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クリスティ再読さん
平均点: 6.43点 書評数: 1251件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.251 6点 スペイン岬の秘密- エラリイ・クイーン 2017/09/24 20:06
国名シリーズ最終作になるわけだけども、前作の「チャイナ」に引き続き、謎の設定と解決が、ヴァン・ダイン的捜査プロセス小説+読者への挑戦、という国名シリーズの定石からの「ずれ」が甚だしくなっているように感じる。国名シリーズはもう限界だったわけだな。しかし「死体が裸の理由」がなかなか丁寧な推理による解明があるとか、いい部分はあって、そうそう駄作というわけにはいかないちょっと困った作品ではある。

(少しだけバレるかも)
というのは、本作だと、ある意味「メタな推理」で、小説としてのオチなどを考慮して推理すると、犯人は明白なんだよね。しかし、「死体が裸の理由」を巡る推理は結構難易度が高い、というアンバランスなところがある....パズラーで「メタな推理」をしちゃうのは、禁じ手かもしれないけど、こういう小説だとやっぱり読んでて、どうしても計算にはいっちゃうんだよね...そういうあたりで「どんなもんか」なモヤモヤを感じる上に、本作で良い詳細の部分でも、偶然の要素の処理がうまくできているので、エラリイの推理を聞いて納得はするんだけども、犯行が過剰に技巧的、という懸念は残る。
だから本作の「犯人に同情の余地あり」というエラリイが推理機械でなくて...の部分は、これだけ技巧的な謀殺だったらいくら何でもダメでしょう? まあだからこういう「情」の面は「途中の家」でもう一度「国名的」な中に、本作よりもうまく取り入れられて、「災厄の町」につながる、という流れを感じる。

No.250 4点 ハートの4- エラリイ・クイーン 2017/09/24 19:46
ハリウッドもの、なんだけどね、皆さんハリウッドらしさが出てると評されるけど、評者に言わせると全然らしさが出てない。ポーラ・パリスみたいな地獄耳のゴシップ・コラムニストというと、ルエラ・パーソンズとかヘッダ・ホッパーとか、スター並みの存在感で恐れられた人(エピソードはずっとエグい)がいたりするわけだ。クイーンお得意の「呼ばれて行ったけど6週間音沙汰なし」のプロデューサーは、ハリウッドの第二世代の代表者のアーヴィング・ソールバーグがモデルで、この人はフィッツジェラルドの「ラスト・タイクーン」のモデルとしても知られる人だ。ここらへんのエピソード選択とか表面的なもので「ホントにハリウッド行ってたの?」級。まあハリウッドと言いながら撮影シーンがちゃんとないんだからねえ、もっと頑張ってほしいなぁ。
で..読んでてもどうもストーリーも冗長。トランプによる警告とか、後期の作品でもよくこの手の「謎のプレゼント」は多いけど、意外にサスペンスが盛り上がる...って具合にはいかないことのが多いように感じる。考えオチだからねこういうのは。
本来のミステリ部分が良ければそれでも...なんだけど、本作、犯人&動機をまともに隠せてないと思う。何か見え見えな真相でがっかりさせられる。
ふう、ここらへんの作品どれもこれも駄作なんだけど、その中では「ドラゴンの歯」が一番読める気がする。あれは恋愛担当をボー君に振って、エラリイはホント脇役だからね。そのくらいのバランスの方が話がうまく流れると思うよ。

No.249 5点 スクールガール殺人事件- コリン・ウィルソン 2017/09/20 00:12
「アウトサイダー」で有名なサブカル系批評家のフィクション作品だけど、なぜかなぜかガッチガチの警察小説である。もちろん、ウィルソンお得意のオカルトネタが全開なんだけど、読んだ感じは端正で少しモジュラー風(というか、モジュラーの本家J.J.マリックが友達で謝辞が入ってる)警察小説だ。なので何か地味で、読んでいる間はそこそこ楽しめるが、モジュラーの宿命でやたらと登場人物が多くて結構「あれ誰だっけ」になる。
「スクールガール」殺人事件とタイトルがついているが、実は看板に偽りありで、被害者は今風に言えば、JKコスプレが得意の娼婦まがい。その死体がとあるお屋敷の庭に転がっているのが発見された。で調べてみると、そのお屋敷の3階でその屋敷の所有者の甥が殺害されているのが発見され...でその甥というのがオカルティストで、交友関係の中に犯人が潜むのでは、とソールフリート警視の捜査は進む、という話。なので、オカルト知識ゼロの捜査官が、オカルト書店経営者とか、イギリスの「黄金の暁」の後継団体主催者とかの話を聞いて回る。まあ耳学問としては結構楽しい。アレイスター・クロウリーの本がちょっとした小道具として使われたりする。オカルト入門編のつもりなのかしらん。
で、魔女を自称する女性とソールフリートとの間に共感的な交流があったりする。ソールフリートは実務的なりアリストではあるが、そうそう堅苦しい感じではなく、メグレ風の想像力・共感力の探偵だ。この女性が直観した内容が、結構捜査の役に立ってたりするのを、ミステリのルール違反とか責めるのは狭量すぎるというものだ。
悪くはないが突出した良さとかはない。このくらいの評点が相応。

