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ミステリの祭典

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赤い指
加賀恭一郎シリーズ

作家 東野圭吾
出版日2006年07月
平均点6.89点
書評数45人

No.45 4点 ボナンザ
(2022/09/23 22:01登録)
どうしようもない救いのない物語ながら後味はさっぱり。

No.44 7点 じきる
(2020/08/23 19:53登録)
リアリティのある設定に重い物語。
この作者らしいテクニックも充分に活きている。

No.43 7点 雪の日
(2020/05/19 16:24登録)
書評が結構分かれてるけど、ハズレではないと思います。
まぁ、暗い話が嫌いな人は読まない方がいいと思うけど

No.42 9点 バード
(2020/01/05 09:58登録)
メインの仕掛けは同作者の『容疑者x』に似ている。
本書と『x』とを比べると互いに勝っている点(以下参照)があり、総合的な出来は互角と感じた。本書の人間ドラマに心を打たれたので、私個人は本書の方が好き。ということで、『x』よりも一点高い、9点とする。


・本書が勝っている点
1 : 殺人事件そのものを強引にすり替えた『x』に対し、本書では犯人だけを置き換えるので、ほぼ無理がない。仕掛けはシンプルなほど良いというのが、私の信条なので、本書の仕掛けの方がhighレベルと思いました。

2 : 家庭内の憎愛がテーマなので、万人が感情移入しやすい。一方、『x』の犯人の愛は共感できない人も多そう。


・『容疑者x』が勝っている点
1 : 『x』は、仕掛けの種を最後まで隠す構造なので、真相解明で大きな衝撃を読者に残せる。本書の展開ではそういう効果は期待できない。

2 : 物理トリックでごり押しする作風のガリレオシリーズで、毛色の違うトリックを披露した点。一方加賀シリーズでは、本書の発売当時、既に『悪意』などが世に出ており、本書ぐらいの仕掛けに対しては耐性のある読者も多かっただろう。

No.41 5点 sophia
(2019/04/06 00:53登録)
これはちょっとオチが読めましたかねえ。氏の作品を多く読んでいる人ほど分かってしまうのでは。氏の名作はこの類のものが本当に多いですからね。しかし加賀恭一郎シリーズってシリーズにする必然性があまりない気がします。刑事が主役だから加賀恭一郎にするか、みたいな。そう感じるのはこれまでの作品で加賀恭一郎という人物につかみどころがあまりなかったからですが、この作品では家庭環境を描いたりして人間味を演出しています。これもシリーズを続けていくための布石なのでしょうね。

No.40 5点 パメル
(2019/02/18 13:10登録)
加賀恭一郎シリーズの7作目で、倒叙形式のミステリ。
このシリーズの魅力の一つとして加賀自身の人間性があげられると思います。人情深い人柄でありながら、時にクールに鋭い洞察力で真相に近づく姿はカッコ良さを感じます。
いよいよ事件が解決という時に、「刑事というのは、真相を解明すればいいというものではない。いつ解明するかという事も大切なんだ」と部下に言い放った言葉が心にしみた。時々、こういう心に響く言葉があるのも人気シリーズの所以なのでしょう。
また、相変わらずのリーダビリティの高さは、さすがと思わせてくれます。
随分と褒めましたが、ミステリとしては先が読めてしまう展開に、想定範囲内の結末と驚きは少なかった。ミステリとしても加賀父子との関係性のストーリーとしても中途半端な感じがした。もう少しページ数を増やしてでも、ストーリーに厚みを持たせてほしかった。

No.39 7点 nukkam
(2019/01/15 22:18登録)
(ネタバレなしです) 2006年発表の加賀恭一郎シリーズ第6作です。前半は犯罪小説で犯人が誰かも読者にすぐ伝えられます。犯罪小説といっても犯人描写は少なく、事後従犯者となった犯人の家族たちが右往左往する場面が連続します。犯人には同情の余地はありませんし、家族も身勝手で読んでて気分が悪くなります。でも自分が仮に当事者だったら正義を貫けるのかと自問すると自信がありません。自分もゲス野郎の資格十分なことに気づかされてますます気分が悪いです(笑)。後半になると加賀の鋭い推理が印象的な倒叙本格派推理小説になりますが、家族ドラマの行く末のほうが気になるプロットです。講談社文庫版で300ページ少々の分量ですがとても重くて暗い作品、もしこれで被害者側の不幸描写をもっと丁寧に描かれていたらつらくて読了できなかったかも。

