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ミステリの祭典

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11枚のとらんぷ

作家 泡坂妻夫
出版日1976年10月
平均点7.27点
書評数41人

No.21 8点 mozart
(2012/12/16 10:58登録)
【ややネタバレになるかも】


話の展開上、「犯人」が限られた範囲内にいることは、おそらく「前提条件」として読み進めるべきなのでしょうが、作中作における人物描写が、結果として効果的なミスディレクションとなっていることもあって、最後まで「犯人」が分かりませんでした。また、「犯人」から本当の(ある意味逆転する)「真相」が明らかにされる展開も秀逸で、ラストでの桂子の振る舞いにも余韻があって、良い読後感を与えてくれました。

No.20 8点 蟷螂の斧
(2012/12/15 15:28登録)
作中作である短編集「11枚のとらんぷ」は奇術のネタばれもあり楽しめました。そして犯人探しの伏線となっているところが構成の妙であり、至極感心しました。全体にユーモアがあり、ヒロイン牧圭子の扱いがうまいと感じました。そして、真相の逆転が一番のお気に入りです。この手の逆転劇は、直近では石持浅海氏の作品(2011)にありますが、中々珍しいような気もします。他に先行している作品もあるのかもしれませんが・・・。

No.19 4点 ムラ
(2011/11/03 15:31登録)
構成も面白くて、マジックショーも楽しめたのだが、肝心の殺人のほうがオマケになってしまって楽しめなかったのが残念。

No.18 4点 haruka
(2011/04/24 22:31登録)
作中作の評価が高いようだが、肝心の本編が楽しめなかった。

No.17 7点 kanamori
(2010/07/29 20:34登録)
著者初の長編ミステリですが、読了時、ああこの作家は長編が書けない人だなと思いました。
長編の中に、11編の奇術ネタの短編ミステリが入っていて、ばらつきはありますが面白いネタが多かった。こちらの構想が先にあって、無理やり長編に組み込んだ印象で、そのため死体の周りに散乱する奇術の小道具の理由付けなどちょっと苦しい。

No.16 8点 りゅう
(2010/06/13 21:25登録)
 構成のアイデアがすばらしいと思う。作中作になっていて、11の短編推理と長編推理の両方を楽しむことが出来るが、短編推理の方がパズル的な内容で面白かった。手品ショーでのドタバタぶりは、筒井康隆の小説を読んでいるようで楽しい。アリバイトリックは見抜くことは出来たが、真相のすべてを見抜くことは無理だと思う。登場人物の一人が、犯行現場のガス栓が開いてあった理由を推理し、犯人を特定する場面がある。いくら何でもこの理由はないだろうと思った(結局○○だったが)。最後に犯人が真相を告白するが、咄嗟にこれだけのことを考えて実行できるかなと疑問に思った。

No.15 7点 E-BANKER
(2010/01/24 16:09登録)
奇才、泡坂氏の処女長編作品。
マジックに絡んだ短編集を作中作として挟み込むなど、処女長編とは思えないほどの技巧を凝らしてあり、「さすが・・・」と思わせます。
作中作はいわゆるミスリード的な使われ方ですが、あまり本筋には関係ないように感じますし、単純にマジックをテーマにしたショート&ショートとして読めば面白い出来です。
最後の解決シーンで、○○○症について伏線を指摘され、第1部(マジックショーのくだり)を読みながら感じていた違和感に思い至り、「成る程ねぇ・・・」と納得。
「乱れからくり」より好きかもしれません。

No.14 8点 okutetsu
(2009/09/28 03:27登録)
マジックを中心にしたミステリですね
劇中劇という試みがおもしろい上にその話単体でも充分に
それぞれミステリとしても成り立ってるんじゃないかという出来。
しかも全編に伏線が張ってあり解答編でのその回収の仕方も見事といえるものでした。
多少マジックの醍醐味であるアッと驚く感じが少なかったのでそこはちょっと寂しかったですね。

No.13 8点
(2009/09/13 23:35登録)
第2部に入っている11の奇術のうちどれだったかを、実はマジックの専門誌でも読んだことがあります。そういった厚川さん(作者の本名)のオリジナル・トリックを利用して長編にしているんですね。
海外ミステリ・ファンにとっても、第3部の世界国際奇術会議の中では、J.D.カーがマジックを演じているフィルムなんてものが飛び出してきて楽しませてくれます。ダイ・バーノン、フレッド・カップス、マーク・ウィルソンといった名前は、マジック方面にくわしくないとわからないでしょうね、すべて実在の人物です。
第1部の場所が「真敷(マジキ)市」であることなども含め、マニアックな嗜好が楽しめるかどうかで、作品に対する評価も変わってきそうです。