No.248 7点 ファイル7- ウィリアム・P・マッギヴァーン 2017/09/17 09:05
マッギヴァーンという作家のイイところは、アーチスト的というよりも腕利きのデザイナーのような、「情報が整理されている」感覚なんだよね。中編「高速道路の殺人者」と本作、それから「ジャグラー」が、そういうマッギヴァーンの鳥瞰的な視点と、無駄のない語り口で事件の顛末をドキュメンタリ映画でも見るかのように伝えてくれる。

しかしいま連邦警察が必要とするのは推定ではない。必要とするのは、事実であった

サイレント期の饒舌気味な字幕のような、若干レトロな気取りのある説明的描写がカッコイイ。本作の狙いは誘拐を含め州間をまたぐ大規模な犯罪に対応する連邦検察局FBIを、それ自体として一個の精妙なマシンであるかのように描くことである。この狙いは成功している。人間臭いドラマは犯人サイドの担当だ。
犯人サイドは、まあマッギヴァーンなのでトリッキーな計画でもファンタジックなくらいに精密なものでもなくて、ごくありふれたプランなのだが、やはり「らしく」飛び入り要素が盛りだくさんである。幼児だけでなくその保母も気まぐれに一緒に攫うし、犯人の一人の弟(善玉)のログハウスを潜伏場所にするのだが、その弟が急に戻ってきたためにこれも捕虜にする。でこの弟とカインとアベル風の確執があるが、こういう要素の方がかえって古びるようだ。誘拐というと犯人側だって待機時間が多いのだが、暇になった犯人がもう一人の犯人をマウントしたがったり、と予想外のイベントが盛りだくさんにある。捜査側としては「重大案件だが特別な事件ではない」のだが、犯人側(もちろん被害者側も)にしてみれば「本当に特別なヤマ」になるわけだ。そういう対比が効いている。
本作は比較的長めなので、じっくりと犯人のキャラも書き込まれている。プランナーのグラントが最初は主導するのだが、屈折した問題児タイプのデュークが、微妙な心理戦をグラントに仕掛けて屈服させる(この手で弟のハンクを奴隷化した)とか、あるいは交渉役の第3の犯人もオタクタイプで性格が歪んでるのが印象に残る。
というわけで、本作はマッギヴァーンという作家が、自分のイイ面を目立たせるように、自分でうまく「狙いを絞って」書いた印象を受ける。この人の自己プロデュース力みたいなものを感じるな。

No.247 7点 道の果て- アンドリュウ・ガーヴ 2017/09/05 21:18
いつも思うのだが、ガーヴって何て読みやすい作家なんだろう!
風邪ひいて医者に行ったのだがほぼ待合+薬局で読了。ざわざわした医院待合なのに、気が付くとやたら集中してるよ...本当に、嫉妬するくらいの理想的な大衆作家だと思う。
考察すると、本作もキャラは少ない。主人公夫妻、養女、恐喝者×2、警視と6人で室内劇みたいな規模なので、キャラはしっかり描けてる。主人公は営林署の署長で森のプロ、しかも途中で山火事の鎮火にも活躍なんて幕間がある。開放的な自然を背景にして、家族のために戦う男が主人公だ。対するは養女の出生の秘密をネタに主人公を強請る恐喝者コンビ。なので主人公は正義の男なんだが、養女のために話を内輪にできれば...と思ったが最後、打つ手打つ手が裏目に出てドツボにドツボを重ねていく話である。
ナチュラリストで自然相手は得意でも、人間相手の駆け引きとか下手くそなのが、キャラのリアリティを高めてるかもしれないね。恐喝者コンビもそれぞれ個性が違い、よく描けてるわけだが、本作のイイところは、相談した警察がなかなかうまく役にたってくれない(と判断しちゃって)とついつい不満に思って、独自行動をするとさらにそれを警察に隠さなくちゃならなくなって...という心理にリアリティがあること。
なので最後の方なんて、祈るような気分で主人公が元に日常に戻れることを願ってたよ。当然ハッピーエンドなので、ご安心召されよ。

