皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
蟷螂の斧さん |
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平均点: 6.09点 | 書評数: 1660件 |
No.18 | 7点 | 八人の招待客- パトリック・クェンティン | 2020/01/21 14:16 |
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「八人の中の一人」(1936年)6点
大晦日の夜、高層ビルの40階に閉じ込められた7人の株主と秘書。持ち株の多い人物が狙われる。この非常時に秘書に求婚する者が二人も現れる?!・・・。その真相は?。おしゃれなクローズド・サークルものの中編。 「八人の招待客」(1937年)8点 吹雪の館に集められたのは、共通の脅迫者を殺害しようとする7人、および脅迫者本人。しかし、脅迫者に密告する裏切り者が出現、更に脅迫者は養女を連れており身の安全を図っている様子。さて、計画は実行できるのか?。サスペンスの盛り上げ方や、脇役の扱い方が巧いですね。ないものねだりですが長編で読みたいところ。 裏表紙に「そして誰もいなくなった」に先行する云々とありますが、アイデア・モチーフのヒントといった程度だと思います。 |
No.17 | 6点 | 金庫と老婆- パトリック・クェンティン | 2020/01/09 13:01 |
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著者らしい作品は表題作の「金庫と老婆」、その他はブラックユーモア系と○○コンプレックス系。ベストは、乞食の美少年を養子にしてみたら・・・の「少年の意志」
①「ルーシーの初恋」マザコン 7点 ②「汝は見たもう神なり」ロリコン 7点 ③「不運な男」ブラックユーモア 5点 ④「ミセス・アプルビーの熊」ブラックユーモア 5点 ⑤「親殺しの肖像」ファザコン 6点 ⑥「少年の意志」ブラックユーモア 7点 ⑦「母親っ子」マザコン 5点 ⑧「姿を消した少年」マザコン 6点 ⑨「金庫と老婆」サスペンス 7点 |
No.16 | 6点 | 人形パズル- パトリック・クェンティン | 2019/03/18 12:56 |
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ピーター&アイリス・シリーズ8冊中、未読のラスト一冊でした。巻き込まれ型サスペンスの典型的な作品です。久しぶりのシリーズなので油断していたら、最後でやられました(笑)。犯人は舌足らずの人物で早めに判明します。よって、フーダニットではありません。しかし、これが伏線になっていたとは!・・・。
シリーズの評価は①迷走パズル(6点)②俳優パズル(8点)③人形パズル(6点)④悪女パズル(8点)⑤悪魔パズル(6点)⑥巡礼者パズル(7点)⑦死への疾走(7点)⑧女郎蜘蛛(8点)となり、十分堪能できました。 |
No.15 | 7点 | わたしの愛した悪女- パトリック・クェンティン | 2018/07/31 22:39 |
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妻の浮気疑惑、その相手が弟ではないかと悩む主人公。題名「わたしの愛した悪女」からしてネタバレしています(苦笑)。題名通りに妻の過去が暴かれてゆきます。複雑な家族関係が巧く描かれていました。またフーダニットが前面に打ち出されており楽しめました。 |
No.14 | 5点 | 死を招く航海- パトリック・クェンティン | 2018/06/02 07:12 |
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フーダニットのミスリードは巧いと思いますが、ハウダニットの描写がおろそかでしたね。また読者への挑戦の二つのヒントはヒントにならない!?(苦笑)。これがわかる人はいるのかなあ?。またコントラクトブリッジというカードゲームを知っていても、そこから犯人は特定できないし・・・。まあ、意外性だけはありましたね。4点に近いのですが甘い採点としました。著者のコンビは、やはりホイーラーとの共作の方が好きです。 |
No.13 | 6点 | 悪魔パズル- パトリック・クェンティン | 2015/11/20 13:15 |
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裏表紙より~『ふと目覚めると、見知らぬ部屋のベッドに寝ている。自分の名前も、ここがどこかも、目の前の美女が誰かもわからない。記憶喪失。あなたはゴーディよ、わたしの息子よ、と言う女。自分はゴーディという名らしい。だが、何かがおかしい。なぜ女たちは自分を監禁し、詩を暗唱させようとするのか…。幾重にも張りめぐらされた陰謀。ピーター・ダルース、絶体絶命の脱出劇。“パズル・シリーズ”第五作』~
あらすじからもわかるように、記憶喪失者は主人公ピーターであり、「私は誰?」的なサスペンスではありません。なぜ、ゴーディの身代わりをさせられるのかという謎で引っ張ってゆきます。その展開は楽しめました。ゴーディの妻セレナの造形がいい。手足をギブスで固められた本当の理由にはニヤッとさせられます(謎とはあまり関係ないのですが・・・)。 |
