われます)がありますが、その温さを利用してのラストはとてもよかったと思います。
このラストのためにあえて温い計画にしたのか、温い計画をこのラストで誤魔化したのか、たぶん前者だと思いますが……。
採点はクリスティでなければ7点、クリスティだと彼女の標準、もしくはちょい上くらいかなということで6点としておきます。

本作にはミステリ要素ではなく、小説的な意味で作品の雰囲気を作り、作品テーマを匂わせるキャラが二名いたと感じています。一人は事件を俯瞰しつつ、諦観してしまっていたキャラ。ミステリにありがちなキャラではありますが、この人物の登場シーンは緊張感があり、物語に一本筋を通していたように思います。
そして、もう一人。こちらはミステリ的な意味では機能していたけれど、小説的にはいまいち使いきれていなかったような印象あります。もったいない。
このキャラをもっとうまく使えていれば、クリスティ再読さんが指摘された
>>「殺人における階級制度」をトリックにしていることである。
ことをもっと深く明確にできたのではないかと感じます。

マープルの怒りを惹起した点などからもマザーグースからタイトルを拾うならば以下の箇所から取って欲しかったところ。
The maid was in the garden,
Hanging out the clothes,
There came a little blackbird,
And snapped off her nose. 
(マザーグース、六ペンスの唄の一部をwikiより)
語呂はちょっと悪くなるけど『Blackbird snapped off her nose(黒ツグミがメイドの鼻をついばんだ)』みたいな感じになるのでしょうか。

No.12 5点 ボナンザ
(2019/06/24 20:48登録)
犯人はこいつでなければその相方くらいしか意外なのがいないため、予想どおり。
佳作だけど全体的にもう少し何か欲しい。

No.11 6点 nukkam
(2018/06/18 01:04登録)
(ネタバレなしです) 1953年発表のミス・マープルシリーズ第6作です。犯人の計画にかなり杜撰な部分があり、ミス・マープルの捜査と推理がなくともいずれは事実が発覚するものであったことが最後にわかります。仮に本書のネタで(犯人側の視点で)犯罪小説や倒叙本格派推理小説を書いていたらこのいい加減な計画に読者は早々と興醒めしたかもしれません。しかし本書は犯人当て本格派推理小説ですので私は最後まで問題を意識することなく謎解きを楽しめましたし、作者にうまく騙されたので犯人のことも頭がいいと思ったぐらいです(自分の頭のことは脇に置いときます)。犯人を指摘して最後の証拠を入手した時のミス・マープルの表情の変化には驚いたというかちょっと怖いものがありました。クリスティ再読さんのご講評にもある通り、作者がミス・マープルを「復讐の女神」として意識するきっかけになった作品だと思います。

No.10 7点 青い車
(2016/03/04 23:38登録)
犯人に意外性はない、というよりそこは狙っていない作品。動機もクリスティーとしては特に珍しくないパターンです。しかし、マープル・シリーズの中では本格ミステリーとしてもっともソリッドな作品と言っていいと思います。ミス・マープルが可愛がっていた少女が殺されたことで、怒りを見せる珍しい作品としても有名です。
今回、事件のモチーフは作者も何度か使っているマザー・グース。もっとも有名な童謡殺人といえば『そして誰もいなくなった』ですが、『そして誰も~』ではあくまで演出上のギミックであったのに対し、本作においてはトリックの要です。そのメイン・トリックは小粒なもののよく練られています。錯誤を与える効果に加え、無関係なようで犯人には必要だった殺人を紛れ込ませることで動機を見えにくくする効果を挙げています。
リーダビリティの高さは相変わらずで、軽い口当たりですがしっかりパズラーの醍醐味も備えた佳作です。

No.9 7点 makomako
(2016/02/11 09:03登録)
 物語が始まるとほどなくして殺人事件が起き、それに対して登場人物が過不足なく語られてと、とてもテンポがよい。途中からちょっと緩むが、それでもお話の興味を割くことはなく、表題の不思議な謎について次第に明らかになってくる。これは、ああマザーグースなんだ。
 ところがさすがクリスティーで、伏線なのかミスリードなのか混乱させられながら終盤を迎える。ミスマープルの推理は鮮やかですが、その発想が決めつけから始まるのはちょっとどうかなあ。まあ小説の中でしかもマープルなのですから、当然的を得ているのですがね。
 推理小説として過不足なく書かれた秀作と思います。

