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ミステリの祭典

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有限と微小のパン
S&Mシリーズ

作家 森博嗣
出版日1998年10月
平均点7.33点
書評数64人

No.64 6点 ぷちレコード
(2024/09/08 22:56登録)
ゲームソフトメーカー、ナノクラフトが長崎で経営するテーマパークに女子大生グループが訪れる。死体消失事件があったばかりのテーマパーク内部で、彼女たちを待ち受けるかのように次々と奇怪な事件が続発。事件の背後には、主人公の女子大生、萌絵と因縁のある美人天才プログラマーがいる。彼女の狙いは一体何か。
萌絵とナノクラフトの若き天才社長が、古式ゆかしい許嫁であったり、萌絵と彼女のゼミを担当する教授、犀川とのあるのかないのかよくわからない恋愛関係、さらに喜怒哀楽を鼻の先を動かす程度にしか表現しない必殺理系ぶり、などサイドストーリーも楽しめるが、本書の焦点はもちろん謎解きにある。その謎についてに、あまりに大掛かりで意表をつかれ、理解を超えていた。

No.63 7点 メルカトル
(2023/08/08 22:43登録)
日本最大のソフトメーカが経営するテーマパークを訪れた西之園萌絵と友人・牧野洋子、反町愛。パークでは過去に「シードラゴン事件」と呼ばれる死体消失事件があったという。萌絵たちを待ち受ける新たな事件、そして謎。核心に存在する、偉大な知性の正体は…。S&Mシリーズの金字塔となる傑作長編。
『BOOK』データベースより。

そもそもこのシリーズを過去3作しか読んでいない私が語れる作品ではないでしょう。でもまあ楽しめましたよ。長かったけど、それなりの内容なので冗長とは思いません。取り敢えず、惜しみなくキャラを出してくるサービス精神は良しとすべきでしょう。
それにしても、相変わらず森博嗣の文体は無機質ですねえ。いくら理系ミステリと言っても少しくらい情緒というものを見せてもいいんじゃないですかね。ただ終盤のあるシーンは、確かに情景が浮かんできて美しいとさえ思えましたが。

第一第二の事件はなかなか興味を惹かれました。しかし、それに比して真相はかなり貧弱な気はしました。まあ天才が多すぎて、彼らの考える事に付いて行けなかったのも情けないですが、この無難な評点を付けてしまう己の凡才ぶりに嫌気が差します。

No.62 6点 みりん
(2022/12/18 15:32登録)
ラブちゃんが萌絵より魅力的でスピンオフ見たいくらいでした

No.61 6点 ボナンザ
(2022/07/20 00:15登録)
最終章にふさわしいボリューム・・・ながら事件の解決は意外にあっさり。最後のあれも独特の余韻。

No.60 8点 斎藤警部
(2021/06/21 11:44登録)
“忘却の海の向こう側で待っていた巨大な球形のスクリーンが、慎ましく霞んだ水平線の彼方に、懐かしい太古の明晰を描こうとしていた。”   

素敵な◯◯の中に醜悪な◯◯が闖入し、◯◯の方を宥め賺そうとした物語。 ◯◯の方の殺人◯◯が些末なものとして、せめてもの暗示だけで済まされるって(これだけの頁数を抱えておきながら)。。 最後、あれほど輝く存在感を放っていた人々や(建築や)事象の諸々があっさりと霞んでしまう、強烈な隠喩の大きさよ。。

最後に遺される、雄大な寂しさに心地よく包み込まれる感覚がたまらない。 しかも、そこにはしっかりとミステリの巧妙で巨大な落とし前が。。 この結末は、ひょっとしてある有名な西洋童話へのオマージュでしょうか。

時差云々の件は、わざと露顕させるためのトリックにしてもちょっと面白い。 天才がそんなセコいアレしてたってのも、愛嬌があって良い。(おまけに天才は、あんな事もしっかりこなしていたはずだ。。!)

こんな形でシリーズ完結させられてみると、番外に近い異色作 「今はもうない」 の立ち位置が、弥が上にも切なさを増して、もうたまらんな。。  そっか、あの人のイニシャルって..