No.12 6点 だい様
(2009/08/28 09:24登録)
奇術の描写が面白くミステリーとして上手く出来ていると思った。
ただ人物描写が浅く感じられ感情移入ができなかったのが残念。

No.11 8点 kai
(2009/06/05 16:14登録)
ミステリと奇術を融合させた傑作。
読んでいて楽しいです。

No.10 9点 daiki
(2009/06/04 12:33登録)
ちょっと変な感じの文章が多いけど、ミステリの傑作だと思う。

No.9 8点 測量ボ-イ
(2009/05/03 18:10登録)
30年以上前に書かれた古い作品ですが、縁がなく読んだのは
つい最近です。でも楽しめました。
「作中作」という趣向は当時の作品としては珍しく、そこに
事件解決のヒントがさりげなく書かれている伏線の張り方が
絶品です。
作者泡坂氏は最近亡くなられたそうで、ご冥福をお祈りいた
します。

No.8 6点 frontsan
(2009/03/02 13:29登録)
構成はよくできていたと思うが、奇術がすべての中心になってしまっていて、推理小説としてはいま一つ入り込めませんでした。

No.7 8点 nukkam
(2009/01/16 15:14登録)
(ネタバレなしです) 泡坂妻夫(1933-2009)の1976年発表のデビュー作で実に読み応えのある本格派推理小説でした。(多分発表当時では珍しいであろう)作中作を挿入する構成をとっていますが、それがちゃんと謎解きにも貢献しているのが巧妙です。奇術の世界の雰囲気が濃厚なのも謎解き好き読者にはアピールするでしょう。

No.6 6点 星屑の仔
(2008/09/10 23:27登録)
泡坂さんの長編と言うことですが、読んでみるとなかなか。
途中で作中作も入っているし、地の文章も滑らかで読みやすい。途中で少々奇術に関する文章が少々難解でテンポ悪くなる場所もあるけど、それ以外はスラスラ進む。
ページ数の割には結構サクサク読めるのは吉。

しかし一方で、今言ったように思うような情景が思い浮かべることができない部分があったのも確か。
自分は手品、奇術、マジックの類を齧っているのでまだ判ったんだが、なんの予備知識も無い人が読むと少々混乱するんではないかと思った。
最後の推理の部分で、理論の大きな破たんは無かったけど、やっぱりどこかしっくり来ない、と言う部分を加味すると6点かな。

No.5 9点 白い風
(2008/08/19 23:46登録)
短編集としても楽しめるし、長編集としても楽しめる、気がします。
個人的にカード奇術(手品)も好きなのでちょっと得点は甘めかな。
ミステリのトリックと違うがカード奇術のトリックが11作品もあるのがいい!
そこだけでも、充分楽しめると思う。

No.4 8点 ぴあん
(2008/06/25 22:25登録)
奇術の話は興味深くて楽しめた。作者の伏線の妙にはいつも脱帽だが、この作品も読了後に思わず最初から読み直したくなる秀逸。まあ、ちょっと苦しいのもあったけど。

No.3 8点 こう
(2008/05/26 00:07登録)
 泡坂妻夫第一長編です。作中作の奇術本が独立しても成立し、その内容が犯人指摘につながる構成となっています。奇術に興味がない人でも読める内容だと思います。
 ただ犯人指摘によりある人物の印象が悪い意味で変わるのが後の泡坂作品らしくないかもしれません。泡坂作品では犯人であれその他の人であれ登場人物にはおかしみと好感を持ってかかれることが多いですが(むしろ登場しない人物、殺される被害者が始めから悪いことが多いです)、印象は大体一貫していてある局面から悪く変わることはあまりない気がします。
 作品自体は後の奇術を扱った作品と同様な雰囲気の中進行し良作だと思います。

No.2 8点 ぷねうま
(2007/11/14 10:43登録)
読み終わって奇術に興味が沸いた。人物描写も個性的で読んでいて楽しい。
ただ、解説でも触れられていたがやはり奇術道具が破壊されて殺人現場に残されていた理由が希薄。

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