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ミステリの祭典

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犬神家の一族
金田一耕助シリーズ

作家 横溝正史
出版日1970年01月
平均点7.69点
書評数45人

No.25 7点 HORNET
(2013/02/16 13:29登録)
 新版「東西ミステりーベスト100」に触発されて再読。
 遺産相続にまつわる親族同士の泥仕合が、見立て殺人、顔に大やけどを負ったデスマスクの青年、という映像的インパクトの強い描写によって彩られている作品。そうしたインパクトがあまりに強いのと、角川が版元として初めて映画製作に乗り出した、いわゆる最初の「角川映画」であることとで、世ではもっとも有名な横溝作品とも言える。
 トリックでは、ちょっと無理なのではないか、偶然がすぎやしないか・・・と思えるような離れ業・ご都合主義もあったり、真犯人もさほどインパクトを感じなかったり、といった感もある。が、この作品の魅力はその雰囲気であり、それでいいと思えた。
 しかし、どう考えても「もめごとを引き起こすため」としか思えない、佐兵衛翁の遺言状は・・・・。

No.24 9点 itokin
(2012/09/26 10:53登録)
数十年ぶりの再読、当時も「八つ墓村」と並んで衝撃を受けた。映画も見ているのでさほど結末に驚きはなかったが佐兵衛の行動、斧・琴・菊の扱い、一族の歴史等、違和感なく当初からぐいぐい迫る展開は流石で、やはり歴史に残る名作と思う。

No.23 7点 ミステリ初心者
(2012/07/27 09:36登録)
ネタバレあります

 この時代の雰囲気、人のすり替え、考えただけでもゾクゾクさせられるような作品でした。古い作品でも、旧くならないです。
 スケキヨの姿や、下半身だけ池から出てる死体など、いまでもネタにされてるほどインパクト抜群です。

 入れ替わりが犯人の狙いの一部と勘違いすると、入れ替わりの主と協力関係になりえない人を犯人候補からはずしてしまうため、ミスリードされてしまいます。ただ、自分はバラされた感があったので、楽しめませんでしたが。
 まあ、どっちにしろ、犯人当ては楽しめないと思います。

 

No.22 8点 NAP
(2012/02/13 22:45登録)
とってもどろどろしている。笑
楽しかったです。

No.21 7点 いいちこ
(2012/01/09 10:27登録)
複雑な血縁関係とそれが織り成す人間模様、次から次へと提示される新しい謎で読者をグイグイ引き込んでいく。
プロットとストーリーテリングは最高級の部類。
しかし真犯人は意外性に欠け、犯行経緯はご都合主義的な偶然が多く無理を感じてしまう。
本格ミステリというよりサスペンスとして読むべき作品か

No.20 3点 とろろ
(2011/10/27 01:07登録)
都合よすぎるし、さほど意外性も感じられなかった。

No.19 9点 りゅう
(2011/09/01 18:37登録)
 映像作品を見た印象ではそれほど大した作品だとは思いませんでしたが、書物を読んでみて本格ミステリの傑作であることがわかりました。
 犯人の意外性はなく、偶然を多用しすぎている感はあるものの、真相の意外性という面では非常に成功している作品です。この真相を成立させるための人間関係の構築が絶妙。4つの殺人が行われるのですが、第3の殺人事件におけるある錯誤も巧妙ですが、特に私が気に入っているのは指紋の謎の処理の仕方です。また、最後の殺人事件がめくらましになっていますが、この殺人を成立させるための工夫もうまいと思いました。
 湖上での逆さま死体など、視覚面でインパクトがあって映像向きの作品なのでしょうが、連続的に流れていく映像作品ではじっくりと考える余裕がありません。この作品の本格ミステリとしての出来の良さは書物で読んでこそ味わえると思います。

No.18 9点 つよ
(2011/05/01 22:32登録)
本でも映像でも。

No.17 10点 大泉耕作
(2011/04/09 23:59登録)
とにかく映画を観る前に読んでおけばよかったと悔しいです。
たしかに斬新なトリックもありません。都合の良い偶然があったのも否めませんが、その要因として事件の裏にある大きな存在について、映画で金田一の口から言っている通りです。
たしかにあの解釈はあり得ないと思いますが、今まで伏線が張られていたからこそ最後に説得力があったと思います。
事件とその裏の真相をひっくるめて奥が深い。ドラマとしても、ロジックも最高の部類だと思います。
最高の傑作です。

No.16 7点 kanamori
(2011/03/10 18:39登録)
メディア・ミックスのハシリとも言える角川商法のキャッチ・コピー「観てから読むか、読んでから観るか」に乗せられて、市川崑監督の映画を先に見たためか、原作の方の印象は意外と薄いです(映画の映像美の印象が強すぎるというべきか)。自分は”読んでから観る”派なんでしょう、たぶん。
本作は、遺産相続がらみの連続殺人という、ある意味ベタな本格ミステリの定型を創り上げたという点で作者の代表作とひとつと言っていいかもしれません。しかし、佐兵衛翁の遺言はつくづく理不尽で、ミステリ的に都合のいい内容だなあ(笑)。

No.15 8点
(2010/06/17 21:08登録)
岡山もののような因習的土俗性もありませんし、東京もののような耽美的刺激性もありません。もちろん横溝正史らしい残酷なおどろおどろしさも確かに感じられますが、他の方も指摘している悲劇性、人間関係のドラマ性が印象に残る作品です。『獄門島』でも戦地からの復員が最後のキーポイントになっていましたが、本作ではそのテーマがさらに掘り下げられていると言えるでしょう。
犯人の仕掛ける大技トリックのみを期待する人は凡作と思うかもしれませんし、偶然の多用を嫌う人もいるかもしれません。しかし、連続殺人に至る人間関係や状況設定の構成は見事ですし、『獄門島』や『悪魔の手毬唄』と違って見立て殺人の意外な理由も鮮やかに決まっています。

