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ミステリの祭典

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封印再度
S&Mシリーズ

作家 森博嗣
出版日1997年04月
平均点6.15点
書評数68人

No.68 5点 ボナンザ
(2021/11/13 21:42登録)
ツボのトリックというか仕掛けは中々。膨張と目撃者はバカミスの類だが、もう少し見せ方を工夫してくれれば・・・。

No.67 5点 バード
(2019/07/18 12:46登録)
微妙だったのであんまり語ることない。だから箇条書きで書評終わり!

良いと思った部分
・壺と箱のトリック(一番面白かった。)
・タイトル(個人的には結構良いなあと思う。)

うーんと思った部分
・犀川の言うように事件は至極単純だった。ゆえにこの内容で長すぎない?と感じた。普段長さは気にしないのだが、本作品は流石に無駄な描写が多い気がする。
・なんか私自身が本書の本質を見抜けてないような気がする。気のせいかしら。(これは自業自得)
・閂問題を圧力問題にすり替えていたけどあれヒント足りてる?私は解説されるまで、そんな可能性は歯牙にもかけていなかったね。

No.66 3点 ねここねこ男爵
(2017/10/19 00:53登録)
この作者の本を本格/新本格にカテゴライズするのまずくないですかね?
完全にミステリ風ラノベ(ラノベを貶してるんじゃないです)。キャラ萌えな方以外は読むとストレス。
困ったときの自然現象と目撃者は子供で解けない謎の出来上がりです。この作者の悪癖である『トリックの強引さを誤魔化すため伏線と称して作中延々と言い訳をする』がまたも炸裂します。あと有名古典からパクりすぎです。
最後のクライマックスというかページ稼ぎのためでしょうが、記憶喪失が都合良すぎます。交通事故の真相はすぐに見当がつくのでそれ以外に記憶を無くさせる意味がないです。
あと、この作者の本には必ず「UNIXにtelnetでログインしメールを読む」という描写が入るのですが、それ以外に何にもしない。メールも本筋にほぼ関係ない。つまり単に言いたいだけ。作者はおっさんですから、「ボクねアイホーンにしてアプリいれたの見てみてアプリアプリ」と嬉しそうに言ってウザがられるタイプなんでしょう。

関係ないですが、2、3点つけてる方が結構いるのになんで平均高いんだろ?と思ったら高得点者でレビューがこれ一冊のみって方がちょこちょこいらっしゃるのがちと気になります。

No.65 6点 斎藤警部
(2017/06/15 22:51登録)
ドタバタの渦中に絶妙な低頻度で登場する国枝桃子が魅力的過ぎ。時には長時間無登場で恋しくさせる効果も狙ってるんでないかと思うほど、本作でのKM効果は喧しいS&Mラブコメの裏テーマとして作者もかなり意識計算している気配が濃厚。

工夫を凝らした比喩表現の数々を見て時々思うのですが、S&Mシリーズってのは一連のマーロウ物語をレッドゾーン近くまで格好悪く混ぜ返したパロディの側面もあるのではないかしら。。だが本作では、絞り出した生クリームの駆け引き、この辺りのフレーズ群はなかなか好きだった。その直後の、雲を作る工場のあたりも。。 幸せだね。。そのあと数ページも最高に面白し。最高だ。。。これが森君の心の隠し球か。。

さて壺と鍵のトリックについて、大筋ではセンスオヴワンダーまで達せず残念だったが、それでも(こっからちょっとネタバレ)「型」つまり再度封印方法の件は盲点を突かれてたじろぐ思い、ちょっと感動。しかしまあ、その半分強はマジックの種明かしに対する感動(でも分からない方が良かった、的な)でありまして、ミステリの真相を知った感動(やっぱり分かって良かった、的な)の割合を超えちゃってますね。んなわけでそこんとこ、推理小説を味わったって感じは弱い。

ただ、例の子供の証言の機微には、ハッとします。しかもそこへ繋げる伏線の巧妙なこと(大胆すぎるか?)。 とは言え無理があるとのご意見はごもっともで、全体ガヤガヤごちゃごちゃしてるムードの長篇だからこそギリギリ押し切れてる(又は押し切れてない)トリックなのかも知れません。

THE WHOの昔のアルバムを思わせる英題も込みで、やはりタイトルはピカ一ですね。S&M二人の関係も日本語の方には織り込まれていましょうが、実は英語の方もそうなのか .. ?