No.38 8点 斎藤警部
(2017/09/20 01:21登録)
加賀刑事、斬れること。偽装工作の諸要素を瞬殺で打ちのめし続ける様子はほどんどユーモラスな域の容赦無さ。それにしても気になる、嗚呼タイトル気になる気になる,, 現物(赤い指)が最初に顔出して直後からは長い潜伏の恫喝が突き上げた。。。その言葉の意味は最後に大化けを果たす。サブプロットいちばんの泣かせ所をも大いに巻き込む立体交差で。

心に残るラストシークエンス、最高のラストシーン。このラストは加賀刑事が「昔から優秀で(正確には’勉強もよく出来て’だったか)」ってのが(シリーズモノとは言え)伏線になってたのか? と思えばちょっとクスッと来る。それすら愛おしい。

終結近くまでは、書き込みは緩いけど構成の巧みさが光る準社会派ミステリ7点相当(6.6くらい)と憶測を働かせたが、最終コーナー一気に本格の本性を現した所で、その熱気にやられて8点(7.8超)にジャンプアップ。その本格魂こそ人間ドラマ感動構築の中心に位置するというのが素晴らしい。 本作、複数の大きな社会問題を、巧みに倒叙パズラーの枠組みで弾けさせた、倒叙応用篇の成功作と思います。

No.37 6点 風桜青紫
(2016/01/15 03:00登録)
ストーリーテラーとしての実力はもはや疑いようもないだろう。社会派ミステリとしては宮部桐野に比べれば随分と踏み込みが浅いようにも思えるが、東野圭吾にとって家庭問題なんていうのはプロットを盛り上げる一部分にしかすぎないのである。それにしてもダメな親子だことで……。しかしまあ、加賀さんの熱いキャラクターが定着したという点で重要な一作。露骨なお涙頂戴なんだが、余韻を残すラストシーンもなかなかいい。やっぱこのシリーズは加賀さんの成長物語なのよ。

No.36 7点 いいちこ
(2015/06/24 17:15登録)
得意(たぶん)の倒叙形式で、犯行とその後の隠蔽工作を通じて、教育の崩壊、家族の孤立化、介護といった現代社会の闇を赤裸々に描き切った。
真相解明にあたっては、細かな伏線を回収しつつ、最後は人情味あふれるアプローチで見事な締めくくり。
重量感とスピード感が絶妙にバランスされたストーリーテリングも円熟の域。
相変わらず達者、素晴らしく達者なのだが、メイントリックはXのバリエーションだし、著者の実力を考えれば、プロットさえ思いつけばいくらでも書けるレベルの作品。
作品のデキとしては文句ないのだが、読者としては「良質な量産品」の域を超える「勝負がかった本格」を書いてもらいたい

No.35 10点 Tetchy
(2014/06/15 10:03登録)
人にとって家族とは何なのだろうか?そして人にとって死に際に何が胸に去来し、そして残された者たちはその人にしてやれる最良の事とは一体何なのだろうか?

『容疑者xの献身』で直木賞を受賞し、ミステリ界のみならず出版界全体の話題になった後の第1作目。それはもう1つのシリーズ、加賀刑事物の本書だった。そんな期待値の高い中で発表された作品はそれに十分応えた力作だ。

読む最中、様々な思いが頭を駆け巡る。まず本書が中学生による幼女殺害事件、即ち未成年による犯行だということだ。東野圭吾は未成年によって我が娘を蹂躙された上、殺害された父親の側からの復讐を描いた『さまよう刃』という何とも遣る瀬無い作品があるが、本書では逆に殺人を犯した未成年の息子をどうにか捜査の手から守ろうと奮闘する普通の家庭を描いている。但し東野氏は今回を同情の余地のある犯行とせず、犯罪者の直巳をあくまでどうしようもない身勝手な社会不適合者とし、さらにその愚息を守ろうとする母八重子も実に身勝手で自己中心的な人物として描き、読者に感情移入をさせない。
更に犯行隠蔽のために父昭夫が思いついたあるトリックは先の『容疑者xの献身』のそれの変奏曲と云える。
もしかしたら本書は『容疑者xの献身』の批判的な意見に対しての作者なりのアンサーノヴェルなのかもしれない。

しかし善悪や好き嫌いで単純に割り切れない、長年連れ添った縁という人生の蓄積が人の心にもたらす、当人しか解りえない深い愛情に似た感情を、東野氏は加賀の父親との関係を絡ませて見事に描き切った。

