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ミステリの祭典

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頼子のために
法月綸太郎シリーズ

作家 法月綸太郎
出版日1990年06月
平均点6.92点
書評数71人

No.51 5点 バード
(2013/05/06 20:26登録)
手記形式ということで最初から手記の内容は半信半疑だった。だから真相の目星はつけられたが論理的には説明できなかった。
悔しい。

No.50 8点 メルカトル
(2013/01/22 21:58登録)
再読です。
初読の際は、なんだか切ない読後感だったが、今回読み直してみて、全体を通して痛々しい印象を持った。
痛々しくなかったのは、唯一探偵の綸太郎のみで、登場人物それぞれが心に何かしらの傷をもっており、読んでいて辛くなるような心持がしたものだ。
一方、綸太郎は最初から「僕は真実の側につく」との言葉通り、最後の最後まで己のスタンスを貫いている。
この姿勢は、解説にもあるように、どちらかと言うとハードボイルドを思わせる。
従って、この作品は本格ミステリというよりも、ハードボイルド寄りのある(名探偵ではない)探偵の物語という側面を持っていると思われる。
さて、冒頭の手記に関してだが、私は一読後唯一首を捻りたくなるような記述があったことを除いて、特にこれといって不可解な点には気付かなかった。
その手記をもってして、再調査に乗り出し、真相に迫る法月綸太郎はさすがと言えるかもしれない。
しかし、最後に真犯人に対して、○○を促すような言動は探偵としていかがなものかとは思う。
たとえ真実の側についた人間だといえ、ここは思い留まらせるべき場面だった気がするが、どうなのだろう。この点も一つ後味の悪さにつながっているように思える。
まあしかし、様々な面で優れた作品であるのは間違いないし、端正な文章に載せて語られる氏の代表作と言って良いだろう。

No.49 6点
(2012/04/27 13:34登録)
あの手記を読んで奇異に感じるものなのでしょうか。ある1点を除いてなんの疑いも持ちませんでした。その1点については自信があったのですが、残念ながら真相との関連性はごくわずかでした。あの真相を究明した探偵・法月綸太郎、おそるべしです。とはいえ真相は藪の中という感じがしないでもないですが。

ラストは強烈です。このラスト、けっこう好きなほうですが賛否が別れそうです。□□の白い歯がこぼれた、なんてのが最後の1行だったら、さらに凄かったのですが。。。ちょっとやりすぎですね(笑)。

テーマ、ストーリー、真相、ラストのどれもよくできていると思いますが、全体としてはなんとなくバランスがよくないですね。このテーマと語り口、それからタイトルも合っていません。まあ合っていないタイトルだからこそいいんだという意見もあるでしょうが。
それにときどき挿入される海外作品なみの比喩表現も気になります。すべてがちぐはぐという印象です。探偵のキャラを抑えたところは、唯一よかったところです。

No.48 6点 スパイラルライフ
(2012/02/28 18:22登録)
後味の悪さを描ききれてないような、もっと悪くできたはずなのに淡白な文章が相対的に目立つ、というのが最初の感想。

手記の違和感から結末を導きだすには仮説以上の妄想が必要だと思います。なんとなくオチはイメージできるものの、確証がラスト直前まで伏せられているため、サスペンス色のほうが強いです。

個人的には、二の悲劇のほうが好きです。

No.47 6点 いいちこ
(2011/12/24 11:15登録)
手記の解析を通じて歪んだ家族関係をあぶり出すプロットはいい。
しかし最終盤でのメタミス的展開と探偵の行動に疑問。
読者を驚かせるための過剰サービスが裏目に出た感

No.46 10点 卑弥呼
(2011/11/08 01:03登録)
作家と探偵の若さが痛々しすぎて堪らない。
後期クイーン問題という、推理小説のメタレベルの欠陥に探偵が立ち往生することで有名になってしまいましたが、死んでしまった頼子の人生を紐解いていく過程も読み応えあります。

No.45 10点 蟷螂の斧
(2011/11/06 15:05登録)
読後感を一言でいえば「凄い」です。重厚な小説を読んだ後の心地よさを感じることができました。題材自体は、けして心地よいものではありませんが、そういったものを感じさせない筆力があると思いました。

No.44 2点 ムラ
(2011/02/05 12:55登録)
最後の妻の所がちょっと急ぎすぎた印象。
基本的にこういう手記で犯行を説明してる話はほぼ真実で語られることは皆無だと思うので、疑って掛からずをえない。
とはいえ真相は面白かった。けれど登場人物の悪意が足りない気もする。

No.43 5点 測量ボ-イ
(2010/12/18 19:01登録)
ん-、これは読後の後味が悪いですね。
犯人の心情も理解できなければ、(探偵役)法月綸太郎氏の
最後の行動も理解できない(お医者さん怒るの当たり前だ)。
内容自体は水準レベルであるので、採点5点or6点で悩み
ますが、本格色がさほど高くなく、後味の悪さで前者に。

No.42 6点 simo10
(2010/06/24 20:45登録)
法月氏の作品は四作品目になりますが、この作品はこれまでの作品に見られるような論理的な表現が抑えられており、恐らく多くの人にとってかなり読み易い仕上りになっていると思います。
また、タイトルから何となく予想ついたのですが、私好みのなかなかダークな作風でした。特に序盤の手記にはかなり感情移入させられました。
ラストの真相にもなかなか驚かされました。
しかし、全体的に面白いとは思ったのですが、何かもう一つ足りない気がする…

