首無の如き祟るもの 刀城言耶シリーズ |
---|
作家 | 三津田信三 |
---|---|
出版日 | 2007年04月 |
平均点 | 8.41点 |
書評数 | 86人 |
No.66 | 8点 | monica | |
(2019/02/22 21:10登録) 非常に読みやすく、前半の淡々とした展開もサラサラ読めました。 そして、事件が迷宮入りしたかと思われた後。 これまでの真相がガラっと変わる。 思っていたことがまるで想像もつかないくらいの 様相に変化する。 小気味良く騙された。 この作品だけでも充分気持ちよく騙されるが、 シリーズのファンならより一層騙される。 久々に心地よく騙された。 が… 凶鳥の方がインパクト大きかった。 |
No.65 | 9点 | レッドキング | |
(2018/05/19 12:45登録) 骨格は「占星術殺人事件」と同様に、首なし死体の被害者加害者入代りトリック発展形なんだが、それを雑誌連載形式という叙述に絡めて、物語に肉化した手腕が見事。 この骨格で京極夏彦レベルの筆力で装飾されていたら、満点以上。 (2021年追記) 物語の叙述者Aが「」(=叙述)の中で矛盾・虚偽を記せばミステリとしてアウトだが、「」の主体を巧妙にすり替えるのはトリック・・ヴァン・ダインには悪いが。 |
No.64 | 9点 | sophia | |
(2018/02/01 21:41登録) 伏線の提示と回収のサイクルが絶妙で、各章の長さも丁度よく読み進めやすい。何より終盤のどんでん返しの連続は圧巻。全体の構成が非常に凝っており、巷で高評価なのも頷けます。ただ前半は私の好きな旧家の物語だったのに、後半は物書きの人たちの方に焦点が動いてしまったのがちょっと残念。 この刀城言耶シリーズはこの作品しか読んでいませんが、この作品における刀城言耶の立ち位置をみると、これ以前の作品を読んでから読んだ方が驚きも増したのかなと思います。 本格ミステリーとしては満点を差し上げたいのですが、トータルで10点を付けるには読了後に心に残るものにどうも乏しいんですよね。それはプロットの複雑さゆえ登場人物が記号化しちゃってるせいなのか、はたまたホラー的なオチのせいなのか。 余談ですが栄螺塔の図解を見て、この塔の構造を利用した島田荘司ばりの大技物理トリックが使われるに違いないと勝手に期待してワクワクしていたので肩透かしを食らいました(笑) |
No.63 | 6点 | ねここねこ男爵 | |
(2017/09/28 23:24登録) それなりに面白かった。 が、よく出来ているのはメイン以外の部分で、本体はあまりにも目撃者に都合の良い目撃のさせ方をさせてるなぁ…と。そりゃあそこだけ切り取れば謎めいて見えるわな。その言い訳として目撃者を子供にしたんだろうけど。要はよくある『複雑な状況を作って都合の良い部分だけ切り取って見せて読者を混乱させる』タイプです。このタイプにありがちな解決で天才的探偵が快刀乱麻です。 本作のおかげで「『目撃者は子供』ネタの作品を書いたことがある作家は信用できない」ことを知りました。 |
No.62 | 9点 | MS1960 | |
(2017/04/04 12:40登録) 【ネタバレあり】死体の首を切る理由に関しては本文でも色々と分類されているけど、メインは死者誤認だと思う。本書はそのど真ん中を突いているんだけど、それを否定するような条件を設定し、驚愕のトリックでそれを可能ならしめている点がすごい。相当考え込まれた作品。物語の最後の探偵と真犯人との息詰るやりとりや物語全体を覆う大戦下の旧家におけるどろどろとした人間模様なども秀逸。素晴らしい作品だと思うが、少し凝り過ぎている感も否めずマイナス1点とした。 |
No.61 | 8点 | madara | |
(2017/03/18 15:31登録) この作者の作品、初めて読んだのですが面白かった。 根本のトリックは凄いですね、想像の斜め上を行きました。 ただ、トリックを成立させるのにかなり無理がある点と現場の状況や見取り図がもう少しあればよかったかなと思います。 |
No.60 | 10点 | ミステリーオタク | |
(2016/12/14 16:35登録) 破壊力とそれを伴う構成が凄まじい 日本ミステリーの最高傑作とも思える |
No.59 | 10点 | 青い車 | |
