home

ミステリの祭典

login
暗い宿
作家アリス&火村シリーズ

作家 有栖川有栖
出版日2001年08月
平均点6.48点
書評数21人

No.21 6点 虫暮部
(2020/11/23 12:41登録)
 「異形の客」について。真意を伏せたまま他者をアリバイ工作に加担させるに当たり、どのような言い訳を使ったのか、設定しておいて欲しかった。力関係はその“他者”の方が上なんだよね。
 明確な理由付け無しで、無自覚の協力者に、不自然な行動をとらせることが出来る――それはつまるところ、作者は誰に何をさせてもいい、と言うことになってしまうじゃないか。
 ところで問題の行為が旅館側にバレたら、詐欺罪成立?

No.20 5点 ボナンザ
(2019/10/27 23:25登録)
本格度合いは相変わらず薄めで、このコンビの活躍を楽しむ短編集。どの作品も暗めのオチが印象的。

No.19 7点 mediocrity
(2019/06/12 01:35登録)
「宿」をテーマにした短編集。テーマは同じだが4作とも全く似通っていないのがいい。宿の形態も1作目から、営業を終えて売却寸前の元旅館、リゾートホテル、温泉旅館、東京の高級ホテルとバラバラ。『201号室の災厄』は有栖川氏は冒頭ちょっと出てくるだけで火村視点の異色作。個人的には『異形の客』が一番「宿シリーズ」というネーミングがピッタリで好き。

No.18 5点 パメル
(2017/11/29 01:10登録)
取り壊し寸前の民宿、南の島のリゾートホテル、冬の温泉旅館、都心のシティホテルと宿屋ホテルを舞台にした事件を描いた四編からなる短編集。
雰囲気を味あわせて読ませる作品集で、ミステリとして秀でた作品は無く、また短編ならではの切れ味の鋭さを感じることは出来なかった。
特に残念だったのが「201号室の災厄」で、その場しのぎのパターンでのオチになっており、ロジックが売り?の作者とは思えない作品。

No.17 7点 HORNET
(2017/09/24 14:37登録)
 宿をテーマにした、火村&作家アリスシリーズの短編集。
 廃業する民宿の下から掘り出された白骨(「暗い宿」)、石垣島のホテルで開催される犯人当てゲーム「ミステリー・ナイト」に集った人たち(「ホテル・ラフレシア」)、鄙びた旅館に表れた、顔全体を包帯で包み、サングラスをかけた不気味な男(「異形の客」)、豪華ホテルで突然災難に巻き込まれた火村(「201号室の災厄」)と、様々な趣向が凝らされたオイシイ作品集。
 一番本格ミステリの色が濃いのはやはり「異形の客」か。ボリュームも本書では一番だが、それに見合う謎解きの面白さがあった。表題作「暗い宿」は、一種のジメジメ(?)した雰囲気がそれらしくてよかった。
 全作品を通じて、「落としきる」一歩手前で話を終わらせており、余韻があってよいと思う人もいれば、すっきりしないと感じる人もいるかもしれない。ただ「ホテル・ラフレシア」の終わり方はちょっと悲しすぎた。
 それにしても、(取材を兼ねているとはいっても)気ままに、時間に縛られない一人旅を堪能するアリスを見ていると羨ましい。きっと読んだ多くの人が、旅に出たくなる。

No.16 8点 ボンボン
(2016/06/08 11:00登録)
なかなか刺激的な変化球を堪能した。どれも思わせぶりな雰囲気たっぷりでいて、最後には敢えて外して落としたり、結局ミステリにしなかったりで、面白かった。
宿には、「怖い」や「恐い」が付き物。廃線跡やつぶれた旅館、イーグルスのホテル・カルフォルニア、霊が視える話などの舞台装置が、ほどよくゾッとさせてくれる。でもその陰では、やっぱり愚かな人間の行いが悲劇を招いていて、火村にビシッと糾弾されるのだ。
「異形の客」は、ミステリとしてはストレートで本書のメイン処なのだが、あともう少し整理整頓したら読みやすくなるのに、と少し勿体なく思った。冷徹で厳しいラストは、緊張感があってギュッと引き締まる。
「201号室の災厄」は、とても珍しい火村目線のコミカルなアクションもので、ワクワクする。実に火村らしい窮地からの脱出劇が秀逸。

No.15 8点 青い車
(2016/01/29 16:50登録)
 突出した傑作こそないですが、作者の技巧を感じる粒ぞろいの短篇集です。以下、各編について一言ずつ。
①『暗い宿』 ありそうでなかったネタを、人間の心理と絡めて上手く処理しているなかなかの佳作。
②『ホテル・ラフレシア』 作中の推理劇の答はまあまあの面白さですが、旅先の華やかな雰囲気が魅力的で、程よく苦い余韻も好きです。
③『異形の客』 火村が犯人に放つ糾弾の言葉が印象的で個人的ベスト。
④『201号室の災厄』 人を喰ったような異色作で、短い作品ならではのキレがあります。