No.41 5点 りゅう
(2010/04/29 16:37登録)
 これは本格ミステリーではなく、サスペンス小説だと思う。
 読者に謎解きを求めているのではなく、ストーリーの進行に伴って次々と事実が明らかになり、最終的に意外な真相が明かされるといったタイプの小説だ。読んでいる際に真相と同じようなことを可能性として考えたが、必然性がないので決定付けることが出来ないのである。他の真相であっても十分納得できてしまう。
 法月が西村の手記を読んで、2つの疑問点を示し、推理を語る場面がある。1つ目は確かに手記を目を皿のようにして読めば気付くものであるが、もう1つの方は言われてみればそうかなと思う程度のものである。これらの疑問点も、西村が日を置いて手記を書いたために間違ったという解釈でも十分通用するのではないだろうか。
 登場人物間の愛憎が丁寧に描写されているので、ミステリー作品に登場人物への感情移入が必要と考えている人にはぴったりの作品だと思う(私にはそんな趣味はないが)。
 最後に影の犯人とも言うべき人物が示され、ホラー仕立てで終わっている。読み物としては面白いと思うが、私の志向するものとは違っていた。

No.40 7点 STAR
(2010/01/24 21:22登録)
何年も前なのに「おもしろかった」という印象があります。手記が出てくるようなミステリーを読んだのは、この本が初めてだったからだと思います。
最後はちょっと怖い愛・・・とは思いますが、読後感は悪くはないです。

No.39 6点 E-BANKER
(2010/01/16 23:14登録)
悩めるリンタローの契機となった長編。
久々に再読。
初読した10数年前は「ロジックをこねまわしているだけ」や「なんか、優柔不断な作風」と感じ、即座に「駄作」と思い込んでいた本作ですが・・・
今回再読してみると、「それ程悪くはないなぁ」という評価に変わりました。
手記や日記の仕掛けは作者の得意とするところですが、その点でも本作はよくできている部類だと思います。
個人的には真犯人の考え方や動機については、全然納得できないのですが、タイトルはいいですね。
まさに「・・・のために」なんですねぇ。

No.38 6点 touko
(2009/11/22 00:11登録)
ハードボイルドよりは本格や探偵小説の古色蒼然とした様式美の方がはるかに好きな私でも、文庫本版のハードボイルド好きで本格嫌いの方の解説にあったように、もしこの作者は本格を意識しなければ、もっと登場人物の心理を書き込め、不自然さが軽減されるタイプの作家だというのであれば、本格にこだわらなくてもいいように思いました。
読者に動機や犯人を見抜かれないために、こんな無茶な人間関係を表面的になぞっただけで終わるなんて、後味悪いですよ……オチも安直だし。

とはいえ、本格と人間ドラマを両立させることだって出来るということは、この作家は他作品で実証していると思います。

No.37 6点 varu
(2009/06/08 12:33登録)
最後の妻とのやり取りが安っぽくて興ざめ。
手記から中盤までは物語に引き込まれていたのですが、人間模様を掘り下げて行くほど、退屈に。退屈な上に、キモチワルイ。

その上、自殺幇助に、妻とのやり取り。読み進めるほどに気分が盛り下がる作品でした。
ミステリというよりホラー。

No.36 7点 makomako
(2008/12/28 09:21登録)
推理小説としては良く出来ていると思いますが、終結は何でこんなこととするのですかね。もうちょっと手前で終わってくれれば良かったのに。倫太郎の態度もやっぱり賛成しかねるし、もう少し違った形にいくらでも変えられると思うのだけど。
 法月倫太郎はこれを書くまでは比較的順調に長編を発表していたのに、こんな風にしてしまうから悩んで次がなかなかかけなくなったのじゃないかな。まあいつもうじうじ悩んでいるのがこの作者の持ち味ともいえるからしかたないか。

No.35 6点 りんちゃみ先輩
(2008/11/29 22:03登録)
とても読み応えがあり、考えさせられ、心に残る作品でした。ただし、愛は1つだけなのですか?と問いたくなる。

No.34 6点 シュウ
(2008/09/24 15:43登録)
法月の出馬が強引すぎたからか、法月がどういう立場で捜査してるのかがなんか分かりにくかったかな。
登場人物も使い捨て的なのが多くていまいち感情移入できなかった。ロック少年の卓也は法月と一緒に行動してもいいくらいだと思ったんだけどな。
話自体は面白かったです。

No.33 9点 kowai
(2008/05/31 22:51登録)
いいです。。ここから私の法月綸太郎シリーズが始まりました。毎回、綸太郎クン、別人格になりますが、このときのモードが一番しっくりきます(まぁ、インプリンティングってやつでしょうが)。娘の愛憎、父ちゃんの事情、母ちゃんの思惑、綸太郎くんの苦悩、すべて納得できました。。では、綸太郎くん、悪夢まで壊れてください。。。

No.32 9点 こう
(2008/05/14 21:50登録)
 先にニコラスブレイクの野獣死すべしを読んでいたので、違いを楽しみながら読めました。
 10年前に読んだ時はラストまで一気に読み大変面白かった覚えがありますが現在ではまず身代わりのための殺人が納得できません。ロジックの追及が初期クイーンの後継者たる法月作品のスタイルとはいえ現実で自分の殺人の犯人をつくるために一人殺すということが実際に安易に行われるとは思えません。
 ただ文章の力はすごく法月作品ではベストと思います。ラストも殺人幇助も綸太郎が初期クイーンの様な物語上の神の存在であることを考えれば個人的にはあまりひっかかりませんでした。
 これと一の悲劇を境に神から下りて悩める名探偵に移行するのはクイーン同様でこれも作者が意識的に行っているとは思いますが法月作品でも中途の家や厄災の町の様な後期代表作を期待したいです。初読時なら10点ですが現在の点数として9点です。
 尚モチーフとなっているニコラスブレイクの作品もお薦めです。 

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