No.246 8点 異邦人- アルベール・カミュ 2017/09/04 00:01
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」をやったからには、「郵便配達」に影響を受けた本作をしたいよね。20世紀で一番有名な「人殺しの小説」の一つが本作なんだから、本サイトに登場していけないわけではなかろうよ。19世紀代表の人殺し小説というと「罪と罰」だけど、8人も評を書いてるじゃん。
実際「郵便配達」を読んだ直後に本作を読むと、本作が「郵便配達」の一種のリライトであることがわかる。「郵便配達」がフランクとコーラの情欲が、社会のコードにうまく適合せずに逸脱し続けてある時は犯罪と解釈され或る時は無罪となる話だったように、「異邦人」はムルソー個人の在り方が、社会のコードとズレていることが、その殺人行為以上に有罪(ほぼカフカ的というか思想警察的にというか)とされるという説話と読める。男女の情欲が重なりつつズレるダイナミズムが「郵便配達」の原動力なんだけど、「異邦人」はというと、一種の思想小説なのでずいぶんとスタティックだ。
実際ハードボイルド小説をいろいろと読み漁っていると、「異邦人」の文体ってハードボイルド以外の何物でもないよ。フランス人によるハードボイルド受容っていろいろな面で面白くて評者はたびたび取り上げているわけだが、純文学の極みみたいな本作でも、実は文章が本当にハードボイルドの影響が絶大なだけでなく、ムルソーの心理造形自体、ある意味ハードボイルドの極み、なんだよね。

実際、あの男には魂というものは一かけらもない。人間らしいものは何一つない。人間の心を守る道徳原理は一つとしてあの男には受け入れられなかった。

....これぞ、ハードボイルド、と感じないかな。この告発だったらフランク&コーラにも当てはまるわけで、ムルソーに結実する非情なキャラ造形は、それこそコンチネンタルオプからスペードからポパイからスリムから流れ込んできた「アメリカ」的モダニズムなのだ。内面が反転して「全き外面」であるような新しい人間のイメージは、映画とハードボイルドによって形成され、それが改めて純文学の対象として採用されたメルクマールが「異邦人」というわけだ。
ちなみに本作の文芸評論で有名なロラン・バルトの「零度のエクリチュール」ってのがあるんだけど、要するにこの「零度」はこういうハードボイルドによる「内面のゼロ」のことなんだよ。バルト、いい着目点をしたんだよね。

No.245 7点 郵便配達は二度ベルを鳴らす- ジェームス・ケイン 2017/09/03 22:45
昔ヴィスコンティの映画は見たなぁ。イタリアン・ネオリアリズモのざらついた白黒画面で、記録映画的に感情移入を排した犯罪映画だった。何か皆さん、本作よくわからなくて困ってるみたいだねえ。どんなジャンルでも「ジャンル確立期」はまだそのジャンルの「内容基準」が完全には定まっていないから、結構その後の基準からは逸脱的な作品が「古典」扱いにされることもママあるわけで、本作とハードボイルドの関係はそんなもの。
本作、欲望とルール、がテーマだよ。フランクとコーラは、まさに情欲が情欲だからこそどうしようもなく結びついて、邪魔者である夫ニックを排除するのだが、それもどうしようもなく行き当たりばったりで、殺人計画も杜撰といえば杜撰で、仕掛けて中止するとか保険みたいな予想外の要素も飛び出すような、ズブズブな犯罪しか計画できないわけだ。そりゃそうだ、単に二人とも相互に対する欲望に捉われているばっかりで、その欲望は何のルールも社会性もあるわけはない。本当に不定形なリビドーに過ぎないわけだ。
しかし、いったんそれが犯罪、というかたちで「社会化」されてしまうと、その不定形なリビドーが社会のコトバによって解釈され、再解釈のゲームの中に放り込まれる。そこらへん、もうこの二人の力の及ぶところではない。だから、意外なところから飛び出した保険の利害によって、真相も意図も越えたところで二人の運命は翻弄される。裁判の中で相互に裏切りあいながらも、たまたま保険会社の利害が無罪を選択させるために、二人は釈放される...しかし別なすれ違いがここから始まる。コーラは食堂商売が軌道に乗る「安定」に執着しだして、放浪者フランクとの間にはスキマ風が吹く。二人の関係を社会的な枠に収めようとするコーラは、フランクを結婚で縛ろうとするが、その婚姻という社会的な関係が、あっけないコーラの死の「解釈」としてフランクの首を絞めることになる...
本作のイイところとは、これほど社会的な関係と解釈が変転しても、フランクとコーラの愛が一切揺るぎがないことである。そもそも愛と情欲の肉体は、社会化と解釈の「彼岸」にあるのだ。

「咬んで、あたしを! 咬んで!」咬んでやった。唇に深く歯を立てると、おれの口の中に血がほとばしりでた。あいつを階上に運んで行くとき、血が首すじをつたった。

要するにこういう愛、なのさ。

No.244 6点 招かれざる客- アガサ・クリスティー 2017/09/03 22:08
「完全攻略」で褒めてるから、本サイトも書評が多いのかな。けど「完全攻略」、本作については何がいい、って言ってるのか読んでもよくわからない。評者は本作、それほどでもない。クリスティって実は舞台効果とかよくわかって使ってる面があるけど、本作読んでいてそれほど「あ、これ演出したい!」って思わせるほどの場面の良さを感じないな。一種の多重解決モノだから、どっちか言えばレーゼドラマ風に読んだ方がいいのかもしれないね。セリフだけで成立しているから、どのキャラの告白も、それぞれ単に等価で、幕が下りても誰が犯人なのかすべて霧の中に消えていく...というあたりが狙いなのだろう(要するに「羅生門」)。そこらへん、評者は芝居としてはスタティックで面白味に欠けると思う。
なので、たぶん評者の好みとしては、クリスティ戯曲のベストは断トツで「蜘蛛の巣」、次点は「検察側の証人」になると思う。(一幕物×3の「海浜の午後」と「殺人をもう一度」はまだだが)
けど、本作のリチャードは、クリスティの実兄がモデルだそうだ。おい?

