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ミステリの祭典

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本陣殺人事件
金田一耕助シリーズ

作家 横溝正史
出版日1950年01月
平均点7.69点
書評数51人

No.51 8点 密室とアリバイ
(2023/05/02 19:24登録)
「本陣殺人事件」より「車井戸はなぜ斬る」の方が面白いのでどう点数をつければ良いか評価に困る
角川文庫で購入することをお勧めする。

No.50 4点 みりん
(2023/04/08 17:29登録)
密室の名作ということで読みましたが、トリックがあまり好きになれませんでした。

No.49 7点 じきる
(2020/09/06 02:14登録)
この手の密室トリックは個人的にあまり好きではないが、明かされた事件の構造と様式美は評価。

No.48 9点 mediocrity
(2019/05/27 07:20登録)
角川文庫版
『本陣殺人事件』
200ページほどの中編だが、内容はギッシリ詰まっていて大満足。並の長編小説では太刀打ちできないレベルの面白さ。トリックもいいが、それ以上にストーリー展開のうまさの方が際立っていると思った。
一つだけ文句を言うと、3本指男周りの事実が色々と都合が良すぎる気がする。
『車井戸はなぜ軋る』
これもたった80ページの作品とは思えないほど読み応えがあった。どの辺が良かったのかを書くとネタバレになりそうなのでこれ以上は書くのは避ける。
『黒猫亭事件』
130ページほど。途中、金田一が登場すると話は急展開する。いや急転回と言った方がいいか。これもあまり書くとネタバレになりそう。

小説としては表題作がやはり一番面白かったが、ミステリとしては他の2編も同レベルかそれ以上の名作だと思った。

No.47 8点 tider-tiger
(2019/01/14 00:37登録)
今年のミステリ読み初めは超有名作の再読でした。やはり面白い。ですが、再読してまず驚いたのはなんか文章がギクシャクしているような、こんなんだったっけ?

ミステリを研究し、なにか新しいことができないかと模索し、なのに時代のせいでミステリを書くことができず、それゆえの渇望があって、ようやっと時代の頸木から解放された喜びに溢れております。
「喜びに溢れて書いたものが新婚初夜の夫婦が血まみれになる話かよ」というツッコミはさておき、サービス精神旺盛なストーリーテラーにして怪奇と耽美を紡ぎ出すことも忘れない横溝御大は素晴らしい。
物語としては後年にもっと面白いものが出てきますが、ミステリとしてはこれが一番好きです。実にいろいろな要素が詰め込まれています。結果的には犯人の行動にやたらと無駄が多いことに気付きますが、読んでいる最中はその無駄が無性に面白い。
横溝御大の作品に往々に見られる欠点、御都合主義がいくつかあり、冷静に考えるとバカな話にも思えます。こんなところまでカーの真似をしなくてもいいだろうに。
作中人物にもなにやってんだおまえと言いたくなる場面がけっこうあります。
警察官をこき使う金田一とか、山から××を拾ってくる犯人とか……etc
ただ、動機に関しては、私の判定は「問題なし」です。
鈴子押しの方が多いのはわかります。自分も好きです。
さらに銀造がけっこう渋くていい感じ。
それから、三郎はちょっと調子に乗り過ぎ。

『宝石』の編集長を務めることになった城昌幸におまえの原稿が欲しいと請われて連載されることになった作品だそうで、連載一回目は『妖琴殺人事件』なるタイトルだったそうです。のちに横溝御大が『本陣殺人事件』への変更を求めたそうです。
妖琴殺人事件の方がキャッチーでありましょう。
ただ、琴は作品の彩ではありますが、事件に使われた小道具に過ぎません。事件の本質を見事に一語で置き換えている本陣こそがタイトルに相応しいと思います。 
ちなみに自分は小学生の頃に横溝正史の名を知りました。推理クイズの本で横溝正史が紹介されていたのです。その本では横溝の代表作として『本陣殺人事件』『獄門島』『犬神家の一族』が挙げられておりました(確かこの三作だったはず)。作品名のみで説明は一切なし。
小学生だった自分は本陣とはいくさの時に大将がいる場所と認識していたので、ずいぶん長いこと戦場で殺人事件が起こる話だと思いこんでおりました。


