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ミステリの祭典

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厭魅の如き憑くもの
刀城言耶シリーズ

作家 三津田信三
出版日2006年02月
平均点7.24点
書評数46人

No.26 4点 了然和尚
(2015/12/08 16:01登録)
最後の推理の場面がダメすぎ。「一体いつまで私らは、こんな茶番に付き合わないけませんのやろうねぇ」(まったくです) 撒いたもん全部出したいのはわかるが、これではダメ。カー、クリスティーなども別解答は匂わすが、ここまで平坦に並べたら台無し。
叙述トリックも、私にはどうでもいい要素なので、評価低いです。デクスターとかと比べて、多視点の書き方下手だなと思ってましたが、トリックのためだったというのは残念。
読後感はなんとなく「すべてがFになる」(森博嗣)を思い出しました。

No.25 7点 名探偵ジャパン
(2014/08/25 10:14登録)
「首無~」の完成度が高かったので、シリーズ第一作から読もうと購入。
「首無~」がほぼ純粋な本格だったのに対し、こちらは随分とホラー要素が強い。刊行順からして、こちらが本来の作者の味なのか。
探偵、刀城のキャラがいまひとつ弱い。こういう人知を越えた怪異に挑むのであれば、作品の空気を和らげる金田一的三枚目か、いっそ知恵と力の象徴のような、明智、神津的超人にして、近代的探偵対前時代的怪異という対立を押し出したほうが盛り上がるのでは。
と思ったが、どうも作品のスタンスが、「怪異はないとは言い切れない」というぼかした立場のため、探偵を無個性にしたのはわざとなのかな、とも感じた。怪異のキャラより前に出るような三枚目探偵も、すべて人間の仕業と看破する科学の申し子のような探偵も邪魔なだけという考えなのかもしれない。あくまでこのシリーズの主役は、探偵でも犯人でもなく、怪異なのだ。

本作の舞台となる、因習に縛られ、それを盲目的に遵守する山村とそこに住む人々、科学捜査の発達していない警察、携帯電話・パソコンもない時代、というのは、トリックを成立させる上での、本格ミステリとして絶好の装置なんだなと改めて感じた。

No.24 6点 いいちこ
(2014/06/09 20:01登録)
力作ではあるが微妙・・・
作風からしてリーダビリティの低さはある程度やむを得ないが、このプロット・真相ならもう少しボリュームダウンできたと思う。
メイントリックは既に有名作品に前例のあるもの。
巧妙な伏線が張り巡らされており、使用方法の完成度は高いが、それだけでは評価することはできない。
最終盤では恒例のどんでん返しが連発されるが、最初に示された真相の方が却って衝撃は大きかったように思う。
6点の上位  

No.23 7点 HORNET
(2013/08/30 20:08登録)
 本シリーズの後続を読んでから、第1弾の本作を読んだ。刀城言耶初登場がこれか・・・と思って読むとそういう点でなかなか面白い。今よりさらに遠慮がち、自信なさげな感じがするのは気のせいか。どちらにせよ、頭脳がキレるのに謙虚な態度は変わらず好感がもてる。
 何かの書評で初期は土俗的・民俗学的要素が濃いと評されていたが、自分はあまりそういう感じはしなかった。神々櫛村、谺呀治家と神櫛家、神隠し、「カカシ様」などの、ムラ社会、呪術的文化は確かに「濃い」が、決して難解な感じはしなかった。むしろ(あたりまえであるが)本作の大きな魅力である。巻頭に村の見取り図があって内容理解の一助として大いに役立った。
 このシリーズは全部読みたい。

No.22 8点 simo10
(2013/05/21 23:04登録)
--ネタばれ含みます--

刀城言耶シリーズ第一弾。本サイトで評価の高い、同シリーズ第三弾「首無~」を読みたいと思い、順番通りにまずは第一弾を読んでみました。
予想はしていましたが、難しい漢字、言葉の連続、長い蘊蓄で、とにかく読み進み辛い。しかも250ページほど進んでようやく事件が発生するという展開の遅さ。
正直なところ話が9割程(550ページ程)進んでもあまり面白いとは思えませんでした(このままなら採点4点、ラストうまくまとめてもいいとこ6点だなと思っていました)。
しかし最後の最後で、心から「あ!」と言わせてくれました。
本当に読み辛かったため、最初の方を何度も読み返していたので、「視点」の件はしっかり意識していた(つもりだった)ので、より感激できました。
解決編のドンデンの連続はなんだこりゃとは思いましたが、ミスリードの仕掛けまできっちり回収していると考えれば、とても親切だと言えます(よくこれだけ罠を張ったもんだ)。
怪奇モノということで、雰囲気で勝負してくる作家だと思っていたので、意表をつかれました。
犯人はどんだけ殺しプロやねんと言いたくなるなど、荒っぽい点は多いですが、こういう大技は好きです。
文庫化される前は地図がなかったようですね。そりゃキツいですわ。九供山での描写が全然解らなかったのでこれも見取り図が欲しいところです。

