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[ 本格/新本格 ]
体育館の殺人
裏染天馬シリーズ
青崎有吾 出版月: 2012年10月 平均: 6.52点 書評数: 27件

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東京創元社
2012年10月

東京創元社
2015年03月

No.7 5点 haruka 2015/06/30 20:07
意外な結末や大掛かりなトリックはないものの、謎解きに論理の飛躍がなく、しっかりと作り込まれた作品。ただ、お話としての面白さは感じられず、ドキドキ、ハラハラもないので、採点はこの辺で。

No.6 7点 メルカトル 2015/03/18 22:00
平成のクイーンの名は伊達ではない。面白味には欠けるものの、端正なロジックを積み重ねて真相に迫る作風は、現在の軽いミステリが蔓延しているシーンに一石を投じる意味で貴重と言える。
一本の傘から、これだけの推理を展開させて一人の女生徒を救い、密室を打ち破る手法は見事の一言に尽きる。そればかりか、久しぶりの「読者への挑戦」を挿入している辺りは作者の自信と意気込みを感じる。
ただし、登場人物が多すぎて頭の中で整理が十分つかないのはマイナス要素か。これは読者にもよると思うが。私のような頭の弱い者にはちょっと辛かった。
さして勉強もしないのに群を抜く成績を上げ、天才的な探偵能力を発揮する一方、アニメオタクで自堕落な生活を送る高校生探偵は、魅力的とは思うが、やや双方向に極端すぎる気もする。
いずれにしても、これだけらしい本格ミステリを今読めるというのは、幸せと言えるだろう。

No.5 7点 名探偵ジャパン 2015/03/16 09:38
今どき、こんなコテコテの本格を書く人がいたとは。
しかも、クイーン好きをこじらせたオールドファンかと思いきや、作者は、隔世遺伝的まさかの平成生まれ!
無愛想で失礼、しかもアニメオタクという名探偵は好き嫌いが分かれるだろうが、これが、奇抜で変人、という名探偵のお約束を新世代が解釈した形なのだろうか。
大胆なトリックや叙述などの仕掛けもない、ファンタジックな特殊設定もない、あくまでロジカルに犯人を追い詰めていくクラシカルなスタイルは、今時の若者にはあまり受け入れられないかもしれないが、それを書いているのがまた読者に近い若い作家だというのは希望だ。
青崎有吾、本格ミステリの救世主となるか?

No.4 6点 HORNET 2013/08/30 19:56
 赤川次郎のような(そこまでではないか)、ユーモアも交えた軽快なテンポで、いかにも新人らしいフレッシュな感じが好感をもてる。とはいえ、真相解明に至るまでのロジックは非常にしっかりとしていて、本格ミステリに憧れをもった若者の渾身の作というのがよく伝わってくる。ラストの真相も、ある程度予想の範疇だったが、これによって作品の深みも一段増している。
 今後の活躍に期待がもてる新人の登場。

No.3 6点 アイス・コーヒー 2013/06/12 17:46
高校の体育館で起こった密室殺人を学年一の天才であり変人オタクが解決するという鮎川哲也賞受賞作。
エラリー・クイーン的な論理推理で一本の傘から犯人を絞り、あらゆる疑問点を検証していくやり方は本格的だ。ただ巻末の審査員の作家人陣のコメントにもあるように検証に穴がありやや無理やりなところもあった。しかし、本作はそれと同時に深く練られた所も多くあり、青崎氏の将来には期待が出来そうだ。
ちなみに本作の題名は綾辻行人の「館」シリーズのパロディだ。おもしろい考えだと思ったが、館シリーズとは、ほとんどつながりが無かったのは残念。

No.2 6点 まさむね 2012/12/31 17:12
 「エラリー・クイーンを彷彿とさせる論理展開+抜群のリーダビリティ」という触れ込みの,鮎川哲也賞受賞作。
 選評にもあるとおり,突っ込みたくなる穴はありますねぇ。ハウ(密室)についても分かり易すぎるかなぁ…と。
 しかし,一本の傘からのロジック展開に拘り,真っ向勝負に挑んだ心意気は買います。鮎川哲也賞史上初の平成生まれだそうで,今後の更なる飛翔に期待します。
 ちなみに,タイトルについては,様々なご意見がありましょうが,内容とは確かにリンクしているし,まぁスルーしておきましょう。次作は「図書館」あたりでどうでしょうか(笑)。
 来年も良い読書ができますように。皆様良いお年を。

No.1 6点 kanamori 2012/10/26 18:40
今年の鮎川哲也賞作品。出版前からベタなタイトルで綾辻”館ミステリ”のパロディかと、あちこちでネタにされていましたが、ライトな学園ミステリに緻密なロジックを持ち込んだ意外とオーソドックスな本格パズラーでした。
ロジックは確かに強引で粗もありますが、現場に残された黒い傘という一つのアイテムから、密室状況下の殺人の”ハウ”だけでなく、真犯人を絞り込んでゆくロジック展開はクイーンの国名シリーズを髣髴とさせます。かなり漫画チックな探偵役の設定や意味のないアニメネタの連発には苦笑を禁じ得ないものの、現役大学生だという作者の将来性に期待して採点はやや甘めに。
なお、重大なネタバレがあるので選評を先に読んではいけません。


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