No.243 6点 チャイナ蜜柑の秘密- エラリイ・クイーン 2017/09/03 21:51
評者クイーン長編もそろそろ終わりに近づいてるね。後期を先にやって最近になって国名シリーズに集中した理由は、単純に国名シリーズはほぼ昔読んでる(それと入手性がいい)だったわけ。で、だけど、やっぱ真相憶えてるんだよ....40年も昔に読んだキリでもね。本作も読んでると「ああこれあれがあれで...」なってしまってた。
まあだから、本作の読みどころは、あべこべ衣装をめぐるチェスタトン的論理と、大仕掛けな物理トリックが作り出すファンタジックなイメージ、ということに尽きると思う。物理トリックを「リアリティがない!」とかお怒りになるのは筋違いで、具体的な絵として想像してみると...シュールで華やか、綺想って感じで面白いじゃん。珍しく映画原作に売れた理由もそれじゃないかな。しかし中盤の展開が真相解明にまったく寄与していない、という長編構成上の問題があるから、もっと奇抜で似合った背景に変えて、100ページくらいの中編にまとめたら、切れ味のいい大傑作になったかもしれない。ヴァン・ダイン的な捜査プロセス小説の枠組みと、クイーンのしたいことが矛盾しだしてるのが本作の本当の難。
けど、エラリイのウンチクはどの作品でもトンチンカンなものばっかりだから、最近少々ウンザリしだしてる...

No.242 4点 日本庭園の秘密- エラリイ・クイーン 2017/09/03 21:25
本作は日本をネタにしたということで、日本人にとってはどうにも困惑な内容が多々あるが、細かいことには突っ込まないでおこう。
けどねえ、本作の真相が「ミステリとしてどうよ」というのとは別に、ハサミを凶器として選択する、ということ自体、またそれを、当時のアメリカ人のステレオタイプとしての「日本人的行為」である〇〇〇〇の道具に結びつけるという不適切さがやはりどうにもこうにも、違和感が強い。しかし、最後の再真相となると、再真相で明かされる主たる原因の結果としての〇〇〇〇...再真相としてはちょっと受け入れがたいものだ。そういうものじゃないでしょ。また再真相の犯人が完全に捨て身ならば、そういうこともできるかもしれないけど、被害者が事情を周囲に漏らす可能性を全然否定できないから、現実性があるようでない話だよ。後の再真相は「ミステリとしてどうよ、と突っ込まれがちな件よりも気が利いてる」と思って追加したんだろうけど、逆じゃないかなぁ。クイーンの方こそが「トリックのためのトリック」に淫している感じだ。
あと本作、前半エヴァ視点で描写が続くんだけど、他人に依存的な不快なほどのカマトト娘である。読んでてはっきり苦痛。国名シリーズあたりでクイーンの描く女性像って「令嬢が死体を見て失神」したりして「いるのかよこんなステレオタイプ!」ってなるくらいに保守的だしね。
印象的な女性キャラクタって「災厄の町」のノーラか「ダブル・ダブル」のリーマくらいにならないと出てこないから、女性が苦手な印象が強いなぁ。映画だってヒロインは、オフィスワーカーで自立した皮肉屋くらいがウケの線といっていい時代なんだから、同時代のハードボイルドな女たちと比較しちゃいけないが、それにしても保守的にすぎるんじゃない?