「西之園君、今度こそ懲りただろう?」

No.59 8点 もち吉
(2019/09/18 20:19登録)
良い意味でいつもと同じ感じなのでシリーズのファンなら間違いなく楽しめるだろう。
他の作品でもそうだったが、普通のミステリーでやられたら総スカンも致し方なしなトリックが、この作品のテーマの中でやることで大きな意味を持ってくる。いつもながらつくづく巧妙だと思う。

まぁ、アンフェアと言われればアンフェア。何がアンフェアかって一番は芝池刑事の登場ですよ。あれで演技という線はまず消えますから、普通。ミスリードにしてもちょっとスマートではない。中盤くらいの香奈芽との会話の中でトリックの肝に通ずる大ヒントはあるがまぁ到底気付けないだろう。
あとは香奈芽の存在意義。もう少し物語に絡んで来るのかなと思ったが後半は完全に空気となってしまって残念。
あ、そうそう、真犯人の動機がはぐらかされてこの物語の単なる脇役な扱いになってしまった点は普通にマイナス。真賀田四季の仕掛けた壮大なシナリオをただ利用しただけとはいえ、2人も殺害してしまった人間なのだしもう少し掘り下げていただきたかった。まぁメインで描きたかったのが犀川×真賀田四季なのは明らかではあるのだがそれにしても、ねぇ(笑)

なにげに反町愛のキャラが好き。個人的には影のMVPと呼びたい(笑)

No.58 5点 レッドキング
(2019/03/03 00:22登録)
標準的な密室トリックで1ポイント、バーチャルトリックで1ポイント、あと あの「女ルパン」てか「女モリアーティ」の人物トリックで1ポイント。以上3ポイント×2点が評価点だが、長くて物語性の燃費が悪いのでマイナス1ポイント。
※ヤク中ホームズ以降、名探偵ってのは奇人変人あるいは異形と相場が決まってて、なかにはもっと「普通の人」いてもいいじゃんとも思ってたが、こういう探偵てのも実につまらん。

No.57 3点 ねここねこ男爵
(2017/09/21 13:06登録)
ネットが未発達な時代に、海外で流行った楽曲や曲ネタをそのまま日本でやって大プロデューサーになった人がいた。本人は売れだしたとき「コイツらこんなんでいいのか…」と思ったそうな。この作者から同じ臭気を感じる。創作活動はバイトみたいなもんらしいし。

さて書評。
『賛否が分かれる』ということですが、これは…古典の焼き直し(つーかパクリ)では?これが許されるのは一番最初に書いた人だけだと思います。

探偵役は作中の天才wと過去に会っているのになんで気づかねぇの?(これ説明が見当たらない)ってのと、ヒロインがいちいち気絶しすぎで周りも止めろよって。

作者は特徴的なタイトル群や作中の雰囲気でなんとなく先鋭的独創的なイメージを持たせていますが、実はトリックなど推理部分は手あかのついたもの(古い=悪い、ということではない)で、解決も『天才である探偵役が思いついたからそれが真実だ』というものばかり。
悪意のある表現をするなら、『過去の名作を焼き直してストーリーテリングや登場人物の雰囲気作りで面白いように勘違いさせるのが上手』ということになるでしょうか。

あと本作に限らないこの作者の悪癖として、『作中で使われるトリック等の不自然さ無理矢理さをフォローするために作中で延々とその言い訳をする』というのがあります。言い換えると、この作者の著作物で世の中や人間心理の曖昧さが繰り返し述べられているのが目についたらトリックのエクスキューズ(と言うかネタバレ)です。そんなことをするということは作者本人も無理矢理さに気づいているわけで、それならこんなもん書くなよと言いたい(編集者が無理やりねじ込んでるのか?)。