No.8 5点 りゅうぐうのつかい
(2015/10/04 11:36登録)
社会でよく見受けられるタイプの人物をうまく取り込んで人間関係を構築し、連続殺人事件を発生させるクリスティー女史の手腕は、この作品でも冴えわたっており、物語としては、楽しめる内容であった。
しかしながら、ミステリー作品として見ると、この作品には決定的なキズがある。
1つの殺人事件に関して、犯人のアリバイ、犯人がその時にどうしていたかに関する取り調べの内容に全く触れられていない。こんな重要な事項を内緒にしたままでは、本格ミステリーとは言えない。
また、マープルの推理には必然性、論理性が全くなく、単なる憶測にすぎない。それを自信満々に、「仮説ではありません。事実なのです」と言うのには、あきれてしまった。
犯人の計画も、ある人物の性格に依存したものであり、それがうまくいかなければ露見してしまう、極めて危険なものだ。

No.7 6点 了然和尚
(2015/08/23 16:45登録)
すっきりよくまとまっていて、面白く読めた一冊でした。本格の観点としては少し物足りない気もしますが、特にマザーグースの関わりが、イマイチでした。改めて考えてみると見たて物って(獄門島とか)意外と派手な演出で見栄えは良くなりますが、本筋とは関係が薄いのが多いかなと思います。本作も童謡殺人と呼ぶには寂しいですね。マープルが犯人を指摘するときに、論理と証拠を挙げた後(これが重要)、犯人の妻は2度までも不幸な結婚をしているので今回も夫は何者かに違いないというのは結構好きですね。

No.6 5点 メルカトル
(2015/04/05 22:01登録)
再読です。
連続殺人はテンポ良く起こるが、その後話が拡散される感じがして、どうにも退屈さを抑えきれない。情けないことに、読みながらどうでも良くなってしまったことを告白しなければならない。
マープルが出てくる場面だけはちょっぴり引き締まるが、その他はなんとなく進行する感が否めない。見立て殺人の意味もイマイチ納得できないし、動機も犯人像も言ってしまえばありきたり。個人的にはとても傑作とは思えない。
ただ、ラストは哀切が漂い、涙を誘う。作品の締めくくりとしてはよく考えられているし、非常に印象深いと思う。

No.5 9点 クリスティ再読
(2015/03/29 15:13登録)
マープル物の最高傑作だと思う。

ポイントは階級社会の残滓が未だに残る、とさえ言われるイギリス(ましてや50年代だし)での、「殺人における階級制度」をトリックにしていることである。殺されるのは大ブルジョアが目的であり、雇い人であるメイドの殺害はいかにもついでのように見える.....「小鳥が鼻を突っつく」絵合わせのためにたまたま殺されただけのことなのだ。

しかしその絵合わせがマープルの義憤を買う。真相を暴かれた犯人は、自ら仕掛けたトリックによる因果応報を食らうわけだ。この真相の逆転とそれによる逆ネジを、おそらくクリスティ本人も気に入り、ために「復讐の女神」という最晩年のマープル物の企画に結びついたのであろう。マープル物の転換期の重要作(祖母からより自身に近づくという意味で)である。

No.4 8点 あびびび
(2013/11/11 12:08登録)
この作品もクリスティーの王道と言うか、彼女のファンなら本当に楽しめる。少々犯人の設定に無理があるのでは…という声を聞くが、ミス・マープルの最後の推理はポアロのごとき明快で鮮やかなものだった。

私的にはマープルものではナンバーワンかも!

No.3 5点 ミステリ初心者
(2012/08/16 11:11登録)
 自分には、ちょっと長かったです。ラストはちょっと泣けました。泣かなかったけど・・・

No.2 5点 江守森江
(2010/01/25 07:34登録)
先日ドラマを観たので図書館でおさらいして来た。
見立て連続殺人の処理と犯人指摘後のもう一つの真相は上手いが、動機と真犯人の意外性はありきたりだった。
ファジーに楽しむ姿勢なため、マープル物はポアロ物に比べれば技巧的でないので映像だけでも良いと思えた。
更に言えば私的にマープルよりポアロの方が好きでもある。

No.1 6点
(2009/05/16 10:34登録)
作中でも「舞台装置は定石どおりにそなわっている」と書かれていますが、被害者を取り巻く人物関係は本当にミステリの定石そのまんまです。
マザーグースの歌にあわせた連続見立て殺人には理由もちゃんと考えられていますし、クリスティーらしい犯人の意外性が満喫できる作品ではあります。謎解き後の最終章も鮮やかです。
ただし、犯人の使ったトリックはちょっと危なっかしすぎる気がします、と言うか、人によっては腹を立てるかもしれません。また、後で重要事項に関するある人物の証言部分を読み直してみると、こんな答をするとは考えられないという点が気になります。
傑作という人がいるのもわかりますが、個人的にはそれほどまでの高評価は付けられないかな、というところです。

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