No.241 9点 殺人のためのバッジ- ウィリアム・P・マッギヴァーン 2017/08/30 21:21
評者今までマッギヴァーンってそれほどハードボイルドを感じたことがなかったのだが、久々に再読して、いや、本作ある意味マッギヴァーン流のハードボイルドなんだ、ということを強く感じた。マッギヴァーンって心理描写をツッコむ傾向が強いから、「行動・会話主体」というハードボイルド文体からズレ気味なんだが、本作ではとくに「ささくれたような非情さ」という面が強く感じられて、これがまさにハードボイルド、という感覚なのだ。その「非情さ」というのは、「即物的なほどのリアリズム」という、本作のもう一つのテーマとも強く結びついている。
本作くらい、「シンプル・アート・オブ・マーダー」を極めた作品はないんだな。悪い意図を疑われるような警官の「職務上の殺人」なんて、今どきでもアメリカではかなり起きているわけで、本作の刑事によるノミ屋殺しくらい現実的な話はない。手段はとっても簡単。作品中でも証拠はほぼない上に、事なかれ主義の上司は現実に目をつぶってもみ消す「警察一家」な仲間仁義の世界にいるわけだ...これは小説だから犯人は破滅するが、それが小説の「ご都合」にしか感じられないような「非情の世界」はまさにこの現実である。
あともう一つ見逃せないのは、主人公ノーランの造形。下層の白人でマチズムの権化のようなマウンティング男。ゆがんだルサンチマンを発散させるための殺人、というイヤな感じが漂う...もうすでに何人も粗暴さから殺しているから、殺しは手慣れたものだったのかもしれない。しかし自己の欲のために計画的に「殺人」をしてしまい、妙な達成感から身にそぐわない野心を抱くようになる。そうなったらもうお終いで、人間性がボロボロと崩壊していくさまを、本作は丁寧に描写していく。一番悲しいことは、自身の人間の崩壊を、万能感で舞い上がった本人こそがまったく把握できないことだ。この殺人からくる昂揚と妙な万能感を、マッギヴァーンは見事に突き放して描いている。これが凄い。
「そうねえ、ただそれだけねえ。悲劇的でさえないわねえ」。ノーランの「夢の女」として動機の一部になっているリンダにさえ、ノーランの愚劣さは隠すことはできなかったのだ。それが一番情けないことなのだ...
(原題は「Shield for Murder」だから、「殺人の盾」というタイトルでもおかしくはなかった。警官の徽章は盾のデザインだからね。そのノーランの盾ってのが、警官仲間仁義なんだから、ダブルミーニングのいいタイトルだと思うよ)

No.240 5点 デルチェフ裁判- エリック・アンブラー 2017/08/25 17:54
困った...本作は翻訳が悪くて、何を言っているかよくわからない箇所が多いのだ。ググってみるといいのだが、常盤新平の「ブックス&マガジンズ」という本の中に、本書の出版状況が書かれている(松江松恋氏のブログで見つけた)。
当時、ハヤカワの編集は常盤新平ただ一人で月に13点ものポケミス新刊を出していたようで、一人じゃとてもじゃないがチェックが効かずに、定評ある翻訳者だから、というので訳稿を読まずに製作に渡してしまった。結果、「わけのわからない翻訳」という苦情がかなり届き、常盤新平は早川社長に叱られたんだそうだ...
訳者の森郁夫はブレット・ハリディとかR.S.プラザーとか軽ハードボイルドを中心に訳している人だが、その後じきに若くして亡くなっている。で、読んでみると、キャラの行動に関わるあたりはいいのだが、政治的な背景とか状況説明となると、途端に何言っているのかわからなくなる...まあ、アンブラーの政治スリラーだから、米語の会話を軽妙に訳す能力よりも、政治論文を正確に訳す能力の方がずっと大事なんだよね。なので、読んでいてデルチェフの政治的な立場がどうなのか、少しも理解できないままに話が進んでしまい、東欧ソ連衛星国でのテロと強権的な政治裁判をめぐるタダのスリラーくらいにしか理解できなくなってしまう。
アンブラーがタダのスリラーを書くわけなくて、二転三転する事件の解釈や、外国通信社で働く主人公のガイド役の屈折したキャラとか、小国の政治家の意外な内情など、いろいろと読みどころがあるにも関わらず、これらがちゃんと筋道立って理解しづらい。最後に至っては大掛かりなテロ事件の緊迫感があって盛り上がるんだけどね。実際、乱歩が戦後すぐに「シルマー家」とか読んで、戦後のアンブラーが新境地を開いたと強い感銘を受けた旨(アンブラー三説)を書いて本作にも期待したわけで、本当はとっても面白い作品なんだと思う。
新訳をお願いしたいところだが、本作だと背景もほぼオワコンだから、無理だろうな...残念なこときわまりなし。

No.239 6点 メグレと老婦人- ジョルジュ・シムノン 2017/08/16 23:13
メグレには海が似合う。今回はノルマンディの海岸の保養地(例の「奇厳城」がある)エトルタでの事件。
一度はブルジョアに成りあがりながらも財産を失って隠棲した老婦人ヴァランティーヌが、自分を狙ったが身代わりに女中が毒殺された事件の解決を求めて、メグレの出馬を要請した。エトルタに赴いたメグレは、ヴァランティーヌの義理の息子で俗物の代議士シャルル、その兄でイギリス貴族気取りの放蕩者のテオ、尻軽な娘のアルレットといった、アクの強い一家の面々と会う。その中でも当のヴァランティーヌが、老女でありながらも妙に艶っぽさのあるキャラでとくに印象深い。
ちょっとしたミスディレクション風の仕掛けがあったりとか、キャラに似合わずハードな暗闘があったりとか、結構楽しめる作品である。シムノンの作品のキャラというと、成功したために社会的に地位が上昇したけども馴染めないとか、昔は金持ちだったけど没落して..とか、社会的な浮き沈みの激しい特徴があるのだが、この一家も庶民の出身だが美容クリームで当ててたまたま儲けて、城を買ったり豪華な生活を一時はしたけども没落して..というのが事件の背景にある。住んでいるのも出身地なので、「侯爵夫人気取り」と評されるヴァランティーヌでも、洋菓子店の売り子だった過去が周囲に知られていたりする。そんな田舎のリアリティが印象深い。

