home

ミステリの祭典

login
我らが隣人の犯罪

作家 宮部みゆき
出版日1990年01月
平均点7.09点
書評数35人

No.35 6点 三枝
(2023/12/13 21:33登録)
小説としては素晴らしいですが、本格としてはやや辛い評価にせざるをえません。

表題作:ジュブナイル的爽やかさに尽きる話です。やっていること自体は窃盗に脅迫と結構悪どいのですが、上手に読みやすくしています。オチにしても結局あの犬はあまり愛されていないというのが肝だったのではないかなと。
ただ犬さらいまではオリジナリティを感じられたものの、実行に入ってからは結局よくある方向にいってしまった感があります。

この子誰の子:30ページというボリュームを考えればかなり上手にまとめたのではないかと。タイトルのダブルミーニングが光ります。

サボテンの花:印象的な謎であるプールの場面が、実は勘違いによる不要な手順だったというのは読者に推理しようがないと思います。お話としては感動しますが、子供の集団エスケープまでお目こぼしするのは無軌道に過ぎる気もします。

祝・殺人:9マイルは遠すぎる的味わいがありますが、よく見ると推理の進展がほぼ論理ではなく明子がどこそこで得た情報であることに気づきます。この話の核心はバラバラにしたことの真相より、本来他人の読むことがないはずの手紙が祝電だけはおおっぴらに読まれるという部分なのかなあと。

気分はスーサイド:設定はおもしろいのですが、やっていることは老人が感じた不幸をオーナーでも共感可能な形にちょこっと変えただけに見えます。

No.34 6点 いいちこ
(2016/01/25 15:09登録)
作者の作品としては本格度が高く、無駄を削ぎ落とした筋肉質な構成。
テクニックの高さを感じさせる反面、総じて軽量コンパクトでパンチ力に欠ける印象。
ただ、好感の持てる作風で、人によっては高い評価となるのも頷ける

No.33 7点 あのろん
(2014/03/05 17:02登録)
それぞれ小粒だけど、伏線がきっちりあって、素直にうなずける感じ。
「サボテンの花」は心温まりました。
日常的なことが(殺人もあるけど)こうも楽しく描けるのはさすが。

No.32 7点 メルカトル
(2013/10/04 22:04登録)
再読です。
さすがは宮部女史、面目躍如の短編集。初読の際はあまりピンと来なかったが、今回読み直してみてその良さがある程度理解できた気がした。この人の作品としては比較的本格色の濃いものと言えそうである。
とにかく第一話から第三話までの出来が素晴らしい。どれもほぼ文句のつけようがないほどの完成度である。
第四話の死体をバラバラにした理由はありきたりで、新味はないが、それでも全体的にうまくまとまっていると思う。
ただ全編を通じて若干薄味な感じなのが悔やまれる点ではないだろうか。

No.31 4点 バード
(2013/09/10 10:48登録)
なんというか肩透かしな作品だった。短編は一つ一つの話に何か光るものが欲しいものだが全体的にそれが足りなかった印象。
読み物としては丁寧に書かれていて読みやすかったのは宮部さんらしいプラスなポイントだが長編と比べると格落ち感が否めなくて残念。

No.30 6点
(2012/11/27 13:14登録)
初期の本格ミステリ短編集。
日常の謎あり、子ども向けあり、社会派風のものあり、ほろっとさせるものあり、もちろん殺人を扱ったものもあります。この作品集を読めば、この作者が常にいろんなアイデアを持ち合わせていることを想像できます。
どれがいい、どれが悪いということはありませんし、平均的に、子どもからお年寄りまで、初心者もベテランも、男女を問わず、ミステリー好きなら誰でも楽しめるように思います。

ところで、「祝・殺人」の真相の背景にある例のアレは、たぶん、書かれた当時は国内ではまだ実用化というほどではなかったはずですし、それによる本作のような怖~い犯罪も当然に知られていませんでしたが、それをテーマにするなんて、やはり社会派ミステリー作家としての素養は当時としてもピカイチだったのですね。
ただこの作品には、もう一捻りあったほうがよかったのではと思います。

No.29 5点 E-BANKER
(2012/03/10 00:43登録)
ノン・シリーズの短編集。
作家としてのうまさを堪能できる作品という巷の評価ですが・・・

①「我らが隣人の犯罪」=乱歩の「屋根裏の散歩者」を少し思い出してしまった。やっぱり、主人公が少年というのがある「間違い」のもとになっているのかな? ミリー(スピッツ犬ね)の件はあまりにもクドく書かれてるので、それがプロットに直結してるのが見え見えになってる気はした。
②「この子誰の子」=プロットこそ単純だが、まとまってて面白い作品。何か秘密のありそうな主人公の少年、そして判明する運命のいたずらのような偶然・・・基本的にはいい話。
③「サボテンの花」=これもラストにホロッとくるいわゆる「いい話」。ただ、この教頭先生の人物描写部分がそんなにないので、生徒たちがここまで「思ってくれる」のにちょっと違和感。なんで校長先生になっちゃいけないんだろう?
④「祝・殺人」=バラバラ殺人を扱った本格色の比較的強い作品。真相はワン・アイデアから導き出されるものでたいしたことはないのだが、新米刑事と関係者の女性との会話が面白い。
⑤「気分は自殺志願」=奇妙な病気に罹った、とあるレストランのボーイ長と駆け出しミステリー作家が共謀して演出した「詐欺」事件を明るく見せた作品。この作品、面白いけど確かにオチがない。