もちろんそれで売れる作品を数多く世に出しているのですから素晴らしく力量のある作家ということになりますねぇ。さすがメフィスト賞を象徴する作家。

No.56 10点 羊太郎次郎吉
(2016/12/03 06:45登録)
ずっと思ってたんだけど、陽子とラヴちゃんはどうして萌絵と友達なんだろう。女って容姿のレベルに違いがある同性とは友達にならないよなあ。違いを気にすんのがバカバカしくなるほど萌絵がハイレベルな美人だということなのか。それとも単に男の作家が書いた女キャラだからか。
瀬戸千衣が真賀田四季だということはバレバレだったのであまり驚かなかった…なんて偉そうに書いてるが、これ以外S&Mシリーズでのトリック?に予測がついたことがなかったから覚えてるんだろうな。ごめん馬鹿で。

No.55 10点 Tetchy
(2015/11/23 00:54登録)
シリーズ中最も厚い文庫本にして約850ページの大作。そしてそのボリュームに呼応するかのように次々と事件が発生し、様々な仕掛けが物語全体に仕掛けられている。
森氏はギアを1速からいきなり4速へと加速するかの如く次から次へと事件を謎を畳み掛ける。

方々に散りばめられた小ネタとも云える謎が早々と解き明かされるが、これが一つ一つレベルが高く、たびたび「あっ!」と声を挙げてしまうほど驚かされた。

(以下ネタバレ)

一連の殺人事件は案外あっさりと解決される。特に動機なんてものは実になおざりに処理される。
ただ私が思ったのはこの真相はいわゆる世に流布するミステリ全般に対する森氏の皮肉ではないか?ということだった。
一般的に市民が殺人事件に出くわす確率はそう高くはない。私自身、直接的間接的にせよ、殺人事件どころか刑事事件に関わったことはない。本書でわざわざ長崎まで出向いた西之園萌絵がそこで事件に出くわすことがもはや作り物めいているといえないだろうか。ミステリを読み慣れた我々にとってそれらが至極当たり前のことになっているが、実際は旅行先で事件が起こるなんてことは確率的にはかなり低いことであり、森氏はそれを逆手にとってわざと事件を起こさせるという真相を持って来たのではないだろうか。

これほど派手に事件が起こるのだが、本書の主眼はそこにはないところに森氏の潔さを感じる。
そして本書の最大の謎とは「真賀田四季は一体どこにいたのか」だ。
これを特定する犀川の推理は実にロジカルで、実に感服した。久々にこれが理系ミステリであると再認識させられた。

いやはやこの最終作でシリーズに散りばめられた仕掛けが解り、森氏の構想力に脱帽した。回文や四季を髣髴させる謎かけなど、森氏の言葉に対する貪欲なまでの遊び心が溢れ、更にはシリーズを思わず読み直させる種明かしもまた心地よい。まさにシリーズの締め括りに相応しい大作だった。

ところで当時の『本格ミステリベスト10』の座談会で笠井氏が「私や綾辻君が10作でシリーズ完結と謳いながらいまだに成し遂げてないのに、彼がたった3年できちんと完結したことがすごい」と語っていたのが一番ウケた。
この頃綾辻氏は『暗黒館の殺人』を出すと云っていた頃だったので、その後のことを考えるのもまた一興である。

No.54 5点 nukkam
(2015/08/18 19:08登録)
(ネタバレなしです) 1998年発表のS&M(犀川と萌絵)シリ-ズ第10作でシリーズ最終作。作品の好き嫌いは分かれるでしょうが質の高い作品が揃った充実の本格派推理小説シリーズでした(個人的にはシリーズ前半に良作が多い印象があります)。本書はシリーズ最大の(講談社文庫版で)850ページを超す超大作です。手応えありそうな本書を先に片付けようと考える読者がいてもおかしくありませんが、少なくとも第1作の「すべてがFになる」(1996年)は本書より先に読んでおいた方がよいです。本書の第2章で萌絵が犯人はあの人ではと(動機も機会も手段もまだ見当がつかないのに)早くも疑っていますが、「すべてがFになる」を読んでいないとこの発想は理解しづらいと思います(クレイグ・ライスの「大はずれ殺人事件」(1940年)を読まずに「大あたり殺人事件」(1941年)を読むようなものです)。謎解きは賛否両論分かれそうですね。例えば消失トリックの中には悪い意味で破格的なところがあります(個人的には阿井渉介の列車シリーズを連想しました)。理系らしさが濃厚なのはシリーズ作品としてふさわしいとは思いますが、物語的には最終作的な何かを感じませんでした。

