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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] 007/ドクター・ノオ 007 |
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イアン・フレミング | 出版月: 1959年01月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 2件 |
早川書房 1959年01月 |
早川書房 1978年03月 |
No.2 | 7点 | クリスティ再読 | 2019/11/13 20:59 |
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まだ007が無名の頃、輸入書店で「医者は要らない」という訳題で出てた....という伝説があるけど、どこまでホントか知らないよ。例えば韓国人の Dr.盧 で Dr.No がいそうなんだが、言うまでもなく「ドクター・ノオ」と言い切ったネーミングにフレミングのセンスと、井上一夫の訳題が光るわけである。オモテ面はあくまで紳士的なドクター・ノオの造形が、フレミングの数々のヴィランたちの中でも傑出していると思うよ。
少なくとも小説は、カリブ海を同じく舞台にした「死ぬのは奴らだ」の続編である。フレミングはプロットの種類は極めて少なくて、本作なんて「死ぬのは奴らだ」の書き直しみたいなところがある。神秘のソリテアから、野生児のハニーに、粗暴なミスター・ビッグから、陰湿なドクター・ノオに属性を入れ替え。でもヒロインは両方とも超能力アリで、ヴィランは両方ともオカルトを利用して恐怖政治を敷く。海の脅威はそのままで、潜入して捕まって..のプロセスをもっとディズニーランド化したら本作、という雰囲気だろう。ちなみに潜入して捕らえられたボンドが鳥類研究家を名乗るのは、一種の楽屋オチで、ジェームズ・ボンドの名前を拝借した実在の鳥類学者へのご挨拶なんだろうな。 だから本作あたりで、007は完成、ということになる。次は「ムーンレイカー」を書き直して「カジノ・ロワイヤル」のギャンブル性を強調した「ゴールドフィンガー」というわけである。本作の成功でフレミング、勝ちを意識したことだろう。 映画は第一作になるけども、要するに第一作だからね、それ以降と違ってあまり予算がかかってない。セットも小規模である。ドクター・ノオもあっさり死ぬし、俳優さんも大物じゃない。作者が意識してアテ書いたクリストファー・リーだったらもっと迫力があったんじゃないかな。捕まってからの展開は原作の方がずっと辻褄があっていて、映画の方が端折ったような変なアレンジになっている。でも、コネリーが若くて一番カッコいい。 さてこれで、007もコンプ。ベスト5とか選ぶようなタイプの作家ではないな。どの作品もそれぞれ面白い。晩年でも好き勝手やってる感があるのが、フレミングのいいところだ。今回ほぼ再読でコンプして、短編の良さに敬服。ウデのある小説家である。 |
No.1 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2012/07/03 11:09 |
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007シリーズの映画化第1作目(邦題は「007は殺しの番号」)青春時代、007=ショーン・コネリー氏に魅せられ、かなりハマったことを思い出します。当時映画館は何回観てもOKな時代でしたし、今でいうロードショーが終了すれば、場末の映画館で2本立てで、また観ることができました。何回観たことでしょう(笑)。本では映画と異なり、ボンドの人間臭さがよく描かれています。ノオ博士との緊迫したやり取りも楽しめました。好きなシリーズなので甘めな採点となります。 |