(2016/01/24 21:12登録) 現時点で刀城言耶シリーズは『厭魅』『凶鳥』『首無』の三作を読んでいますが、やはり世評と同じくその中では本作が一番傑出していると思います。首無し死体といえば絶対あれでしょ、と殆どの読者が予想するであろうトリックの斜め上を行く真相が鮮やかで、600頁を超える分量を支えるのに十分な魅力を備えています。前二作同様文が重たくて読みづらいパートもありますが、後半に行くほど面白くなり頁をめくる手が止まらなくなりました。作者お得意のどんでん返しの連続も炸裂し、ホラーテイストでありながら悪くない余韻を残す結末も含め、かなりの傑作です。 |
No.58 | 9点 | ロマン | |
(2015/10/20 18:02登録) 連続して発生する首斬り殺人。超常現象の如き複雑怪奇な事件を、論理的に解き明かす様は圧巻。シリーズ一作目の「厭魅」から、ラストで謎解きを二転三転させるのがお決まりだが、今回も見事にひっくり返している。一連の事件の犯人は明らかになったが、不可解な謎が幾つか残るホラー的な幕切れ。恐怖の余韻がいい。上質な本格ミステリとして、お勧めできる一冊。 |
No.57 | 8点 | CHABI | |
(2015/06/04 23:00登録) 謎が解明されていくのが何とも気持ち良かったです。 こういう時代背景の作品は苦手なのですが、 それを差し引いても高評価は変わりません。 ただ、ちょっと読むのに疲れました。 |
No.56 | 9点 | 名探偵ジャパン | |
(2014/08/18 00:24登録) 過去の事件に発する呪い、閉鎖的な村、君臨する大家族、怪異現象、密室殺人、首なし死体。「本格ミステリの鬼」と自称する人たちが狂喜乱舞するような舞台設定が整い、さらに、村の全景図、二ページにも渡る人物表、現場構造図も挿入されており「もうお腹いっぱいです」といいたくなる、超ストロングスタイルのミステリ。 ハリウッド映画の三時間超え大作アクション映画を3Dで鑑賞したかのような満腹感を味わえた。 呪いや怪異に支配された風習や取り決め、奇妙な建築物などは、ぶっちゃけてしまえば、作者が考えたトリックを無理なく成立させるために作者自身が用意した、いわば自作自演なのだが、(この作品だけでなく、ミステリの舞台装置というのは、おしなべてそういうものだ)それにいかに説得力を持たせるか。いかに、「こんなやついねーよ(笑)」とか、「これは無茶苦茶だろ」という読者の声を封じるか。そこに作家の力量が問われるわけだが、この作品のそれは絶妙。「もうこれ以上やったらヤバい」というギリギリで、踏みとどまっている。 それに加え、「このトリックをやるためにこの設定を作ったのか」というのが分かったときに、「うまい!」となるか、「いや、ちょっと強引だろ」となるか。本作においては、「うまい!」と唸るしかないと思う。 他の多くの方も書かれている通り、ある最初の欺瞞が発覚することにより、次々に謎が解かれる展開は心地よく、昔懐かしパズルゲーム「ぷよぷよ」の大連鎖が決まったかのような爽快感を得られる。 ただ、最後の逆転に次ぐ逆転の展開は、「もう勘弁してくれ」と言いたくなったが。 突っ込み所がないわけではないが、それを補って余りある「驚異の首なし死体トリック」が味わえる。これは全てのミステリ好きに読んでもらいたい。 |
No.55 | 5点 | take5 | |
(2013/09/22 15:49登録) 文庫本でさらっと3時間強で読めました。 横溝作品と重ねる方が多いようですが、私には軽く感じてしまいました。文体(だって最近の作品ですものね)なのか、終章間際はどんでん返しの意志が(作者の?出版社の?)行の端々に溢れていて(但し書きの……からも)、おそれいりました感がちょっと削がれた感じです。 解説でクリスティーと比較されているのですが、私の懐古的狭い了見のせいか、そこまでは…と。 |
No.54 | 9点 | simo10 | |
(2013/09/16 22:44登録) 刀城言耶シリーズ第三弾。前二作を読んで、読むのに非常にエネルギーのいるシリーズということが分かったので、暇ができるまで我慢してようやく読むことができました。 トリックに関しては大満足です。解決編の前に提示された何十個もの謎が、たった一つの事象が提示されることで頭の中でするすると紐解かれていくのは快感でした。 このサイトで評価が高いのもうなずけました。ただ、やはりもう少し読みやすければ10点あげてもいいんだが…。 |
No.53 | 8点 | バックスクリーン三連発 | |
