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ミステリの祭典

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ロシア幽霊軍艦事件
御手洗潔シリーズ

作家 島田荘司
出版日2001年10月
平均点6.22点
書評数27人

No.27 7点 斎藤警部
(2022/07/18 23:25登録)
革命史ミステリ、医学ミステリ、感動を呼ぶ◯◯ミステリ。 ここまで時空を超えた巨大な謎を、堂々の物理的物理大トリックで!! これほどの歴史恋愛人情ドラマを、こんな豪腕大胆トリックの渦中に放り込んで。。!! 核心となる長い長い事象は、前後する時系列で繋ぎ合わされ、様々な視点で語られる。だからこそ「エピローグ」はまるっと読者の想像まかせでよろしいのでは?とも(前半が冗長に感じ)思ってみたが、やはりそれまでの物語「空白」部分がそこで埋められたからこそ、ベルリンでの件がより切実に、米国での件も重みと迫真性とを増して感じられるのだな。。おかげで(途中までちょっとばかり危ぶまれた)アンチクライマックスも回避された。 そのくせ、全体通してミステリとしては大作というより小味によく纏まったコンパクト作品という感覚。不思議だね。 小道具 ”ブラシ” の小粋なトリックには感心。 著者あとがきの、本作を著した米国でのきっかけ、ははーんと思いましたね。

No.26 4点 ボナンザ
(2021/05/29 16:27登録)
インパクトのある謎で惹きつけるが、後半に行くにつれて島田の主張が鼻につくようになるのが・・・。

No.25 5点 パメル
(2019/12/23 17:03登録)
作者らしいスケールの大きな不可能興味で始まり、その後歴史ロマンへと展開していく異色の作品。芦ノ湖に軍艦が出現という、ありえないはずなのに実際に軍艦と中から降りてくるロシア軍人を見た目撃者がいる。そして翌日には、軍艦が跡形もなく消えてしまう謎が残る。
一方で、日本人の老人が、あるアメリカ人の女性へ「ベルリンでは本当にすまないことをした」と伝言する。この伝言の裏に隠された悲劇と壮大なロマン、これが徐々に明らかになっていく過程が本書の醍醐味といえるでしょう。
歴史ロマンの題材とは皇女アナスタシアにまつわるミステリで、本書ではロマノフ家に関する記述が多く出てくるが、その部分は史実に忠実に書かれているらしい。
構成も工夫されており、御手洗が謎解きをした後に、ロシアから日本、日本からベルリンへという過去の壮大なドラマの再現パートがやってくる。あまりにも数奇な人生を送った男女の運命的なドラマとして、ひしひしと胸に迫ってくる怒涛のようなクライマックスであり、重厚極まりない読後感と言っていいと思う。
ただ、エピローグで80ページ以上あるという事に関しては、冗長に感じてしまったし、ミステリ的にもかなり薄味という点は不満が残る。

No.24 5点 nukkam
(2018/06/16 08:43登録)
(ネタバレなしです) 御手洗潔シリーズ第7作の「アトポス」(1993年)の後、シリーズ番外編の「龍臥亭事件」(1996年)では御手洗とワトソン役の石岡和己の別れが描かれてこのシリーズはどうなるのだろうと気になった読者もいたと思いますがさらに月日が流れて2001年、シリーズ番外編の「ハリウッド・サーティフィケート」と共にシリーズ第8作である本書がようやく発表されました。色々な意味で意表を突かれた本格派推理小説です。それまでの大作主義から一転してかなりコンパクトです。作中時代は「龍臥亭事件」よりも前で、御手洗と石岡がまだコンビを組んでいます。そしてロマノフ王家の末裔である皇女アナスタシアにまつわる歴史の謎解きです。コナン・ドイルの「緋色の研究」(1887年)を髣髴させる、謎解きが終わった後に長い物語が続く構成も異色です。皇女アナスタシアがどうなったかについては研究が更に進んで本書の結論はもはやありえないことが判明してますが作者も最初から空想を交えた仮説に過ぎないことは認めていますし、史実と合わないことを批判するのは野暮でしょう。

No.23 7点 TON2
(2012/12/10 18:17登録)
講談社NOVELS
 大正8年、箱根の芦ノ湖に突如ロシアの軍艦が出現し、一人の小柄な女性がおりてきた。そして、その証拠となる写真が富士屋ホテルに残っていた。この伝説のような話から、御手洗潔が革命による皇帝一家の末路、皇女アナスタシアの生涯を推理する、歴史ベッド・ディテクティブのような話です。
 特別な殺人事件などが起こらず、犯人もいないため、御手洗の行動も他の事件のように常軌を逸することがなく、好感が持てます。

No.22 5点 ろーてくろいつ
(2012/08/23 06:41登録)
歴史ミステリーが絡んだ御手洗シリーズといった感じです。

アナスタシアの遺骨が発見されているので、完全な創作なのですが、彼女の数奇な運命は読んでいて引き込まれました。

ただ・・ニコライ二世の描写で、不快な点があります。

No.21 6点 yoneppi
(2011/08/29 14:10登録)
久々の御手洗シリーズ。Do Xにも興味があるけど、一度富士屋ホテルに泊まってみたい。

No.20 7点 E-BANKER
(2011/01/24 23:35登録)
御手洗潔シリーズ。
1枚の「写真」から始まる歴史に埋もれた謎がスゴイ。
~箱根のホテルに飾られていた1枚の古い写真。そこには、芦ノ湖に浮かぶ帝政ロシアの軍艦が写っていた。その軍艦は嵐の夜に突如として現れ、軍人たちが降りると忽然と姿を消してしまったというのだ。山間の湖にどうやって軍艦が姿を現せるというのか。御手洗はこの不可解な謎に挑むことになるのだが・・・~

