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ミステリの祭典

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青の炎

作家 貴志祐介
出版日1999年10月
平均点7.05点
書評数44人

No.44 9点 HORNET
(2024/08/25 18:51登録)
 これは…名作。
 殺意を抱くほどどうしようもない元継父、母と妹を守るためにその実行を決意した悲壮な思い。高校生ながらに優れた頭脳を駆使して計画する完全犯罪、不審な様子に気付いて心配する親友、彼女。倒叙モノのミステリとしても、若者の苦悩と葛藤を描く物語としても、出色の一作ではないか。


<ネタバレ>
 だからこそラストはあまりにも切ない。
 結局は衝突せずに…という結末を、多くの読者が切実に望むのではないだろうか…

No.43 7点 ぷちレコード
(2024/03/29 22:14登録)
主人公の櫛森秀一は、17歳の高校生。母と妹の三人で平和に暮らしていたが、元父親の曾根が家族の前に現れ、再び家に居座り始めてから、家族の平和が崩壊し始める。
秀一は幸せな家庭を取り戻すために、曾根を葬る完全犯罪を計画する。仕掛ける側に視点があることで、キャラクターと読者の見据える先は合致し、スリリングな展開が味わえる。そして高校生の青春と孤独な殺人者としての苦衷 が、表裏一体となり流れ着く先にある結末が、愛と青春の物語であることは見逃せない。美しくも切ない感動作。

No.42 7点 じきる
(2020/08/23 21:02登録)
青春時代の情景…犯罪を計画する時の緊張感…悲しいラスト…。
読んだのは随分と前だけど、内容を思い出すと今でも切なくなるような作品。

No.41 8点 雪の日
(2020/04/14 13:39登録)
一番好きな倒叙ミステリー。

No.40 4点 バード
(2020/01/14 17:21登録)
ぐいぐい読ませる貴志さんの筆力は流石だったが、『さまよう刃』や『春にして君を離れ』の書評にも書いたように、やはり読んでて楽しくない小説は苦手よ。本書は最後まで秀一への救いが無く、きつかった。ただ、作者の狙い通り(?)秀一に同情的になっていることを踏まえると、きっといい作品なのだろう。(倒叙物は読みなれていないので、正しく評価できてないかもですが。)

本作で一番好きなシーンは秀一がブリッツ用に電気工作をしてる場面である。自分でモノを作ってるイメージをしながら読んだ。あとがきによると、本作の殺人法は確実に失敗するらしいのだが、何が問題なのだろう?200Vもかかれば普通人間は死にますがね。そこが一番興味深い。ちなみに100V位は案外大丈夫でした(実体験)。ただ、『ミステリーを科学したら』の中で由良さんも嘆いていたが、殺人法を実験するわけにもいかんしな~(笑)。

No.39 9点 sophia
(2014/05/21 23:13登録)
自分の罪がばれないかヒヤヒヤする夢を見て汗びっしょりになって目覚めることが時々ありますが、それを小説で体験させてくれる作品。
第1の殺人はかなり石橋を叩いて渡った印象ですが、第2の殺人のときはまるで別人のように大胆。
計画が粗くて本当にヒヤヒヤして読みました。
そして最後はああなっちゃうんですね。

No.38 8点 E-BANKER
(2014/02/02 16:15登録)
1999年発表。嵐・二宮和也主演で映画化もされた、ノン・ホラーでは作者を代表する長編作品。
主人公・櫛森秀一の心理が読者の心に染み入る倒叙型ミステリー。

~櫛森秀一は湘南の高校に通う十七歳。女手ひとつで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭を踏みにじる闖入者が現れた。母が十年前再婚し、すぐに別れた男・曾根だった。曾根は秀一の家に居座り、母の体のみならず妹にまで手を出そうとしていた。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意する。自らの手で曾根を葬り去ることを・・・。日本ミステリー史上に残る感動の名作~

ラストまで読み終えて、とにかく“悲しい”という感情しか思い浮かばなかった・・・
これほど救いようのないラストもそうないのではないか。
主人公は二つの殺人を犯すに当たり、その殺害方法について高校生とは思えないような深謀遠慮を尽くす。
ただし、悲しいかなやはり高校生は高校生でしかなく、どんなに考え尽くしたと思っていても、あちこちにあった綻びを刑事に突かれ、ついには殺人を認めざるを得なくなってしまう・・・

この辺のプロットはまさに倒叙形式そのものという感じなのだが、主人公を高校生としていることで本作は何とも言えない“やるせなさ”や深い哀愁が漂う効果が出ているのだろう。
巻末解説で佐野洋氏が「僕が倒叙ミステリーを選択するのは、登場人物の心理を自由に書けるから・・・」という清張のことばを引用しているが、本作でもこの狙いは十二分に当たっている。
(『感情移入できなかった・・・』という書評を残されている方が多いようだが、私個人もともと物語の人物にすぐ感情移入しちゃう方なので、今回も秀一の心にすぐに共鳴してしまった・・・)

