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まさむねさん
平均点: 5.86点 書評数: 1154件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.22 8点 可燃物- 米澤穂信 2023/12/23 09:51
 作者の力量を再確認いたしました。どの短編も無駄のない流れですが、決して無機質ではなく、グイグイ読ませます。その中での転換が実にお見事。
 マイベストは思わず唸った「命の恩」。次点はタイトルも秀逸「本物か」。凶器は何か「崖の下」も良作で、いずれも盲点を突く転換がポイント。その後に「ねむけ」「可燃物」と続く印象。
 良質な警察小説短編集と言えるのではないかな。

No.21 7点 巴里マカロンの謎 - 米澤穂信 2020/06/06 16:29
 小市民シリーズ11年ぶりの新作。久しぶりですねぇ。そしてタイトルは「冬期限定~」ではないのですねぇ。
 ベストは「伯林あげぱんの謎」で、謎の置き方と伏線の配置、そして遊び心が好きですね。新たな妹的キャラ・古城秋桜を登場させたうえで、「花府シュークリームの謎」で締めた短編集としての全体構成にも好感。
 小佐内さんと小鳩くんの掛け合い(?)は相変わらず楽しいのだけれども、さてさて、このシリーズは今後どうなるのだろう?

No.20 6点 Iの悲劇- 米澤穂信 2020/03/30 23:10
 合併で誕生した南はかま市。全住民が退去した山間の集落へのIターン支援プロジェクトを実施するのは、課長を含む3名の職員で組織される「甦り課」。選ばれた「移住者」は、それぞれ一癖ありそうで…という設定での連作短編集。
 限界集落の現実だとか、Iターンの実情だとか、地方公務員の日常だとか、現実味が有りそうで実は無さそうな、逆に無さそうで確かに有りそうな、そんな印象。ラストで印象がごちゃごちゃになった感もあります。新しい形の社会派作品、と言えるかもしれませんね。

No.19 5点 本と鍵の季節- 米澤穂信 2019/07/28 21:00
 男子高校生のコンビでしたが、「古典部シリーズ」や「小市民シリーズ」から連なる雰囲気を感じることができましたね。コンビといっても、ホームズ&ワトソンという位置づけにしていない辺りもイイと思います。でも、ミステリーとしての驚きは少なかったかも。ちょっと無理やり感も抱いたりして。

No.18 5点 いまさら翼といわれても- 米澤穂信 2017/01/29 21:37
 古典部シリーズ第6作目(だと思う)。
 いやー、小市民シリーズほどではないけれども、結構久しぶりですねぇ。折木奉太郎、千反田える、伊原摩耶花、福部里志の4人組に会えた懐かしさはあるけれども、ミステリとしては相当に弱めだし、表題作などは「そんなに悩むことか?」って思ってしまう面もございました。「いまさら青春といわれても」って感じか。それは単に私のおじさん度が増したからではと突っ込まれれば、何ら言い返せないのだけれども。
 とは言え、結構次が気になる終わり方なので、きっと次作も読むことになるのだろうなぁ。次作をいつ読めるのかは別として。でも、その時には彼らの設定年齢と私の年齢のギャップがさらに広がっているんだよねぇ…。

No.17 5点 真実の10メートル手前- 米澤穂信 2016/03/28 22:48
 「さよなら妖精」、というか最近では「王とサーカス」で名を馳せる、太刀洗万智を主人公とした短編集。
 物語の時系列的には、「王とサーカス」の前ってことになるのかな。収録短編自体が、それなりに一定の期間を経て書かれており(2007年~2015年)、作中の太刀洗万智の職業も新聞記者からフリーの記者に変わったりしています。よく言えば、太刀洗万智に対する作者の想いの変遷が滲んでいますし、思い切って言ってしまえば、何とも中途半端で面白味が薄いような気もします。短編集と長編を単純比較するのは気が引けますが、「王とサーカス」と比べると…。
 いや、確かに巧い作品もあるのです。でも、無理やり「報道のあり方」にというようなテーマに結び付けたと感じずにはいられない作品もあって、個人的には米澤氏に対する期待が大きいだけに、このくらいの点数にいたします。

