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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] 007/女王陛下の007 007 旧題「女王陛下の007号」 |
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イアン・フレミング | 出版月: 1963年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
早川書房 1963年01月 |
早川書房 1967年03月 |
早川書房 1979年07月 |
No.2 | 5点 | クリスティ再読 | 2018/11/21 07:53 |
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本作は原作も映画も地味、という007にあるまじき作品になっている。まあこの地味さ、というかリアリズムをどう捉えるか、が評価なんだろうけど、評者はイマイチ、という判定。映画は本当に原作に忠実で、逆にこの忠実さが監督の「B班監督っぽさ」になってて、テレンス・ヤングやガイ・ハミルトンといった「らしい」監督のハッタリ感(=有能さ)を欠いてる印象を受ける。
でまあ、バレといえばその通りかもしれないが、これ映画も原作もその後採用されている「設定」なので言っちゃうが、本作でボンドは結婚して、新婚旅行にでかけたところで襲撃されて新妻を亡くす。悲恋なんだよね。映画のイイところはこの死に顔が美しいこと。あと、結婚式でMの秘書マニイペニイが涙ぐみ、彼女にボンドが帽子を投げて渡すあたり。いい。 で本作の敵役は「サンダーボール」に引き続きブロフェルドwithスペクター。原作では産業テロみたいな超地味作戦だけど、映画はさすがにこれをネタに国連を脅すことにしている。まどっちでも地味でリアル。しかもほぼ舞台はスイスのブロフェルドの山荘&アレルギー研究所に限られるので、舞台の変化もとくになし。ひたすら身元を偽って潜入&発見&逃走というあたりを軸にしている。ストーリー上のマイナスポイントは、ボンドとその新妻の話と、ブロフェルドとの戦いがほとんど絡まないこと。リアルなのにご都合主義。おい。 で映画はコネリー降板で1作だけボンドを演ったジョージ・レーゼンビー。コネリーの酷薄さがなくて人が良さそう。ボンドの結婚はコネリーだったら理解不能だったかもしれないから、いいのかも。本人アクションに自信あり、というのが決め手なのかな。雪の中セント・バーナードと戯れるのがナイス。 あと原作、気になるのは過去作品への言及が多すぎること。山荘のお客に「映画スターのウルシュラ・アンドレス」が来てるとか、カジノ・ロワイヤルで新妻と出会うとか、お遊びといえばそうなんだが、作者の余裕よりも飽きみたいなものを感じるけどねえ。どうだろう。 |
No.1 | 7点 | 臣 | 2013/02/18 11:52 |
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本作での敵役は、本シリーズではお馴染みのブロフェルド。
ボンドは系譜紋章院の研究者に成りすまして、ブロフェルドの基地であるアルプスの山荘に乗りこんでいく。そして、ブロフェルドとの戦いには、ボンドの恋人・トレーシーの父親が支援する。 本作の見せ場は、映画でも有名なスキー・アクションの場面と、同じく映画で話題を呼んだあのラスト・シーン。でも実は、原作を読んでみてもっとも楽しめたのは、ボンドの内面を中心に描いた山荘でのスリルとサスペンスでした。 物語的にはあいかわらずの荒唐無稽さだが、今に通じるものがあって、活字でも違和感なく受け入れられました。 いままでに「カジノ・ロワイヤル」「死ぬのは奴らだ」、本書と3作を読んでみて感じるのは、文章的に叙事、叙情のいずれもが個人的な嗜好に合っているということです。はたして文学的といえるかどうかはわかりませんが。 ところで、映画化作品では本作がマイ・ベスト。先日テレビで見た「カジノ」が次点です。両者ちょっと似た雰囲気だけど、基本的にこういうタイプが好きなんでしょうね。 ちなみに、ボンド役はそれぞれにいい面があって甲乙つけがたいけど、いまはダニエル・クレイグに注目中。ボンド・ガールでは、「死ぬのは奴らだ」のジェーン・シーモアですね。 |