今までのシリーズで断片的に加賀と父親正隆の不和は加賀の若い頃にあった父の母親に対する仕打ちが原因だということは語られていたが、本書では松宮という正隆の甥でしかも同じ警察官の目を通じてその根が思いの外、深いように知らされる。しかし最後の最後で当人同士しか解りえない絆や理解を披露してくれたことで、この陰鬱な物語が実に心が晴れ渡るような読後感をもたらしてくれた。

こんなたった300ページの分量で、しかもどこにでもありそうな事件からどうしてこんなに深くて清々しい物語が紡ぎ出せるのか。東野圭吾はまだまだ止まらない。

No.34 5点 HORNET
(2013/02/16 13:08登録)
 切迫した妻の電話で家に帰ると、見知らぬ幼女の死体が。中3の長男に幼女趣味があり、殺してしまったらしい、と物語が始まる、いわば倒叙法で描かれた作品だが―やられた。
 設定、構成、仕掛けどれも秀逸。であることは間違いない。が、あまりにも気分が悪い。言葉は悪いが、胸糞悪い。救われない話だった。 

No.33 6点 makomako
(2012/07/21 07:52登録)
 読んでいて楽しい小説ではないですね。特に前半は嫌になってしまう。まあそれだけ作者が上手に小説を書いているのですが。
 だいたい殺人事件を現実的でシリアスの書けば書くほど嫌な感じがするのはある面で当然で、それを好んで読むかどうかは読者の選択ということとなるのでしょう。
 東野氏の小説は時々こういった嫌な感じが表へ出てくるものがあり、そういった作品群は個人的には好みではありません。どこか冷たい感じがするのです。
 登場の少年は商売柄ときどき似たようなヤツ(あえてヤツと呼ぶ)と遭遇します。自分がうまくいかないとみんなが困ると思っているのです。加賀と同じような感じを抱いてはいます。
 いろいろあるけど本当は素直でいいやつなんですよ、といったところがないので読んでいるとつらいだけになってしまいます。そんなふうなところが少しあったらぐっと点数は上がったのに。
 甘いかな。

No.32 7点 Q-1
(2012/05/27 23:49登録)
かなり重い題の作品。
親か子か究極の選択を迫られた夫の気持ちの揺れがよく伝わりました。

No.31 3点 スパイラルライフ
(2012/02/06 18:34登録)
将棋のエピソードは純粋に良い話。
複数の社会問題を一つの作品として
物語を作りあげるのは素晴らしいが、
本格ミステリーではない。

No.30 8点 E-BANKER
(2011/06/18 14:14登録)
加賀刑事シリーズ。
今回は、加賀の父親も登場。少しづつ加賀の秘密が明らかになってくる感じです。
~少女の遺体が住宅街で発見された。捜査上に浮かんだ平凡な家族。いったいどんな悪夢が彼らを狂わせたのか。「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼ら自身の手によって明かされなければならない」。加賀刑事の謎めいた言葉の意味とは?~

いやぁ、これは「重い」。ひたすら「重い」というか「痛い!」。
主人公である前原の姿に思わず自分を重ねてしまいました。(特に妻との関係・・・)
父親として、夫として、そして年老いた親を持つ「子供」として、前原の「なさけない姿」がなんともいえず、読んでて「つらく」なってしまいました。
やっぱりすごい作家ですよ、東野圭吾は!
ここまで、人間の嫌なところを抉り出して、さらけ出すなんて・・・。
そして、それを解明する加賀恭一郎のキャタクター! この短さで、濃厚な人間ドラマを作り上げる手腕にとにかく感心。
ラストもにくいねぇ・・・特に、将棋!
かっこよすぎ!
最後に効いてくる「赤い指」の仕掛けも見事です。
(自分の子供がこんな奴にならないように祈るのみ・・・)

No.29 4点 mozart
(2011/06/10 16:12登録)
扱っているテーマが重く暗い割には、内容はそれほどないような・・・。短編でもよかったかも。それにしても、加賀刑事はカッコ良すぎ。こういう人がそばにいると、むしろ息苦しくなったりして。

No.28 9点 ナナ
(2011/05/19 15:49登録)
私としては『容疑者X」に並ぶ作品です。感動ではこちらのほうがちょっと上かも。東野圭吾恐るべし。

No.27 6点 haruka
(2011/05/05 14:16登録)
事件としては単純だが、単なる謎解きに終わらない加賀刑事の解決のアプローチに感心。父親とのエピソードも良かった。

No.26 6点 3880403
(2011/04/06 20:08登録)
読み易いし一気に読めたが犯人とその周りにイライラした。
しかし加賀は好きなのでよしとする。ミステリというより社会派ストーリー。

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