以下ネタバレ


本作は密室の作り方が極めて美しい。ぼんやりと明るい積雪の庭、中空を漂う日本刀、響き渡る琴の音、石灯籠、竹林、水車は琴糸をからめ取り、なおも回り続ける。この場面を想像するだけで陶然としてしまいそうです(非常に間の抜けた光景だと仰る方もおりましょうが、そこは感じ方の違いということで)。そして、それ以上に本作における密室の意味付けがなんともはや。せっかくここまでやったのに、作中人物は必死なのに、作者は空っとぼけております。
※日本刀の通り道に、血が付いてはいけない場所に血痕が残ったりしないのかなという疑問はあります。
当時としては挑戦的で、現代視点からもまだまだ見るべきもの多い作品ではないでしょうか。

No.46 7点 ALFA
(2018/12/09 18:05登録)
短編集としての評価

(少しネタバレ)
密室トリックはとても楽しめた。ただ、ミステリとしての全体評価となると、三つの点で物足りない。まず何といっても動機。犯人の性格はよく造形されているのだから、ここはさらに恐喝などを絡ませて抜き差しならない動機付けをしてもらわないと単にあの動機では・・・・。そして都合よすぎる死体と共犯者。
思うに作者は密室トリックの出来の良さに満足してあとは付け足しだったのでは?
併載されている中編2編は読みごたえがある。
特に「車井戸はなぜ軋る」は人間関係に変なひねりがないだけプロットが自然で、本編よりもミステリとしての構えが大きい。手紙形式の謎解きも楽しい。オカルティックなタイトルが最後に合理的な説明がつくのも後味がいい。こちらは8点。
「黒猫亭事件」は都合のいい共犯者などアラはあるが何よりも有名なトリックを使い、大胆な手掛かりを提示しながら堂々と読者を欺くのは見事。こちらは7点。

No.45 9点 バード
(2018/11/14 11:05登録)
非常に良くできているのでは?
私にとっては獄門島、犬神家に続く3冊目の横溝さんの作品なのだが、個人的にはこの2作品と比べロジックが上手いと感じさせられた。また、現代ミステリの土台となるような要素、例えば

・雪によって犯人の意図しない密室ができてしまう
・水車と紐を使った分かりやすい物理トリック
・三本指という特徴のある体の部位を使った犯人像の印象操作
・○○者が実は犯人

が盛り込まれており、後の作品への影響力という意味でも価値のある作品だったのだろう。
次の横溝作品は八つ墓村にしようと思っているが、この感じなら期待できそう。

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私は角川文庫で読んだが、本陣殺人事件の他に他に中編が2個入っているので、それらについても述べておく。
それらは読者が推理できる要素は少なく金田一が謎を解くのを読むという感じになる。私の好み的には満足度普通くらい。両方とも6~7点くらい。

No.44 6点 レッドキング
(2018/06/13 07:28登録)
密室殺人と手品について。
密室殺人はトリックが解明されなければスッキリしないが、手品は種明かしされるとシラける。何故か?殺人は犯罪だから「解決」されねばならないが、手品は幻影として幻影のままにしておける。手品は映像だから幻影のままで完結できるが、ミステリは小説だから言葉で決着されねば収まりが付かない。で、この密室殺人、クリスティのあの代表作同様に、一言で言っちまえば〇〇ってことでミもフタもナイが、種明かし自体が耽美的な表現として成り立っているところが魅力。

No.43 4点 虫暮部
(2017/09/11 10:55登録)
 期待した程おどろおどろしくないし、どうにもギクシャクして感じられる部分が散見され、探偵小説というよりは事件の報告書、もしくは推敲前の未定稿を読んでいるような気分だった。犯人の心情、また両者の主導権の変遷、と言った部分が興味深かったが特に後者はさらりと流されていて残念。ホームズもののネタバレは編集判断でカット出来ないのだろうか(せめてタイトルを伏字に!)。差別用語なんかよりよほど“不適切な表現”だと思うのだが。粗筋紹介の“新郎新婦が惨殺されていた”というのはアンフェアな表記では?
 「車井戸はなぜ軋る」と「本陣殺人事件」は、事件の真相の構造がうっすらと共通していないか。被害者ふたりのうち片方が……とはいえそれ自体はよくあるパターンだし、二度ネタだと非難するようなことではない。並べて読むと似ているなぁと思うくらいで。であるからこそ、これを併録したのは戦略ミスだ。「車井戸はなぜ軋る」は、面白いのに結末でがっかり。しかもそのがっかりは作品そのもののせいではない。別の本に収録されていればこうは思わなかった筈だ。私の感動を返して欲しい。