つーわけで
題名:9点
国枝桃子:9点
壺と鍵:8点
トリック全体:5点
文章:5点
バカ二人(失敬!):3点
総合計で6点とします。

No.64 10点 羊太郎次郎吉
(2016/12/01 07:19登録)
萌絵が大ウソついたのは犀川のせいだ。あれだけ好き好きオーラ出してるのにクールな反応しか示してくれない男に惚れてしまった20歳前後の女の子ならあのくらいするよ。まして彼女は犀川以外の男性からはチヤホヤされ続けモテモテの状態だから、彼のクールな態度が尚更我慢できなかったんだろうね。それを事前に察することができなかった犀川が幼稚。

No.63 8点 青い車
(2016/08/24 21:50登録)
 これまでと同じく、地の文章・会話文ともに独特、なかなか軌道に乗らないストーリー、他の多くの方々も述べられている萌絵の暴挙など、マイナス点は多いです。しかし、それらを考慮してもかなり面白く読めました。
 なんといっても壺と箱をめぐる謎がかなり分厚いこの本を支えるのに十二分に魅力的。そしてすごいのは、その謎がけして尻すぼみにならず、読者の期待を裏切らない解決が与えられているところです。古い作品を例に出すと、横溝の『本陣殺人事件』で金田一に機械トリックをつまらないと言わせつつ、読者を過剰なまでに派手な機械トリックで魅了して見せたことを思い出させます。その他の不満を吹き飛ばすほど突き抜けた発想です。
 『すべてがFになる』がさほどピンと来なかった僕ですが、これはかなり好きです。犯行動機がぼやけているところは相変わらずですし、ドラマ版は褒められた出来ではありませんでしたが。

No.62 7点 メルカトル
(2015/07/03 21:22登録)
再読です。
好きか嫌いかと問われたら、好きな部類。これはワン・アイディアを骨として肉付けし、ストーリーの最後まで引っ張っていく作品である。しかもその肝となるトリックが骨太なため、最終章まで興味を持って読み終えることができる。
事件そのものは、再現性も含めて意外に単純だが、意表を突くトリックによって後味の良いものとなっていると思う。ただ動機だけは、相変わらず理解しづらい。
萌絵のある行動で意見が分かれているようだが、確かにちょっとやりすぎの感はあるが、これも作者のサービス精神からくるものと考えられなくもない。個人的には鼻持ちならないと感じるが、まあこういった強引な駆け引きをもって、二人の心理状態を明らかにする意味はあったのではないだろうか。
タイトルに関しては、大方の意見通り秀逸だと素直に思う。

No.61 7点 Tetchy
(2015/01/24 23:53登録)
このサイトで大半を占めるように、私も萌絵の非常識さに辟易・憤慨しました。
叔父が愛知県警の刑事本部長と云う地位を利用して他人の殺人事件に土足でずかずかと入り込んでくる無神経さがどうも気に入らない。いや押しなべてミステリに登場する探偵とはそのような物だが、西之園萌絵の場合は本部長の叔父が快く思っていないのにこそこそと事件に関わってくること、自分の容姿が他人の目を惹くことを知っているため、それを利用して事件に介入すること。
最たるは不治の病に侵されていると嘘をついて犀川の気を惹こうとしたことの何たる幼さ!それが契機になって萌絵との結婚を決意し、婚姻届さえ書いた犀川の徒労は計り知れない。世の中にはついていい嘘と悪い嘘があるが、そんな分別がつかない我儘娘はどうにも合わない。

壺と箱のトリックの真相は50/50といったところ。壺から箱への部分は思わずすごい!と声を挙げたが、箱から壺への部分は、(物の再現性と被害者の気力も含め)こんなに上手く行くんかいな?と納得できない感が残った。
事件の真相もなんだか煙に巻いたようではっきりしないし。

ストーリー、トリックの点数は3点。本書の神髄はタイトルにある。これはまさに秀逸。同じ発音をしながら意味は違えどどちらも物語の本質をついているまさに見事な題名。これで+4点とした。

