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ミステリの祭典

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見えないグリーン
素人探偵サッカレイ・フィン

作家 ジョン・スラデック
出版日1985年06月
平均点6.72点
書評数18人

No.18 6点 虫暮部
(2024/04/04 14:36登録)
 解説の法月さんがいみじくも “ストーリーの不在” と記しているのを読んで “それだっ!” と膝を打った。
 第一の殺人は、何しろ第一だから何とかなる。しかし第二第三になると、連続殺人を “連続” たらしめるツナギが必要。その役割を果たす筈のミステリ読書会は存在感が薄く、穴だらけのCCと言うか、三つの事件がバラバラに見えた。個別に取り上げれば面白いんだけど。

 訳について。言葉遊びを日本語に置き換えてしまうのは好きではない。8章の回文とか。訳者は大変だったろうけど、それより原語の洒落を知りたい。

No.17 7点 斎藤警部
(2022/06/06 22:52登録)
ユーモア、皮肉、パロディに満ち満ちた本格パズラー。密室殺人、人間消失、偽装アリバイとトリックの割子そば状態。それぞれ割と小味だが、全体まるっといい感じ。そんなトリック面もさることながら、犯人特定のロジックというか仮説煎じ詰めには痺れた。目眩しされて意外過ぎる犯人とは行かないが、犯人の事件内立ち位置の意外性、犯人特定のための手掛かりとロジックの意外性に押し切られ、文句なし。 

と言っても、トリック面や殺人動機、或る意外な事象を見破る手掛かり、犯人の最後の抵抗、他にも幾つかの要素で微妙なせせこましさを感じ、その辺ちょっとB級感が発生してる気もするけど、何しろ犯人特定ロジックの見事さ、そしてやはり強靭なユーモア、皮肉、パロディのスピリットが光り、トータルではA級作品かな。

犯人と言えば、或る人物が殊更に?登場人物表にエントリーされてるの、結構なミスディレクションになってましたよ。その本人がまさか犯人じゃ。。なんて少しばかり本気で疑いましたよ。何しろ、奇想天外な密室トリックって喧伝されてるわけだからねえ。

もろ手を挙げて「評判通りの傑作!」とまでは思えなかったけど、悪いもんでは全くないね。

No.16 7点 ねここねこ男爵
(2020/04/08 01:34登録)
面白い。
「こういうのでいいんだよ」と言いたくなるような魅力的な謎と思わせぶりな探偵、そして真相。テンプレを踏まえつつきちんと水準以上の作品に仕上がっているのが素晴らしい。
個人的に密室トリックそのものはどうでもいいと思っているし賛否があるだろうけれど、本作の密室はけっこう感心した。

No.15 6点 クリスティ再読
(2019/09/26 09:17登録)
70年代にもなると海外では珍しい純パズラーで、日本でいう「新本格」テイストの作品。というか、本作は本当にパズルに徹していて、逆に「それ以外の要素」が皆無、というのが珍しいようにも思うが、いかがだろうか(たとえば「ホッグ」ならスリラー要素も強い)。それでも軽くユーモラスな雰囲気はあるから、読みやすさは十分。パズルだから動機は軽いものだし、フィージビリティとかいうのは野暮。それでも「黄金期パズラー」に対する過剰な思い入れみたいなものはなくて、軽妙でカラフル、だからポップ。アメリカの「新本格」の手品趣味に寄ったマニアックさもないし、イギリスの「新本格」の教養主義でもない。「新本格」ってのがもともとタダの宣伝文句なのを割り引いても、日本の「新本格」に近いタイプなんだろうな。
趣向として面白いのは、容疑者たちのアリバイの理由が逆密室になっている、というあたりだろう。そんなに長い作品でもないのに、連続して3つの殺人が起きるくらいで、動きがあって興味を引っ張るが、探偵役はその中で目立たない手がかりを拾い出して...というタイプの謎解きだから、漫然と読んでるとすぐ終わっちゃう印象。軽い口当たり。
というかねえ、この手の作品だったら何を基準に作品の良し悪しを判定するのか、って「論」的な部分で難しいようにも思う。ロジックがアクロバティックなわけでもない、トリックが派手というものでもないし、真相からドラマが立ち上がるわけでもないし、だったら、かなり読者で差がありそうなパズルで言う「解き味」? 「フェア」はまあ前提だろうしねえ。ミスディレクション中心のものだったら「経済性」はダメだろうしね...本作ある人物がパズルとしては浮いたピースになると思うよ。「難度」高きゃいいってものでもないだろうし、難しい。

No.14 7点 はっすー
(2016/02/16 12:11登録)
ミスディレクション・トリック・動機が充実した作品だった
密室トリックが強烈で有名だがその他のトリックも意外性があり面白い

No.13 7点 ロマン
(2015/10/21 16:45登録)
〈素人探偵七人会〉のメンバー達が姿の見えない"グリーン"に次々と殺されていく長編ミステリ。最後まで犯人は全く分からず。どの殺人方法も面白かったが、やはりトイレの中での密室が一番良い。張り巡らせた伏線が全て解答に結びつく緻密な構成も素晴らしいし、情報をフェアに提供しつつも、安易なフーダニットに仕上がっていない点も好印象。

No.12 6点 ボナンザ
(2015/04/11 23:32登録)
ユーモラスな雰囲気と古色な本格が融合した佳作。

No.11 6点 E-BANKER
(2013/08/25 14:01登録)
本業はSF作家である作者が著したミステリーがコレ。
1977年に発表され、本格ファンの絶賛を浴びた長編作品。