No.16 7点 王とサーカス- 米澤穂信 2016/03/23 20:26
 新聞記者を経てフリージャーナリストとなった太刀洗万智。彼女を知ろうと思い「さよなら妖精」を先読したのですが、特段読んでいなくても問題ありませんでしたね。すんなりと入り込めます。
 さて、各種ミステリランキングで評価の高かった本作。2001年6月に実際に発生した、所謂「ネパール王族殺害事件」を扱っており、舞台となったネパールの首都カトマンズの異国情緒も含めて興味をそそられます。
 一方で、謎の解明という側面で多少の肩透かし感を抱いたのは事実です。また、王族殺害事件の真相について新たな切り口を見せてくれるのかと思いきや…という印象も残ります。
 しかし、ジャーナリズムのあり方という古くて新しい問題と、がぶり四つに組んだ姿勢は評価すべきでしょう。奥深く、読みごたえのある作品ではあります。

No.15 6点 さよなら妖精- 米澤穂信 2016/01/09 22:02
 昨年話題の「王とサーカス」、さらに連作短編集「真実の10メートル手前」を読む前に、これらの探偵役らしい「太刀洗万智」に触れておこう…という、ある意味で邪まな動機で手にした次第です。
 ミステリとしてはちょっと弱いというか、多少のこじつけ感もありますねぇ。しかし、印象は決して悪くない。ユーゴスラビアから来日した少女を中心に添えた意義は大きく、ラストは印象に残りそうです。同国についても、随分勉強になりましたしね。
 さて、この作品でも印象的であった「太刀洗万智」のその後について、「王とサーカス」、or「真実の10メートル手前」を読むことが楽しみになってきました。

No.14 10点 折れた竜骨- 米澤穂信 2015/11/28 20:52
 当時、各種ミステリランキングで相当に評価が高かったことは、知っていたのです。しかし、表面だけで判断しがちな私は、「はぁ、剣と魔法の世界って言われましてもねぇ。しかも舞台は中世ヨーロッパときましたか。はぁ。」といった心の声に従い、決して手にしなかった訳であります。
 嗚呼、なんと浅はかだったのでしょう!ファンタジーとミステリの見事な融合。解決シーンは圧巻で、まさに本格の王道路線。(消去法による解決手法はベタすぎるとの意見もありましょうが、この手法もまた王道の一つと言えましょう。)伏線の配置と回収もお見事。さらに、登場人物の一人ひとりが実に魅力的で、ストーリーとしても美しい。
 特殊設定系ミステリの新たな可能性を体感させていただいたことに感謝申し上げ、思い切ってこの点数に。

No.13 7点 満願- 米澤穂信 2014/07/03 21:22
 ノンシリーズ短編集。バラエティに富んでいますが,ブラックな色彩の作品が多いかな。個人的には「儚い羊たちの祝宴」よりも好印象。
1 夜警
 佐々木譲or横山秀夫と読み間違うような展開。伏線は「いかにも」だったのですが,想定以上の反転でした。
2 死人宿
 1とは異なる意味での「反転」が見事。私は結構怖かった。
3 柘榴
 これも怖い。
4 万灯
 梓崎優の「叫びと祈り」を思い起こさせる雰囲気。犯行の発覚理由が何とも興味深い。
5 関守
 一定想像はつくのだが…やっぱり怖い。
6 満願
 雰囲気作りが巧い。ホワイの部分はやや納得しがたい面も。

 どの作品もハズレはないですが,好みとしては「万灯」「満願」「柘榴」の順でしょうか。

No.12 4点 ふたりの距離の概算- 米澤穂信 2013/08/17 21:32
 うーん,正直私には合わなかったなぁ。
 そもそも,マラソンしながら推理していくという設定って,必要だったのかなぁ?それほど必然性を感じなかったなぁ…と。情報小出し方式は,別にマラソン大会中でなくても設定可能だろうし,特段緊迫感が増しているわけでもないし…。
 サッサと走り終えて,その後にゆっくりと考えればよかろうに…とか,マラソンのタイムも相当悪かったろうに…とか,つまらないことを考えちゃうのは,私のオジサン度が増しているせいなのかなぁ。