No.53 7点 E-BANKER
(2015/04/29 17:08登録)
S&Mシリーズの最終作にして最大のボリュームを誇る本作。
もちろんシリーズの集大成。
1998年発表。

~日本最大のソフトメーカーが経営するテーマパークを訪れた西之園萌絵と友人・牧野洋子と反町愛。テーマパークでは過去に「シードラゴンの事件」と呼ばれる死体消失事件があったという。萌絵たちを待ち受ける新たな事件。そして謎また謎・・・。核心に存在する偉大な知性の正体は・・・? S&Mシリーズの金字塔となる傑作長編~

いやぁー長かったなぁー
回を重ねるごとにボリュームが増えていった本シリーズ。
最終作となった本作では文庫版でついに800ページを超える分量まで成長(?)
でもまぁそれだけの価値のある量と質を備えた作品と言えるのではないか。

ありえないほど堅牢な“密室”で起こる殺人事件。
これまで数々の物理的なアプローチで「密室」を攻略してきた犀川&萌絵だが、これほどの堅牢さに果たして解はあるのだろうかという疑問を抱きながら読み進めていった。
そしてその解がアレ、なわけだ。
・・・なる程。そういうことか・・・。これがアンフェアだとかリアリティに欠けるという評価はあるのかもしれないが、個人的には十分受け入れられるものだった。
そのために壮大な舞台装置が必要だったわけだし、このスケール感はなかなか真似できない。
(もちろん突っ込み所はいろいろあるのだけど・・・)

そして真賀田四季である。
それほど本筋とリンクしていたわけではないと思うのだが、やはり彼女の再登場なしではシリーズ最終章は成り立たないということなのだろう。これが「すべてがFになる」の時点で構想されていたのなら、作者はバケモノだ。
ファンタジックなラストも本シリーズらしい。
この後に続くVシリーズにも大いに期待したい。
(結局すべてが中途半端に終わったような感じもあるけど・・・)

No.52 6点 虫暮部
(2015/03/10 18:23登録)
 一連の“事件”に、“犯人役”は設定されていない(よね?)。ただ単に不可解な出来事が続くだけ。それって、萌絵を観客に想定したアトラクションとしては戦略ミスではないのか。全てフェイクだと見抜かないと勝てない知恵比べ、というのは企画としてアンフェアでは。きちんとしたトリックと犯人が存在して手掛かりを辿ればその謎を解ける、というほうが絶対に萌絵は喜ぶと思う。犀川先生が気付かなかったらどうやって幕を下ろすシナリオだったのか?

 というか、先生の推理は作者のズルではないかと思うのだ。フェイクだと示す積極的な手掛かりは、見当たらない(ラヴちゃんが見たドラゴン?)。“どう考えても矛盾している、だから全てフェイク”というのは、あらゆる可能性のひとつたりとも見落としていない、という絶大な自信が無ければ出て来ない発想である。一方で先生は“現象が不可解に見えるのは観察の精度が低いからだ”といったことも言っているし、賢いひとほど自分が見落としをした可能性を排除しないと思う。例えば“窓から出入り可能なサイズのロボット複数を使った犯行”なんて仮説はどうか。あの推理がアリならば、世界中のへぼ探偵が自分の推理力の無さを棚に上げて“全て絵空事なのです”と喚き始めてしまう。

 再読してみると真賀田四季の才というのはあまり納得出来る書かれ方してないなぁと思った。優秀な学者なのは判るけど、アンタ結構舌先三寸で凌いでないか? という感じだ。

 ところで、犀川先生は“瀬戸千衣”と事が始まる前に対面しているが、顔を見て判らなかったのか。 整形した?