No.42 7点 邪魅
(2017/02/28 00:36登録)
かなり前に書かれたこともあり、少し文章は読みにくさはありましたがかなり引き込まれました

特に好きだったのは車井戸はなぜ軋る、ですかね

それと、黒猫亭事件の「顔のない死体」と「一人二役」を絡ませる構成は見事です
鮎子にしろお繁にしろ、その誤認させたい相手はどちらにせよ自分
ある種典型的な顔のない死体ものともいえますが、前述の一人二役で何とも面妖な事件へと姿を変えた訳です

No.41 9点 立野匡人
(2017/01/13 00:26登録)
「本陣殺人事件」……いや天晴れ!トリックはどこぞの推理トリックネタバラシ本で読んで知っていたが、意外な犯人(?)と動機に学校に居ながら「これぞ純日本風本格推理小説だ!と叫んでしまった。推理小説好きが一度は通る作品だと思うので推理小説の入門書としてもオススメできるかと。

No.40 6点 風桜青紫
(2016/02/11 15:13登録)
なんじゃこりゃというようなバカミスで、犯人も割と予想通りの人物だが、面白かった。冒頭の三本指の男といい、猫の死体といい、いかにもといったような御膳立てがたまらない。小谷野たんが「横溝なんぞ乱歩の亜流の二流作家だ!」とか書いていたような覚えがあるけど、この時点ではどっちかといえばカーに近い気がする。怪奇性やトリックもそうだが、探偵がイケメンとは言いがたい憎めないやつなところとか。耕介の剽軽なキャラがなんともいいのですよ。

それにしても酷い動機だww。彬光にしろ鮎川にしろこの手の話題は出てくるけど、このあたりの時代ではえらく重要視されてたのね……。

No.39 9点 青い車
(2016/02/05 21:47登録)
石灯籠や竹藪といった日本ならではの舞台装置を活かしたアクロバティックな密室トリックが圧巻です。ミステリー・ファンの中には物理的な密室トリックを極端に嫌う人がけっこう多くそういう僕も心理的なトリックの方を好むのですが、ここまで大胆なら文句がつけられません。犯人の特性とその手口が有機的に結びついてる点もプラスに評価します。実行性に疑問を呈する人もいますが、着想の面白さは誰も否定できないはずです。

No.38 9点 ロマン
(2015/10/21 11:33登録)
本作は戦後初の本格推理小説であり、雪の密室トリックをメイントリックに据えた作品でもある。因習めいた舞台装置、曰くありげな登場人物、奇怪な殺人事件という完璧な道具立てに日本家屋ならではの物理トリックと心理トリックが神配合された傑作。同時収録「黒猫亭事件」の顔のない屍体トリックの秀逸さは言わずもがなだが、今回改めて「車井戸はなぜ軋る」の第三者視点の語りから紡がれる物悲しい真相に瞠目した。傑作揃いの1冊。

No.37 8点 斎藤警部
(2015/10/15 18:22登録)
眞犯人もトリックも承知の上、おまけに映画(中尾彬主演)まで観た後の初読でしたが、それにも関わらずこちらの憶測を大きく覆す展開の連続でぐいぐいと引き込まれ、あの眞相にはあらためて驚かされたなァ。。。 単純に犯人は誰で、というだけでは伺い知れないディーープな世界がそこにはあり、本当にスィヴィれさせていただきました。凄い筆力だなと感服しきり。で、やっぱり全体で見ると然程おどろおどろしくも時代がかったわけでもなく爽やかな読み口で、そこがまた不思議な魅力でね。物語の舞台設定は日本の地方の村のじめ~~っと暗い(現代の大都会の方がずっと健康的なような)気が滅入るような人間関係の渦の中なんだけど、その事件解決の場となるやいなや、びっくりするくらい論理明晰で弁舌さわやかな展開に豹変するわけですよ、名探偵金田一耕介の頭脳と口によって。そのクールで爽やかで、そのため何とも言えない明るさを放つ解決篇の部分がですね、確かにエラリー・クイーンの作風と共通してましたね。クイーンと違って舞台設定そのものはどろどろじめじめと暗いだけあって余計にそのからっとした明るさが際立つとも言えます(映画ではそのへんの落差が出せない、というかわざと出さないんだろうね)。
終戦直後の不安定な、されど希望もある、物資の乏しい時代に横溝氏がどんなに愉しい気持ちでこの探偵小説を書いたかと想像すると思わず自分もその時代のその場に居合わせて渋谷百軒店あたりに先生やその仲間達と一緒に飲みに行きたかったものなどと不遜にも思ってしまいました。