本作は殺人事件を手掛けるいつものシリーズ作ではなく、ロマノフ王朝最後の皇帝、ニコライ2世の娘「アナスタシア」と芦ノ湖に突如出現した「幽霊軍艦」を巡る、大いなる「歴史ミステリー」・・・
ただ、アナスタシアと軍艦の謎については、御手洗があっさりと解決してしまいます。
途中の脳科学関係の話は、いかにも島田氏らしい展開ですし、ドイツ製の○○○についてはいつもの「豪腕ぶり」を堪能させられます。(豪腕というか荒唐無稽というかは微妙だが・・・)
読んでるうちに、どこまでが史実でどこまでがフィクションなのか境界が分かりにくく感じるのですが、巻末の解説で作者自身がその境界について説明してくれてるので、その辺は理解できました。
私自身、ロシア革命とロマノフ王朝の謎については、他の文献等で多少かじったことがあるのですが、まさに歴史の「光と闇」を感じさせるテーマではあります。レーニン側から見る歴史とロマノフ側から見る歴史では180度違って見えるわけで、授業で学ぶ歴史がいかに不十分なものかを改めて感じさせられました。
(昨年の「写楽」もそうですが、島田氏の「歴史ミステリー」もなかなか面白いです。やっぱりスゴイ作家ですねぇー)

No.19 8点 seiryuu
(2010/07/16 17:31登録)
創作部分が史実部分に負けないくらい素晴らしかった。

No.18 6点 E
(2009/12/11 23:52登録)
ロマノフ王朝とアナスタシアの壮絶な人生。
突如として山奥に現れた軍艦も驚いたけど、彼女の人生はもっと目を見張るべきものがある。
フィクションでしょうが、かなり研究して描かれたんでしょうね。歴史の謎は深い・・・・

No.17 6点 測量ボ-イ
(2009/10/13 21:11登録)
久々に島田作品を読みました。
1980年代のものとは違い、氏の作品にもう過大な期待は
しないで低いハ-ドルしか設定していませんが、その低い
ハ-ドルをクリアできる価値はありました。
ただ残念ながらミステリ色は薄く、「本格推理小説」では
なかったです。
でも読み物としては十分面白く、特にロシア史の勉強にな
りました。

No.16 7点
(2009/03/21 09:59登録)
アナスタシアが白軍から逃げ出してから、クラモチと日本に行くまでの後半は圧巻。
謎解きも、芦ノ湖の軍艦とアナスタシア自身についての2本立てで、まずまず面白い。前者は想像つかなかったですね。
でも、これは歴史ミステリだから、本格を期待すると裏切られるかも。どんでん返しもないしね。
ミステリとしては70点ぐらいだけど、ロシアの歴史に触れられたし、満足できました。

No.15 6点 あい
(2009/01/16 15:10登録)
色々歴史的なことが多いが事件の謎はとても魅力的

No.14 8点 あやりんこ
(2008/06/21 08:46登録)
ロマノフ王朝について勉強になったし、それが現在とつながっていてすごく面白かったです。
レオナと御手洗さんの会話が個人的にはツボです。

No.13 6点 おしょわ
(2008/01/28 21:52登録)
「歴史」を感じます。
しかしその店では働いてないべー。

No.12 6点 マニア
(2007/12/30 18:09登録)
びっくりするような殺人事件やトリックはないけど、帝政ロシアの最期やロシア革命時のアナスタシアの悲劇など味わい深かった。
自分もこの小説を通じて、歴史上もっともミステリアスな女性の一人であるアナスタシアに興味を抱いた。

No.11 7点 Tetchy
(2007/11/30 18:19登録)
『眩暈』系の作品ですね。
340ページ弱とコンパクトだったのが良かったです。
真相にはまたもやその豪腕ぶりに驚かされました。
馬の毛のブラシが個人的にはお気に入り♪

No.10 7点 姑獲鳥
(2007/08/07 23:09登録)
とても面白い作品でした。あっと驚くことは確かだと思います。

No.9 6点 ぴかちゅ〜
(2005/05/27 23:36登録)
例によって強引だけど楽しめました。
一見ありえそうにないことをどうやって説明するかが御手洗シリーズの醍醐味だと思います。
例え現実的でなく強引でも。

No.8 6点 ギザじゅう
(2005/03/24 18:15登録)
アナスタシアの謎にあそこまで合理的な解決を与えたのは見事。しかも歴史ミステリでいながら、不可能犯罪的な楽しみも味わえるという、豪華な(?)一冊。
ただし、トリックは知っているか否かの部類であるだけに、純粋にその解決で満足か、といえば難しい。脳に異常があったというのも、島田作品の流れから読めてしまう。
ついでに『緋色の研究』タイプの構成はあまり好きではない。が、概ね成功作の部類に入るのではないか。

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