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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
ダイヤモンド密輸作戦
イアン・フレミング 出版月: 1965年01月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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早川書房
1965年01月

No.1 5点 クリスティ再読 2019/02/10 14:27
本作は「ダイヤモンドは永遠に」じゃないが、007の活躍する「永遠に」と同様に、ダイヤモンド密輸を取り締まる「国際ダイヤモンド保安機構(IDSO)」の捜査員からフレミングが聞いた話をまとめたルポである。というと、「永遠に」の元ネタ?という疑問はもっともだが、実は「密輸作戦」は「永遠に」が出版された後に、興味があるだろうと紹介した人がいて、フレミングが捜査員ジョン・ブレイズ(仮名)の話を聞く機会をもったわけだ(苦笑)。
ダイヤモンドの採掘・流通が大英帝国の版図の中で発展した経緯もあり、イギリスの帝国経営とも密接な関係があって、盗掘・密輸を取り締まるこの「国際ダイヤモンド保安機構」は、MI5の長官が辞職した後に設立したものだったりする。名目上は「民営」の秘密警察みたいなものだが、海軍情報部に居たこともあるフレミングとしてはまんざらご縁がないわけじゃない....というのが本当は「永遠に」のネタ選択にも影響があるらしい。
けどもね、本作の「ダイヤモンド密輸」は泥臭いものである。アフリカの原住民たちが採掘会社に雇われて、ごまかして原石を持ち出すとか、無権利での盗掘とか、選別工程でのちょろまかし、といった小さな不正でダイヤが手に入ってしまう。実際、原住民たちから見たら、刑罰は利益と比べたら微々たるものなくらいだ。だから裏で流通するダイヤは表の何倍にも、とは量的にはそうなのだが、実際はグレードの低い工業用ダイヤばっかりみたいだ。それでも東側諸国は工業用途でこれを買い漁るので、なんとかしなきゃ...という冷戦事情もないわけじゃない。
まあそんな地に足のつき過ぎの泥臭い話。だから密輸を減らす一番の特効薬は、会社が事情に目をつぶって、裏のダイヤを買い取る窓口を、おおっぴらに作ることだったりする...アホらしいといえば全くそのとおりで、これによって密輸がガタンと減ったらしい。取締も実際にはダイヤ価格をコントロールするための手段として使われているだけのことである。
「永遠に」のウラには何とも泥臭い話があるんだ、というのをフレミング自身がレポートしているのが何とも皮肉なところではある。まあ世の中こんなものさ。


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