打って変って終始どす黒い空気が澱む併載「車井戸はなぜ軋る」は魘(うな)される怨念の魅力にぐいぐい引き込まれる痛切の一品。
題名の唆(そそ)り具合も秀逸至極。

No.36 6点 CHABI
(2015/04/17 20:55登録)
機械仕掛けの密室ものはちょっと・・・
ですので『本陣殺人事件』はあまり好きではありません。
後の2作の方が楽しめました。

No.35 9点 HORNET
(2015/04/07 21:14登録)
 トリックは「なんとなく」イメージできる程度だが、まぁそれでいいんじゃないか。むしろ密室とされた動機や、「三本指」の真相、猫の墓の関わり方など、緻密なまでの作者の仕掛け・策に脱帽。確かに「探偵小説」と呼ばれていた時代の、策ありきの様相は色濃いが、本格ミステリの王道をいく、世評の高さに偽りなしの作品と感じた。
 3作目の「黒猫亭事件」が光っている。これに類似の発想で描かれた短編は現在多くあるのではないか。表題作があまりにも有名だが、2編目の「車井戸はなぜ軋る」も含め、非常にクオリティの高い、贅沢な一冊である。

No.34 10点 谷山
(2014/08/18 19:50登録)
密室殺人としてはあまり出来がよくないとされる本陣殺人事件ですが、やはりこの作者の一番の武器は「顔の無い死体」トリックであり、むしろ併録の2編の方がこの時期の横溝小説の面白さを味わえると思います。

「本陣殺人事件」
まあ密室云々よりも三本指の男や琴の音など、この作者らしい舞台設定を楽しめればそれでいい作品かと。

「車井戸はなぜ軋る」
この本の白眉はこの作品です。とにかく暗い話で、明るい要素など何もありませんが、そんな中でヒロインの本位田鶴代の意地らしさが凄く光ります。推理力が高いがゆえに、知らなくてもいい事件の真相を知ってしまい、そのショックで命を縮めてしまう鶴代の可哀想さといったら。

「黒猫亭事件」
最初に「顔の無い死体もの」だと断られてるのに引っかかってしまう。あとかなり陰惨な事件ではあるのですが、金田一が後半メインで登場するおかげで「車井戸」とは違い明るい気持ちで読めました。ホラー的な事件と陽性の性格を持つ金田一探偵という怖いのに楽しいという感覚は中々他の作者の作品では味わえないかも知れません。

No.33 8点 アイス・コーヒー
(2014/06/07 19:05登録)
金田一耕助が初登場する古典的本格ミステリ。無残な死体となって発見された新郎新婦がいた離れ屋は、足跡のない処女雪で囲まれていたという、いわゆる「雪の密室」がメインテーマになっている。

密室トリック自体は別段優れている訳ではなく、むしろ無理がある。しかし、事件の全貌が明らかになると同時に、著者の見事な企みが明らかになる。意外性はないが、そこに至るまでの伏線、論理、ミスリードなどはかなりよく出来ていると思った。「三本指の男」、「凶行のたびになる琴」、「猫の墓参りをする少女」など、著者の得意とする舞台設定を存分に生かしている。
動機は、確かに微妙なものではあるが作風にマッチしていて納得できる範囲内だった。

角川文庫で併録されている「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」の二編もよく出来ている。
前者はホワイダニットもので、最後の最後で明かされる真相が独特の読後感を残す。論理もよく出来ていた。
後者はあらかじめ「顔のない死体」トリックだと明記したうえで書かれる異色作だが…見事にだまされた。かなり堂々と伏線が張られていたのに。事件の構図が二転三転として、中々面白かった。

No.32 8点 sophia
(2014/04/14 18:35登録)
ちょっと世の評価高すぎる気が。
シリーズ第1作ということで付加価値が付いているのかな。

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