No.60 8点 ∠渉
(2014/12/14 17:29登録)
この作品を読んだときに、この人は本気で「キャラ萌え小説」を書いているんだなと感じた。「萌絵ムカツク~」な人もそれはそれで感情移入ってことですよね。読者に甘えた表現だけが「キャラ萌え」じゃないことをまざまざと見せつけられたし、僕は充分萌えた。
あと、文句をいうわけでもないし、否定するわけでもないけれど、萌絵の嘘について命を軽視しているという批判をしている批評をちらほらとサイト内外で見受けたけど、ミステリィを楽しんでる僕らとそこはどっこいどっこいでいいのでは?と。それをミステリィ好きが言っちゃうのはちょっとアンフェアなような・・・と感じてしまったもので。まぁ個人的な意見なのでどうでもいいんですが。
あとパズル小説としては、もちろんのこと楽しめた。
なんか、野暮な書評になっちゃったなぁ。なんとかならんもんか。せっかく好きな作家さんなのに。反省。

No.59 2点 SUGO
(2013/02/16 16:44登録)
これは「本格」ではないですね。
印象としては金田一少年というあの漫画を読んだ時見たい。
トリックは独創的だが、独創的すぎて、誰も解けない。
主役の二人のキャラが強すぎる。
香山家の誰も印象に残らないから、犯人は?という興味も半減。このシリーズでは明らかに失敗作。

No.58 7点 E-BANKER
(2012/08/27 16:26登録)
「詩的私的ジャック」に続くS&Mシリーズの5作目。
ノベルズ版で発刊時に読んだ記憶があり、「なかなかよくできた作品だった」ような記憶があったのだが・・・

~50年前、日本画家である香山風采は息子・林水に家宝「天地の瓢(こひょう)」と「無我の匣」を残して密室の中で謎の死を遂げた。不思議な言い伝えのある家宝と風采の死の秘密は、現在に至るまで誰にも解かれていない。そして今度は、息子・林水が死体となって発見された。2つの死と家宝の謎に人気の犀川・西之園コンビが迫る!~

トータルで評すれば「よくできた」作品だと思う。
他の方の書評を拝見すると、本作に対する評価は「肯定派」と「否定派」に割とはっきり分かれているようだが・・・
まず、トリックに関しては、①例の「祐介(子供ね)の発言」に対する解釈、②密室の構成、③「天地の瓢」と「無我の匣」の仕掛け、の3つに分けられるかな。
まず、①については確かに「微妙」な気はする。作者もそれは感じていて、事前に伏線を不自然なくらい用意してる(幻魔大将軍のくだりね)のだろう。②については、いかにも「理系」的な密室アプローチともいえるが、これは初歩的な科学現象だし、途中で察する方も多いだろう。
やっぱり秀逸なのは③。『なぜ現場から凶器が消失したのか?』というミステリーテーマに斬新な解答を施しているのではないか?
もちろん、このような特異な物質の存在に関する知識云々の問題はあるが、犀川のトリック解明シーンでは久々にカタルシスを覚えた。

プロットでいえば、タイトルどおり『Who inside?』に拘った点が面白い。
本作は作者がこれまで拘ってきた密室構成そのものより、誰が密室内にいたか(或いは留まっていたのか)という謎に特化して提示される。
それが、トリックと有機的に結びつく点が作者のスゴ味。
ただ、そこに固執するあまりそれ以外の部分にやや無理が生じてしまったのがやや難点かな(→香山マリモの記憶の部分など)。

まぁ、否定派の皆さんが言及されてるとおり、ちょっと冗長感があるのは事実だし、犀川と萌絵のラブストーリー的要素が増殖したようなところもあり、その辺は評価が分かれるのはやむ得ないかも。
でも、個人的には十分出来のいい作品と評価したい。

No.57 7点 Q-1
(2012/05/26 18:53登録)
犀川と萌絵の寸劇的なやりとりが面白かったです。
普段は論理的な萌絵が犀川に関することだけは感情的になってしまう様はとても可愛らしいです。

肝心のミステリも箱と壺のトリックは私の予想をひとつ上回ってくれたし、
偶発的に起こる密室現象もなるほどと思わせてくれました。
ただ、子供の発言の件はちょっと無理矢理感があったかなぁ。
まあ分かりやすくヒントが出てたんで、怒りは込み上げませんでしたがw

