皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] 007/ロシアから愛をこめて 007 |
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イアン・フレミング | 出版月: 1960年01月 | 平均: 5.60点 | 書評数: 5件 |
東京創元社 1960年01月 |
東京創元新社 1964年01月 |
東京創元社 1964年04月 |
東京創元社 2008年11月 |
東京創元社 2021年12月 |
No.5 | 5点 | 斎藤警部 | 2022/06/29 17:45 |
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冒頭から3分の1を占めるソ連側の陰謀計画周りが分厚くスリリングで熱い。その後登場する、ボンドの良き友となるトルコ駐在スパイがとんでもなく魅力的。その協力者たるジプシーの首領も素晴らしい。肝腎のボンドは・・最後の最後の活躍でやっと魅せてくれたかな(ちょっとした伏線回収もあった)。肝腎のMさんだって、そんなに騙され易くて世界の平和は大丈夫なのか?ヒロインも何だか幼く頼りないばっかで存在感薄い。恋愛的シーンは眠かった。登場人物としてむしろソ連の悪役醜女の方が魅力は数段上。しかし、この思い切りのいいエンディング、手に汗握ったけど、これでいいのか。。。いや、このエンディングだからこそいいんだぜ。
映画とは縁の薄い私ですが、これ(危機一発)は劇場で観てました。原作小説に較べ、ボンドとボンドガールが良い意味でぐっと派手に活躍してましたし、冒険シーンにもスリルがありましたね。 |
No.4 | 6点 | YMY | 2020/03/11 19:43 |
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他のスパイ小説のような暗さがなく、奇抜な悪役と美女、アクション満載の本シリーズは、男性にとってのロマンス本として楽しめる。今となっては歴史小説さながらのロマンチックさも。ボンドシリーズの中では5作目の本作が最高傑作とみなされている。 |
No.3 | 7点 | クリスティ再読 | 2018/09/17 19:48 |
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007というと娯楽スパイの代名詞なんだけどね...けどさ、本作までの原作って「ムーンレイカー」を除くと派手なトンデモ陰謀はないんだよ。本作でもトビラには「この小説の事件はともかく、背景の大部分は正確な事実にのっとっている。...この将軍の人相その他についてのわたしの描写は正確だ」と、MI6勤務歴のある作家に見得を切られちゃったら....どうしよう?? スパイの秘密活動のリアリティを、一読者がどう判定するんだろうね?
少なくとも本作までは、ハードボイルド+スパイ(+あと恋愛?)、という狙いで書かれていたと見るほうが適切なんだと思う。本作の映画化までは、そんなに売れていたわけでもないようだし。映画だってトンデモ路線の第1作「ドクター・ノオ」以上に、シリアス描写の多い本作が大ヒット。映画の方も原作のシリアスさを活かした出来であって、娯楽トンデモ路線が定着するのは次の「ゴールドフィンガー」からだと見たほうがよさそうだ。 小説の方だが、前半のスメルシュ側の作戦立案をじっくり描写しているあたりが、小説として実に冴えている。フレミング、小説上手だよ。ボンドだけに特化した作戦を立案したために、「罠かな?」と疑われても、あまりに特化し過ぎてるので、「まさか?」となってついついひっかかる、というあたりリアルな駆け引き感があって、いい。さすがチェス・マスターのプランである。後半「執行」は「計画」のリアライズとして意識して読むのが面白いと思う。 でまあ映画だけど、古典的な序破急を無視した、最初から全速力のジェットコースター式スリラーの元祖。スリラー映画は明白に演出面で「007以前/以降」があるからね、観てなきゃモグリ、というものでしょう。個人的にはローザのロッテ・レーニャに思い入れがある...この人「三文オペラ」の作曲家クルト・ヴァイルの奥さんで、舞台初演で娼婦ジェニーを演じて、パブストの映画化で名曲「海賊ジェニー」を歌った人(LOVE)。「海賊ジェニー」の残忍非情さがローザにつながる..のは読みすぎだろうけどね。映画出演は少ないけど、「ワイマール文化の名花」とまで呼ばれた舞台人である。ロバート・ショウやペドロ・アルメンダリスもそうだけど、この頃の007のキャスティング・センスは神がかっている。 (あと小説でボンドが「ディミトリオスの棺」を持ってイスタンブールにいくチョイスがナイス) |
No.2 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2012/07/12 22:33 |
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007シリーズの映画化第2作目(邦題は「007/危機一発」)、本の方は5作目。原作者イアン・フレミング氏はこの作品が映画化されたあと逝去。映画はボンド=ショーン・コネリー氏の7作品(1作品はシリーズと別の映画)+αしか観ていないのですが、この作品が最高傑作であると思います。ダニエラ・ビアンキさんの色気に圧倒されました。映画は原作に+αがあり、派手な感じがしますが、本作はスパイ同士の恋愛を中心に描かれています。ラストは映画とは全く違うものでした。採点は甘めで・・・。 |
No.1 | 4点 | mini | 2008/12/30 10:25 |
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今年はフレミング生誕100周年だった
来年1月中旬に007新作映画「慰めの報酬」が公開予定だそうだが、題名の元になった短編を含む短編集の書評はそのときにでも書くことにしよう 007長編は創元と早川でほぼ折半するかのように版権を持っているが、どちらかと言えば前期作に創元が多く後期作は早川が多い 「ロシアから愛をこめて」はよくシリーズ最高作みたいに宣伝されるが、それは創元の宣伝であって早川版のを考慮に入れてないようだ 実際読んでみると正直言って「ロシアから~」だけが突出して優れているわけでもない気がするんだよな 大体物語として動くのは後半になってからで、前半は殺し屋と囮役の美女のそれまでの人生を語る事に費やされているので動きらしい動きは全く無いし、中盤はトルコ支局のエージェントの話題が中心であってボンドはほとんど脇役同然 映画シリーズの方で「ロシアから~」が出来が良かったと言われているのから評価要素に映画との連携もあるのだろう それと前期作に創元が多いのも有利だったのかも と言うのは、珍しく前期作の中で早川が版権持っている「死ぬのは奴らだ」も出来が良いからだ ただ創元が偉いのは版権持ってる分はちゃんと全作復刊したこと 見習えよ、早川書房さん、古本屋で探すのも大変なんだから |