No.12 | 8点 | 悪女パズル- パトリック・クェンティン | 2015/10/20 13:35 |
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1945年作品。離婚を考える3組の夫婦、婚約者カップル2組、そして主人公ダルース夫婦の計6組の男女が織りなす愛憎劇か?!・・・。プロットはシリーズで一番と思えるほど非常に優れていますね。第2、第3の事件は、○○殺人(私にとっては初物)という本作品の”肝”であると思います。よって、どんでん返しへの伏線として、非常に重要な事件であると感じました。ダルース夫婦シリーズで8点評価が3作品となりましたが、順位は「悪女パズル」>「俳優パズル」>「女郎蜘蛛」です。 |
No.11 | 6点 | 追跡者- パトリック・クェンティン | 2015/09/23 18:02 |
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主人公が出張から帰ってくると、自宅には新婚の妻の姿はなく、代わりに男の死体が転がっていた。妻の行方を追うという題名通りの追跡劇で、冒険活劇要素の方が強い作品です。パズル・シリーズにはないコメディタッチの場面(脇役のホテルボーイがアクセントとなりいい味を出している)もあり楽しめました。 |
No.10 | 5点 | 犬はまだ吠えている- パトリック・クェンティン | 2015/08/07 17:32 |
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裏表紙より~『その日のキツネ狩りの「獲物」は頭部のない若い女の死体だった。悲劇は連鎖する。狩猟用の愛馬が殺され、「何か」を知ってしまったらしい女性も命を奪われてしまう。陰惨な事件の解決のために乗りだしたドクター・ウェストレイク。小さな町の複雑な男女関係と資産問題が真相を遠ざけてしまうのだが…。』~
ピーター・ダルース夫妻シリーズとは全くタイプの違った猟奇的な雰囲気の作品でした。物語の展開がやや遅いことと、動機の後出し的なところがマイナスポイントですね。名馬殺害の理由は印象に残ります。 |
No.9 | 7点 | 死への疾走- パトリック・クェンティン | 2015/08/06 14:04 |
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パズル・シリーズの主人公ピーターが登場するも、「女郎蜘蛛」と同様「~・パズル」となっていません。出版社が相違するので仕方ないか・・・。このシリーズは色々なパターンがあり楽しめますね。今回は軽めの冒険活劇的な要素が含まれています。ラストの反転も好みなので+1点。 |
No.8 | 6点 | 愚かものの失楽園- パトリック・クェンティン | 2015/04/29 20:08 |
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「わが子は殺人者」(1954・ホイラー単独作品)の2年後の作品ですが、前作品には及ばなかったですね。プロットはなんとなく似ているのですが、二転三転という意味では物足りなかった。なお、裏表紙は、犯人像を特定してしまっているので、それ以外の登場人物を犯人から排除してしまうという罪づくりなものです。 |
No.7 | 5点 | グリンドルの悪夢- パトリック・クェンティン | 2015/04/14 12:33 |
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裏表紙より~『「グリンドル樫にコンドルが留まると盆地に死が訪れる」。片田舎の小さな村で少女が失踪した。村人総出で探したが見つからなかった。村では最近、猫や猿、鵞鳥などのペットが次々にいなくなっているという。これが少女の失踪になにか関係はあるのか。やがて少女の父親が水死体で発見された。彼は娘の居所をつかみかけていたようだったのだが…。』~
パズル・シリーズと作風が全く違っています。共作者とのコンビが違っていたようです。探偵役の不明確さが狙いのようですが、成功したとは言えないのでは?。語り部の「僕」が”事件”や”恋”に天然ボケをかまし過ぎて、物語全体がボヤケてしまったという感じです。なんともピリッとしません。ラストの、ほのぼの感のみか・・・。 |
No.6 | 10点 | わが子は殺人者- パトリック・クェンティン | 2015/03/22 11:21 |
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裏表紙より『三年前に妻が謎の自殺を遂げて以来、ジェーク・ダルースの生活は、わびしいものだった。夫からも息子からも愛されていた幸福な女が、陽光の輝く六月の朝、なぜ自殺しなければならなかったのか?その謎が彼の心に暗い影をなげているのだ。 しかも今や、ひとり息子のビルが、なにか恐ろしい事件に巻きこまれそうな気配があった。父親としての愛情と本能が彼にそう警告しているのだ・・・。横溢するサスペンス、緊密な構成、全編に流れるたくましい父性愛、これは名作「二人の妻をもつ男」の作者ならでは作りえない、第一級の推理小説である。』