再度封印されたのが凶器だけでなく犀川の気持ちも封印されたところがナイスでした。

No.56 9点 虫暮部
(2012/04/18 16:24登録)
 森博嗣作品の中ではベスト3級に好き。
 再読して気付いたこと。
 1.「瓢」と「匣」の謎に関しては、出題された段階でかなりきわどいヒントが添えられていたのだなあ(ノベルス版79ページ。浜中のメールから更に考えを進めれば、具体的な知識は無くとも、そういう金属を想定することは可能)。“特定の角度で傾ければ出し入れが出来る”といった類のものなら形状をイラストで示す必要があり、それがないことがメタ的な手掛かりとも言える。アンフェアだとは思わない。
 2.小ネタのひとつが京極夏彦作品でも(メインのネタとして)使われている。
 3.犯人たちの動機が高尚過ぎるというきらいがなくもないが、それを探偵役である犀川のキャラクターがアリにしている構造が面白い。というか“探偵が犯人の最大の理解者”というのは本格ミステリとしては寧ろ古典的か?
 4.ノベルス初版には「鰻」に「なまず」という驚きの誤ったルビが振られている。もう修正されているよね?(未確認)

No.55 4点 まさむね
(2012/03/11 20:02登録)
 正直,微妙です。
 「良かった」と言えるのは,壺・鍵・箱・凶器の謎,そしてタイトルくらい。強引過ぎる箇所が複数あるし,内容に比して無駄に長すぎます。
 ちなみに,萌絵嬢ってこんなキャラだった?急激にイヤな感じに成長しちゃいましたねぇ。犀川センセの魅力まで吸い取る魔力。要するに,二人とも「おこちゃま」ってことで1点減点ですな。萌絵嬢は、この作品では不要というかもの凄く邪魔。

No.54 6点 あい
(2012/02/15 16:41登録)
匣とトリックはある意味現実的で理解できたが、子供の発言については強引すぎるなぁと感じた。ただこのシリーズは好きなので読めただけで満足

No.53 5点 蟷螂の斧
(2011/10/22 19:59登録)
恋愛小説風で楽しめました。「すべてがF・・・」では同じ登場人物でありながら、人間性が感じられなかった。本作の方が人間味が出ており良い気がします。全体的に良くまとまっていますが、子供の証言には大きな?マークがつき、この評価となりました。

No.52 9点 ZON
(2011/08/28 19:50登録)
タイトルが秀逸な作品という作品に初めて出会った。
瓢と匣のトリックに関しては、工学系の大学の講義に宿題として出せば、8割は正解しそうな問題だ(もちろん2,3人の正解を8割が写してくる、という意味で)
人物描写に関しては、その人のボーダーラインによるだろうが、衝撃的ではあった。
ミステリと割り切るか、2人の関係にも重きを置くかで評価が割れるか。
気が向いたら瓢と匣は自作してみたい。

No.51 5点 ムラ
(2011/06/06 17:52登録)
萌絵の行動は好き嫌い別れそうだけど物語的には楽しめた。
密室の作り方や鍵の開け方も科学的で面白い。謎の持ってき方もなかなか。
ただあの男の子の言葉遊びだけはこじつけ勘が半端無い気がする。
謎を読者に解かせる気がないのはシリーズを通してよくわかってるのでそこは問題なし。

No.50 6点 nukkam
(2010/10/25 19:51登録)
(ネタバレなしです) 1997年発表のS&Mシリーズ第5作となる本格派推理小説です。トリックに関しては専門知識に頼ったところがあって感心しませんでしたが、タイトルには思わず唸りました。このシリーズは全作品、英語の副題を用意してあるのですが本書はそれが「Who Inside」だったので、日本語タイトルの駄洒落ではないかと呆れましたが読み終えてびっくり、どちらのタイトルもプロットと密接につながっていました。これはよく考え抜かれていましたね。犀川と萌絵の波乱含みの関係(笑)に謎解きが食われているようなところもありますがなかなか楽しめました。

No.49 2点 okutetsu
(2010/02/22 23:07登録)
このシリーズは結構好きだったので期待して読んだのですが個人的には残念な出来でした。

まず萌絵が異常にうざい。
これまでのシリーズ作品だとそんなには思わなかったのですが今回の萌絵はホントに死ねば良かったのにと思ってしまいました。
人間性も好きになれない上にあの冗談はホント酷い。
人の死を重要なピースとして扱う作品だけに読後余計に不愉快な気分になりました。
ちょっと同情して損した気分。
犀川先生もこんな女を選ぶなら人間のレベルが知れるというものです。

トリックはまずあの子どもに関するところがありえない。
現実離れしすぎでしょう。
また偶然性の高すぎる作品は元々好きじゃないので結論にもガッカリ。

評価できる点は「無我の匣」と「天地の瓢」のトリックとタイトルの秀逸さくらいですかね。

まぁなんにせよ残念です。
今後のシリーズの購読すらやめようか思わせます。
登場人物を嫌いにさせてはシリーズものとしては致命的でしょうに…

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