No.21 5点 yoshi
(2013/01/05 03:13登録)
このシリーズを逆から読んできて、最後にシリーズ第一作に到達した。結論から言うと、シリーズでは一番不満が残った。
まず長すぎる。この三分の二にできるはず。
それから文章が悪い。とにかく読みにくい。
最後に登場人物の名前がみんな似ていて覚えにくい。

以上、「小説」としてみた時の欠点を挙げましたが、
「ミステリー」としての仕掛けはちゃんとしてます。

No.20 9点 ミステリ初心者
(2012/05/28 15:27登録)
 ネタバレあります。


 生霊の如く~まで読んだ中では一番好きな作品。自分のミステリに求めるものが全部ありました。読みやすさ、ダレない展開、どんでん返し、意外な犯人。犯人のばらし方も最高。 読むのが遅い自分が、ほとんどすぐに読み終わったぐらい引き込まれました。

 唯一嫌いな点は、容疑者のはずし方に『動機が無いから』とかある点。言耶さんは自分の推理を否定するけど、その推理が正しくても別にいいということも嫌です。 犯人をより1人に断定できるなにかがあればいいと思いました。
 あと、ある程度ミステリを知っている人向けだと思います。最大のトリックはある約束事の上に成り立ってるかも。

 この作品は、ある意味、親父ギャグが理解できないと楽しめないと思います。 自分は完全にフェアだとおもいます。

No.19 5点 大泉耕作
(2012/04/17 17:31登録)
因習に囚われた閉鎖的な農村、対立する旧家、連続怪死など、横溝作品を彷彿とさせる設定の上で起こるミステリとホラー────と、この刀城言耶シリーズの書評の随所にそんな一文が留めてありましたが、「横溝正史には到底及ばない。こっ酷く言うと『ちゃんちゃらおかしいワ!』」というのが第一の結論。
 第二に、文章が読みづらい。
 しかし、それを覚悟の上で読み進めたのだから多少鼻に就く程度で気にしませんでした。が、この文体で読者をひきつける何かが不足だったように思います。だったら、文章を簡潔にした方がよかったのではと後々ぼつぼつと思った次第です。
 それに、あれだけの伏線や、証拠提示では読者も推理のしようがないかとも・・・。

 自分が求めていたものと相違していたために軽い失望すら感じましたが、割合知的な読み物で楽しめました。
 ただし、軽く読むものではありません。

No.18 7点 スパイラルライフ
(2012/02/18 22:32登録)
かなり読みづらい。
シリーズ他の作品を先に読むことを薦めます。
(個人的には、山姥)

一つの大技をストイックに突き詰め、ホラー要素で一見ミスリードに見えるが、大胆な伏線の見せ方に騙されました。

No.17 7点 りゅう
(2011/08/20 16:55登録)
 憑き物などの因習に縛られた僻村における連続殺人、複雑で怪しげな人間関係、臨場感のあるホラー場面の描写など、作品世界の作り込みは素晴らしいと思いました。一方、ミステリとしてみるとこの作品は本格とは言えないと思います。刀城が真相説明をした時点では、読者に与えられた情報から唯一つの真相を導き出すことが出来ないと思います。この作者はどんでん返しの連続が作風のようですが、このような趣向は、色々な推理が示されて面白いとも言えますが、真相の必然性が失われてしまいがちです。この作品では3つの推理が示されるのですが、前の2つの推理が明確に否定されておらず、どの真相でも良いように感じました。私は一つ目の推理とほぼ同じような推測をしていました。また、刀城、紗霧、漣三郎以外の作者視点のような記述があることには気付いていましたが、それが最後の推理の補強に持ち出されるとは思っていませんでした。

No.16 9点 mozart
(2011/07/01 15:22登録)
「ホラー&ミステリー」として率直に面白かった。結末でのサプライズも十分。

No.15 9点 好兵衛
(2011/06/14 00:28登録)
とてもおもしろかったです。
昔の日本の田舎と重ね合わせているところが
横溝氏を感じます。

が、三津田氏のほうが「しっかり本格」より
だと思います。

大仕掛けが大好きで、驚かされ、ミステリの読後感
としては大満足でした。
似たようなトリックの前例が
違う小説にあるのが残念ですが
こちらの方が上手く練りこんでいると思います。

ただ、これは言耶シリーズの特徴ですが
推理が最後に二転三転していきます。
その可能性も無きにしも非ずなところがあります。
言耶シリーズの味としてみるのがいい、と思います。