No.51 3点 HORNET
(2015/02/28 16:08登録)
 評価が分かれるのがよく分かる。自分は△のほう。こんなトリックはアンフェアだと思う。長く読まされて、この結末には「なんじゃそりゃ」と思った。森博嗣を読んでみようと思い、このサイトでもっとも評価が高いのでまずはこれを読んでみたが、順序を誤ったのもあるかもしれない。
 ただ、登場人物のキャラクター設定は気に入った。特に真賀田四季。きっとこのシリーズファンには彼女のファンも多いのだろう。突き抜けた人物像は、作品の色をそれだけで決めてしまう力がある。
 とりあえず懲りずにこのシリーズ他を読んでみたい。

No.50 9点 ∠渉
(2015/01/12 23:18登録)
10点でもいいんだけど、単体の評価にしました。それでも10点でいいんだけど(笑)。
人それぞれ評価が割れに割れる森作品らしく、とくに本作は顕著にかんじますが今回も割れてますねぇ。それぞれがそれぞれに評価の傾向に驚いてるのが面白い(笑)。
ちなみに自分がサイトみて驚いたのはストーリィの評価の高さとトリックの評価の低さ(笑)。まぁ低いというかミステリィとしての手ごたえが無かったという評価なのかな。その分ストーリィがキレキレな印象が強かったようで。
個人的に、森博嗣さんのミステリィ系の作品は、トリックをかなり高く評価しているし、本作も素晴らしかった。このトリックとストーリィが密接な関係をしっかりと持っているところが森作品の魅力かなぁと自分は思う。
もちろんトリック単体をとっても素晴らしい。S&Mシリーズ内でも常に新しい試みがされていて、完結編でも新しいネタで勝負しているのはプロの意気を感じるし、意図も明確。また、塙理生哉らのパーソナリティも深く掘り下げられいるのでその点でもかなりフェアな作品に仕上がっていると思う。
まぁそれにしてもこのトリックは少し邪道かなと思うし、つまんない、合わない、アンフェア、肩透かし、がっかりという意見も、まぁまぁわかる。でもそう思わせた時点で著者の意図は確実にハマったんだとも思う。このサイトの評価を見たとき、自分の意見も含めて、ある意味で小説以上の予定調和を感じた。良い悪いの評価をしたところで、作品の存在価値を高めるだけ、そんな作品を作ったんだと思う。幻想か。

もう充分語りましたが、シリーズとしての評価もしたい。インサイダーで始まりアウトサイダーで終わる10の物語。シリーズ10作品からの引用になっている章ごとのエピグラフ。明かされる真賀田四季の所在、残念ながら出てこない喜多先生(涙)、真賀田四季、真賀田四季・・・。
とにかく形式美、様式美。均整をとって纏まっていると思う。ひとつの流れとしてこんなに綺麗に始まって美しく終わったシリーズは、自分はあんまり知らない。なのでこのシリーズが完結してしまうのは寂しいけど、この小さくて大きなシリーズを一片のパンで締めくくる森博嗣の「強さ」は、自分も見習いたいものである。
そんな有限のもとに終わったシリーズから、無限の可能性を持って巣立っていった真賀田四季。彼女は魅力的な女性だと思う反面、宇宙の謎のような未知に包まれているその存在は恐怖にも思える(こんなこと言っちゃう位入れ込んじゃってます笑)。むしろ恐怖の方が強い。恥ずかしながら、真賀田四季のことを考えて怖くて寝れなくなったことが何回かある(笑)。自分にとって真賀田四季はそんな存在である。
でもって、これで犀川・萌絵の物語としては実質的に終わりである。Gシリーズ、Xシリーズ等での再登場はあるが、犀川、萌絵の物語ではない。とくに萌絵は、本作『有限と~』の第9章で早くもその役目を終えている。犀川は、犀川らしくファジィな感じで、ほんの少し役目が残っているのかなぁという感じだが、西之園萌絵という物語は、ここでひとまず終わりなんだなぁと、改めて読んで感じた。まぁまだどうなるかはわからないけれど、少なくとも自分がV、G、X等のシリーズを読んだ中では、もうこの2人の役目は終わっているんだという印象を受けた。だからこそ新たなシリーズを次々と始められているんだとは思いますが。まぁそれだけに今後の展開も楽しみである。そんな中で、真賀田四季は神の見えざる手のように、すべての物語を司る役目として常に存在している。世界観が連動しているシリーズに限らず、『スカイ・クロラ』や『ヴォイド・シェイパ』などの単独シリーズや単発作品にもその兆候を見出している自分はもうそうとうにイカれていると思う。