No.238 7点 蜘蛛の巣- アガサ・クリスティー 2017/08/16 22:42
クリスティもホント残りわずかになって、消化試合気分だったんだけど...いや、さすがはクリスティ、やってくれます。本作面白い。大好き!
本作は名探偵は出ないし、サスペンス中心でもないけども、上出来のクライム・コメディ戯曲、それも既存小説作品を下敷きにしない戯曲オリジナルの作品である。「書斎の死体」のテーマで、「予告殺人」のノンキでコージィなノリを前面に出したようなゴキゲンな雰囲気。本作の皮肉な陽気さが評者、本当にツボ。

(発見者は変死体を動かしてはいけないと)推理小説にはみんなそう書いてありますもの。でも、これは現実のことですから...だって、小説と現実はまるで違いますわ。

突如書斎に転がった死体を、メタに洒落のめすヒロインのカッコよさよ!マンガ的な猛女ピークさんが即物的な笑いを取る一方で、アリバイ工作、消える死体、あぶり出しの暗号と秘密の隠し場所...そして真犯人の指摘と意外な背景。ジェットコースター的な面白さにあふれた芝居である。本作はクリスティ戯曲の中でも「ねずみとり」に次ぐロングランを記録したという。たぶん見ていても「ねずみとり」より面白いんじゃないかな。

人間って嘘をつく時は割と真剣になるものでしょ。それでかえってほんとうらしく聞こえるものなのよ。

....創作ってほんと、そういうことだよね。納得。

No.237 8点 オランダ靴の秘密- エラリイ・クイーン 2017/08/16 22:18
国名シリーズでも初期タイプの完成形だろう。本作のプロット一番特徴的なのは、あまりマジメに尋問しなくて、適当にうまく端折れているあたり。登場人物一覧に大量の容疑者が列挙されるので、「全部尋問するの?」とオソレるのだが、そうではなくてポイントポイントの尋問しか叙述していない。だから読んでいて無味乾燥でツラい、というのはない。書き方が手慣れだしているね。とくにスワンソン出頭からジャーニー殺しの発覚に至る流れなんて、興味を逸らさずにうまく書けているように感じる。
まあ「パズルの極み」みたいな謎解きなんだけど、本作だと3つある推理ポイントを、これでもかと強調しているために、クイーンの意図を読者が当てるゼスチャー・ゲームみたいなニュアンスになってきているよ。その分フェアなんだけども、推理が具体的な行為が示す意味を解釈することに重点が置かれるようになって、「こういうことをクイーンは伝えたいのでは?」とか当時の服装などのジョーシキを推し量りながら推理していくことを要求されているかのようだ。そこらへん、もう80年以上前の作品ということもあって、素直に「推理」しやすいものではなくなりつつあるのかもしれないな。評者は「ローマ帽子」のときシルクハットは畳めるものなのか?でかなり悩んだりしたんだよ...
評者はパズラーと言いながら「なぞなぞ」的なネタ一発の作品って好きじゃないんだな。本作は複数の情報を相互に参照して絞り込む必要があるので、なぞなぞではない「パズル」だ。そこらへんクイーンですら意外にできてる作品は少ない。本作は推理という面で貴重な作品である。推理の結果によるいくつかの属性によるグルーピングに必要だから、あれだけ大量の容疑者が要るというわけで、そのグルーピングに必然性があるからこそ、別に意外な犯人でもないわけだ。「類的推理」とか「カテゴリーベース推論」とか呼びたくなるようなエラリーの推理である。
そういうわけで、本作かなり貴重な作品。キャラの没個性もこういう作品だったら、けして悪いことではない。

