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ミステリの祭典

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黒い仏
石動戯作シリーズ

作家 殊能将之
出版日2001年01月
平均点4.68点
書評数56人

No.56 4点 ミステリ初心者
(2021/09/06 19:31登録)
ネタバレをしています。

 前半は事件を追う中村警部による警察小説と、探偵石動によるトレジャーハントのような内容です。警察小説は情報が徐々に出るタイプが多く、個人的にはあまり得意ではありません。トレジャーハント部分もあまり興味のない仏教や漢詩の話が出てきて、いまいちページが進みませんでした。
 かと思ったら、いきなり幽遊白書(?)のような法力による妖怪バトルが始まりました(笑)。これには仰天です(笑)。
 やがて、探偵が犯人(?)のアリバイに利用されてことを知ってから事件が大きく動きます。指紋を全て消す必要があったことから、石動の推理は私も予想することができたのですが、その先はさすがに無理すぎますね(笑)。

 以下、難癖点。
 これまでも、現実に実現不可能な力や存在を前提にした小説を見たことがありますし、それに対して抵抗はありません。しかし、本作品は過去読んだどの作品よりもミステリになっていませんでした。
 大きく2パターンあると思います。
①名探偵が推理を披露し、事件が一件落着したとおもわれたが、よく考えると論理的に間違った点が1点あり、やはり幽霊や妖怪だったのか…というオチ。
②あらかじめ現実にはないもの(幽霊や超能力やゾンビや魔法)の存在を明らかにし、能力を細かく定義しておき、それを推理に組み込むタイプ。
本作品は、そのどちらでもなく、夢落ちなどと同レベルの話でした。ぶっちゃけると全く好みではありませんでした。

No.55 7点 モグラの対義語はモゲラ
(2021/06/05 19:08登録)
読んだのはノベルス版。事前にコズミックや夏と冬の奏鳴曲とある意味並ぶと聞いていたのが良かったのだろう、普通に楽しめた。

禁じ手が繰り出されるだろうと言う予想は、二章の最後で早々に分かるものだし、そのためにミステリとしての面白さが無くなったと言う事も個人的には無かった。「探偵がどういう論理で犯人やトリックを推理するのか」と言う事にしか興味がない人間は、普通に楽しめるのではないだろうか。むしろその推理によって事象がゆがめられていく感じは真っ当なアンチミステリ、メタミステリ的で面白かった。そんなのに真っ当も糞もあるのかはともかく。逆に真実がどうであるか拘りたい人がこれを読むと本をひっ割いてしまうだろう。

キャラも、設定面はともかく性格的には程よく立っていて丁度よかった。文章も読みやすい。この手のはキャラの味が濃すぎて読みづらかったりすることがあるので、そういう意味でも自分の中ではこの作品はポイントが高い。ふざけた作品なのに澄まして欲しいところは澄ましている。
あと微妙にセカイ系っぽい味付けなのも、自分の嗜好にマッチしていたのかもしれない。全てが詳細に語られること無く終わる感じが特に。

本当ならコズミックと同じく5点ぐらいがいいのかもしれないが、まあでも、真っ当なミステリ作品として楽しめないことも無いような気がしないでもないので7点で。
ああでも、もっと低い点数のがいいかなあ……。地雷ではあるもんなぁ……。まあいいか。踏み抜け踏み抜け。

No.54 3点 Kingscorss
(2020/08/28 22:55登録)
殊能将之さんの超ファンです。個人的には7点なんですが、普通に考えればどうしても低くせざるを得ない… 理由は超有名なバカミスだからなんです。そのバカミスの中でも栄誉ある”壁本”(読んだあと壁に投げつけたくなる本)なんです。

石動戯作シリーズ第二段の今作。前作『美濃牛』は重厚な本格ミステリーでした。今回もその流れを組んでます。”途  中  ま  で  は”

途中でえっ?っていうシーンが出てきて、そこでもうこの流れはバカミス収束すると想像できます。が、結末はその想像を遥かにぶっとんだトリック。

あ  り  え  な  い !

読んだ人の半分は読了後、壁にこの本を投げつけたい衝動に駆られることでしょう。。。(でも本自体には罪がないから投げないで!) 途中までかなり本格チックに行ってたのに何故こういうことをしてしまうのか!氏の技量なら絶対本格ミステリーのまま終わることもできたはずなのに何故!