上記案内のとおりである小説に初めて出会いました(笑)。計算しつくされた綿密なプロットに脱帽。人物像の造形が素晴らしい。トリックによる反転よりも、人物像(一人だけではない)の反転が読みどころか?。数々の決定的な動機、証拠を突きつけられても、息子の無実を信じる愚鈍ともいえる父親像に感情移入することができました。後半はやっと犯人にたどり着き、自白を引き出せるか?というところで・・・。この辺の展開はうまいですね。本作はこれといったトリックはありませんが、トリック重視派の私でも満点をつけてしまいました(笑)。本作は単独で読んでもいいのですが、主人公の弟であるピーター、その妻アイリスの人物造形が省略されているので、唐突な感じを受けるかもしれません。パズルシリーズ(ピーター主人公)を1冊読んでいた方が理解できるかも。トラント警部補も警部に昇格し、相変わらずいい味を醸し出していました。入手困難でやっと手に入れましたが、初版で法月綸太郎氏の解説(かなり緻密らしい)がついていませんでした(残念)。 |
No.5 | 8点 | 女郎ぐも- パトリック・クェンティン | 2015/03/08 11:04 |
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シリーズ最終話にふさわしい出来栄えですね。前半はサスペンス(サイコ系?)かと思わせ、後半は本格的な展開となります。主人公ピーターの部屋で自殺した娘ナニーのことを調べるうち、段々自分に不利な状況に陥ってゆく過程は読みごたえがあります。シリーズでは、ピーターとその妻アイリスの絆が背景にありますが、本編でもその夫婦の揺れ動く心理がうまく描かれていました。また、周りに登場する女性陣(性悪女?)にイライラさせられたりしました。~ほめ言葉~(笑)。「○○パズル」シリーズなのに、本作だけ「女郎蜘蛛」となっていますが、読後はこれでいいのかなと納得。単独で読んでもOKですね。初登場のトラント警部補の飄々とした雰囲気がお気に入り。(その後の「二人の妻をもつ男」(1955)に登場していたんですね。その書評で”トラント警部が切れ者なのか、またはサラリーマン的な性格なのかよく解らない点が魅力的で、非常に効果があったと思います。”としていました(笑)。「わが子は殺人者」(1954)は絶版で読めないのが残念です。 |
No.4 | 8点 | 俳優パズル- パトリック・クェンティン | 2014/01/23 09:55 |
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主人公はアル中依存症を克服し、プロデューサーとしての復活を目指す。離婚歴があるアル中気味?の主演女優、事故の後遺症に悩む主演男優等の問題を抱えながらもリハーサルが開始される。しかし、そこには悪意が存在した。果たして興行の初日を迎えられるのか?というストーリー自体に魅せられました。舞台裏や人物像も丁寧に描かれており、好感が持てます。ラストの幕切れは劇的であり、まさに劇場ミステリーですね。主人公ピーターとアイリスの恋が同時進行しますので、前作「迷走パズル」を先に読んだ方が楽しめると思います。なお、解説は法月綸太郎氏です。 |
No.3 | 6点 | 迷走パズル- パトリック・クェンティン | 2014/01/10 21:50 |
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精神病院での殺人劇に、アルコール依存症で入院した主人公が、にわか探偵として活躍します。ハウダニットについては、年代(発表1936)を感じてしまいますが、フーダニットは結構楽しめました。伏線はかなりちりばめられていましたね。精神病院が舞台なので、変わった雰囲気を味わえました。最後の博士の告白には、ニヤリとしてしまいます。翻訳も読みやすいです。 |
No.2 | 7点 | 巡礼者パズル- パトリック・クェンティン | 2013/12/27 14:18 |
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登場人物は6人。一癖も二癖もある6人がおりなす愛憎劇。サスペンスものと思いきや、不審な転落死事件から、”多重解決”風な展開となります。5人がそれぞれ犯人を思い描くが、愛情が絡みあい、お互いかばいあったりし、犯人を捜すより、事件をもみ消すような共同犯的な雰囲気となります。このあたりが楽しめますね。真相もユニークです。本作1947年。日本ではA氏の作品M(1977年)を思い起こします。 |
No.1 | 8点 | 二人の妻をもつ男- パトリック・クェンティン | 2012/07/28 15:20 |
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主人公の心の葛藤がうまく伝わってきて感情移入できました。登場人物も少ないし、性格描写もわかりやく書かれており読みやすい。トラント警部が切れ者なのか、またはサラリーマン的な性格なのかよく解らない点が魅力的で、非常に効果があったと思います。 |