No.236 6点 暗い国境- エリック・アンブラー 2017/08/15 23:57
アンブラーの処女作だが、どっちか言うと2作目の「恐怖の背景」がアンブラー流巻き込まれ型スパイスリラーを確立した作品とされることが多くて、本作は「不遇な処女作」の部類になる。主人公はアマチュアとも読めるし、プロフェッショナルなスパイ(もしくはそのパロディ)とも読めるような、ちょっと評価に困る小説だったりする。
本作の主人公・核物理学者のバーストウ教授は、仕事に疲れて休暇を取るの。旅先で「Y機関員コンウェイ・カラザズ」が活躍するスパイ小説を手に取るのだが、その教授にスーパースパイであるカラザズが憑依した!東欧の小国イクサニアの天才科学者カッセンが独力で開発した核兵器の秘密を巡り、イクサニアの影の支配者シュヴェルジンスキ伯爵夫人、核の秘密を奪おうとする死の商人グルームに抗して、人類のためにならない核兵器の秘密を隠滅しようとバーストウ教授=カラザズは立ち上がった!
という枠組みで話が展開する。で、主人公はスーパースパイ・カラザズのようにも読めるし、バーストウ教授が必死に頑張っているようにも読める..というはなはだ多義的な小説なのである。アンブラーが結果的に大家に成長したこともあって、どうも「初期の扱いに困る作品」っぽい扱いを受けている印象がある。
アンブラーの作品にしては主人公の活躍度が高くて、漫画的ではあるけども、どうもそれはわざと狙ったキッチュのような気がしてならないのだ。訳者の菊池光によると、文体も他の作品よりも派手で「overstatement」で「パロディとして気楽に書いたのでは?」とも推測しているのだが、評者はちょっと別な見方もしてみたい。本作は1936年出版だが、この頃というと、ドイツはナチの支配が確立して、再軍備~ラインラント進駐、それからスペイン内戦と第二次大戦前夜の緊張が高まっていた時期である。ナチスドイツの勢力伸長に対して、ヨーロッパの各国も手をこまねいていた時期になるわけだ。国家が組織がアテにならないのならば、それこそ個人がスーパーマンになるしかないのだよ。ややヤケクソな奇蹟への祈りとしての「サブカルヒーロー召喚」という側面もあるような気がする。そういう絶望の果ての陽気なニヒリズムといった感じで評者は読んだのだが、いかがだろうか。
タイトルの「暗い国境」はイクサニアの暗い国境以上に、そういうバーストウ教授とカラザズの間の、教授の頭の中にある不分明な境界地帯を示している。けど調べてみて驚いたが、1936年時点では、核分裂は理論上可能性を示唆されているが、核分裂も連鎖反応はまだ未実証だった時期である...カッセンのモデルはハイゼンベルクでしょ。最初からアンブラーってカンがいいなぁ。
(あと読んでいてどうも類似性を感じるので指摘するが「ゼンタ城の虜」に近いものを感じる。主人公がヒーローとしての仮面をかぶり、自己像とヒーローとしての自我と葛藤するあたり)

No.235 8点 殺意- フランシス・アイルズ 2017/08/15 23:11
英語版のWikipedia とか見ると、倒叙は「Inverted Detective Story」で項目があって、フリーマンが創始者で「殺意」と「クロイドン」がサブジャンルとして確立した、という風に書いてあるが「伯母」は記述がない。「迷宮課」とかコロンボがあってもだよ...(manga の例として「デスノート」が載ってるのはちょっと困惑するが)
まあだから、いわゆる「三大倒叙」っていうのは乱歩周辺でできたローカルなランキングと思ってもう忘れた方がいいような気もするよ。それよりも、倒叙と犯罪心理小説は違うのか?という問いの方が重要だと思う。評者に言わせれば、倒叙はパズラーのサブジャンルであって、より広いミステリのサブジャンルではないんだな。本作バークリーだから、一筋縄ではいかない小説で、パズラーとは言い難い(法廷場面が若干攻防感があるが短い)が、犯罪心理小説か、というとそういうものでもないような気がする。
そりゃ主人公ビグリー博士が妻を殺し、それを告発しようとする愛人の夫+自分を振った女を、殺害しようとする...というプロットだから、犯人の心理を描いてない、とは言えないが、読んだ雰囲気はずっと皮肉で陽気なマンガ的な悪漢小説みたいなものだ。クリスティだと「動く指」とか「殺人は容易だ」に近い閉じたムラの中上流の「おつきあい」の世界だが、クリスティが描かない裏側の下半身事情を暴露しちゃってる。ホント呆れるほどの尻軽と俗物の世界である。小男で冴えない開業医で、恐妻の尻に敷かれたビグリー博士は、どうやらフェロモン男のようで愛人をとっかえひっかえしているわけだし、本作でヒロイン格のマドレインは二股をかけて男を操る自己愛の強い嘘つきで...と登場するキャラはどいつもこいつも碌でもない奴らである。逆にビグリー博士を虐める恐妻ジュリアはそれなりに一本筋が通った歪み方をしていて、いっそ気持ちがいいくらいのものだ。
というわけで、こういう碌でもない俗物どもの右往左往を皮肉な目で眺める小説としては、実に面白い。独自の心理、というよりも漫画になるような「典型」をうまく描いた小説のように感じる。そもそもバークリーだから、既存の枠にはまった作品なんて書く気がそもそもなかったんだろうね。