答えは殊能将之さんだから。しょうがないんです。。。このバカトリックをするためにあそこまで仏像のこと、時代背景等を研究されたりして誠心誠意、洗礼された文章、構成で持って行って、最後こういうありえないことをしてしまう。。。

個人的にはバカミス大好きなので面白かったんですが、真面目に読んだ人にはかなり衝撃的な梯子外しをしてしまうのでご注意を。あくまでバカミスとわかった上で読んで下さい。歴史に残るバカミスです。

No.53 4点 メルカトル
(2019/11/27 22:38登録)
九世紀の天台僧・円載にまつわる唐の秘宝探しと、一つの指紋も残されていない部屋で発見された身元不明死体。無関係に見える二つの事柄の接点とは?日本シリーズに沸く福岡、その裏で跋扈する二つの力。複雑怪奇な事件の解を、名探偵・石動戯作は、導き出せるのか?賛否両論、前代未聞、超絶技巧の問題作。
『BOOK』データベースより。

ぶっちゃけ作者の名前だけで購入しましたが、正直イマイチでした。『ハサミ男』や『鏡の中は日曜日』などの名作を世に出した殊能将之とは思えないですね。
私はこういうの、つまりメタ的なアレは容認派ですが、問題はそこではなく石動の推理に大きな穴があり、しかもそれが警察の杜撰な捜査に直結していることです。要するに、探偵警察双方に有り得ないミスが存在している訳ですよ。まあ他にもミステリとしてあまりにショボイとか、事件や宝探しに惹きつけられる要素が少なすぎるなど、欠点が多く見られます。

日本一名探偵らしくない名探偵石動にもあまり魅力を感じませんし、物語が地味。逆に助手のアントニオの方がある意味目立っているし、面白い存在に思えますね。そちらの裏サイドにはややイイネと感じる部分があります。最後の一文もなかなかの味を出していますし。でもミステリとしての評価は低めに付けなければいけないんじゃないかと思いますよ。

No.52 8点 ニックネーム
(2016/02/15 19:29登録)
これがありならなんでもありですね。

No.51 3点 E-BANKER
(2015/05/04 15:06登録)
2001年発表。
「美濃牛」に続き、名探偵石動戯作が登場する二作目の長編。
今までの書評を読んでいると、とにかくヒドイ評価が並んでいるけど果たして・・・?

~九世紀の天台宗僧侶・円載にまつわる唐の秘宝探しと、ひとつの指紋も残されていない部屋で発見された身元不明の死体。無関係に見えるふたつの事柄の接点とは? 日本シリーズに沸く福岡、その裏で跋扈するふたつの力。複雑怪奇な事件の解を名探偵・石動戯作は導き出せるのか・・・? 賛否両論、前代未聞、超絶技巧の問題作~

うーん。これは普通の人なら「なんじゃこりゃ!」ってなるだろうなぁ。
これがアリなら、アリバイトリックなんて自由自在ってことだし・・・。
でも、まさかここまでブッ飛んでいるとは思わなかった。
(犯人サイドが探偵に協力している・・・ってことだよねぇ)

いったい何が狙いだったんだろうか?
一応本格ミステリーの体裁をとっているけど、それと真逆のプロットを併用している・・・
分からん。
これをどのように評価すればいいのか。
既存のミステリーの枠組みをぶっ壊して、新しいパラダイムを創りだすという意味合いか?

まっ、あれこれ邪推するのは無粋という奴だろう。
こういうミステリーの「やり方」もあるってこと。
ただ、やっぱり肯定的には受け取れないなぁ・・・
(頭が硬すぎるのだろうか?)

No.50 3点 いいちこ
(2015/03/02 17:38登録)
作者がやりたかったであろうことは理解するし、意味のないことだとは思わない。
与えられた条件での探偵による真相解明にもある程度の合理性がある。
ただ、クロフツを標榜するにはネタがセコすぎて、狙いが効果を挙げているとは言い難い

No.49 6点 アイス・コーヒー
(2014/08/08 10:59登録)
石動シリーズ第二作にして本格ミステリ界を激震させた問題作。「ハサミ男」で掴んだはずのファンを大半失ったのではないかというほどの嫌われようで…。

途中までは仏教をテーマにした真面目な雰囲気で進んでいく。名探偵・石動戯作の助手アントニオも登場して相変わらずコミカルな展開だ。
しかし、ある引用を境に物語は急変し、そのまま驚愕の真相に着陸するのだ。本格ミステリの定義すら揺るがすような問題作であることは間違いないだろう。
…これが世間一般の評価というわけだが、私的には(洒落ではないが)そこまで特殊な内容でもないように思う。もう少し穏便な形で似たような試みをした先行作もあり、全体としてそこまで驚きはなかった。(これは自分が麻耶雄嵩作品で慣れたというのもある。)
トリックの完成度は高いが、駄作でもなくまた傑作でもなかった。「美濃牛」と同様怒ったりせずに楽しんで読みましょう。