No.14 7点 isurrender
(2011/05/23 00:46登録)
金田一を彷彿させるような展開

犯人の正体、自体にはそれほど驚きを与えない
ただ犯人指摘するシーンの演出は凝っている

No.13 6点 VOLKS
(2011/01/06 15:32登録)
先に「首無の如き・・・」を読んでいて、そちらが面白かったせいか、本作品の採点がどうしても辛くなってしまう。
「首無」ではあまり出番が無かった「刀城言耶氏」が、本作品では早い段階から登場しているも、その存在感も今ひとつ。
捻くり捏ねくりまわり過ぎている気がするのだが・・・

No.12 7点 Q-1
(2010/12/19 05:10登録)
序盤は金田一耕助の世界観というよりも獄門島のパクりなんじゃないかというくらい似た雰囲気を持っていましたが、
終盤の謎解きに入ってくると見事なオリジナリティを感じました。
正直古典ミステリが苦手な私には読み辛い内容でしたが,読後は感慨深いものがありました。

No.11 8点 makomako
(2010/11/19 19:53登録)
本格推理の面からいうとちょっと問題はあると思いますが、雰囲気がなかなかで楽しく読みました。文章も出てくる人物も分かり難いところがありすらすらとは読めず、ずいぶん読破するのに時間がかかった。読むのに時間がかかる小説はだいたいダメなのですが、本作品に関しては特有の雰囲気が長く楽しめたという印象です。ちょっと変わったところとしてはみんなを集めての最後の結末のところで、探偵役の刀城は次々とはずれの謎解きを繰り返し、最後にようやく正解らしきものにいたります。バカミスならともかくこんなへんちくりんな解決の仕方ははいかがなものかと少々感じました。

No.10 7点 kanamori
(2010/08/28 14:33登録)
民俗ホラーに本格ミステリを融合させた怪奇作家・刀城言耶シリーズの第1作。
横溝正史というより藤本泉風の古い因習が支配する閉鎖集団という雰囲気は嗜好のテイストですが、読みずらい文章(徒に凝った固有名詞を含め)と解りずらい作品舞台の地理状況で、途中まではリーダビリティが高くなかったが、終盤以降は急転しました。
多重解決の果てに出現した真相は、叙述トリックがあざやかに「神の視点」を変転させ、読者にホラーと本格ミステリ両面で驚きを与えるという離れ業をやっています。

No.9 7点 白い風
(2010/05/13 18:21登録)
やっぱりホラー色の強い作品ですね。
ミステリ的には村の地形が分り難かったのが減点かな。
一枚簡単な地図があればもっと判りやすく楽しめたかな。
でも、内容は読んでて飽きはしなかったけどね。

No.8 5点 E-BANKER
(2009/08/04 22:19登録)
刀城言耶シリーズの第1作目。
本格ミステリーとホラーを見事に融合させた好評シリーズではありますが・・・
~神々櫛村。2つの旧家が微妙な関係で並び立ち、神隠しをはじめとする無数の怪異で彩られた場所である。戦争からそう遠くない昭和の年、ある怪奇幻想作家がこの地を訪れてまもなく、最初の怪死事件が起こる。本格ミステリーとホラーの融合が圧倒的な世界観で迫る!~

非常に前評判の高かった作品でしたし、期待感十分で読み始めましたが・・・
結論では、ちょっとガッカリ。
もちろん作品の世界観や雰囲気は大好物。まさに横溝を彷彿させる古きよき本格物の香りを堪能させてもらいました。
本シリーズのウリ(特徴)は、真相解明前の事件に関する謎の羅列と、ラストのドンデン返しの連続。
ただ、本作ではその辺りがやや"こなれてなかった”ですね。
(次作以降ではその辺が改善され、グッと面白さが増していくわけですが・・・)
まぁ、ハードルを高くした分、評価は辛めですが、シリーズを順次読んでいくうえでははずせない作品かもしれません。

No.7 7点 江守森江
(2009/06/22 08:15登録)
ホラー物に怖さを感じない体質な為に純正ホラーには全く興味がない。
そんな人間がホラーと本格ミステリの融合した傑作と評される作品を読んでも、あくまで本格ミステリとして接してしまう。
ホラーテイストに馴染ませた伏線の数々を、残り少ないページ数の解決編で回収しつつ何度も反転させ、最後に“大仕掛け”を持ってきた素晴らしい本格ミステリだった。
但し、大仕掛けに気付くかは兎も角、読み始めて直ぐに犯人の目星がつき、反転させる前のダミー推理の方が意外性やシックリした感があるのが残念。
更に、ホラー色が薄まる危険はあるが、村の地図や屋敷図を添えた親切設計な本にすれば、最後の大仕掛けに驚く度合いが増したと思える。
面倒くさいので、読みながら地図作成しなかったが、よりこの作品を楽しみたければ地図作成を勧めたい。

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