No.234 4点 悪魔の報酬- エラリイ・クイーン 2017/08/15 22:34
ハリウッド全盛期のスクリューボール・コメディが夢物語だっていうことは否定できないことなんだけど、そういうのを狙ったにしても、主として経済的方面での切実さみたいなものが足りないので、どうも主人公カップルに感情移入とかしづらい作品だ...破産してアパートに引っ越すんだが、5部屋もあるんだぜ。ドッチラケも甚だしい。もっとマジメにやれ、と言いたいくらいだ。
でまあ話は主人公と未来の義父が互いにかばいあって事態を紛糾させるわけだが「犯人以外の善意の第三者による工作」って、パズラーとしては一番推理しづらい要素になりがちなので、評者ははっきり気に入らない。犯行手段も...ちょいと確実性が薄すぎるように感じるな。大丈夫か。
あとピンクくん、どう見てもゲイだろ。全体として雰囲気が浮ついてて、今一つな作品。

No.233 7点 メグレと無愛想な刑事- ジョルジュ・シムノン 2017/08/09 21:56
「若い女の死」でロニョン刑事に萌えた余勢を買って、表題登場のこの短編集を読んだ。本短編集は4作長さ以上のボリューム感のある短編がそろっているが、ロニョンは最初の表題作しか出ない。残念。
本短編集はというと、「ヘンな奴ら」大集合の作品集になっている。もちろんロニョンは刑事たちの中でも特にその偏屈さで「ヘン」なのは言うまでもないが、「児童聖歌隊員の証言」の老判事、「世界一ねばった客」のタイトルそのままの人物、「誰も哀れな男を殺しはしない」の被害者...すべて印象に残る「ヘン」さがある。
作品としては「児童聖歌隊」がお気に入り。児童聖歌隊員なんだから子供でしょうがないのだが、事件のキーを握る、偏屈な老判事の妙な子供っぽい振る舞いが「謎」を作り出してしまう...それを解決するのは風邪をひいてフラフラのメグレである。風邪をひいて寝込むと、しきりに子供のころのこととか思い出されるものなんだけど、そういうメグレが「子供の心」を洞察して謎を解く、という構図の優れた作品である。こういう小説、イイな。
最後の「誰も哀れな...」も、被害者の小市民的としか言いようのない行動が「バカだなぁ」という感想と同時に「それも仕方ないな」という諦念とないまぜになって妙に心に迫るものがある。
というわけで、シムノンらしい小説的満足感バッチリな短編集である。

No.232 3点 未完の肖像- アガサ・クリスティー 2017/08/07 20:31
さて、評者のクリスティ評も大詰めに近づいている。残りは戯曲などだから、小説としてはこれがほぼラストである。本作はウェストマコット6冊の中でも、一番ミステリ的興味がないというか、クリスティ自身の自伝小説である。自分の生い立ちと、結婚とその破局までを描いた作品だ。なので「アガサ/愛の失踪事件」へのクリスティ自身の公式見解みたいなものという印象だ。
丁寧に自分の生い立ち・父母と祖母の思い出を綴っているので、他人の人生を覗く興味はあって、クリスティ最長編級(「愛の旋律」と「ナイルに死す」が並ぶくらい)であってもするすると読める。思い出話のせいか、キャラの区別は読んでいてつきにくいが、つかなくてもそう支障はない。別れた夫(要するにクリスティ大尉)であるダーモットは、クリスティがわりと犯人に起用したがるタイプの色男キャラ。性格がクールでドライのために、ヒロイン・シーリアの気持ちが分からなくて破局するのだが、小説の描写としては、別に筆誅覿面でも未練たっぷりでもなくて、あっさりとしたもの。拍子抜けしそうなほどだ。
どっちかいうと、ヒロインと求婚者たちを巡る「ご縁」みたいなものが、一番興味深いように思う。まあ評者なんぞは「何歳までに〇〇して」というような人生設計みたいなものを、御意見無用で仏恥義理しちゃった人間だから、どうこういう資格もないんだがね。
なので、ウェストマコット6冊と言っても、普通にクリスティのミステリが好きならば全部読む必要はない。「春にして君を離れ」「暗い抱擁」は必読だけども、「娘は娘」「愛の重荷」はできたら、レベルだし、本作と「愛の旋律」ははっきり読まなくてもいいようなものである。クリスティ自伝を読むような読者なら、自伝の別バージョンみたいに読めばいい。

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クリスティ再読さん
ひとこと
大人になってからは、母に「あんたの買ってくる本は難しくて..」となかなか一緒に楽しめる本がなかったのですが、クリスティだけは例外でした。その母も先年亡くなりました。

母の記憶のために...

...
好きな作家
クリスティ、チャンドラー、J=P.マンシェット、ライオネル・デヴィッドスン、小栗虫...
採点傾向
平均点: 6.43点   採点数: 1251件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(97)
ジョルジュ・シムノン(89)
エラリイ・クイーン(45)
ジョン・ディクスン・カー(30)
ロス・マクドナルド(26)
ボアロー&ナルスジャック(18)
ウィリアム・P・マッギヴァーン(17)
エリック・アンブラー(17)
アーサー・コナン・ドイル(16)
ダシール・ハメット(15)