以上5編。
「うまい」のは確か。さすが「宮部みゆき」というのが正直な感想&評価。
ただなぁ・・・基本的に合わないんだよねぇ。この作風は・・・
どの作品も練られたうえに、ムダを削ぎ落とすだけ削ぎ落とした作品なのだが、ミステリー的な観点からみれば、もう一捻り欲しいとしか言いようがない。
これは作者が悪いのではなく、あくまで私個人の好みの問題なのでしょう。

面白いことは間違いないし、手頃な分量ですので、初心者から上級者まで楽しめる作品という評価にはなります。
(どれがいいかなぁ? 敢えて言えば①か④)

No.28 8点 isurrender
(2011/09/11 17:25登録)
宮部作品の中では、本格色の強い作品
それぞれの作品のトリックもしっかりしていて、しかも小説としても心地よい作品揃い
さすが人気作家だと思う

No.27 6点 まさむね
(2011/02/20 15:24登録)
完成度が高く,読後感もよい作品揃いの短編集。
老若男女、誰にとっても楽しい読書時間が確保されそう。
表題作がベストですけど,他の短編も佳作揃い。巧いなぁ。

No.26 5点 ムラ
(2011/02/01 18:46登録)
全体的に綺麗で上手くまとまった短編集。
「気分は自殺志願」もよかったけど「サボテンの花」は特にいい話しで面白かった。
ところどころにある比喩表現も見ていてクスリと来てしまう。とくに教頭のは。
良質な日常ミステリー(とは言わないのだろうかこれは、一作だけ殺人事件があるし)で楽しめた。

No.25 6点 HORNET
(2011/01/16 13:33登録)
 ミステリ好きでなくても,一般的に好まれそうな「うまい」作品集。多くの方がいうように私も「サボテンの花」には顔がほころんでしまいました。話の内容を忘れたころに何度読んでも楽しめそうな短編集です。

No.24 6点 こう
(2010/05/01 01:27登録)
 作者の作品の中でもとりわけアットホームな優しい作品集で読み心地がいいです。
 個人的には宮部作品で「ぼく」が出てくる作品は何となく違和感を感じあまり好きではないのですがこの作品集は気に入っています。
 「サボテンの花」と「祝・殺人」が中でも楽しめた覚えがあります。
 R.P.G.以降は読んでないのですが読ませる社会派作家であることは間違いないと思います。

No.23 7点 だい様
(2009/05/18 09:35登録)
とにかく読みやすかったです。
かなり完成度の高い短編集だと思います。
万人に受けそうな印象を持ちました。

No.22 6点 あびびび
(2009/01/18 11:29登録)
火車にしても魔術は囁くにしても、そしてこの短編集にしても、途中までは夢中になって読むが、どうもラストが合わない。「我らが隣人の犯罪」はまずまずだったが,{サボテンの花」は途中で結末が分かったし、最後の「気分は自殺志願」に至ってはなんの落ちもなく、終わった感じである。
ただ、一作品ずつ個性があったのは良いと思う。

No.21 7点 VOLKS
(2008/11/25 18:20登録)
日常の中にあるちょっとしたミステリィの短編集・・・というには高レベル過ぎる本格短編集だと感じた。

No.20 3点 ルカ
(2008/08/28 02:41登録)
全作品物足りなかったです。

No.19 6点 ElderMizuho
(2008/08/20 18:34登録)
ミステリ色が薄い作品でここでは高得点を付けることが難しいです。表題作などは笑い話としてはいいどんでん返しだと思うのですが、ミステリとしてはさほど意味のあるどんでん返しではありませんし。
軽く読めるのでちょっとした合間に読み物を探しているのならお勧めできます。

No.18 7点 vivi
(2008/07/28 18:40登録)
謎解きを楽しむというスタイルのミステリではありませんが、
ミステリというものが持っている「謎を追う楽しみ」を堪能できます。
皆さんのご推奨の『サボテンの花』は、ちょっとベタではあるけど、
なかなかにいい物語でした♪
それから『気分は自殺志願』も楽しかったな~(^^)

No.17 7点 白い風
(2008/07/20 23:03登録)
”我らが・・・””サボテンの花”の2作はかなり面白かったです。
短編ながら内容も濃かったと思う。
逆に「祝・殺人」「気分は自殺志望」は平凡だった気がしますね。
比較的万人受けする作品だと思います。
同じ短編集「ステップファザー・ステップ」より私はこちらの方がお勧めです。
”我らが・・・””サボテンの花”の2作には評価8を付けたいですが、全体あわせて7としました。

No.16 8点 Tetchy
(2007/10/11 21:42登録)
日ごろ本を読まない人から「なにか面白い本、ない?」と聞かれたらいつもこの本を勧めてます。
ほどよい長さと軽めの内容ながら意外な真相も楽しめる本作はまさにミステリ初心者お勧めの作品です。
他の方同様、私もこの中の「サボテンの花」にはホロリとさせられました。

35中の書評を表示しています 1 - 20