No.11 5点 遠まわりする雛- 米澤穂信 2012/05/26 17:00
 古典部シリーズの短編集。今回もホータロー君がご活躍です。
 個々の短編の内容というよりも,高校1年生の1年間について,短編を時系列順に配置することで4人の「変化」を描こうとした試みを評価します。ラストも綺麗ですね。

No.10 5点 愚者のエンドロール- 米澤穂信 2011/03/03 22:15
 古典部シリーズ第2弾。 前作「氷菓」よりもミステリ度がアップ。個人的な「食いつき具合」は確実に前作以上。
 奉太郎クンの「最終回答」までの展開も悪くはないですが,個人的には何よりも最終章が良かった。そうか…って感じで。
 いかにも米澤氏らしい作品ですね。

No.9 5点 氷菓- 米澤穂信 2011/01/31 21:03
 私にとって,古典部シリーズ初参戦。
 読み始めてしばらくは“緩さ”が気になったのですが,“古典部の謎”が提示された以降は悪くないですね。部員のキャラ設定も面白い。(でも採点すればこの点数くらいかなぁ。)
 氏のデビュー作であるこの作品のテイストは,「小市民シリーズ」は勿論のこと,「追想五断章」にも確実に引き継がれている印象を受けましたね。 視点は違うけれども,「儚い羊たちの祝宴」にも多少同じ香りが。
 ちなみに,年代によってはほぼ100%の方が,読み終えるまでの間に郁恵ちゃんの歌を口ずさむことになるんだろうなぁ。

No.8 7点 追想五断章- 米澤穂信 2010/09/11 11:09
仕掛けの一部は確かに分かりやすいものの,全体的に面白い試みではある。その点は大いに拍手を送りたい。
ちなみに,作中の5つのリドルストーリー自体が,何気に良い。特に,最後のリドルストーリー「雪の花」などは,本作品の真実とも相まって,何と言うか,一回り深いリドルストーリーに仕上がっている。文学のかほりすら漂う。(ちょっと言い過ぎかな?)

No.7 6点 秋期限定栗きんとん事件- 米澤穂信 2010/09/03 22:41
ミステリとして目立った点はないのでしょうが,このシリーズのファンにとっては結構楽しめる内容。
特にラストはいいですね。小佐内さんは,これだから目が離せない。

No.6 4点 ボトルネック- 米澤穂信 2010/08/21 16:08
主人公に感情移入できず。ラストも好きになれない。

No.5 5点 夏期限定トロピカルパフェ事件- 米澤穂信 2010/08/17 22:05
前作「春季限定~」よりも上質にまとまっている。
あれれ?というラストシーンが気になったので(作者の策略にまんまと・・・),きっと次回作も読むことになるだろうなぁ。

No.4 5点 春期限定いちごタルト事件- 米澤穂信 2010/08/12 21:14
ライトな謎で,綺麗にまとめてるなって印象。
ちなみに,主人公の男子にちょっとイライラ。
なお,アラフォー男子としては,図書館で借りるのに多少の勇気が必要であった(題名及び表紙が)。
それでも続編も読んでみようという気にはなった。

No.3 5点 儚い羊たちの祝宴- 米澤穂信 2010/07/21 23:44
期待しすぎたのか,「衝撃的なラストの1行」という読後感は全く受けませんでした。
というか,途中で概ね察しがついた作品も多かった。
短編集全体の趣旨を否定するつもりはないのですが,「玉野五十鈴の誉れ」がなければ,マイナス1点だったかも。
「玉野五十鈴の誉れ」は良かった。それ以外の作品は何とも言い難い。

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.86点   採点数: 1154件
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