(2013/02/18 10:03登録) ここの書評を読んでから読みました。 序盤はこれはミステリーなのかホラーなのかどちらだろうか 考えながら読み進めました 次に、一連の事件を祟りのせいにして全てをまるく終わらせる つもりなのか?とも思っていました 戦中戦後、山間部の旧家ということで金田一シリーズ のような雰囲気も感じました 終盤は一気に読み進められたのですが 犯行の時間的に可能なのかどうか 引っかかりは そこでした |
No.52 | 6点 | apurolateru | |
(2013/02/16 22:15登録) 一読した時は、雰囲気といい密室トリックといい本当に楽しめました。 でも再読すると、他の方の書評にもありましたが「動機」が弱すぎると思います。そんな偶発の「事故」で連続殺人ってあり?という思いが強まります。 |
No.51 | 9点 | メルカトル | |
(2013/01/05 21:54登録) 再読です。 本来ならもっと早い時期に書評すべき作品だが、自分で言うのも何だけど、高得点が予想されるので慎重を期して再読にて評価した。 初読の際は単行本だったが、今回文庫版を読んでの書評とさせていただいた。 加筆、改稿されていたせいか、幾分読みやすくなっていたように思う。 前半から中盤にかけては、まどろっこしいというか、まわりくどい印象で、ワクワク感もあまりなかったし、ホラーの要素から来る背筋がゾクゾクするような怖さもさほど感じなかった。 これをもし島荘辺りが書いていたら、もっと面白かっただろうにと思うと少しだけ残念ではある。 だが、閉鎖された村での因習や、過去の因縁話など、ホラーの要素を絡めて繰り広げられる広義の密室での、首なし死体を露呈する連続殺人事件は非常に興味深いものがある。 後半の読者の推理はほとんど意味がないに等しいので、必要だったのかやや疑問に感じる。 しかし、さすがに刀城の推理は素晴らしい切れ味を見せる、これでもかと畳み掛けるような展開もとても読み応えがあって引き込まれる。 メイントリックは、首なし死体のバリエーションの新機軸と言えるものであり、過去に前例がない為非常に高い評価が期待できると思う。 それにしても一見複雑に見える謎の数々が、たった一つのヒントから芋づる式に解き明かされていく様はかなりのカタルシスが得られる、これはやはり総合的に見て高得点を与えねばなるまい。 従って、滅多に付けない9点とした。 |
No.50 | 8点 | STAR | |
(2012/10/22 14:23登録) こちらで高評価だったので、読んでみました。 作者はやはり横溝正史のファン?かなり怖い世界です。首なし殺人というよく書かれた題材で、よくこれだけのものが書けたなと感心しました!読んでいてドキドキしました。 首なし殺人の多くは被害者が誰かわからないようにする・加害者と被害者が入れ変わるなど挙げられますが、それを逆手にうまく使っています。 (以下ネタバレあり!) 閉鎖的な村・双子・童謡・過去の首なし死体・過去の怨霊など盛りだくさんなのですが、盛りだくさん過ぎて、途中いっぱいになってしまう感じが…。特に童謡はわざわざ歌詞が別ページになっていたので、注意深く読んだものの、ホラー的要素を強くするものであって、ミステリー部分とは関係なかったですし。 過去の怨霊話もなぜ2つ?お淡の方の話は意味あったのでしょうか?もう一方淡姫の方はある秘密とも関連性があるから、いい味を出していると思うのですが。 叙述のトリックもあり、それもよかったです。 |
No.49 | 7点 | itokin | |
(2012/08/29 09:31登録) 題名通りの首なし連続殺人に違和感をもたらせない話の組み立て登場者各自の読者が見逃している行動の解明など作者の筆力に感服した。ただ、最後のトリックの連続はまたかの感がありインパクトとして賛否があると思う。私は、ホラーが苦手なので若干減点した。 |
No.48 | 8点 | ミステリ初心者 | |
(2012/05/28 15:37登録) ネタバレあります。 厭魅の如き~にも劣らないと思います。個人的になってしまいますが、いろいろな要素を入れすぎてちょっとごちゃごちゃしてしまった印象です。あと、物語を通じて、犯行を行った人間が複数て嫌ですが、まあそんなにマイナスポイントでもないです。 主人公の扱いがおおきなトリックに使われていますが、こういう己で作ったかそれまで作られた法則をぶっ壊すトリックは大好物です。 間違いなく名作だと思います |
No.47 | 7点 | 文生 | |
(2012/04/03 01:34登録) 本格ミステリーのロジックとホラー小説としての恐怖が見事に融合した傑作。 ただ、警察の指紋照合の仕方がきわめて杜撰に感じられる所があり、これが個人的に大きなマイナス点になっている。 |