あまり倒叙、倒叙などと、ミステリーの形式ばかりを論じるのは的外れのような気もする。
青春ミステリーでもいいし、クライムミステリーでもいいし、とにかく本作は読者ごとで感じることは大きく異なるのかもしれない。
個人的には「さすが貴志祐介」という評価&評点。
(仕掛けに対する秀一の拘りぶりは、何となく真保裕一「奪取」で偽札づくりに精魂を込める主人公とオーバーラップしてしまった・・・。あと、紀子は相当可愛いな・・・)

No.37 8点 itokin
(2013/11/08 11:32登録)
主人公の追い詰められていく心理描写が素晴らしく物語に引き込まれました。終盤での紀子との絡みはこの物語を救っていると思います。最後の1行では涙が止まりませんでした。

No.36 8点 Q-1
(2012/05/27 23:14登録)
紀子がとても可愛らしい作品でした。
文武両道の秀一も高校生らしい精神的な若さが垣間見えて
多感な時期の青年としてよく描かれていると思います。

ラストの美術室のシーンも印象的で感動的です。
まあこの手の別れを決意するシーンはどんな作品でも弱いのですがw

ロードバイク乗りとしてはロードバイクが重要な役割を担っていたのも良かった点でした。

No.35 6点 蟷螂の斧
(2012/01/21 15:49登録)
17歳の高校生が計画した完全犯罪という設定なので、甘さと穴ばかりあるのは致し方ないと思います。完全犯罪小説というよりは、青春小説として読んだ方がよいと思います。

No.34 7点 いいちこ
(2011/12/27 19:53登録)
大好きな作品。
完全犯罪に挑む優秀な高校生。
計画が成功したときから彼を苛み始める葛藤と動揺が完璧に見えた計画を狂わせる。
この主人公の心理を倒叙形式によって余すところなく描き切る。
そして何よりも素晴らしいのがラストシーン。
母と妹のために立てられたこの悲しすぎる計画の最後に、そして殺人の是非に対する作者の答えとして、これ以上の結末はあり得ないのではないか。
強い哀愁と感動を残す必読の作

No.33 3点 こう
(2011/07/09 00:49登録)
 サイトで拝見して読んでみましたが個人的には合いませんでした。倒叙形式の青春犯罪小説といった趣きでしたが主人公に感情移入できませんでした。筆力がありどんどん読ませる作品だとは思いますが。

No.32 9点 kenvsraou7
(2011/07/01 17:11登録)
青春もののミステリーとしてかなり完成度の高い作品。
とくに主人公の心情がリアルに描かれていて
この人物像にグイグイ引き込まれていく感じがいい。
完全犯罪が達成されたかに見えた主人公が
その若さゆえに出てくる綻びによって
じわじわと追い詰められる様はスリル満点。
犯罪を隠すために犯罪を犯すといった
焦る主人公がまた淡い青春ストーリーを醸し出す点もいい。
そして映画版の主演は二宮くん。
これがまたぴったりとあってる気がする。

No.31 5点 isurrender
(2011/06/19 16:34登録)
自分の高校時代を思い出すようなリアルな高校生活の描写は良かった
ただ、どうもこういった救いのない結末は好きになれない

No.30 8点 minii
(2011/05/28 17:58登録)
高校生ならではの、純粋さと計画性の甘さ。
江ノ島を走る疾走感と、胸に秘めたドロドロとした鬱積した感情。対局するものを巧みに取り入れていて、一気に読了。
 現実世界の殺人犯というものが、皆こんな想いをして苦しんでいればいいのにと、切に願う。

No.29 6点 VOLKS
(2011/03/11 14:32登録)
切ない物語。
素直に引き込まれ、読んでいるうちに追いつめられていく主人公を間近で見ているように感じて辛かった。

No.28 5点 ポセイドン
(2010/07/15 00:03登録)
ラスト、無関係の他人に多大な迷惑をかけちゃいかんだろう。

No.27 4点 清涼水
(2010/02/06 00:55登録)
ダンプにゴン、がいいね。

No.26 8点 vivi
(2009/11/27 03:04登録)
久しぶりにドキドキする作品を読みました。
青春期特有の主人公という点では、
若干偏った行動や思考になってると思いますが、
それがあってのこの作品。
青春小説としても、心を打たれました。

ラストシーン。結構好きです☆

No.25 7点 ZAto
(2009/11/02 23:15登録)
面白かったのが、夏目漱石『こころ』が引用されていたこと。
「先生」と「K」の心理について秀一は考察し、殺人から、いずれは自滅していく自分を想像していく。
ついこの間『こころ』を読み終えたばかりだったので、
この偶然の符合にはドキリとさせられた。

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