No.14 5点 文生
(2010/01/20 14:06登録)
映画で有名になって、また名家の悲劇を描いた大作でけっしてつまらない作品ではないのですが、本格ミステリとしてみた場合は特に新味のない普通の作品です。仮面の男を巡るトリックがバレバレだったのも減点対象。

No.13 8点 E
(2009/09/29 22:39登録)
映像のインパクトが強過ぎる作品。ズボン穿かせてやれよ・・・とか思った(爆)
何とも哀しいものですね。犯人の動機も、身分詐称も・・・
何だか、責められない;

No.12 8点 okutetsu
(2009/09/06 08:39登録)
恐ろしいまでの悲劇の連鎖で見てて辛くなりますね。
登場人物全員が可哀そうだという…
読んでいて金田一耕助が感じたようなおぞましさを同様に感じられることでしょう。
しかし読み物としてはそれだけ迫力があり満足いくものでした。
最後もこれだけの悲劇ながらそれなりにいい終わり方だったような気がします。
ただ一人だけ救われない人がいるのは悲しいですね。
きっと救済があったと信じたい。

No.11 8点 ミステリー三昧
(2009/08/19 16:48登録)
<横溝正史自選集4>金田一耕助シリーズの代表作(長編/1950)です。
横溝正史の代表作に相応しく「オドロオドロしさ」+「謎の合理的な解決」の融合を見事に成功させた作品です。珠世への疑惑、顔を隠した男、三つの手形(指紋)、斧琴菊の呪い、大山神主の大暴露・・・などなど数え切れぬほどの伏線・レッドへリング・ミスディレクションが物語の骨格を成し、やがて語られるであろう驚愕の真相に向かって物語を形成していく様は巧妙かつ鮮やかなロジカルの極みと言えます。特に人物相関図(家系図)の変わり様は凄まじく、読み所の一つです。
以前まで印象の薄かった金田一耕助も今回はしっかり探偵としての役割を果たしてくれました。探偵の言動は謎の魅力を前面に押し出す効果があり、推理小説の質を高める上で非常に重要な役割を担っています。日記形式による古典独特の語り口は読者を惹き付ける上で必須となる演出です。その二つの相乗効果が推理小説としての質の高さを決定づけました。

No.10 7点 江守森江
(2009/08/06 07:57登録)
私的に金田一シリーズ作品は初期の古谷一行版ドラマが一番で、次いで石坂版映画、その後に原作小説の順だと思っている。
そして、どの作品においても上記の順で印象に残っている。
更に、新規で映像化された物まで観てしまう為に原作小説が置き去りになる傾向にある。
しかし、本来は真っ先に原作に接するべきだろう。
プロット、雰囲気、読みやすさの三拍子が揃い素晴らしい“この作品”か獄門島から読み始めたい。
この作品の悪意の出発点は遺産を残して死んで逝く爺様に尽きる(もっと掘り下げれば戦争を起こした日本そのものが悪意の原点かもしれない)
※追記(平成22年大晦日)
昨日の「人間の証明」に続いてMXTVの年末ロードショーで旧石坂版を観てノスタルジーを擽られた。
若き日の島田陽子は金田一作品のヒロインに相応しい(松嶋菜々子より遙かに良い)
あおい輝彦はジャック・マローンや矢吹丈の声も含め好きな役者だと再認識した。

No.9 8点
(2009/05/22 19:14登録)
地方旧家のどろどろした雰囲気がよく出ていて、しかもリアリティのなさゆえ、かえって恐怖感をたっぷり味わえる。でも、その恐怖は、つまるところ人間関係、親子の情愛などからくるもので、意外に身近さを感じる。そんなところに人気の秘密があるのかもしれないな。

本作は記念すべき僕のミステリデビュー作品。若い頃、横溝作品は多数読んだが、みな似た雰囲気なので、今では記憶が交錯して、どれがどれなのかわからなくなってしまっている。でも本作だけは、映画の印象が強烈だから、記憶にはっきりと残っている。

No.8 9点 spam-musubi
(2009/03/05 14:23登録)
真犯人、身分を詐称した男、それぞれに悲劇があり、
偶然に偶然が重なった起きた悲劇。真の悪人は誰もいない。
なのに、なんともいえないおどろおどろしい雰囲気の中、
信州の湖畔で繰り広げられる惨劇…

粗を探そうと思えばいくつも見つかる気がするものの、
そんな細かいことは置いておいて、横溝の代表作を
堪能させてもらった。

No.7 9点 だい様
(2009/03/05 10:25登録)
金田一耕助シリーズ

大掛かりなトリックはないが、プロットが素晴らしい。
またどろどろした人間ドラマはまさに横溝作品の王道と云うべき作品ですね。
まさに傑作です。

No.6 8点 ロビン
(2009/03/01 15:55登録)
横溝作品は数えるほどしか読んだことはないが、これは傑作。過去の日本の物語だからこそ成立するどろどろした人間模様、見立て殺人による恐怖感をそそる怪奇性、それが数々の伏線によって論理的に事件を紐解くパズルのピースとなっている。

しかし、最近は毎回のごとく読後にボヤいているんですけど、この作品も同様に「都合のいい構図だよなぁ」と感じてしまいます。

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