「貴女は、貴方から生まれ、貴女は、貴女です。そして、どこへも行かない」
これが、真賀田四季がこの世界で課せられた使命であり、幻想。たまには、どっかに行って欲しいものです。

兎にも角にも、このシリーズの存在は、自分にとっては絶対的なもので、たぶんこれからもさらにその評価は大きくなるんだろうな。

でもって、本作の世界で提示されたVRのテクノロジィが現実になったら、日常になったら、現実が森博嗣の世界に追いついた証拠として、この作品を10点満点の評価にしたい。

長い書評なんで読まないでください。作品は長いけど読んでください笑。

No.49 5点 まさむね
(2013/08/25 22:35登録)
 長い作品だっただけに,真相には相当に微妙な印象を抱きましたねぇ。「あっ,そう」としか言いようがないような…。会話シーンなどは楽しかったのですがねぇ。
 ちなみに,真賀田四季に対する評価が(物語中でもこのサイトでも)異様に高いような気がするなぁ。個人的にはちょっとよく分からない。自分が凡才だからかなぁ。それほど興味を抱けないんだよなぁ…。

No.48 7点 Q-1
(2012/09/11 17:50登録)
シリーズ最終作に相応しくとても作り込まれた作品だと感じました。
序盤から真賀田博士が登場することで緊張感を保ちつつ、
数人が怪しいままクライマックスに突入するので、終始気を抜かずに読めました。

多数の人間が殺人事件を演じているというのは現実感に欠けますが
ユーロパーク全体がVRの世界なので実際に演じられるのかという疑問は置いといてトリックとしては秀逸だと思いました。

個人的にはハウステンボスのホテルアムステルダムに泊まったことがあるので
場面を想像しやすくハウステンボスを訪れたことがない方よりは楽しめたのではないかと思います。
犀川先生の国枝さんに対する態度も毎度の如く人が変わったみたいで面白かったです。
これも天才は人格を限定していないということなのかな?

No.47 4点 蟷螂の斧
(2012/01/26 18:17登録)
途中までは面白かったのですが、最後の真相には、かなりがっかりしました。「F」が気に入っていたので、期待し過ぎたのでしょうか。シリーズ最終?何もかもが中途半端なような結果で残念です。

No.46 7点 ムラ
(2011/07/30 01:53登録)
S&Mシリーズ最後の作品。この作品の点数は、シリーズ補正と真賀田四季補正が強いってかそれのみ。正直かなり大甘に点数をつけてる。Fの頃にはあまりわからなかった天才性も伝わったし、キャラの個性もあの頃とは段違いに強くなっている。物語りも粋にのめり込めたおかげか長さが気にならずたのしめた。
でも最後くらい萌絵で締めてあげてもいいんじゃないの・・・。これでは犀川&真賀田だ。でも実際そっちのコンビのほうが気になる。

(こっからネタバレありなので注意)
トリックがわかったとき見直して見たら、たしかにそう取れる描写がいくつかあった。これは納得。まさかそんなわけないだろうという先入観に捕らわれた自分の負けかな。
悪い言い方をすると、この人の作品にはそこまでトリックの感動は期待してない、
ただし、瀬戸さんについてはかなり不満足。犀川先生なんで気がつかなかったのって疑問もそうだが(これについては他作品読んで納得出来ました)、三人称で嘘をついては駄目という個人的なポリシーがあるのでこれは駄目だった。(恋恋みたいに伏線みたいの張ってくれたら話は別だけど)
ただし、博士が子供あやしてきゃあきゃあ言ってるシーンは想像すると楽しい。

No.45 2点 3880403
(2011/04/11 19:02登録)
このシリーズの他の作品を読んでないからかもしれないが、
あまり面白くなく長さに耐えながら読んでいたにも関わらず、
トリック(というかオチ)が……。
はっきり言って合わなかった。

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