No.14 5点 mozart
(2013/02/27 16:22登録)
火村+作家アリスシリーズの短編としてはまずまずなのかも(最後の作品の結末はちょっとがっかりだったけど)。それにしても、火村と江神で探偵としての能力(?)にそれほど差がないはずなのに、自分にとっての読んでいる最中の楽しさがこれほど違うのは何故なのだろう。

No.13 5点 まさむね
(2012/10/13 22:45登録)
 廃業した民宿,高級リゾートホテル,温泉旅館,都心の高級ホテルといった「宿泊施設」を舞台にした短編集。作品によって出来栄えはマチマチです。
 結構すぐに忘れてしまいそうな作品もあった中で,最も記憶に残りそうなのは「ホテル・ラフレシア」でしょうか。謎がぼやけている印象もありますが,「ホテル・カルフォルニア」のメロディや歌詞とともに,その美しくも怪しいムードが心に残ります。

No.12 7点 makomako
(2011/03/20 09:12登録)
宿をテーマのちょっと長めの短編が4つ。作品のでき不出来(好き嫌いではないと思う)がちょっと大きい気がする。表題の暗い宿やホテル・ラフレシアは推理の要素も有栖川氏特有のムードもあってとても楽しめたが、異形の客はちょっとおちる。201号室の災厄はぜんぜんだめ。こんなの無理でしょ。まあ作品のできに波があるのが氏の特徴かもしれないので我慢しましょう。よいものはとてもよいのだから。

No.11 6点 E
(2009/03/28 11:02登録)
「宿」をテーマに繰り広げられる短編集。
ホテル・ラフレシアは最後が印象に残りました。楽園の中で繰り広げられる悲劇と人生のやせなさを感じました。
201号室の災厄(かな?)
火村助教授視点の話は初だったのでいつもと違った有栖川氏作品を読んだ感じでした。

No.10 6点 白い風
(2009/02/14 00:32登録)
宿を巡る4つの短編集。
題名の「暗い宿」では何故、そこに遺体が埋められたのか…が面白かったかな。
また、「ホテル・ラフレシア」では名曲”ホテル・カルフォルニア”の歌詞が上手くスパイスに使われていましたね。
私には「201号室の災厄」はビミョウでしたね。
えっ、結局その場を誤魔化すための推理?(なんかスッキリしなかったね)

No.9 6点 こう
(2008/12/04 00:04登録)
 これも国名シリーズではありませんが悪くなかったです。「201号の災厄」のロジック(?)は割と好きです。アシモフの黒後家蜘蛛の会の「明白な要素」に少し通ずるところがあるかな、と読んだときに思った覚えがあります。「ホテル・ラフレシア」はミステリではないのかもしれませんが作品としてありかなと思います。
 大がかりなトリックというよりは「一ひねりのみ」の作品が多いとは思いますが楽しめました。全体としての雰囲気が統一感があるのもいいと思います。ただ地味な作風ではありますが。

No.8 5点 いけお
(2008/06/26 00:00登録)
若干ミステリ度が低い印象だが楽しんでは読めた。
「201号室〜」は秀逸。

No.7 7点 おしょわ
(2008/01/28 22:05登録)
国シリーズよりも統一感があって楽しめました。
作品のバランスもGoodです。

No.6 7点 jigsaw
(2007/06/05 13:08登録)
作品の雰囲気自体を楽しめる本だと感じました。自分も旅に行きたくなりました。

No.5 7点 vivi
(2007/06/03 01:14登録)
館シリーズならぬ、宿シリーズ。
これはその宿の持つ空気のようなものが作品のミソですから、ロジックがどうのというのはあんまり考えてはいけません。
『ホテル・ラフレシア』の明るいのに怪しいムードがたまりませんね。
『201号室の災厄』では、ダイハード火村が見られますが、
ある意味一番ロジカルな作品だったかも。

No.4 9点 もよもよ(61.124.132.62.99)
(2004/01/10 02:18登録)
楽しめました。「宿」がテーマでありながらバラエティに富んでいて、読み応えのある短編集でした。それほど期待せずに読んだので、(失礼ながら)短編も上手くなったんだなぁと思いました。アリス&火村ファンじゃない人や有栖川作品未読の人なんかにもオススメできそうに思います。

No.3 8点 もも
(2003/10/27 22:11登録)
旅館&ホテルフリークの私にとっては最高に楽しめました。『暗い宿』でアリスが泊まる廃業寸前の宿、『ホテルラフレシア』の竜宮城のようなリゾートホテル、読むだけで恐ーい旅行をした気分になりますよ。
「似合わないホテルに泊まるもんじゃない」と火村先生は言ってますが、絶対行ったるでアマンリゾート。
そしてライブラリーになにげに『暗い宿』を置くのだ!

No.2 7点 レン太
(2003/07/22 03:02登録)
「ホテル・ラフレシア」がとにかくお気に入りです。陽光降り注ぐ楽しいリゾートホテルを舞台に、二重(推理ゲーム&殺人事件)に進むストーリー、そして最後に訪れるカタストロフ…力作だと思います。イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」の歌詞の意味をこの作品で知った方も多いのでは?あんなに意味深な歌だったのですね。

21中の書評を表示しています 1 - 20