~ミステリー好きの集まり「素人探偵会」が35年ぶりに再会を期した途端、メンバーのひとりである老人が不審な死を遂げた。現場はトイレという密室・・・。名探偵・フィンの推理をあざ笑うかのように、姿なき殺人鬼がメンバーたちを次々と襲う。あらゆるジャンルとタブーを超越したSFミステリー界随一の奇才が密室不可能犯罪に真っ向勝負! 本格ファンを唸らせる奇想天外なトリックは?~

本格ミステリーとしてファンの心をくすぐる道具立ては揃った!
そんな感じの作品。
被害者も加害者もある特定の集団のなかにいて、被害者が増えるごとに容疑者の範囲も狭まっていく。
要はCCモノの面白さを備えてるということかな。

密室やアリバイトリックも出されているけど、どちらかというとそれよりも真犯人絞込みのロジックの方にキレを感じる。
意味深なタイトルが最終的に効いてくるところも好ましい。
この辺りは、巻末解説で鮎川哲也&法月綸太郎の両氏も述べているとおり、いわゆる「新本格」に似たテイストと言えそう。
(意外な真犯人、意外な動機も含めてそういう雰囲気あり)

難を言えば全体的にちょっと分かりにくいところか(訳文のせいかもしれないが・・・)。
登場人物についての書き込みも不足気味なので、スムーズに読めるというよりは、引っ掛かり引っ掛かりながら・・・という感じになった。

まぁ本格好きなら、一度は読んでおいて損はない作品といえそう。
でも個人的にはそれほど高評価すべきとは感じなかった。
(鮎川氏が本作と「ホッグ連続殺人事件」を激賞しているけど、どっちも個人的には今ひとつって感想なんだよなぁ・・・)

No.10 7点 蟷螂の斧
(2013/03/01 11:39登録)
東西ベスト100の50位(前回79位よりランクアップ)①密室②犯人の消失?③全員にアリバイと本格の要素を詰め込んだ作品でした。表題のグリーンと虹の7色をミスディレクションに使うなど楽しめました。秀逸と感じたのは②犯人の消失?に係るロジックでした。倉知淳氏の「過ぎ行く風はみどり色」・・・みどりとグリーンか・・・本作のオマージュと思えてきました。

No.9 7点 isurrender
(2011/11/24 20:06登録)
海外小説なので若干話に入りにくい部分はありましたが、ユーモアもあり面白い展開でした
論理的な解決も非常に良かったと思います
ほんのわずかですが、日本と関連した部分も出てきて日本人の読者として嬉しかったです

No.8 7点 あびびび
(2011/05/31 14:17登録)
ただ漠然と、グリーンは芝生かなにかだろうと思っていたら、人物名だった。

ミステリクラブが40年ぶりに復活?と同時に三件の殺人事件が起きる。その要因は何か?というのが主題だが、古いながらも楽しめるトリックと犯人だった。

感情移入などできる物語ではないが、単純にミステリを楽しめたと思う。ベスト100には必ず入っている作品のようだ。

No.7 6点 toyotama
(2010/10/08 11:03登録)
第一の殺人方法、芸人の罰ゲームを思い浮かべました。非常に不確定要素の多い方法ですが、可能性があるトリックであれば、机上の空論でも良しと思ってますので、ここは良し。
初めて読んだ作家でしたが、海外のミステリの殺人の動機って、結局財産狙いと口封じが多いな、と改めて感じた作品。

No.6 6点 kanamori
(2010/07/22 18:34登録)
素人探偵サッカレイ・フィン登場のシリーズ第2作。
70年代の米国では珍しい真っ当な不可能犯罪ものの本格ミステリで、最初のトイレの密室トリックなどユニークだと思います。
日本の新本格風のテイストもあるので、本格マニアには一定の評価を得られるのでは。

No.5 3点 りんちゃみ先輩
(2009/07/04 07:52登録)
評判は良いし、皆さんの評価も高いし、と言うことで読んでみたのですが私には合いませんでした。トリック云々より物語に入り込めなく、登場人物にも感情移入できませんでした。よってあまり面白くありませんでした。

No.4 8点 あい
(2009/01/29 14:38登録)
面白かった。第一の事件のトリックは大胆で面白かったし、第二の事件のロジックも良かった

No.3 9点 nukkam
(2009/01/27 09:54登録)
(ネタバレなしです) 1977年発表のサッカレイ・フィンシリーズ第2作の本格派推理小説で密室、消えた犯人、アリバイなどの豊富な謎に加えて容疑者同士の推理合戦など盛り上げ方も充実、気の利いた手掛かりも巧妙で、前作「黒い霊気」(1974年)に比べると格段の進歩が見られます。警察があまりにも重要な手掛かりを重視しない(気づいてはいる)のが不自然だとか細かい弱点もありますけど、フィンの鮮やかな推理で不可能犯罪が不可能でなくなる謎解きは素晴らしい効果を上げています。これほどの傑作が本国アメリカではほとんど評価されず、本書以降はスラデック(1937-2000)がミステリー作品を書かなかったのは本当に不幸なことでした。

No.2 9点 teddhiri
(2008/10/14 21:53登録)
すべての事件に驚きがあり、犯人特定もロジカルで素晴らしい一品。

No.1 7点 こう
(2008/05/06 23:49登録)
 数少ない海外現代本格ミステリの一冊。ただトリックに感心するかどうかで評価がわかれそうです。新本格であふれた現代では評価がさがるかもしれませんがリアルタイムで読んだときは素直に楽しめました。
 内容は現代の新本格の雰囲気を持っており、また何故かまだ文庫が簡単に手に入るので一読の価値はあるかと思います。

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