(以下ネタバレ)
途中、アントニオvs石丸の戦い(未遂)が描かれているのは謎解き前の伏線だと考えるのが妥当。これによってタイムスリップによるアリバイトリックの可能性が示唆されているとも考えられるのだ。
すなわち、本作は異端な「特殊設定」もの本格であり、云ってしまえばそれだけのことである。

No.48 3点 ナノ
(2013/05/19 11:54登録)
途中までは良かったんです。ダイエーの話にニヤリとしたり、普通の推理小説じゃないかと思ってました。
でもメフィスト賞受賞者を侮るなかれ、後半は全くついていけなくなりました。

やはりホラーはまだしも、SFとミステリはどうにも相容れないと再確認させられました。

No.47 6点 TON2
(2012/12/09 19:26登録)
講談社NOVELS
 「美濃牛」に続く、名探偵石動戯作の2作目です。
 前作のイメージのままだと、作品の最後の3分の1でとまどってしまいます。法力を操る妖魔と天台僧の戦いなんて話で、ホラー、SF、伝奇してます。
 特にラストはミステリーに対するアンチテーゼで、評価が分かれるところですが、私は意外と好きです。

No.46 7点 spam-musubi
(2011/01/22 13:33登録)
予備知識なしで(普通のミステリのつもりで)読んだので、
途中で唖然。ラストで呆然。
読み終わった感想は「なんじゃこりゃ」

名探偵(=本格)へのアンチテーゼという見方でいいのかな。
読み終わってしばらくして、「まぁこれはこれで面白いかも」と
思えるようになってきた。

でもこれ、新刊で1,000円以上出して買ってたら1点にしてたかも。

No.45 1点 seiryuu
(2010/07/16 18:14登録)
はじめはとても読みやすい。
仏像が出てくる渋いミステリかと思いきや
中盤からなんだか展開が変わってきたぞ。
オカルトファンタジーっぽくなってきた・・・
なんで妖魔がでてくるのさ。

No.44 1点 abc1
(2009/04/05 21:48登録)
こういうのは同人誌でやってくれ。他作を下敷きにするならちゃんと説明しろ。

No.43 1点 H.T
(2009/04/05 11:32登録)
超問題作。アンフェアもいいところ。
これは本当に「推理小説」なのだろうか(笑)
あの破壊力を知らずに読んだ自分は、不意打ちでした。恐ろしい!

No.42 4点 touko
(2008/10/28 02:52登録)
某神話は本家も読んでるし、最近の日本作家なら、小林泰三とかの派生作品も好きだし、ホラー仕立てのミステリーやミステリー風味のホラーも好きな私としては、狙いは悪くないと思うんですが、これはよく振っていないドレッシングみたいで、ミステリーとしてどうこういう以前に、小説としてダメな気が。
個人的には、せめて最初からもっとおどろおどろしくやってくれてれば、小説的に嫌な感じの違和感じゃなく、面白い試みとして評価できたんですが。

あ、でも、なんで顔のない仏なのかわかった時には、思わず吹き出しましたヨ!

No.41 6点 モトキング
(2008/10/07 15:11登録)
問題作。
こう世間で定義づけられている作品というのは、私の知る限り間違いなくアンチ、メタなミステリである。
まあ、だから今作も、もちろんその類だという確信…いわゆる先入観があった。
あったのだが、果たして…、

…いや、でもこれ、その先入観すら超えたね。
アンチとかメタとか。ミステリを軸に据えて考えると、もちろんそういうことなのだけど。
その軸を一旦忘れてしまうと…、
何か凄く楽しそうな歴史ファンタジーのプロローグを読んでいるみたいでした。
でも、本編がないから、ファンタジーとしても最悪ですが。

そんなこんなで、
個人的には、ムカつくっていうより、笑えました。
凄いですよ。これを作品にするのは。
思いついても出来ない。
いやむしろ思いつくだろうけど、…そこからどんだけ大きい壁を越えれば、こんな厚顔無恥の境地にまで辿り着けるのだろう。
凄いですよ。これは。

No.40 4点 おしょわ
(2008/05/05 22:26登録)
ある意味、殊能先生のイメージを作ることになった作品です。
これが「アリ」と言う人もいますがいったい何が「アリ」なんでしょうか・・・

No.39 7点 VOLKS
(2007/12/23 20:35登録)
うわぁ、笑えた。
「人類の存亡を賭けた最後の闘い」という続編が読みたいのですが、たとえ「石動氏」を登場させたとしても確実に違った方向の小説になってしまうでしょうね。

No.38 2点 yoshi
(2007/10/26 12:27登録)
禁じ手をこれだけ使ってこの盛り上がりのなさは逆にすごいね。他の作品を読んでいないと楽しめないというのも問題あり。

No.37 1点 いけお
(2007/10/10 11:31登録)
この作家の作品はしばらく読まないと思います。

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